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『麗しの炙り屋 』
天城・大介3996)&楓・兵衛(3940)&本郷・源(1108)

*1*

 「時におんし。本業は、泥棒なのだそうだな?」
 「…どこでその情報を…と聞き返すのは、嬉璃殿に対して余りに野暮なので、省略させて頂くでござる」
 炭火のパチパチと弾ける音を聞きながら、兵衛が忙しく焼き台に乗せた串を引っ繰り返していた。ここは兵衛が嬉璃から託された串焼き屋台である。そして相変わらず、兵衛の背後でこっそりタダ酒を飲みに来ている嬉璃なのであった。
 「で、何ゆえに嬉璃殿は、かような事を聞くでござるか?まさか、拙者に盗み出して貰いたいものがある等と申すのでは…」
 「そのまさかぢゃ」
 ニヤリ、と嬉璃が口端を持ち上げて笑った。

 「山」
 「川」
 そう答えた相手を、先に部屋の中にいた者が用心深く扉を開けて迎え入れる。室内は薄暗く、相手の顔は輪郭ぐらいしか分からない。オーソドックスな合言葉で守られたここは、あやかし荘の地下にいつの間にか出来ていた、嬉璃専用の作戦会議室らしい。
 「まずはこれを見るのぢゃ」
 嬉璃がそう言うと、卓上にあったプロジェクターのスイッチを入れる。白い壁に浮かび上がったのが、ひとりの少女の姿だ。
 「これは…」
 「左様、おんしも知っての通り、これはあやかし荘の管理人を勤めておる小娘ぢゃ。この娘が今回のターゲットなのぢゃ」
 「ターゲット…って、まさか嬉璃殿、拙者にこの娘御を盗み出せと申すでござるか!?」
 そう叫ぶと兵衛の頬がほんのりと朱に染まる。薄暗い部屋の中で、何故かそれだけははっきりと見てとれた。
 「き、嬉璃殿、それはできない相談でござる…拙者には心に決めた人がおります故、そこでまたこの娘御を花嫁にと盗み出す等と言う不埒な事は到底致しかねるでござる…勿論、この娘御が実は某国唯一の跡継ぎで、意に沿わぬ結婚を強いられたうえ、自らの力で花嫁衣裳の仮縫いの現場から逃げ出すとでも言うのなら手を貸すぐらいは…」
 「おんし、何やら勘違いしておるようぢゃの。誰が、おんしの嫁として盗み出せと言った」
 「え、違うのでござるか?では、まさか嬉璃殿の嫁として…?」
 きょとんとした顔で素でボケた兵衛の後頭部を、嬉璃のハリセンがすぱこーんと綺麗にキマった。
 「阿呆な事をぬかすでない。だから人の話は最後まで黙って聞くものぢゃ。詳しく言えば、ターゲットはこの娘が後生大事に机の引き出しにしまっている、【でっかいどうほっかい堂】の半額割引券ぢゃ」
 嬉璃の話の概略はと言うと。【でっかいどうほっかい堂】とはあやかし荘の近くにある和菓子屋の屋号である。密かに嬉璃のお気に入りの菓子屋であり、既に店主とは顔馴染みであった。ある日の事、ウグイス餅を買った嬉璃に、店主が一枚のチケット状のものを手渡した。それは、日頃から贔屓にしてくれている嬉璃に対し、店主の感謝が込められた、なんでもかんでも一回限りで総合計から半額分を割り引いてくれる、お得意様専用の優待券であったのだ。
 「それがぢゃな、その日に限って、店からの帰り道にあの小娘に出くわしてしまってな…なし崩しにそのまま皆で茶をしばく羽目になったのぢゃ。当然、我が愛しのウグイス餅は茶菓子として引っ立てられていったのぢゃ。…まぁそれは良い。その代わりと言っては何ぢゃが、【でっかいどうほっかい堂】より高級和菓子店の豆大福を食えたからな」
 「それならば、何の問題もないでござろう。まさか、その時のウグイス餅を取り返してくれとは申さぬでござろう?」
 「そこまで抜けた事は言わん。ウグイス餅の事はどうでも良いのぢゃ。さっきも言ったが、ターゲットは半額割引券。実は、先程言った割引券を、わしはウグイス餅の入ったプラスチック容器の下に入れておいたのぢゃ。で、ウグイス餅を小娘に持って行かれる時、その券を抜くのを忘れてな。後で風の噂では、あの娘がそれを見つけて、大喜びでいつか使おうと取ってあるらしい。それを、盗み出して貰いたいのぢゃ」
 プロジェクターの映像が、あやかし荘管理人の写真から【でっかいどうほっかい堂】の店構え、嬉璃が買ったウグイス餅、そして空のプラスチック容器から、割引券を手にして満面の笑みを浮かべている管理人の写真へと続く。こんな隠し撮りの写真を撮る暇と技があるのなら、自らその割引券を取り返しに行けば良いのじゃないかと思うのだが…だが、根が素直な兵衛には、そこまで考えは及ばないらしい。
 「嬉璃殿の依頼は承知致したでござるが、相手は既に既知の御仁、嬉璃殿が素直に『あれは自分のだから返してくれ』と言えば済む話でござろ……うぎゃ!」
 そう言った兵衛の後頭部に、またも嬉璃のハリセンが炸裂した。
 「戯けた事を抜かすでない。そんな事を言えば、あの小娘に、金に細かいせこいヤツだと思われるではないか!」
 いや、実際そうだし。とのツッコミは、いろいろと経験値不足の兵衛には荷が重いようであった。兵衛はただ後頭部を手で撫でつつ、ぅー…と微かに唸るだけだった。
 「とにかく、つべこべ言うでない。とっととわしの、夢の半額割引券を取り返してこんか!」


