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『□■□■ は ら は ら ■□■□ 』
オーマ・シュヴァルツ1953



「あなた、残酷なひとだね」

 響いたその声が自分の胸を抉り出し、全てを壊し尽くし、その欠片を慈しむように撫でる。自愛のように、慈愛のように。安寧のように、安穏のように。もしかしたら暗雲のように身体を心を包み込んだその声を思い出すことは出来なくても、その言葉が有していた棘は、微笑みは、悲しいほどに、焼き付いて。
 そして落ちていった幾千の花びらと、幾千の魂魄が、はらはらと、はらはらと。舞っていた、同時に待っていた。手招き死を誘うように、だけど、その手を取ることなど出来ない自分が――
 その一瞬だけ、悔やまれた。

■□■□■

『うーッし、今日も元気に腹黒を過ごしてるか野郎共ーッ!』
「おぉーうッ!!」

 腹黒同盟集会、略して腹集(センス皆無)。具現化したマイクとスピーカーで声を響かせるオーマに、病院に住み着くゲテモノ……もといイロモノを初めとした同盟メンバー達が野太い声で応える。病院の壁がビリビリと震えるほどの大音量にも関わらず、他の部屋は静かなものだというのだから、その防音設備は完璧だった。もしかしたら壁に吸音材ではなく愛を詰めているのかもしれない。

『んじゃあ元気に親父の鉄則を斉唱ー!!』
「親父の鉄則そのいーち、博愛せいしーん!!」
「うっさい」

 どべしっ。

「連中のだみ声は兎も角として、マイク使ってるあんたの声が漏れてるんだよ。腐り切っているとは言え病院なんだから、ちったぁ客に気を遣いな。まったく、年甲斐もなくラブを連呼するのを許してやってんだから、弁えて欲しいねぇ」
『お、親父の鉄則補足ッ……家庭円満の秘訣はカカア天下……』
「総帥、貴方の雄姿は忘れません……」
「忘れて良いし…………って言うか…………朝から、煩い……物凄く、迷惑……」
『あぁぁああッ、そんな冷たい妻子もラブだー!!』
「だからマイクで喚くんじゃないって」
「言ってる、んだよ…………」

 足蹴にされつつもガバリと起き上がり妻と娘に抱き付こうとしたオーマの顔面に、二人の靴が命中する。いつもの風景にほのぼのとした心地を覚えつつ、メンバー達は和気藹々の団欒タイムに入っていた。ステージ上で踏み踏みとドメスティックバイオレンスを受けている総帥を心配する者は誰もいない、それは日常過ぎる光景だったからだ。
 そしてその日常を愛しながら、オーマは微笑む。
 背中は靴痕塗れながらも。

■□■□■

 日常、というモノを考える。それは酒場を訪れてはかっぱらう依頼の数々をこなすことだったり、病院と同盟本拠地どちらが本来の役割だか忘れ掛けている自宅で愛をばら撒きつつ騒ぐことだったり。クールながらもホットなラブを心の底に持っている(と信じたいがあまり見せられたことが無い)妻子と団欒をすることだったり、ドメスティックバイオレンスの被害に遭ってみたり。たまには真面目に診療活動に勤しみ、死に至る寸前の命に呼び掛ける事もある。救えなかった命に涙を流す事だって、けっして少なくは無い。それは医療に携わるものとしての技術不足ではなく、どうしようもない病魔や、寿命故で。
 喜ぶこと、怒ること、悲しむこと、楽しむこと。笑うこと、怒鳴ること、泣くこと。様々な動作が日常を支配している、隙など、無いに等しい。それなりに多忙で、空いた時間は楽しむ事や語らうことに使用されているのだから。

