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『HONEY 』
狂歌1910)&ルヴィア・シュクレイザ(2539)

Honey Music
蜜より甘い
Honey Voice
声を聞かせて
Kisses are wandering at secret night.
(秘密の夜のキスたちが彷徨うよ)
ワクワクする秘密を携えて
今 心の砦を駆け上がる
隠された貴方に ×××
少しだけ僕に見せて……

◇ * ◇ ◇ * ◇ ◇ * ◇
 人々の声が、遠くさんざめく波のように響いて聞こえていた。灯火が小さな太陽のように、店のあちこちを照らしている。木製のテーブルの上には、数種類のパン、刻み野菜の盛り合わせ、煮た野菜の和え物が大皿に盛り付けられていた。鍋からの良い香りは店の中を満たし、充分に嗅覚と空きっ腹を刺激している。
 その夕餉に視線を向けることなく、狂歌はじっと頬杖をしたまま目の前に座る友人を見つめていた。不思議なキラキラと輝くオーラを纏う姿は美しい。もぐもぐと茹でた根野菜を咀嚼していた友人は、物憂く危うげな狂歌の表情を見て溜息を吐く。こんなうら若い青年にこんな表情をさせるラッキーガールは一体誰なのだろうか。気になる所である。
「なぁ〜に物憂げな顔してんのよ、狂歌」
 年の頃は狂歌よりもちょっと上ぐらいか。酒場に出入りする事の多い彼女は、派手な印象の女の子だ。小首を傾げるような仕草を返した狂歌の様子を見て呆れたような声音で言った。無論、呆れてはおらぬし、のんびりとした狂歌には良い傾向といえた。
「いつだったかねー、街の酒場で、金眼で3枚羽根の【忌子】を見つけたんだ」
「ふーん。…で、どうして、今になってその話なわけ?」
 彼女は意味が取れずに首を傾げた。
「ん……俺ね、金眼の同族って初めて見たんだけど。その時もこんな所で見たんだっけなって……思い出しちゃったから」
「へぇ〜。金眼って、あんたの種族にあんまりいないんだ? 忌子って言うぐらいだもんね」
「うん、いないよ。伝説にあるみたいに不吉で邪悪な存在だなんて欠片も思えなかったんだよ」
「うっそぉー!」
 女友達は目を瞬かせていった。思わず身を乗り出して狂歌を覗き込む。
「伝説って物々しいわね。じゃぁ、厳つい感じの怖い奴とか思ってたわけ?」
 自分の想像が鬼みたいなものだったために、彼女は狂歌にそう聞いてみた。狂歌はその言葉を聞くや、思いっきり首を振って否定する。
「そ、そんなこと無いよっ! …あのね……」
 そう言って、狂歌は唇を少し噛んだ。困ったような悲しそうな、何とも言えない表情をする。一瞬の間を置いて、狂歌はゆっくりと話し始めた。
「だって……彼は…俺をみるとね、すっごい悲しそうで痛そうな表情するの」
―― はァ?
 彼女は長い銀髪の端を弄る狂歌の様子に、一瞬、思考が停止した。黙って話を聞けば、やや俯きながら狂歌は話を続ける。
「何でそんな顔するのかわからなくって…辛いことあったのかなって思うんだけど、言葉が見つからないし。何度か俺の歌聴いてくれたけど、其の時も泣き出しそうな顔するんだよ。それから彼の事が気になって仕方なかったんだ」
「あ…。…あのぅ、あたしの聞き間違えじゃ〜なかったら…。そ、その…それって、男?」
「間違いもなにも、彼は男に決まってるよ?」
 どうしたの?…と言った風に狂歌は答えた。その狂歌の表情を見て、女友達は深い溜息を吐く。狂歌は彼が心配なのだろうか。ぽつぽつと話し始める狂歌の頼りなげな表情を見て、何も言わずにいた。
「ルヴィア・シュクレイザ……それが彼の名前なんだ。初めて見たけど…その、特徴的だし。何て言うのかな……俺には優しかったんだ。他の人にはつっけんどんなところもあったりするんだけどね。俺には楽しそうに話し掛けてくるんだよ。喋り方も面白いんだ♪」
 そう言うと、狂歌は眉を下げ、胸の中の小さな思いの欠片をそっと見せるような声で言った。胸の前で狂歌がぎゅっと自分の手を握り締めて呟く。
「……俺、ルヴィアに……恋してるのかも、しれない」
 ぽつり、言うと、わずかに笑う。
 微笑むかのような、泣き出すかのような表情は、彼のことを慮るかのような思いを見ることが出来そうだった。女友達は黙って頷く。
 からかったり、誤魔化したり、囃したり。そう言ったことはしたくなかった。白く美しい一対の翼を持つ狂歌は、自分の中に小さな小鳥を見つけたのだ。
 どうして、自分にそんなことが出来るだろう。
 女友達は一つ頷いて笑った。
「好きにしたらいいよ、歌ってるんでしょ? 胸ン中で……何かが」
「……ん…そうだ…よ…。それ…口にしたら」
 それだけ小さな声で言うと、狂歌はそっと顔を上げ、女友達にわずかに涙を浮かべて微笑んだ。
「きゅん…ってするよ。溜息が出ちゃうんだ…」
「馬鹿だね…あんた」
「……ん」
 涙が零れる。
「いいじゃん…それ、本物だよ」
「…………うん」
 小さく言って、狂歌は頷いた。

Honey Music
蜜より甘い
Honey Voice
声を聞かせて
Kisses are wandering at secret night.
(秘密の夜のキスたちが彷徨うよ)
ワクワクする秘密を携えて
今 心の砦を駆け上がる
隠された貴方に ×××
少しだけ僕に見せて
剥き出しのsoulに ×××
囁いたら 振り返って
紡いだら 微笑んで

Honey Voice
声を聞かせて
One night Sexy Music
蜜より甘い
Honey Voice
秘密を聞かせて

■END■
PCシチュエーションノベル(ツイン) -
皆瀬七々海 クリエイターズルームへ
聖獣界ソーン
2005年01月26日

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