*2*

 とは言うものの。今回の依頼には、実は兵衛は悩んでいたのだ。
 割引券を盗む事自体は、兵衛にとっては造作もない事。だが問題は、その券がどこにあるかと言う事だ。
 「…ったく、おまえさんは相変わらず情けねぇな。女の部屋に入るだけで、なんでそんなにビビるかね」
 呆れたように肩を竦めてそう言う大介に、憮然としたままで兵衛が腕組みを解いた。
 「拙者、嫁入り前の娘御の部屋に押し入るなど、かような破廉恥な真似は到底出来ぬでござる。貴殿の如く、何事にも図太く大胆且つ大雑把に事を進める事が出来ればよいのでござるが」
 「言ってくれるじゃねぇか。その俺を呼んだのはおまえさんだろうが」
 言葉ほどには憤慨していない様子で、くくく、と喉を鳴らして大介が笑う。口をへの字にしたまま、兵衛が無言で目を眇めた。

 「で、仕事はいつやるんだ?あまり時を置いては、その女がターゲットを使っちまう可能性だってあるだろ。早いうちがいいんじゃねぇのか?」
 「無論でござる。嬉璃殿からの情報に寄れば、今夜はその娘御は、友人宅に泊まる為、管理人室は一晩無人になると言う事。寄って、今夜ほどの好機を逃す手はないでござる」
 「……管理人室が留守になるんなら、その嬉璃とか言う依頼人が、直接自分で取りに行っちゃいけねぇのかね」
 「………」
 それは言ってはいけないお約束。そんな感じで、兵衛が大介の肩をぽむりと無言で叩いた。

