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『ラスト・メッセージ 』
村沢・真黒2866


 新進気鋭のロックバンド『スティルインラヴ』の新曲マキシシングルが全国有名CDショップやインターネットモールなどで絶賛発売中!


 一部の高校生による口コミで徐々に売り上げを伸ばしているスティルインラヴのニューシングル『CLAZY LOVERS' HIGH-SCHOOL』。主に話題に上がるのは1曲目であり表題曲の『CLAZY LOVERS' HIGH-SCHOOL』だが、彼女たちを少しでも知るファンの間ではむしろカップリングの曲に目が行ってしまうようだ。
 それもそのはず。カップリングの曲は普段はベースを弾いている村沢 真黒が歌っているからだ。デビュー前から彼女たちを追っていたファンに言わせれば、真黒がヴォーカルなど絶対にあり得ないらしい。特にヴォーカルは最近になって二枚看板になり、他のメンバーがピンでメインヴォーカルをするということなどコアなファンでさえ考える余地がなかった。それだけにこの2曲目は、いろんな意味で話題性のある作品なのだ。
 さらにこの曲は真黒のヴォーカルに加え、伴奏もピアノだけ。曲のジャンルはバラードだという。ファンはライナノーツを読んだ瞬間、素直に我が目を疑ったそうだ。サングラスにタバコという彼女のイメージから大きくかけ離れた作品をカップリングに持ってくる。それはメンバーが意外性を求めた結果なのか、それとも相当の自信を持って作った曲のか……
 初めてこの曲を聞くファンは皆、大きく深呼吸したそうだ。ちょうど1曲目が終わった後のわずかな沈黙をCDが奏でている間に短く息を吐く。それだけファンの期待と不安が入り混じっているのだ。そして静かにピアノのやわらかい音が響き渡るのだった……


 ■ラスト・メッセージ
   作詞:村沢 真黒 作曲・編曲:スティルインラヴ

  モノトーンの面影 静かに微笑む
  未来を見つめてて 君のラスト・メッセージ


  白い雲に 君を想う
  もう届かない やさしく響く言葉
  胸に抱いた あのぬくもりも
  きっといつか 色褪せていくだろう

  冴えない笑顔に 君がつられる
  悲しい気持ちに 心を揺らす
  ひとりになって やっと気づいた
  あの小さな癖 何気ない仕草

  モノトーンの面影 静かに微笑む
  心のときめきを 一瞬だけ輝かせて
  虹色に満たされる 幸せを奏でる
  背中を強く押す 風のようなメッセージ


  蒼い空に 君が映る
  まだ忘れない まぶしく光る姿
  腕に残る 暖かささえ
  いつの日にか 冷たくなるのだろう

  君の名を叫ぶ 君が振り返る
  震える身体を 全部受け止めて
  孤独になって やっとわかった
  愛してたことも 失ったことも……

  モノトーンの残像 かすかに微笑む
  懐かしいあの日の いくつもの思い出たち
  君色に満たされる もう戻れない過去
  未来を見つめてて 君のラスト・メッセージ


  一度だけのオルゴール ひとりでに動き出す
  残された人の名を 呼ぶよ心をこめて


  モノトーンの残像 かすかに微笑む
  優しいあの日の いくつもの思い出たち
  モノトーンの面影 静かに微笑む
  心のときめきを 一瞬だけ輝かせて
  虹色に満たされる 幸せを奏でる
  背中を強く押す 風のようなメッセージ
  未来へと運んでく 君のラスト・メッセージ



 ……あのクールなイメージからは想像もつかないほど切ない歌詞を見事に歌い上げた真黒の力量に皆圧倒された。まさに『脱帽』という言葉がすべてだろう。この曲の人気はファンの中ではあっという間に1曲目を凌ぐほどになった。ファンが勝手に作っていたスティルインラヴという名の枠の外から投げこまれたこの曲によって、彼女たちの奥深さやさらなる可能性を見出す結果を生み出したのだ。スティルらしい元気な表題曲と今までになかった意外性と可能性に満ちたカップリング。「どっちの曲も好き」という新しいファンはさておき、従来からファンをやっている者の間では熱のこもった意見がネット上やファンレターで飛び交った。そして今後発売されるであろうアルバムの中ではどのような構成でこの2曲が出てくるのかなどにまで予測しているらしい。
 真黒のバラード『ラスト・メッセージ』によるファンの興奮はしばらく収まることはなさそうだ。

PCシチュエーションノベル(シングル) -
市川智彦 クリエイターズルームへ
東京怪談
2004年09月17日

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