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『メイド喫茶の新年会 』
大曽根・千春0170

|Д゚) あけましたなり
|Д=)ノ ことしもよろしゅー
|Д゚) さてさて
|Д゚) メイド喫茶OSU、新年会がある
|Д゚) んじゃま、いってみよー


 と、かわうそ? が言っているとおり、あやかし荘近くにあるメイド喫茶〈OSU〉にて新年会が行われたのだ。
 のんびり天然のメイドな高校生大曽根千春の提案からである。
 親友の縞りすに、中華料理屋KAKUの郭・花露(くぉ・ふぉるぅ)〜通称ファオ〜もやってきているのは言うまでもない。また常連客である暁水命も参加する。

1.OSU
 すでに、テーブルを縦長に並べられたお節。その数は凄いものであった。
「しっかり、皆さんに行き渡るようにしたいですね」
 と水命が、各おせちを分けてみる。
|Д゚) ……つかれたー
 何か知らないが、ナマモノが全部作ったらしい?
「まだまだいくわよー!」
 と、ファオがメイド喫茶のコンロに火をつけてまたも何か作っているようだ。
「増えますね」
|Д゚) 中国のもてなしでは残すほど作る
|Д゚) しかし、これは“誰かに無理に食わせるん”では無かろうかと
「あらら……」
 あまり面識がない1人と1匹が苦笑していた。


 一方、初詣か何かを済ました草間兄妹……。
 草間は相変わらずのジャケットにコートであるが、零は碇に前に着せて貰った晴れ着だ。初詣とえびすの境目時期の初詣。妹に引きつられる、ずぼら探偵なのである。
「うむ、この近辺は開いてないですね」
「だな。普通は、あれ? ここの喫茶店、開いているぞ?」
「本当ですか? よかったぁ、疲れていたんです!」
 零はとても喜んでいた。
「別の意味で喜んでいないか? 零?」
「え? そ、そんなこと……あります」
 零ちゃん顔真っ赤っか。
 なんせ、雰囲気的に開いている店が〈OSU〉なのだから……。
 零ちゃん憧れの場所かもしれない。
――誰だ! こんな妹にしたのは!?(草間の心の声)
――今までの話の流れで……(著者)


 今店にいるのは、ファオに小麦色、水命に草間兄妹であった。
「おそいなぁ、千春ちゃん。前にきてたのに」
「そうですね」
「なんだ? 主催が遅刻か?」
「おまたせしましたぁ」
「おお、来た、来たって……えええっ!!」
 主催者の千春の姿を見て、驚く。
 いつもメイド服を着ているのだが(そう、学校に行くときも)、今回晴れ着姿なのだ。淡い桜色の……。
「きれいでぃす! きれいでぃす!」
 千春の頭の上でちょこまかとはしゃいでいる縞りすが“シマリス”状態ではしゃいでいる。
 千春も謎の人だ。
「ステキです〜着付けできるのですか?」
 零は尊敬の眼差し。
「はい、できちゃうんですぅ」
 他の人は驚く。
|Д゚) ←別段驚きもしない(以下略)

 例の小麦色に誘われた、銀野らせんはダッシュでOSUにやってきた。
「こ、こんにちは! ごちそうになりに来ました!」
 あんた、ブルジョア令嬢だろ? と突っこみたいのは少数。
 実はあまり知られてない。大手オモチャ会社の令嬢というらせんちゃん。
かわうそ?きぐるみで街を歩く事で有名であるぐらいで……。
|Д゚)ノ らせん、ちゃー
「あら、らせんさん。あけましておめでとうございますぅ」
 のんびりと対応する千春だった。彼女は驚く事や怒ることが全くない……。
 それで、集まったようだ。
「では、揃ったところですが沢山ありますしぃ、OSU新年会を……」
 千春がのんびりと話すところを
「クソ、未成年ばかりか。酒が……」
 と、ぼやく草間だが、
「草間さん、お屠蘇がありますよぉ」
 にっこり微笑む千春。
「ま、其れぐらいで……が、」
「あまーい! あたいはしっかり中国のお酒、ビール、ノンアルコールも持ってきてるわよー!」
 ファオ、カウンターにどっさりと酒瓶やら色々置いた。
「よし!」
 草間は一気に明るくなった。
|Д゚)ノ でははじめる〜
「あけましておめでとうございます」
 
