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『Do's me good 』
飯合・さねと2867)&風宮・駿(2980)

●悲しい人

「うーん……」
 飯合さねとは悩んでいた。
 開店時からこの店に入って、現在は昼過ぎ…といっても三時なのだが、それほどに長居していた。発売の迫っているアルバムの楽曲、自分のソロ曲を考えているのだが思いつかないのだ。
「ああ、どないしよ。さっぱり詞が浮かばへん」
 近所のカフェで白紙のノートを前にボールペン片手ににらめっこしているのはなんとも苦痛だった。
(あぁ、こんな事ならクリスマスバーゲンに惑わされず、きっちりと曲を作っておくんやったなぁ)
「そんなことを考えても、After carnival――後の祭りやな〜」
(寒っ…)
 つまらない自分のギャグに震える真似でもしてみるが、そんなことはもちろん曲に関係が無い。そんなものを曲にしたらギャグになってしまう。ここでギャグなんかかましたら、真緑のタイアップ曲に負けは確実。張り合っているわけではないのだが、ちょっとそれは勘弁したい。
 ついでを言えば、『After carnival』ではなく、『Doctor after death』が正しい。
 外は雪がちらちらと降ってきていて良い雰囲気だ。クリスマスは直前だがそんなことはモーマンタイ。街はクリスマスカラーで一色だった。
 物思いに更けているさねとは必死になってペンを動かす。それでも、歌詞の神は降りてきてはくれなかった。せめて、小人さんでもこないかと思うのだが、そんなものは来るはずが無い。さねとはいよかんを見た。
(んが〜〜〜〜〜:泣)
 ぐぅぅッと背伸びしたさねとは、隣の席のカフェ・オ・レのカップに手をぶつけてしまった。反応ですぐに隣の人に謝った。
「あ、ごめんな〜?」
 さねとは顔を上げぬままで謝まる。
「……ん?…いいえ…。…はッ!」
 さっさと曲作りに専念し始めるさねとの隣にいた人物は、俯き気味な表情の愛らしい人(勿論、下を見ているだけなのだが)に心を奪われた。
(な…なんて可愛いんだ……)
 クリスマス前の寂しい身の上に降って沸いた幸福。彼はときめきを感じたていた。
 風宮駿。
 明るく純真で熱意溢れ、顔も性格も悪くないが、不思議と女性に縁が無いモテナイ君。よく言えば『みんなの癒し』。ありきたりの言葉で言えば『良い人』。ちなみに彼女いない暦23年である。
(こんな所で出逢えるなんて…まさに奇跡!)
 風宮、気持ちを抑えられず、思いの丈をさねとにぶつけることにした。
「お、お嬢さん…いや、あなた。うーん、違う。そこの…き、き、き、君」
 震える声はまるで壊れたレコードのようだ。ガチガチに硬くなって、駿はさねとに告白し始めた。
「出逢ってこんなこと言うのもなんですが、俺…あなたに惚れました。…あ…緊張していますか? すみません…気が付かなくって。で、で、でもっ、俺は本気です。折角、カフェで出会ったんですからお茶でもご一緒できたら嬉しいんですけど…」
 そんなことよりも、歌詞作りに夢中なさねとだった。
「…? 何や? イメージが浮かんできたで〜」
「…え…ぁ〜…良かったですね」
 意識を向けずに言ったさねとの言葉に反応して駿は答える。彼女がこっちに気が付いていないなど、駿は考えてもみなかった。
 それはきっと二人の愛の調べ。愛のゴールへと続く道の行進曲、天の鐘のやうに駿は思っている。
「僕の特技はカレーとボルシチ作ることです。知ってます? ボルシチってビーツっていう野菜を使うんですよ。あなたに作ってあげたいな〜とか思いますけども、いかがでしょうか? あと、動物とも仲が良いですが、あなたはどうですか? 今度、一緒に動物園でも……」
 …と、延々と止まらない風宮の口説き文句を端から書いていく。その度に、さねとは駿の言葉を女の子の言葉に代えて歌詞を書いていった。
 愛らしい人が一生懸命自分の言葉を書き連ね、ノートに取っていく姿を駿は見つめた。
(あぁッ…俺の言葉を漏らさずに書いてくれている。運命の人だ…嬉しい…)
「……あ、あのう」
 感無量に打ち震える駿は、愛の記念日ゴールデンフィニッシュ、キメ台詞を言った。
「付き合ってください!!」
「出来た! 曲付けに行こ!」
「は?」
「あ〜〜〜〜、終わった終わった♪」
「……………ぽ…………ぽぺっ?」
 立ち上がると、さねとは荷物をまとめて席を離れる。その後姿を駿は見つめるしかなかった。
「ぽーぽぽぽ……ぽぺ〜……」
 思考回路がブッ飛んだ駿は店員に慰めの珈琲を貰うまでブツブツ言い、貰ってからは閉店するまで店の端っこで落ち込み続けたという。


●Do's me good

Do's me good Do's me good!
You are the highest.
Do's me good Do's me good!
I am always entertained.

Who didn't understand in the man of fate and was straying.
Promised men are those who are made to laugh every day.
It was true although there was a person who taught so.
My trickster. I love you.
Every day seems to be a party.
Christmas doesn't become a comparison,either.
Please also make me hot today.

Do's me good. Do's me good!
You proved.
Do's me good Do's me good!
Love is not a children's story.

Do you remember?
The place which met for the first time is a dinner.
You spoke about all your things in the trembling voice.
I want you to change into the recipe of love shortly the recipe of the dish about which you spoke.
Since it falls in love with you who tell love by upright posture,
Please prize to the last It has come down to snow.
Please say that it loves like when also obtaining chance arrival and meeting at once.

Do's me good Do's me good!
You are the highest.
I am always entertained.

Do's me good. Do's me good!
You proved.
Love is not a children's story.

Do's me good. Do's me good!
Your words receive me most good.


●Do's me good (訳)

Do's me good Do's me good!
(貴方は私に効くのよ)! 
あなたは最高
Do's me good Do's me good!
いつも私を楽しませてくれる

誰が運命の人かわからなくて迷っていたのよ
約束の人は毎日笑わせてくれる人
そう教えてくれた人がいるけど本当だった
私のトリックスター 愛してるわ
毎日がパーティーみたい
クリスマスも比べ物にならないぐらいに
今日も私をホットにさせて

Do's me good Do's me good!
貴方が証明してくれた
Do's me good Do's me good!
恋はおとぎ話じゃない

憶えてるかしら 初めて出会った場所はダイナー
貴方は震える声で 自分の事を全て話した
貴方が話した料理のレシピを 今度は恋のレシピに変えてほしい
直立不動で愛を語る貴方に惚れたんだから 最後まで大事にしてね
雪まで降ってきた チャンス到来
もう一度 出逢った時のように愛してるって言って

Do's me good Do's me good! 
あなたは最高
いつも私を楽しませてくれるわ
Do's me good Do's me good!
貴方が証明してくれた
恋はおとぎ話じゃない
Do's me good Do's me good!
貴方の言葉が一番私に効くの!


●P・S…
「あ〜〜〜〜、即興英語は苦手やわぁ〜」(さねと:談)

 ■END■
PCシチュエーションノベル(ツイン) -
皆瀬七々海 クリエイターズルームへ
東京怪談
2004年12月24日

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