 だから、空っぽにはならない。

「はず、だったんだけどなぁ……」

 病院の昼休み、茶を飲みながら彼は一人ごちるように溜息を吐いていた。勿論妻や娘が淹れてくれた茶であるはずも無く、主夫スキルマックスの彼が自分で注いだものである。悲しくも虚しくもない、だけど涙が出ちゃう。ラブ親父なんだもん。
 休憩室には彼一人だった。別に選んだわけではないが、一緒に休み時間に入るものがいなかった。だがそれは好都合だったのかもしれない――眼鏡を外し、軽く眉間を揉む。皺が寄っている気配が無いのを確認してホゥッと一息吐けば、カップの中で水面が揺れた。写り込む自分は少しだけ暗い眼をしていて、嫌になる。出来ることなら底抜けに明るいままでいたい、四六時中愛をばら撒いていられる状態でありたい。だが、今は、出来ない。こんな顔でばら撒くラブは形骸だけのものだ、そんなものは腹黒のプライドが許さない。愛はいつでも一本勝負、強気に本気のラブマスター。

「どうしたんだい?」
「んぁ?」
「いつもと様子が違うみたいだって、あの子が言うもんだからね。ちょっと気を付けて見てたんだけど、本当にしんどそうじゃないか。馬鹿は風邪を引かないって聞いたはずだったんだけどねぇ」

 ドアに寄り掛かって苦笑を浮かべているのは妻だった。あの子、と言うのは娘だろう――オーマは笑って見せる。上手く出来なかったのか、彼女は笑みを消して少し心配そうな顔になった。
 家族に心配は掛けたくない、だから、笑っていて欲しい。笑っていない時は自分が支えてやれば良い。だが、自分が原因になってしまっている時はどうすれば良いのか――考えて考えて、それは今でも解決出来ていない。だから、家族の前では深刻そうな顔は見せないようにしている。不意に見られてしまうとどうにもバツが悪い、そう、今のように――歩み寄る彼女は、オーマの髪にぺしッと手を乗せる。逆立った髪が、少しだけ、沈んだ。

「あんたは大黒柱でいたいんだろうけどね、こっちだって家族なんだよ。ましてあたしは妻なんだからね。あの子の前では無理でも、あたしの前では、ちっとぐらい弱って見せな。じゃなきゃ自信が無くなっちまうよ」

 クスクスと苦笑が、向けられる。座っている自分の目線の高さは彼女の背丈と殆ど同じだった。近い顔、カップを置いて、そっと抱き寄せる。大切な大切なものを、抱き寄せる。いつもなら肘鉄関節技プロレス技で落とされるところだったが、今日は大人しく抱かれてくれた。それに、安堵する。
 何かに抱き付いて安心するなんて、子供のようだった。それでも、離そうとは思わなかった。
 ぺしぺしと背中を叩いて安心を誘う、その肩に顔を埋める。ぎゅっと眼を閉じれば、瞼の裏には極彩色が踊った。そしてその奥には、白い髪の少女がいる。眼を凝らそうとしても出来ない、不可思議と不快感。抱き締めた身体から伝わる体温が、ゆっくりと像を奪っていく。
 それで、良い。

「充電完了ーッ!!」
「、オーマ……」
「あー、久し振りに大人しく抱かれてくれて俺ってばもう『ズッキュンときめき☆熱いハートが火照っちゃう』状態だぞぅ、愛い愛いー! っと、そろそろ昼休み終わりだからな、俺は午後の診察に行って来るか。お前も仕事に根詰め過ぎるなよ、しんどくなったらいつでもこの胸に飛び込んで来ーい? ラブマッスル精神エアバッグで華麗に受け止めながら耳掃除が待ってるぞ!」
「……ったく。はいはい、はーいはいはいはーい。ほら、ちゃきちゃき働きな? 生活費はきついんだよ、万年火の車も良いところさ。ったく甲斐性が無いったら」
「ぐべはッ! 罅割れたビー玉な心に刺さる台詞だなそれは! これでも切り切り詰め詰め家計をやりくりしているというのに、スーパーの午後のシフトのおばちゃんとは顔見知りになってるのに、世知辛いなあ、ラブは食べられませんってやつか、しくしくしくしくしく……」
「なら酒代無くしな」
「さ、診察診察」

