▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『Dragon Eyes 』
天薙・撫子0328)&榊船・亜真知(1593)

 神聖都学園のカフェテラスで天薙撫子が休憩していた。
 例の気になる天然剣客を待っている訳ではなく、姉妹校の神聖都にある資料を借りてゼミのレポートを仕上げるために来ている。そして、従妹の榊船亜真知と瀬名雫と一緒にお茶会をしようと考えていたのだ。
「撫子姉さま」
「亜真知サマ」
 まずは、亜真知がやってきた。
 実際亜真知は彼女の従妹というのは全くのウソで、正体は星船という超次元生命体。この日本人形の様な可愛い姿は化身で、1000年という年月から目覚め、撫子の家に居候しているのだ。扱いは神様を崇めると言うより本当に妹だったりするのが謎ではあるが。
「レポートの方ははかどりそうですか?」
「ええ、十分なほどに」
 ニコリと亜真知の質問に答える撫子。
 ソレに満足して、彼女の腕に抱きつく亜真知サマ。
 本当のに姉妹に見えるのも、2人がいつも着物を着ていることと、雰囲気が似ているからであろうか?
「あとは、雫様だけですね」
「そうですわね」
 と、日本茶を飲み、残る心霊現象を追い求める無敵な女中学生を待つことに。


 空には燕が飛んでいる。もうそんな季節。暖かい日差しで、猫もくつろいでいる。


 しかしながら、幾ら待っても雫が来ない。
「おかしいですわね」
「もう来ても良いころなのに」
 心配する2人。
 集合時間に既に30分を越えている。彼女が約束を破ることはまず無いのだが……。
「何かあったのでしょうか?」
「一寸調べてみますね、お姉様」
「はい」
 と、亜真知は軽やかに椅子から降り、踊るように神聖都を調べる。
 さすがは策士と言うところ、亜真知は既に情報網を張っており、雫が何処に向かったか分かった。
「大変ですお姉様!」
「どうしたんですか?」
「昔に使われた寂れた学生寮に向かっていると」
「ええ?!」
 驚く撫子。
 それはそうである。この巨大学校ではかなり有名である心霊スポットの旧学生寮。老朽化が激しくかなり前に取り壊しを考えた訳だが、事故によく遭うために放置するしかないのだ。有る程度レベルの高い霊能者が外部から霊視すると、気絶するぐらい危険な場所である。
「行きましょう。何かあっては……」
「はい」
 2人は、その場所に急行した。


 その場所は如何にもと言ったところだった。怨霊、自縛霊、悪霊といった類が支配している事を肌で感じ取れる。中に入った、撫子と亜真知は異様な重圧に耐えながら、雫を捜す。
 しかし、旧学生寮は空間をねじ曲げられているのか、迷宮となっていた。大きさは3階建て、中央に階段があり、横一文字に廊下に一定間隔を置いて部屋があるというパターンなのだが、どれも歪。1階にあるはずの食堂が、屋上にあるとか、上ってきた階段が、階の端に位置している。そして既に、出口という物がなくなっていた。
「此は幻術?霊視でも真実が……」
 霊視不可能と分かるや焦る撫子。
「人が入ると、一切出られなくなるのでしょう」
 亜真知は真剣に考えた。
 撫子は霊視も出来ないという状況で焦り始めている。
「霊視……あ」
 亜真知は思い出したように声を上げる。
「どうされました?」
「姉さまの“霊視”は秘められた力があるのです」
「え?」
 いきなりの言葉に思考が止まる撫子。
「しかし、上手く発動するかは……。わたくしがサポートするので霊視を続けて下さい」
「わ、わかりました」
 霊視を試みる撫子。
 亜真知は理力によって、彼女の魂に働きかけ、今まで閉じていた霊視回線を開けた。
「え?きゃぁ!」
 撫子はいきなり視認情報に驚く。旧学生寮内『全て』が見えてしまったのだ。
「大丈夫ですか?」
「ええ、いきなりのことだったので……。でも……道が分かりました。ソレに……」
「それに?」
「雫様は虚無の境界に囚われています。急がないと行けません」
「案内お願いします!」
 秘密の力の反動でフラフラの撫子の代わりに亜真知が「撫子が視た」道を切り開いていった。
 そして、虚無の境界を退治し、無事気絶しているだけの雫を救い出せたのだ。代償としては、激しい戦いで、此処の地元霊(?)をも除霊してしまい、建物自体が崩壊してしまったのだ。

 
「あーもう少しだったのに〜」
「無茶は行けないですわ。皆さん心配します」
「うう〜ごめんなさい〜」
 雫が決定的な事件を見逃してしまったことで悔しがっているが、2人のお叱りでしょぼくれるも、いつもの楽しいお茶会になった。

 色々楽しいお茶会の後、2人は帰路につく。
「亜真知サマ」
「何ですか姉様」
「あの能力は一体何だったのでしょうか?」
「“龍晶眼”という、霊視より強い物を視る力ですわ。姉様が生まれてから既に持っている力です。普通の霊視ではなく見えた範囲の“真実”、“全て”を“視る”能力ですわ」
「うーんと、それは霊的補佐無しで、ですか?」
「まぁ、そうなりますわね。一種の超能力で、制御が難しいです。だから、滅多に使わないようにして下さい」
「え、分かりました、亜真知サマ。それに新しい力を目覚めさせて下さりありがとうございます」
 従妹を優しく抱きしめる撫子だった。

 この話は撫子が『龍晶眼』に目覚めたエピソード。さて、此をどう使っていくのかは彼女次第である。
PCシチュエーションノベル(ツイン) -
滝照直樹 クリエイターズルームへ
東京怪談
2004年04月20日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.