 まぁ、大介の主張は至極尤もな事ではあるが、何しろ相手はあの嬉璃である。余計な事は言わないほうが吉とばかりに、兵衛も大介も口を噤んであやかし荘へと出向いた。夜半過ぎのあやかし荘は、いつにも増して怪しげな雰囲気を漂わせており、さすがの大介も、眉を潜めて目深に帽子を被り直した。
 「よぅ来たの。頼もしい相棒ぢゃのぅ、おんし」
 新月の月をバックに、嬉璃が大介を見てニヤリと笑う。兵衛から人手が足りないので助力者を頼むと連絡を受けた時から、何か起こりそうな予感がしてならなかったのだ。そんな嬉璃の思惑を余所に、兵衛と大介は黙々と突入の準備は始めた。
 「なんぢゃ、えらくせっかちな事ぢゃのう」
 「せっかちなんじゃねぇ。出来る事から間を置かずに早めに済ませる。それでこそ、仕事の後の酒が美味く飲めるってもんじゃねぇか」
 「左様、突発的な出来事が起こらぬとは限らない故、常に全力を全速で尽くすのがその道と言うもの。何、仕事が速いに越した事は……」
 「そーんな余裕のない事でどうするのじゃ!」
 兵衛の言葉を遮ったその声は、嬉璃のものではない。反射的に大介は357マグナムを、兵衛は斬甲剣を瞬時に構えて声のした方を見る。それは、あやかし荘の建物の隅。そこに、いつから居たのか、人物の影をひとつ確認する事が出来た。
 「何奴ぢゃ!姿を見せるがよい!」
 嬉璃が、びぃんと張りのある声で叫ぶ。謎の人物は、かーっかっかっと高笑いすると、ゆっくりと壁に凭れ掛けさせた背中を起こし、こちらへと歩いてくる。全く当てにならぬ月明かりの中、その人物の様相がぼんやりと浮いて現われた。その人物とは、短髪で両脇の揉み上げを長く伸ばし、緑のジャケットをだらしなく羽織っている。そしてその手には当然と言うべきか、ワルサーP38が…。
 「……おんし、……」
 「どう言う事だ、これは」
 「知らぬ。拙者に聞くな」
 大介の呆れたような声に、兵衛も似たような声で答える。その遣り取りを見て、こちらへと歩いてくるその人物がチッチッと立てた人差し指を振った。
 「ったく、相変わらずイレギュラーな展開に弱いんじゃな。呆れてものが言えんわ」
 「呆れたのはこっちの方ぢゃ。一体何のつもりぢゃ、源」
 片目を眇めて嬉璃がそう言うと、源が、その見た目とは全然そぐわない様子で、エヘ♪とカワイコぶった。
 「なんじゃ、バレておったのか。さすがは嬉璃殿じゃ」
 「褒められても嬉しくもなんともないわ。だから、どうしておんしがここにおるのだと聞いているのぢゃ、わしは」
 「…………え、まさか……源殿でありますでございますでござるか…?」
 動揺の余りか、兵衛の日本語が崩壊し掛けている。そうだとコクリ頷く長揉み上げに、ショックを隠し切れない兵衛は、地に突いた斬甲剣を支えにして何とか踏みとどまった。どうやら、幾らコスプレ(?)していたとは言え、愛しき相手の姿を一発で見分けられなかった己が余りに不甲斐なく感じたらしい。脱力する兵衛を尻目に、大介はと言えば、ヤレヤレ…と両手の平を上に向けて肩を竦め、アメリカ人的に気障に呆れてみせた。
 「何だかよく分からんが、俺がいなくても人手は足りているようじゃねぇか。だったら俺はこれでオサラバさせて貰……っうぉ!?」
 回れ右で帰ろうとした大介を阻止したのは、勿論、源である。「待ちや」とばかり、大介の後ろ襟首をむんずと掴み、足止めをしたのだ。
 「何のつもりだ、あんた」
 「ひとりだけ楽をしよう等と、そんな事が許されると思っておるのか。いやはや、なんのかんの言ってもまだまだガキじゃのう」
 おんしも同い年であろ、と嬉璃が小声でツッコむ。その隣で、兵衛が無言で頷いていた。
 無理矢理引き止められた大介は、内心では何言ってんだふざけんなバカヤロウなどと悪態を付いていたが、そんな素振りはおくびにも出さず、ただクールにニヒルににやりと笑った。
 「楽しようとかしねぇとかそう言う問題じゃねぇんだぜ。こう言う、仲良し同士がお手手繋いで…ってのはどうにも性にあわねぇ。馴れ合いの付き合いなんて俺は御免被るぜ」
 「…ふ、恐いのじゃな?」
 帽子を深く被り直す大介に向かって、源が鼻でせせら笑う。カチャリとワルサーP38のセーフティを弄りながら、口端を持ち上げてニヤリ笑った。
 「そうかそうか、まぁ恐いのなら無理強いはせん。とっとと尻尾を丸めて帰るがいいぞ。あとはわしと兵衛殿でやるからの。細工は流々仕上げをご覧じろ、じゃ」
 そう言い放ってかかかか、と高笑いする源、それが全て大介に対するあからさまな挑発であると、分かってはいるが、だからこそ引けぬのが男と言う厄介な生き物。大介は溜息をつき、肩を竦めながら少しだけ帽子の角度を上に上げる。鍔の影から片目だけ覗かせ、源の長揉み上げを見つめた。
 「しょうがねぇな。今回だけだぜ。あんたらの茶番に付き合ってやるのはな」
 当然じゃ。源の言葉に、もしかして早まったか?と少しだけ後悔の念が頭の隅を掠めた大介であった。