 家族に心配を掛けるぐらいなら、こうして道化ていれば良い。立ち上がってドアに向かう、背中で聞こえた彼女の溜息には、気付かない振りをした。

■□■□■

 その少女は、ウォズだった。
 鼻は効くし、ウォズに対する見分けには定評があった。だから彼女が如何に上手く人の姿をしていたところで、その本性が何であるかは簡単に看破出来た。もっとも少女も自分が見抜かれているということを見抜いていて、だから、何も言わずに距離を取って相対していた。少女の間合いで十歩、彼の間合いで四歩。銃に手を掛けながら、オーマはその行動の様子を観察する。

 自分と戦うつもりならば、封印しなくてはならない。

 今まさにウォズを一人封印したばかりだが、だからと言って目の前にいる敵を放置するわけにはいかない。自分に襲い掛かってくるということは、他のヴァンサー達に対しても脅威となるだろう。ならば、ここで自分が片付けてしまう方が良い。襲い掛かられなければこのまま見送るが、敵となるのならば。

 だが少女は動かない。
 灰色掛かった眼で、彼を見ている。
 無感情そうに、無感動そうに、見ている。
 風がオーマの、銀色の髪を揺らした。
 花が、散っている。
 藤の花が、ひらひらと。
 白い雫を撒くように、散っていく。

「わたしも封印するのかな」
「――――」
「ああ。一応、敵対の意思は無いよ。どこまで信じてもらえるかなんて判らないけれど、元々争うのは得意じゃないし。なんて言うか、感情を出すのがね。ちょっと、苦手なんだ。『混じり物』だからかもしれないって、父さんには言われてた」
「混じり、もの?」
「うん。わたし、ウォズと人間のハーフらしいから」

 風が散る。
 オーマは、瞠目する。

「父さんが、覚えておけって言ってたからね。もしかしたら迫害されるかもしれないって。母さんにも内緒で私にだけ教えてくれたんだ。ばれる人にはばれるって、でも、出来ることなら隠し通せって。でも――うん。あなたみたいに鼻が利いちゃう人にはどうすれば良いのか、聞きそびれてたな」

 少女が、脚を進める。
 細い脚で、近付いてくる。
 彼は動かない。
 銃を抱える腕は、微動だにしない。

 細い指が――彼の胸に触れた。

「……もっと、一緒に、過ごしたかったね」
「お、まえ」
「いっぱい話したかったね」
「まさか」
「お父さん」

 身体の中には、今しがた封印したウォズが居る。

 封印したのは、まったく行きずりのことだった。
 元々この大陸に渡って来たのは、彼を封印するためではない。ヴァンサーの地方支部に対する伝達を頼まれて、その最中のことだった。人をパシリにしやがってあの高飛車歌姫さんめ、いつか親父愛の前に跪かせて師匠と呼ばしたる――そんなことを考えながらのほほんと、一つの村を抜けたところだった。突然目の前に現れた男が、襲い掛かってくる。気配は紛れも無くウォズのもの、そして、自分に対して向かってくる。敵だと、認識に時間は掛からなかった。咄嗟に銃を具現化させて頭を殴り飛ばし、話を聞けと説得を試みても聞く気配が無い――攻防が暫く続き、落ち着く様子がないと最終的な判断を下して、やむなく――封印を、した。身体の中にはまだその生命が息衝いている。

 もしかしたら彼は、ただ誤解していたのかもしれない。人間の中に溶け込んでいる自分を、ヴァンサーが駆逐しに来たのだと。だから自分を守るために、人としての自分を守るために、自分の家族を守るために――向かってきたのかもしれない。あの攻防は、懇願だったのかもしれない。

 そっとしておいてくれ。
 ここにいたい。
 ここに生きたい。
 ここに、在りたい。
 大切なものを守っていたい。

「そ、んな――まさ、か」

 人に混じり込むウォズがいるのだと、知識的には知っていた。だが相対したのはこれが初めてだった。
 人に混じる者には幾通りかのパターンがある。大きくは二つ、いつかその本性を現して自分と関係した全てを喰らい尽くすように暴れだすか――純粋に、人と交じり合うか。
 彼は、後者だったのだろうか。
 それでも、この娘を守るために、ウォズとしての特性に頼ってまで――本当なら忌むべきその特性に頼ってまで、向かってきたのか。

