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『あなたのいた季節へ 』
鹿沼・デルフェス2181

 深く昏い底土(しはに)に沈んだ……けれど決して消える事のない記憶。

 もしも、あの時――。

 いいえ、“もしも”などは存在致しませんわ。
 そのような事はわたくしもよく存じています。
 それでも、繰り返し“もしも”と問わずにいられないのは、わたくしに心があるからでしょうか。
 差し向かう想いがあるからなのでしょうか。
 変わりゆくモノと永久に変わらないモノ。その違いは誰もが知る事はできないのですわ。
 永く永く、この瞳に命を映すわたくしには、何時の日か知る事が出来ますでしょうか。
 
 ――わたくしが、こうして此処に在る意味を。

 現在(きょう)は過去(きのう)の続きではなく、未来(あす)もまた新しくやって参ります。
 けれど、確かに継がれゆくものがあるのですわ。そして、それは色褪せる事はありません。
 命は一本の線ではないのだと思うのです。
 時も、わたくし達ひとりひとりも、小さな小さな点ではないでしょうか。ですから角も描けば、弧も描くのです。
 ほんの小さな点でしかないわたくし達ですが、強い想いは空も、海も、時をも越える。
 一人では描けないものが形と成って、奇跡へと繋がる。
 絶え間なく続く小さな命の粒は、指の隙間から流れ落ちる砂にも似ていて。
 さらさらと音もなく、優しく、残酷にただ降り積もってゆきます。
 それをもう一度この手に掴みたくて、わたくしは手を伸ばしているのです。
 いまも、今も。この瞬間も。

 忘れられないことがあるから、立っていられるのかもしれません。
 大切なものがあるから、歩いてゆけるのかもしれません。

 春も夏も、秋も冬も。
 多くの季節が通り過ぎても。
 笑い掛けてくださる誰かがいる限り。必要としてくださる誰かがいる限り。
 何もかもを失ってですら、未来だけは残っている。それがどんなに不確かなものであっても。

 もしも、あの時――。

 いいえ、再び時を戻してもわたくしの選択はきっと変わらないでしょう。
 わたくしはあの時の判断が間違っていたと思いたくない……だから術を使い続けるのかもしれません。
 ほんの小さな希望でも、信じる心を失いたくはないですから。
 

◆  ◆  ◆  ◆


 私立神聖都学園。
 幼、小、中、高、それに大学と幾つかの専門学校が複合された、巨大複合教育施設。
 言わずもがな、生徒総数が一万人を超える有名ウルトラマンモス校である。
 最新科学から漫画の描き方まで学べるこの学園が、どのように有名なのかは気にしない方向で。
 一万の生徒がいれば、単純に考えても保護者は父母揃えて倍。
 兄弟姉妹、教師陣、その他職員等を含めると学園関係者は小さな市の人口と同じ位にはなるのだ。それだけでも圧倒されるというもの。
 それに加えて、何かと珍妙な噂が後を絶たない不思議空間。いや、これは学園だけにとどまらず――。