*3*

 さて、そう言う訳で四人は、あやかし荘へと忍び込んだ。とは言え、源と嬉璃は元よりの住人。建物の構造も他住人の生活リズムまで、何もかも知り尽くしている為、侵入も何も余りに簡単であった。
 「…つまらんな。盗みとはもっとスリル溢れるもんかと思っておったが……」
 「源殿、人知れず侵入し人知れず盗み出す事こそが泥棒の極意でござるよ」
 「そうだとも、騒がしい泥棒なんか居てたまるかってんだ」
 兵衛と大介の両方に諭されるも、源はやはり不満なようだ。口を噤んで唇を尖らせ、暗く人気のない廊下を、兵衛と大介の後に続いて歩いた。
 やがて、当然と言うべきか、四人は迷う事無く管理人室へと辿り着いた。【管理人室】と札の掛かった扉の向こうはしぃんと静まり返り、明かりも勿論付いていない。まずは兵衛が中の様子を伺うために、扉の表面に耳を押し付ける。人の気配がしない事を確認してから、では、と身体を起こし掛けたその時だった。
 「まどろっこしいのう。留守なのは明白なのじゃ、とっとと開けてしまうが良い」
 そう言って、源が勢い良くドアを開ける。当然、そのドアは兵衛の横っ面を思いっきり張り倒し、予想だにしなかったその攻撃(違)に、兵衛の身体はごろごろと廊下の向こう側まで転がり、ガン!と音を立てて壁にぶつかった。結構激しい音がして、それを咎めるように源と嬉璃が兵衛を睨みつけた。
 「何をしておる、煩いぞ、おんし。それでも本職の泥棒か」
 「全くじゃ、もっと自覚を持つが良いぞ、兵衛殿」
 お前の所為だ、お前の!…とは言えない兵衛は悲しきかな、源に対しては恋の虜、嬉璃に対しては元締めと屋台引きの間柄なのだ。唯一の味方である筈の大介はと言えば、見て見ぬ振りで帽子の鍔を更に深く引き下げていた。

 何はともあれ、管理人室に侵入した一行。配置図は既に頭の中に入っている。兵衛と大介は周囲に気を配りながら、そしてついでに源と嬉璃の動向にも気を配りながら先へと進んだ。目指すは、管理人の私物が入った整理ダンス、その一番上の引き出しだ。整理ダンスの傍まで辿り着いた二人だが、ふと重要な事実に気付く。
 「……届かぬな」
 「……計算外だったぜ、こればっかりはな」
 ハ、と吐息で笑って大介が肩を竦めた。なにしろ、二人とも何と言っても小学一年生。大人の胸元より上にあるタンスの引き出しには普通にしていては手は届かないのだ。
 「情けないのう、おんしら…」
 「そうは言うが、おまえさんだってタッパは変わらねぇじゃねぇか」
 やれやれ、と首を左右に振る源に、大介がそう反論する。それを片手で制し、兵衛が鋭い視線で大介を見た。
 「大介殿、この程度の意表は予想の範囲内でござる。どれ、拙者が貴殿を肩車する故、引き出しの中を探ってはくれぬか」
 「お安い御用だ」
 大介は頷き、身軽に兵衛の肩に跨った。その両膝を手で支え、兵衛がゆっくりと立ち上がる。丁度いい具合の高さになり、大介は音を立てないように気をつけながら引き出しを開けた。暫く中身をごそごそと探っていたが、
 「…おい、無いぞ」
 「……それは本当でござるか」
 念の為、上下を入れ替わって今度は兵衛が引き出しを探る。が、やはり半額割引券どころか、それらしい紙切れは全く見当たらない。他の引き出しも全部捜してみたが、結果はやはり同じ事であった。