「ねぇ」
「ッ俺、は――すまん、俺はッ」
「わたしも、その中に入れてよ」

 少女は泣いていなかった。
 ただ無感情に、オーマを眺めている。
 胸に刻まれた刺青をじっと見詰めて、ただ、呟く。

「わたしもウォズだよ。半端ものだけれど、ヴァンサーが狩るべき者だね。条件は充分だし、あなたにはわたしを封印する義務があると思うんだ。そしてわたしには、それを希望する理由もある。正体がばれたらどうせ迫害されるんだろうし、だとしたら――その中に入っていた方が、良い」

 身体の中に入る。
 それは、封印。
 父親と同じ場所にと、望む。
 その何処とも知れない混沌の中へと、臨む。

「出来――ない」
「…………」
「悪い。だが、これは、俺の償いだ。こいつは、お前をヴァンサーから守ろうとした。自分じゃなく、自分の周囲の環境を――お前とお前の母親と、関わった全てを守っていたくて、俺に向かってきた。俺はそれを封印しちまった、だから、せめてその意思を汲まなくちゃなんねぇ。それが、俺の義務だ」
「…………」
「お前はここで、人として、生きろ。ソサエティマスターにもその保障は頼んでおく、だから――」

 く、っと。
 少女は笑う。
 泣きそうな顔、だった。

「あなた、残酷なひとだね」

 そっと少女は、彼の胸に頭を寄せた。
 父親に、縋る。
 最後の抱擁。
 抱き締めてやりたいと、思った。
 だがそれは、出来なかった。

 引き裂いてやりたかった。細く小さく頼りない命を引き裂いて、壊して、殺しつくしてやりたかった。どこから生まれたのか判らない破壊衝動が身体中を血流のように巡る、それを抑える腕は、ぶるぶると震えが止まらなかった。奥歯を噛み締めているつもりなのに、がちがちと音が鳴る。頭蓋に響く。思い浮かぶのは死体、死骸、屍骸、遺骸、骨の山。湧き出した虫達が蹂躙していく、有機を失った肉体。願えば蘇っただろうか、愛すれば全てが元に戻っただろうか? 自問を何度もした、答えが出た事は無い。あの時、あの瞬間、予測されたそれ。逃げ出せばあの光景は無かっただろうか? どんなに願っても、叶わないことは、敵わないことは、変わらないことは、そこにある。そこにあるのだ。どうしようもないほどに、そこに、鎮座している。何もかも無かったことにしたいなら、世界全てを無かったことにしてしまうしかない。破壊。壊したい。殺したい。こんなもの。こんなちっぽけなもの。こんなちっぽけで、幼くて、どうしようもなく無知で、どうにもならないほど――

 尊くて、美しい――

 少女は踵を返す、遠ざかっていく。藤の花がはらはらと散る、雪のように。雪ならば積もれば良い、冷たく積もって何もかも麻痺させてくれれば良い。何もかも、覆い隠してくれれば良い。この場所に残った戦闘の痕なんて、無くしてくれれば良い。父を失った少女なんて、消してくれれば良い。
 だけどそんなことはいくら望んだって、叶わない。
 どんなに思いが強くたって、叶ったりしない。
 だから、膝を、付いた。
 何もかもを吐き出すように、空気を叫んだ。
 静かに――慟哭と絶叫を、繰り返した。

■□■□■

 たまに、一年に一度、もしかしたら数年に一度――そんなことを思い出すことがある。凝り固まった肩を手でぐりぐりと揉み、ふひー、とオーマは息を吐いた。久し振りに一日を病院勤務で過ごすとどうにも疲れる、一瞬も油断できない。命の現場というのはどんなダンジョンよりも強力だ、急患のエンカウント率に比べたら森をほっつき歩いている方がどれだけ楽だか知れない。