 しかし、彼は知るはずもない……天敵が来ることを……。


 田中裕介。通称メイド魔神。
彼はメイドハンターかメイドマスターとか主張するが……、
――そんなこと知ったこっちゃねぇ――
「なんですか、いきなり……」
 何もない空間に苦笑する裕介。
 新年から、〈めいどあいらんど〉の裕介のデザインしたメイド服で〈OSU〉と新規契約するために、今宴が始まっているところに向かう訳なのだ。しかし、彼が〈OSU〉で新年会が催されている事を知っているわけではない。
 後ろでなにやらちっこいものがちたぱた、ちたぱたと走っている(?)ことが裕介にわかった。
「どうしました?」
 別段、ちっこいものに害意がないので、振り返って訊いてみる裕介。
 小麦色などと対面しているため別段驚く事もない。相手は、10cmの魔法使いローブを着た女の子だが。あとは彼女の3分の1をしめるとおもわれる大きな懐中時計。
 おかっぱ頭の可愛い動く10センチフィギュアがにぱーを笑った。
「ちかくにおいしいにおいがするんでぇす」
「ちかくですか……途中までなら一緒に参りませんか?」
「あいー あたし、つゆきやえでぇす」
 にこやかに笑う
「俺は田中裕介」
「あーめいどまじんでぇすー! ゆうめいでぇすよ〜」
「その渾名は……や、やめてください」
 そのまま、膝をついて両の手も地面に付いてしまう裕介。
 流石メイド魔神、有名である。
 結局、メイド魔神は彼女を肩に乗せて道を歩く。
「ここでぇす! ここからおいしいにおいがするでぇす!」
「ははぁ、同じところだったのですね」
 二人は〈OSU〉にたどり着いたのであった。
 裕介がドアを開け、
「ゴメン下さい、田中裕介ですが……契約の……」
 と、言う途中で
「くさまのおぢちゃー!」
「う、や、八重! ぐはぁ!」
 裕介の肩からもの凄い跳躍を見せて、顔面に激突する八重。
 ミサイル八重ちゃん。
「おぢちゃもにおいをかぎつけたのでぇすかぁ?」
「いえ、八重ちゃん、休憩でここに入ったらこういう状態でして」
「なるほどでぇす♪」
 零に説明を受けて
「かわいいでぃす!」
「きゃー可愛い!」
 りすにらせんが八重を見てきゃーきゃー言っている。
 因みにりすは人間の姿に戻ってごく普通の普段着だ。
「あ、あのコレって?」
「新年会ですけどぉ」
「は、はぁ」
 と、千春に言われて納得する裕介。
「まだ始まったばかりだからあんたもはいりなよ? 酒もあるよ!」
 ファオが裕介に席を勧めた。
「はい、お言葉に甘えまして」
――契約の方は後で良いか……。
 裕介は席に座って、晴れ着姿の千春に酌をして貰った。
 八重はというと、相変わらず草間の選んだおせちを横取りして、もきゅもきゅ食べているのであった。



2.料理とトラブル
「あたいの料理も食べて!」
 ファオが用意したものは中華。もうおせち以外に沢山あることあること。
 ブラックホール胃袋がいるので残されることはないと思う。
「水餃子にスペアリブ、車エビのチリソースに中華ちまき‥‥クラゲの和え物とかも作ったよ〜☆」
 と、これでもか! と言わんばかりに持ってきたのだ。キッチンでは温め直しと残った食材でまた追加料理を作っていたのだ。
 当然、親友である千春に思いっきり料理を勧めるファオ。
「美味しそうですねぇ」
 千春、状況をしっかり把握しておりません。
「俺にも中華ちまきをくれ」
 草間がファオにお願いするのだが。
「あいよー」
 皿にちまきを載せたとたん、消えた。
ブラックホール胃袋が其れを奪ったのだ。
「おいしいでぇす」
「こらー! いつも いつも!」
 草間が呆れながら叫ぶ(器用だな)。
「おぢちゃのものはあたしのもの、あたしのものはあたしのものなのでぇす!」
 八重ちゃんキッパリ言いのける。
「相変わらず新年早々、これか……」
「あはは。草間さんまだあるから安心して☆」
「あ、ああ、さんきゅ」
 と、八重がちまきをもきゅもきゅ食べているときに、自分の物を貰った草間だった。
 彼がまともに食えたのは今のところ其れぐらいしかないのは抜群に秘密です。
 