「カスミ様、重そうですわね。半分お持ちいたしますわ」
 廊下で掛けられた言葉に、響・カスミ(ひびき・−)は軽快に鳴らしていた靴音を止めて振り返った。
 この季節、窓から射す光は弱んで柔らかい。路考茶の髪が梔子の色に輝いて揺れる。
 カスミがそれらの優しい色と同調するような笑みを浮かべているのは、耳朶に届いたのが聞き慣れた声だったからである。
「こんにちは。また配達? 大変ね」
「お仕事ですもの。お得意様は大切にいたしませんと」
 鹿沼・デルフェス(かぬま・−)はにっこりと返しながら、カスミの手からプリントの束を持ち上げた。
 その仕草は非常に自然で衒いが無く、カスミも素直に礼を述べて並んで歩く。
 デルフェスは無意識なのであろうが、彼女の親切はいつもまるで挨拶のように自然で、こちらも心地が好いのだ。
 外見は十九歳程のデルフェスがこの世に誕生してから軽く四百年は経過しているが、彼女の過去を知る者は居ない。
 通常の人間であれば、時代によって変動があり、また個人差も大きいが、その寿命は、彼女が生きてきたこれまでの人生の半分の半分にも満たないのであるからそれは当然の事だ。
 今の彼女はアンティークショップ・レンの店員として生計を立てている。彼女の言う所の“お得意様”とは『怪奇探偵クラブ』の事であろう。
 曰く付きの骨董品を幾度が届けているうちにカスミとも顔見知りになり、共通の話題で盛り上がった事もあって、今ではすっかり茶飲み友達だ。
「……アンケートですのね?」
 手元のプリントに視線を落としたデルフェスは興味深げに見入る。
 藁半紙には音楽についていくつかの質問があり、生徒の文字が踊っている。カスミが個人的にとったアンケートのようだ。
「ええ、少し目を通してみたけど面白いわよ。ねえ、時間があるならお茶しない?」
「急ぎませんので時間は大丈夫ですわ」
 学園のミルクホールはデルフェスのお気に入りの場所だ。
 天井は高く、空間を広く感じさせ、落ち着いたダークブラウンで統一された調度品は、実際に長く使われてきたアンティーク家具ばかりで古びた匂いが鼻をくすぐる。
 軋む床板は家具に合わせて張られたもので、冬になると石油ストーブのオレンヂの灯りが揺れる。まるでこの空間だけ切り取られ時間が止まっているようだ。
 メニューは和洋折衷。セルフサービス方式のカフェテリアで、気軽に立ち寄れるのもまた良い。
 デルフェス自身は飲食をしないが、だからこそ、彼女が惹かれるとしたら空間の雰囲気である。
 いつもの席に落ち着いて、デルフェスはテーブルに刻まれた味のある疵を指でなぞった。古い友に再会したような穏やかな表情だ。
 懐かしむような愛しむような彼女の仕草にカスミは微笑んで、珈琲を口に運ぶ。
「最後に聴きたい音楽……面白いテーマですわね」
「音楽はね、その時代を一番表すものだと思うのよ。生徒達が今、何に目を向けているのかを知りたかったの」
 何枚かのプリントを広げて眺めていたデルフェスは小さく首を傾げる。
「ORANGERANGE・RIP SLYME・PORNO GRAFFITTI……知らないお名前ばかりですわ」
「鹿沼さんだったら最後に聴きたい音楽は何かしら? ……まるで子守唄のようね」
 思いがけず問われ、手にしたプリントを元の場所に収めたデルフェスはゆるゆると視線を上げる。
「言わば最後の晩餐ですのね……改めて問われますと難しいですわ」
 徐々に西に傾いてゆく陽が色を増している。
 まるで終焉の命を燃やし尽くそうとするように。その茜がギヤマンから斜に射してデルフェスの白い頬を染めた。
「食事とは違って、音楽は純粋に心が求めるものだから一番“らしさ”が出ると思うの」
 カスミの言葉に頷いたデルフェスは、暫くただ静かに思考を巡らせる。
 バッハ、ベートーベン、シューベルト、ショパン、ブラームス、ドヴォルザーク、チャイコフスキー、ラヴェル、リスト、メンデルスゾーン、ラフマニノフ。
 幾つもの曲が耳底で響いては消え、そして――。
「モーツァルトでしょうか」
「“モーツァルト!!”ね……」
 切子のグラスに入れられた氷が滑り落ちてカランと響いた。金赤に滲む切子のボカシが風景に溶け込む。
 異質の物が混ざり合う不思議な感覚。けれど、それは必然のようで、優しくて……。
「それはグスタフ・マーラーの最期の言葉でしたわね?」
「ええ、そう。彼の最期に聴こえていたのはきっとモーツァルトだったんだわ」
 
 ――音楽は常にあこがれを持っていなければいけません、この世の事象を越えたあこがれを

 1899年7月22日 バウアー・レヒターに宛てた書簡にマーラーが綴った言葉を呟いたカスミは、白磁のカップをテーブルに戻す。
「鹿沼さんらしいわ。私はね、マーラーはとても満ち足りて幸せに亡くなったんだと思うの」
「それは何故ですの?」
 不思議そうに眼を開いたデルフェスは純粋な疑問を投げた。その言葉には肯定や否定の色は感じられない。
 カスミは口元に微笑を乗せて、繊細に作り出された人形のようなデルフェスの端整な顔を見詰めた。
「強さを感じるからかしら? 光りと言った方が良いかもしれないわね」
 優しく温かでどこまでも明るい、日溜りのような――それは武器を持たない、決して相手を傷つける事はない“強さ”なのだと。
「光り……そうかもしれませんわね。モーツァルトは、お天気の好い日に草原で聴きたい音楽かもしれません」
「鹿沼さんが曇りのない人だから、“らしい”って言ったの」
 窓から射す光りは一層赤味を増して、熟して落ちる果実に夜の色を含んで降りてきた。 
「わたくしはカスミ様のお弾きになるモーツァルトが好きですわ」
「天気の好い日に草原で?」
「きっと、とても気持ちよいですわよ」
 降り注ぐ日差し、風の音や葉擦れ、草のざわめき、鳥の歌声に遠くの小川のせせらぎ。そして、あなたとピアノ。
 それだけで世界は果てまで美しく平和だと思える気がした。
「あら? 合唱が聴こえますね……」
 目の前に広がっていた青い空、緑の草原の景色から引き戻されたデルフェスは歌声に気付き視線を上げる。
「中等部かしら。故郷の空、ね」
 歌声に合わせてカスミが小さくハミングした。
「故郷……の空? のどかで楽しい感じの曲ですわね」
「曲はスコットランド民謡なのよ。歌詞は日本人がつけたもので確か明治の頃じゃなかったかしら。曲調に反して少し寂しい歌詞ね」
 唇を僅かに開いて、カスミは口ずさんだ。