 何も考えない一瞬の隙を狙うように、その記憶は侵攻してくる。いつの事だかもう思い出せないほどに昔なのは確かだが、それでも、きっとまだまだ纏わり付くのだろう。それは少しだけ憂鬱で、だけど、諦めてもいる。自分はそれだけのことをしてしまったのだ、あの時、あの花を浴びながら。
 奇しくも現在、オーマは彼と同じ境遇にあった。愛しい女を傍らに、マブい娘を見守っている。死語も親父に掛かれば愛のスペルだ。ぼんやりと見上げた天井は、低い。自分に合わせた設計にしたかったが、多数決により一般的な高さにされている。たまにドアに頭をぶつけるのに。

 言わなくては、ならないのだろうか。
 『いつか』が来てしまうのだとしたら。
 このままの日常を続けて行けない時が、来るのだとしたら。
 娘に、彼女に、もっと何かを伝えて――

「…………はい」

 ひよ、と脇から細い腕が伸びてくる。そこにはグラスが持たれていた。
 机に向かってカルテのチェックをしていたオーマは、椅子をぐるりと回転させる。
 そこには、娘が立っていた。

「疲れてる…………時は、甘いものって…………だから、レモネード……シロップちょっと、多め」

 薄い黄色のそれは、小さく湯気が立っている。受け取って、オーマはくしゃりと相好を崩した。この娘がこんな風に何かを運んでくることは少ない、と言うか自分から話し掛けてくれること自体が少ない。寂しいけれど泣かない、それが親父ハート。腹黒はめげない、娘が冷たくたって、その内には熱いハートがあると信じているのだから。

「ありがとな、あいつが作ったのか?」
「……………………」
「ん?」
「………………………………………………………………僕」

 ずきゅーん。(心をマグナムで打ち抜かれる音)

「あぁあぁあぁッラブい! 愛い! 大好きだ、頬を赤らめながらちょっと視線逸らしながらそんなこと言ってくれちゃうお前なんかラブだ! この愛、娘に向かってラブアタック! 可愛い、ぷりちー、お前なんか俺の誇りだ、プライドだー!!」
「黙れ…………そして抱きつくな」
「そんなクールなハートは俺のマッスル親父ラブ胸板で暖めてやる! さあ親子一緒にレツゴー腹黒、レツゴーマッスル!!」
「…………嫌、絶対」

 げしっ、と鳩尾に蹴りが入るが、オーマはそんなことまるで気にせず彼女をぎゅぅっと抱き締める。
 大切なものがあるから、たまに入り込む記憶が痛みを増している。
 大切なものがあるから、その痛みも和らげられる。
 だから、平気だ。
 それでも、もしかしたら、告げるべきなのかもしれない――
 知る権利はこの娘にもあるのだから。

「なぁ、あのな――」
「ぎゃあぁぁぁぁああぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあ!!」

 絶叫にドアを見れば。
 妻の配下、眼鏡機械少年が自分達を指差して口をパクパク言わせていた。

「む、娘を襲うな、このマッスル親父ラブマスターめぇえぇ――ッ!!」
「はっはっは、悔しかったら親父に磨きを掛けるのだ、青少年め! 俺がお前ぐらいの頃には立派な博愛精神で人々に夢と笑いを振りまいていたものだぞ、ホウキに乗って元祖魔法少女のようにな!!」
「あんたと一緒にすんなぁあぁぁッ!!」
「………………………………うっさい、二人」
「やれやれ、だねぇ……元気になっても煩いんだから、仕方ない男だこと」

 日常が、過ぎていく。
 はらはらと、過ぎていく。
 いつか落ち切ってしまうかもしれない花びらのように。
 それでも、今は、少しだけ。
 忘れて――いたいと、思った。



<<"F L O W now in dreams" over>>
PCシチュエーションノベル(シングル) -
哉色戯琴 クリエイターズルームへ
聖獣界ソーン
2005年01月06日

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