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『ただそれだけのこと 』
白神・久遠3634)&日向・龍也(2953)


 夏である。
 暑い風は、肌をじわりと濡らしている。車から見える地平線の眩しい光に目を細めつつ、クーラーを無視して窓を開け放った白神・久遠は夏を満喫していた。被った麦藁帽子を片手で押さえ、低速の車の風を心地よく感じる。
「あんまり顔出すなよ」
 日向・龍也がそれを咎めた。
 日の光に久遠の銀髪が溶けていきそうな、そんな日だった。
 パーキングには車が多く停まっていたので、入れるのに苦労をした。外へ出た姿は、夏満開である。久遠はペンギンの浮き輪を持っていた。まだ二人とも水着に着替えてはいない。
 二人は更衣室まで、暑い日差しの下をのんびりと歩いて行って、別れた。
 日向・龍也は装飾品を外しさくさく水着に着替えた。荷物を鞄に詰める。砂浜に敷くビニールシートや、ビーチボール、凍らせた飲み物が入っていた。
 彼と彼女は兄妹のような関係だった。特に血が繋がっているわけではないが、どうしてだかそうなってしまっている。龍也にとって、それはよいことのような、悪いことのような、複雑なところだった。
 やがて長い金髪をそのままに、久遠が更衣室から出て来た。白い肌に白いビキニを付けている。
 とてもよく似合っていたので、龍也はつい微笑んだ。
「似合います?」
「……ああ」
 少しぶっきらぼうに答える。
 すると久遠はクスクス笑って、龍也の手を取って浜辺へ走った。浅瀬にいる子供達に混じり、早速水の中へ入る。龍也はぽいっと荷物を浜辺へ放り投げ、仕方なく彼女に従った。
 久遠は飛び散る海水に目を細め、散る水滴を気持ちが良さそうにしている。
「ほらっ」
 そう言って龍也が水を久遠へかけると、久遠は手で顔を隠して水を受けた。
「もうっ」
 笑いながら怒ったように言って、彼女も同じように水をかけ返す。
 クスクスと笑いながら、二人は海の中へ入った。龍也に手を引かれていたからか、足場の悪い場所でも久遠はためらいなく歩いた。
 海水に首元まで使ってから、久遠はそっと龍也の頭に触れた。
「私はもう首なのに、龍也はまだ余裕なのね」
「身長差じゃねえか」
 ぷりっと怒って、久遠が龍也の腹へ手を伸ばす。こしょこしょこしょとくすぐられて、龍也は足を取られ海の中へ沈んだ。
「あら、平気?」
「なにすんだよ」
 もう引き返している久遠へ言うと、彼女は口をかわいらしく尖らせた。
「ビーチボールで遊びましょう」
 ザブン、と音を立てて久遠の後ろから水と共に襲い掛かる。
 久遠の銀髪は海水と共に光った。龍也は久遠を後ろから抱いたまま、しばらく海の中にいた。久遠もおかしそうに笑って、龍也を振り返っている。

 ビーチボールをはじめた砂浜には人がおらず、二人はのびのびと遊ぶことができた。ぽん、ぽんとボールが舞う。砂に足を取られて久遠が転ぶ。その度に彼女は「もう!」と言って怒った。
「しっかりしろよ」
 笑いながらビーチボールを投げたとき、久遠の白いビキニがぽろりと取れた。
 彼女は気付いていないのか、気に掛けていないのか、そのままの姿でボールを追いかけている。龍也は艶やかな白い乳房を眺めていた。ビーチボールがあらぬ方向へ飛んで行く。
「もう、取りに行かなくちゃでしょ」
 久遠が笑った。
 龍也はビーチボールなど放っておいて、久遠へ近付いた。久遠の露になった胸を両手で抱え、困ったようにする。手からは弾力のある乳房の感触が伝わってきた。とてもやわらかくて、とても気持ちがいい。一瞬顔をうずめたい欲求にかられ、そうした。すると久遠は、そっと龍也の頭を撫でた。
 やわらかい胸をすい堪能した後、久遠の顔を見上げると彼女は恥ずかしそうに笑んでいた。
「ドキドキした?」
 訊くと、彼女はこくりとうなずいた。
 久遠はそれでもいつも通り笑い、「今度はボートに乗って、遠くへ行きましょう」と龍也を誘った。


 水着の久遠がぺたんと岩場に腰を下ろしている。隣に龍也もいる。二人の手は岩場の同じ場所で重なっている。久遠のうなじと背骨を見てしまい、そこへ吸いつけられるように手を伸ばすと、久遠はくすぐったそうに笑った。
 龍也の頬へ久遠は手を伸ばし、そっと撫でてから言った。
「塩まみれですよ」
 龍也は久遠の尻に近い腰部分をやんわりと撫でながら答えた。
「お互いにな」
 久遠がそっと龍也の肩によりかかり、海には夕日が沈もうとしていた。


 ――end
 
 
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【3634/白神・久遠(しらがみ・くおん)/女性/48/白神家現当主】
【2953/日向・龍也(ひゅうが・タツヤ)/男性/27/何でも屋:魔術師】

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■         ライター通信          ■
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「ただそれだけのこと」ご依頼ありがとうございました。
ライターの文ふやかです。
恋愛が苦手、このさら萌え系は苦手、コメディにするのも苦手でこういった形になりました。申し訳ありません。
少しでもお気に召していただければ、幸いです。

では、次にお会いできることを願っております。
ご意見、ご感想お気軽にお寄せ下さい。

 文ふやか
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東京怪談
2004年08月05日

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