「このエビチリ美味しいですねぇ。あ、これも……」
 水命が感激している。
「おせちも黒ごまに数の子、エビも……」
 まさか、このお節の大多数が謎の小麦色が作ったと言うのを知らない。
「これ、おいしぃ!」
 らせん、すでに食べることに夢中である。令嬢という威厳も風格も減ったくれ無し。
|Д゚) ←何か考えているナマモノ
「あの、皆さんあとでデザートがありますからv」
 水命が皆に伝える。
「わーいでぇす。あまいものはだいすきでぇす!」
 八重、脳天気。
「其れは楽しみですね」
 のんびりと酒を飲み、料理に舌鼓をうちながら答える裕介。
 と、平穏に事が進むはずだったが

|Д゚) トラブルはいつも起こる。
草間「其れは同感だな」


「もう食べきれないですねぇ」
 と、千春が言い出す。
 流石にたった10名程度で何人前かわからないものを平らげるなんて出来るわけがないし、お節はそのために作られているわけではない(調理して保存できる様にしているのだから)。この際不条理の胃袋は考慮に入れない。
「お腹が苦しくなってきました〜」
 いきなり千春は晴れ着の帯をゆるめ始めるのだ。
 女性だけならまだ良いのだが、3Xの怪奇探偵にメイド魔神がいる。
「た、たいへんでぃすー! 千春さん! 千春さん!」
 りす、慌てる。
 帯がほどけた後、着物系というのは作りによって簡単にはだけてしまう。
「相変わらずだな、千春?」
 草間単に一言。別段驚いてない模様だ。
 女性陣は草間と裕介の目を押さえたりと、必死になる。
「千春さん、今そんなコトしたら大混乱になりますよ。既になってますか……」
 苦笑しながらメイド魔神、白い布を取り出し千春にかぶせる。
 引っ張れば食事がしやすい可愛い服に着替えさせたのであった。
「あらら、助かりましたぁv」
 相変わらず脳天気というか天然というか。

 その次と言えば、りすであった。
「もう食べきれないでぃすぅ〜」
 目をくるくる回すりす。
 ぽてっとテーブルに突っ伏す。
 しかし食べたものと云えば、千春より多い。また迷信かもしれないが胸が大きくなる効果があるとか言う食べ物を集中的にだった。
 そのまままたシマリスになってしまった。
「きゃーかわいい!」
 すでに何かを食べて酔っ払ったらせん。
 気を失ったりすを抱きしめて頬擦りしている。
「何か酒入れた料理ってあったのか?」
|Д゚) 一応ある。アルコール飛ばした物とあまり飛ばさなかった物が少々。
「普通は全部飛ばすはずだぞ? ナマモノ」
|Д゚) 気にするな。今時はケーキにも洋酒を入れる。
「呆けていっているだろ?」
 メイド魔神とナマモノの会話。
「別段大きなトラブルでないため放っておくとしよう。千春さんのように脱ぐとかしないわけだから」
「しかし、言ってる側から千春ちゃんが!」
「あれ〜。からだがあついですねー」
「どうしたんでぇすか?」
 もきゅもきゅ食べるブラックホール。
「間違えて飲んだみたいだね〜」
 ファオが言う。
「おそとではないです〜。ジュースですよ〜」
 千春反論しながら裕介に着せて貰った服を脱ぎ始める。
「あ、それ私の紅茶ブランデー……」
 零がぽつり。

 暫く間が開いた。

 草間が確認で紅茶ブランデーを舐めてみる……
 とたん、
「それは完全に酒だ! 千春を奥で介抱しろー!」
 草間が誰か叫ぶ。
「は、はい〜」
 ファオと水命が千春を担いで言った。
「楽しくて美味しいでぇすねー」
「たべきれませんでぃす」
「八重ちゃんかわいいー、あーんして」
「はーいでぇす!」
 と慌てた様子もなく宴を続ける一部の人々とブラックホール。