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 ♪故郷の空(大和田建樹・作詞/スコットランド民謡)


 夕空晴れて 秋風吹き
 月影落ちて 鈴虫鳴く
 思へば遠し 故郷の空
 あゝ我が父母 如何におはす

 澄み行く水に 秋萩垂れ
 玉なす露は 芒(すゝき)に滿つ
 思へば似たり 故郷の野邊
 あゝ我が兄弟(はらから) たれと遊ぶ

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「ね? ノスタルジックな感じでしょ?」
 他の者と少し形は違えど、故郷と呼べるものがデルフェスにもある。遠い遠い記憶の底に。
 錬金術師によって造り出された彼女に父も母も存在はしないが、家族に近い者ならば居たのだ、確かに。
 それは優しい思い出かもしれない、哀しい思い出であるかもしれない、けれど今の彼女が在る意味そのものと言っても良い。
 きっと、故郷とは誰にとってもそんな感じなのではないだろうかとデルフェスは思った。
 或る者は“真綿の枷”と呼んだ。
 なるほど、と思う。ゆるやかに束縛する形なきもの。形なきゆえに永劫に消える事のない烙印。 
 追憶は時に温かく、時に心を凍てさせる。それは二度と還る事の出来ぬ場所だからだ。
「カスミ様の子供時代とはどんな感じだったのでしょう」
「普通よ? 青い手乗りインコを飼ってたわね。ピーコって名前だったわ」
 カスミは懐かしそうに色々な思い出を語って聞かせる。デルフェスは頷いたり、驚いて目をしばたたかせたりして熱心に耳を傾けていた。
「鳥と言えばね、校舎裏で変わった子を拾ったのよ。鶏なんだけど青っぽいの。ピーコを思い出しちゃって……今、世話をしてるのよ。可愛いから今度鹿沼さんも見にきてね」
「にわとりが青いんですの?」
 それってにわとりだろうか……。これはデルフェスでなくとも誰もが抱く疑問であろう。
 そもそも鶏がうろうろ歩いてるだけで十分不思議である。猫や犬なら兎も角、鶏に野良はいないだろう。
 少なくともここは東京なのだ。養鶏所やお隣にもご近所にも鶏や矮鶏を飼ってる山田さんも田中さんも居ないわけで。
「あれじゃないかしら? 縁日とかでカラーひよこって売ってるじゃない? その青ひよこが大きくなったの」
 有り得ないとは思ったが、カスミの様子はとても楽しそうでデルフェスはそれ以上何も言えなくなってしまった。
(「カスミ様がこんなに喜んでらっしゃるのだもの……大丈夫ですわよね?」)
 ところが、物語というものは急展開するものだ。
 あの日、ミルクホールで語ってから数週間経ったというのにカスミからの連絡が途絶えたままなのだ。
「お忙しいのかしら?」
 そう考えていたデルフェスも次第に不安に駆られて、とうとう学園へと足を延ばした。
 カスミが忙しいなら忙しいで姿だけでも確認できればそれで満足なのだ。でも、その思いとは裏腹にデルフェスの胸は早鐘を打つ。
 何故か焦燥が胸を焼く。虫の知らせとでも言うのだろうか。
 カスミの居そうな場所を数箇所廻って、彼女の姿を見付けられなかったデルフェスは放課後の薄暗い廊下で通り過ぎた生徒に声を掛けた。
「あの……カスミ様、いえ、響先生はいらっしゃいませんか?」
 振り向いた男子生徒は一度首を傾げて、「あ」と声を漏らすと歩み寄って来た。
 或いはカスミと親しく話すデルフェスの姿が記憶に浮かんだのかもしれない。
「カスミ先生、学校にも来てないんだ。他の先生らは体調不良とか何とか言ってっけど実は連絡が取れないって噂が……」
 ひそひそを声を潜めた男子生徒に合わせてデルフェスも小さな声で続ける。
「わたくしにも連絡がありませんの。ご自宅はお留守になっておりましたし、心配になったものですから」
「俺らも心配してんだよ。また変な事に巻き込まれてなきゃいいけどさ」
 男子生徒と別れたデルフェスは校舎裏へと向かった。数週間前のカスミの言葉を思い出したのだ。
 カスミは変わった鳥を拾ったと言っていた。青っぽい鶏のような鳥……もう少し詳しく話を聞いていたら――デルフェスの心の中で小さな後悔が渦巻く。
 デルフェスの髪があの日と同じ夕陽を受け茜色に染まり、風になびいた。まるで燃えているように。
 広い広い校舎裏をデルフェスは注意深く探して歩いた。確信は無かったけれど、何故だか『カスミを探す手掛かりは必ずここにある』とデルフェスには思えた。
 予感、だったかもしれない。
 暗くなる前に探さなくては――。
 ふと眉をひそめた彼女の視界に白いものが見てとれた。
 恐る恐る足を進めると、茂みの中に石像が横たわっている。
 膝を折り、抱き起こしてデルフェスは絶句した。
「カスミ様っ?!」
 横たわっていた石像はカスミだったのだ。一瞬のうちに時を止められ、閉じ込められ、石へと変えられた姿。
「コカトリス……でしたのね」
 カスミが鶏だと思い世話をしていたのはコカトリスだったのではないか。
 鶏冠を持ち、黄色の羽毛、大きな翼は竜のものと言われ、蛇の尾があるとされるコカトリスは視線と、時折吐く息によって対象を石化させると言われている。
 恐らくカスミもコカトリスによって石化させられてしまったのだろう。
 変わり果てた姿のカスミを抱き締めてデルフェスは首を巡らせた。
 この近くにコカトリスが居るハズである。他に犠牲者の出る前に早く捕獲しなくては。
 
