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『スペース・ウォーズ―episode MASA 』
RED・FAUST3787)&シオン・レ・ハイ(3356)


 ――プロローグ

 ※このお話はフィクションです。実在の人物・団体等は関係ありません。
 
 宇宙は今MASAに転機を迎えていた。地球四十万の軍勢を掌握し、モラトリアム帝国と冷戦を繰り広げていたところ、なんとラーメン民営化解放軍が宇宙を制する為の軍艦に核兵器や微エネルギー砲を積んで二つの組織の間で大暴れをはじめたのである。
 時は宇宙歴八百六年のことだった。
 紛争は地球軍の近くで行われ、尚且つラーメン民営化解放軍の攻撃がかつての怖い物知らずな日本兵を彷彿とさせた。自爆覚悟で安物宇宙船が何台も空母に突っ込み、そしてそのガラクタは、なんと地球の引力に引き寄せられて落ちていく。地球は二次災害にも見舞われたのだ。
 ラーメン民営化解放軍の横暴なやり方にMASAは叫んだ。
「お前のところのラーメンはスープがからいんだよ!」
 戦火がひどくなる。
 地球は、ラーメン民営化解放軍は、そしてMASAはどうなってしまうのか! つづく
 
 
 ――エピソード
 
 ※プロローグと本編はなんら関係ありません。
 
 MASAへ行き着ける者は少ないが、もしあなたがMASAへ行ける選ばれし者であるのならば、MASAはいつでもあなたの隣にあるということになる。MASAとは近くて遠い場所、暗くて明るい場所、おばかではずかしい場所なのである。
 見渡す限りの緑の街道だった。もうクリスマスも迫った師走だというのに、驚くべきことである。シオンは舗装されたアスファルトを歩きながら、俯いていた。
 シオン・レ・ハイはMASAのアルバイターだった。MASAが発行している「まさ通」という通信販売雑誌があり、それらを配って回り画像合成ソフト「ゴウナリくん」を売るのがシオンの仕事だった。
 本日の成果はゼロ……いやマイナス一。
「奥さんこのゴウナリくんの入ったパソコンは例外なく強くなるんです。スペックもリソースもお茶の子です。もう、水をぶっかけようが味噌汁をぶっかけようが、叩こうが割ろうがどんなことをしてもへっちゃらなのです」
 笑顔で口先三寸の説明をしたところ、奥さんが調子に乗って本当にパソコンをギッタンギッタンのバッタンバッタンにしてしまったので、マイナスが出る始末となった。
 給金は幾許もない。……弁償だろうな、たぶん。
 そうでなくともソフトが売れていなかったので、シオンは沈んでいた。
 碇編集長にそっくりのサイボーグロボ、怒編集長にどんな説教を食らうことやら。いやまてよ、説教どころではすまないかもしれない。怒編集長のことだ。きっと、ロケットパンチや膝から出るミサイル、レーザーアイで攻撃してくるに違いない。なんということだ。これは生命の危機である。
 ……などと考えて、しょぼんとMASA敷地内の大きな湖MASA湖をぼんやり眺めていると、底で何かがうごめくのが見えた。
 辺りを見回すと、「エサはあげないでください」という看板が立っている。
 シオンはジャケットのポケットからカムカムレモンを一つ取り出して、ぽいっと湖に投げてみた。
 すると……刹那。
 ゆったりと水面が波打ちごうごうと音を立てながら何者かが湖を昇ってきた。水音が立つ。そして跳躍! シオンの投げたカムカムレモンを巨大な丸いものがキャッチ!バシャンを十倍大きくしたような音を立てて、その……まりもと思われるものは水中へ戻って行った。
「……」
 シオンは目を瞬きして、くるりと方向を変えた。
 塔の怒編集長の元へ行くのは後回しにして、研究棟の方へ足を向けていた。
 