3.美味しいのかな? お節ケーキ……
とりあえず、ダウンした2名は置いてのんびりと宴は続くのである。
相変わらず八重は夢中で食べ、草間の料理を強奪する。
零は、お酌などと甲斐甲斐しく動き回るし、裕介も千春に薬を渡した後、ファオと共に食事を楽しんでいた。
らせんと言えばダウンしたしまりすを抱え彼女頬擦りして、まだ食べている。酒には弱いがまだマシな方だ。
よく見ると水命の姿がいない……。
「どこいったんだろ?」
「厨房です〜」
 と、ファオが言った直後にヒョッコリ顔を出す水命。
「デザートがあると前に言いましたので 仕上げをかわうそ?さんに手伝って貰っていたんです」
|Д゚) うむ
 だいたい、お節に飽きた頃で、そろそろ甘いものでくつろぐ頃のようだ。
「でざーと―――――――――!」
 喜ぶブラックホール。
|Д゚) あい、お節ケーキ
 テーブルにティーセットとそのお節ケーキを出した。
 一瞬場が凍る。
 見た目がどうしてもお節なのだ。お重に見立てたスポンジケーキにはお節料理の定番料理がびっしりトッピング。見た目は美しいのだが、今までお節を見ていたので抵抗がある。
 例外はそこの10センチぐらいだった。
「此処の部分(黒豆)をきりとってくださぁい!」
 水命に切り取って貰い、もきゅもきゅ食べる。
 感想をまつ水命。
「すごいでぇすー! とってもおいしいいでぇす!」
 にぱーと笑う10cm。
「お、おい」
 焦る草間。
「おせち料理の黒豆がじつはチョコなのでぇす!」
「「は?」」
 確認のためか、ファオも(酔っ払っている)らせんも食べてみる。
「菓子細工も此処まで行くと神業!」
 焔の料理人が落雷を受けたようにショックを受ける。
 いや、本当にバックで落雷が落ちたんだが、気にするな。
 そう、お節で見た目が綺麗なものを洋菓子の素材各種で作り上げたものなのだ。
 残念ながらOSUの関係者がダウンしているため、水命が言いたいことがあまり言えない。
 つまり、季節限定新メニューでコレを出すかどうか話したかったのだ。
 流石にエビ、タイの菓子細工では無理があるだろうと思われる(一番派手であるからして姿と味が違うと人は抵抗があるものだ)。
 黒豆姿チョコに栗きんとん姿のケーキは良いかも知れない。
 この新年会の生き残りの人が食べながら、その辺を言うので、参考にはなったようだ。
 ただ、ブラックホール10cmは甘くて美味しかったらいいわけであり、エビもタイも平らげる。
|Д゚) これ、何かのトラップに使えると思う、どーよ。
 裕介と草間に耳打ちするかわうそ?
「誰目当てだ?」
「多分、先生かも知れません」
「アイツをぎゃふんと言わせるには良いかも知れないな」
 ナマモノと、メイド魔神、ヘボ探偵が妙なことを考えたのだが、零が草間の耳を引っ張る。
「いたた!」
「食べ物は大事にです」
|Д゚)ノ ぉぅぃぇ〜

 そしてお節ケーキは、6割は八重の手により、綺麗さっぱり無くなった。
「美味しかったでぇす。もうないんでぇすか?」
 と、冷蔵庫にあったプレミアムアイスを食べながら八重が言う。
「なかなか美味しいですよ」
 裕介や零が水命を褒める。
「ありがとうございます。こんど、千春さん達に言ってみますね」
 水命は千春達が“生き返ったとき”に沢山話そうと思ったのだった。


4.宴も終わり
主催者ダウンのまま、かわうそ?の音頭とりにより、OSUの新年会が幕を閉じた。
|Д゚)ノ ことよろー
「はい、今年も宜しくです」
「よろしくー」
「おいしかったでぇす」
 と、皆で後かたづけを始める。
「俺は千春さんを介抱しますか……」
 裕介がトランクの中から何かを出す。多分特殊処方された胃薬だろう。
 養母がサバイバル能力持っている為に編み出したIO2様特効薬をトランクの別次元に入れていると思っていれば問題ない。
 らせんはというと、
「でわ、みなさんばいばいー」
 と、目を回している“しまりす”を抱きしめて帰っていった。
「お疲れ様――」
――誰も気が付いていないよ!
|Д゚)ノ ←これ除くわけだが。

 片づいた後は、ファオが千春の介抱をすると言うことで裕介は名刺を渡しいったん帰る事に。八重は草間の頭でまだお菓子を食べながら帰っていく。残ったのは、常連の水命とファオ、かわうそ?だけになった。
――りすの存在すっかり忘れられているが、相手がらせんだからいいだろう。

「色々ありましたね」
「あったねぇ。楽しい年になりそうだとあたいはおもうよ」
 すやすやと寝息を立てている千春の姿を見て、ファオと水命は笑っていた。

|Д゚) あ、八重、ここのケーキと甘味、全部平らげている。
 かわうそ?は明日の為に用意された洋菓子類がないことに気付いた。
|Д゚) ま、いいか。美味しい訳だから。
 良いわけ無いだろうに……。


End

■登場人物
【0170 大曽根・千春 17 女 メイドな高校生】
【1009 露樹・八重/ゆつき・やえ 910 女 時計屋主人兼マスコット?】
【1098 田中・裕介 18 男 メイド魔神】
【1572 暁・水命 16 女 高校生兼家事手伝い】
【2066 銀野・らせん 16 女 高校生(/ドリルガール)】
【2821 縞・りす 15 女 高校生(神の使徒)】
【2935 郭・花露 19 女 焔法師の料理人】

■かわうそ?通信出張版
|Д゚)ノ あけおめー
|Д゚) 沢山くったかね? 皆の衆
|Д゚;) お節ケーキ……正直微妙かも
|Д゚) でわ、ことしもよしなにー
あけましておめでとうパーティノベル・2005 -
滝照直樹 クリエイターズルームへ
東京怪談
2005年01月17日

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