 ガサガサッ

 葉の擦れる音がして、鶏よりも一回り大きい鳥がデルフェスを捉えた。
 高い鳴き声を上げる。
「残念でしたわね。わたくしはミスリルゴーレムですから貴方の力は効きませんわ」
 

◆  ◆  ◆  ◆


「カスミ様、大丈夫ですか?」
 心配そうに覗き込むデルフェスの声に、カスミの瞼が僅かに動いた。
「うっ……」
 一体どういった経緯であったかは知らぬが、誰かが放したのであろう人騒がせなコカトリスはデルフェスに捕獲されレンの店へと引き取られた。
 被害にあったのは幸か不幸かカスミだけで済んだようだ。
「鹿沼さん? あら? ……私どうしてこんな所に……」
 デルフェスの換石の術で元の姿に戻り、起き上がったカスミはきょろきょろと慌しく首を巡らせ不思議そうな顔だ。白い靄がかかったように記憶が定かじゃない。
 それもそのはず。石化されていた間の記憶はなく、一ヶ月以上は眠り続けた計算になるわけだ。
 なんだか身体も妙な感じ。手足を動かしてみながらカスミの顔色はどんどん蒼褪めてゆく。
「あのね、あのね、鹿沼さん。……何があったかは聞かないわ。いいえ、聞きたくないの。何も無かったのよ、ある訳がないじゃない。それでいいわね?! ただ、今日って何月何日かだけ聞いてもいいかしら?」
 かなり動揺しているらしいカスミは縋るような目でデルフェスを見上げる。
「えーと……11月もそろそろ終わりますでしょうか……」
 答えに困るデルフェスにカスミは絶叫した。
「やだやだやだ、11月? 一ヶ月もお風呂に入ってないなんて! すぐ帰ってお風呂に入らなくちゃ! 鹿沼さん、またね」
 ばたばたと駆け出したカスミの背を見送って、デルフェスはくすりと笑みを漏らす。
「強いのはカスミ様ですわ」

 真銀の自分。造り出されし者。
 けれど、熱は伝わり振動は心に響く。
 悩めるのも、求めるのも、得るのも失うのも、きっと変わりはしない。
 大切なのは姿や出自などではなく。
 護りたいモノがある時に人が強くなれるとしたら、信じるモノがある時に人が強くなれるとしたら、わたくしはまだ強くなれるでしょうか。
 あなたのいた季節へ想いが募っても。




=了=





■■□□
 ライターより

 鹿沼・デルフェス様、はじめまして。幸護です。

 この度はご指名頂きまして有難う御座います。
 納品が遅くなりまして本当に申し訳御座いません。
 鹿沼さんのキャラクターらしさが出せていれば良いのでしょうが、如何でしたでしょうか?
 ミスリルゴーレムであること、過去のこと、キャッチフレーズなど
 幸護なりにではありますが色々考えさせて頂きました。
 イメージが違わなければ良いのですが、もし何かありましたらご連絡下さいませ。

 鹿沼さんは繊細な中に強さを感じるお嬢さんでした。
 凛としたという形容が似合う高貴な存在と申しましょうか。
 そんな部分に非常に惹かれましたので楽しく執筆させて頂きました。
 カスミ先生はちょっぴり災難でしたけれど(笑)
 またお逢い出来る機会があればとても嬉しく思います。
 この度は本当に有難う御座いました。
 


 幸護。
PCシチュエーションノベル(シングル) -
幸護 クリエイターズルームへ
東京怪談
2004年11月22日

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