 
 マゲラーで逐一侵入者のチェックをしているRED・FAUSTがシオンに気がついたのは、彼がアスファルトの上のバナナを踏んで転んだときだった。そのバナナを食べたのはもちろんREDである。
「……そんな、ば、な、な」
 フフフと呟きながらREDは笑って、研究発表室に張り巡らされたジェットコースターに乗っていた。ジェットコースターというぐらいだから回転も宙返りもシャンプーも味わえる。因みに名称はMASAMASAMASAMASAという。毎回呼ぶたびにMASAの回数が変わり、REDが注意をするのだ。えーと、MASAMASAMASAでしたっけ? 注意はするものの、REDだって正式名称など覚えていない。
 因みにMASAコースターという名前が却下されたのは、コップの下に敷くコースターのMASA開発版(厚みが十六センチのボリュームだ)のMASAコースターと被る為である。
 シオンはREDが考える以上に、まず小石に転び、トランポリンに転び、マツケンサンバに転び、トマトに転んだ末叫んだ。
「どうしてこんなに私は転んでるんでしょう」
 REDはほくそえむ。
 それはボクが企んでいるからさ。
 とはいえシオン限定なわけではない。シオンがよく引っかかるというだけだ。
 シオンがマゲラー相手に「お侍さん堪忍してください」と喚きながら研究棟に走っていくのをにやにや眺めていた。


 シオンが向かったのはアフロ栽培研究室だった。研究室には一人の研究員がいて、シオンを見てにこやかに笑い手を差し出した。
「アフロ・ドレッド・金太郎?」
 意味がわからなかったが、シオンはともかく握手をした。
 そしてその手を離してみると、なんとシオンの手には黒いまりもっぽいものがくっついている。
「ま、まりも?」
「アフロ!」
 嬉々として研究員が言う。シオンは驚きながらまじまじと黒い物体を見て、マックロクロスケに似ているような気がした。けれど口に出すと研究員が再び「アフロ!!」と言うのは目に見えていたので控えた。
「ストレート・ボブ・横わけ・町民マゲ」
 笑顔を絶やさず研究員はシオンを招きながら言った。
 どうやらこの研究員は髪型の単語しか口にしないらしい。新しいロボだろうかと思ったが、仕草を見る限り人間のようである。
「あの、私新作の髪型を考えてきたんです」
 並み居るアフロに囲まれながらシオンがおずおずと髪型の設計図を研究員に差し出した。研究員は
「パーマ!」
 と感嘆の声を洩らして設計図と共に温室から出て行った。
 アフロはしゃべったり踊ったり食べたり、髪をかきあげたりした。かきあげる手らしきものもアフロなので、果たして髪をかきあげるという単語が合っているかどうかさえ怪しい。
 やがて研究員が温室に戻ってきた。
 そのときシオンはアフロにジャーマンスープレックスを決められているところだったので、研究員のおかげで九死に一生を得た。
「ショートカット・天然パーマ!」
 ニコニコと笑顔で研究員が差し出したのは、なんとものすごい長さのリーゼントだった。それは凶器と言ってもいいだろう。
 そして研究員はおもむろにリーゼントの先を二つに割って、ぱかりと両側へ開いた。
 研究員の代わりにシオンが言う。
「フランスパン入れになってまーす」
 そのフランスパンは手早くパクってシオンはもごもごと口の中へ押入れ(その為、頬がフランスパンばりに横長になってしまった)逃げるように研究室を出た。
 フランスパン入れリーゼントを考えた理由は、食糧確保だったわけだ。
 研究棟を逃げているシオンの前方に、背の高い怒ロボが現れた。
 大ボス出現! シオンの装備はフランスパンのみである。
「うわぁぁ、許してくださーい」
 怒ロボから容赦なくミサイルが発射された。
 
 
 ――エピローグ
 
 プロローグの壮大なドラマはREDの研究発表室での暇つぶしの為に作られた、SFドラマであった。この作品を作るのにREDは何億もの金を注ぎこんで、たまに金のないシオンからも巻き上げている。
 忠実な僕怒ロボがREDの隣に立っている。
「飲む座薬は売れているか」
 とRED。
「いえ。なにしろしゃべるものですから」
 飲む座薬はペラペラと大阪弁でよくしゃべるのである。
「このMASASF超大作をDVDにして売り出したらどうだ」
「手焼きで一枚閣下に献上させていただきます」
 怒ロボは低姿勢でそう言い、失礼しますと研究発表室を出て行った。
 REDは超大作の続きを見ながらつぶやいた。
「おもしろいのになあ」
 MASAはどこまでも独走態勢で走り抜けていく。
 
 ――end
 
 
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【3356/シオン・レ・ハイ/男性/42/びんぼーにん(食住)+α】
【3787/RED・FAUST (レディ・ファウスト)/男性/32/秘密組織?の会長】

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■         ライター通信          ■
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 お任せの部分があまり書けずに申し訳ありません。
 お気に召せば幸いです。
 
 文ふやか
PCシチュエーションノベル(ツイン) -
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東京怪談
2004年12月22日

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