 「……嬉璃殿、申し訳ない…拙者の不徳の致す所でござる……」
 兵衛が深々と頭を下げる。嬉璃は、腕組みをして憮然とした表情のままだ。
 「またもや計算外だったって訳か。まさか、ターゲットが既に券を使っちまってたとはな」
 「おんし、何をヒトゴトみたいな事を言っておるのぢゃ」
 ぎろり、と嬉璃が大介を睨み付けた。
 「わしの、わしの大事な半額割引券…あれがあれば、【でっかいどうほっかい堂】の菓子が食いたい放題だったのに!この心の痛み、どうしてくれようぞ!」
 ゆらり、と嬉璃の背後から怒りのオーラが立ち昇る。この辺りの迫力は、さすが妖怪と言えようか。
 「ともかく、この落とし前はきっちり付けて貰うからの。覚悟しておれ!」


*4*

 意気消沈した兵衛と大介が帰った後。薔薇の間で嬉璃と源はいつものように熱いほうじ茶を啜っていた。
 未だに嬉璃の怒りは収まらないのか、時折湯飲みを握る手がぶるぶると震える。それを見て源(いつもどおりの髪型と格好に戻っているようだ)が、にやりと口端を持ち上げて笑った。
 「嬉璃殿、よっぽど悔しかったとみえるな?」
 「当然ぢゃ。あやつら、わしの気合いの入れ具合を全く理解しておらなんだ。こんな事なら、他のヤツに依頼すれば良かったぞ」
 「まぁまぁ、兵衛殿らはそれなりに頑張っておったではないか。そう怒ると寄った皺が元に戻らぬぞ。これをやるから機嫌を直したらどうじゃ」
 そう言って源が差し出したのは一枚のチケット状のもの。何とはなしに受け取ってそれを見た嬉璃の表情が、みるみるうちに変わった。
 「お、おんし、これをどこで!?」
 「何を興奮しておるのじゃ、嬉璃殿」
 「これが興奮せずにおられるか!これはわしが貰った【でっかいどうほっかい堂】半額割引券ではないか!」
 がたん!と立ち上がって源の鼻先にチケットを突き出す。てへ♪と源が誤魔化し笑いをした。
 「さすがじゃの、嬉璃殿。どうして分かったのじゃ?」
 「分からいでか。ここに通し番号が振ってあるぢゃろ。この番号を、わしはちゃんと記憶しておったのぢゃ」
 さすが、抜かりの無い座敷わらしである。
 「だから、何故にこれをおんしが……」
 「簡単な話じゃ。嬉璃殿、わしが地下にある作戦会議室の存在に気付いておらぬ訳が無いじゃろ?そうでなければどうしてわしが今夜、あのような扮装で皆の前に現われることが出来たと言うのじゃ。つまり、嬉璃殿が兵衛殿に盗みを依頼したのを盗み聞きしたわしは、一足先にこれを盗み出しておいたと言う訳じゃ」
 「………おんし…」
 一気に脱力してがくりと肩を落とし、項垂れる嬉璃。その傍らで源は、カカカと勝利の高笑いを室内に響かせた。

 いずれにせよ、嬉璃としては、無事に半額割引券が戻ってきたから何の文句も無い。可哀想なのは、ミッションが失敗したと思い込んでいる兵衛と大介だ。このあと、落とし前と称して嬉璃からどんな無理難題を突きつけられるのか、想像だにしていなかった……。


おわり。


☆ライターより
 いつもいつもありがとうございます!碧川桜です。
 某長揉み上げの人は、個人的に赤いジャケットよりも緑のジャケットの方が好きなので…その点についてはご指摘がありませんでしたので、こちらで決めさせて頂きましたがよろしかったでしょうか?
 もしも赤ジャケの方がご希望でしたら申し訳ありませんでした。
 ちなみに今回のタイトルですが、ガンマンお気に入りの俳優にちなんで、ツマラナイ洒落になっております(笑)
 ではでは、今回はこの辺で。
PCシチュエーションノベル(グループ3) -
碧川桜 クリエイターズルームへ
東京怪談
2004年10月12日

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