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『宿命の対決 ドリルガール対ブラックドリルガール #2 』
ブラック・ドリルガール2644)&エターナル・レディ(2196)&銀野・らせん(2066)

銀野らせんは下校中だった。
前の戦いの心の傷はなく、意気揚々として帰っている。
しかし、平和は長く続かない。軍事企業テクニカルインターフェースと敵対してから。
TI社の最新スポーツカーが、彼女を止める。
危なっかしい止め方をするので、らせんは眉を潜めた。
「な、何!危ないですね!」
車から、派手な衣装の女性が出てくる。
「は〜い、銀野らせんちゃん。それともドリルガールって呼んだ方が良いのかなぁ?ある人が言ってた通り可愛い娘で、お姉さん嬉しい♪自己紹介済ませてなかったわね〜おねーさんは、エターナルレディです♪」
唄うように喋り駆け、馴れ馴れしくする女性。
「わ、私はドリルガールじゃありません」
「嘘はいけないわよぉ」
「違うったら違います!…失礼します」
と、エターナルレディを避けて立ち去ろうとする。
「頑固な娘ねぇ。ちょっと残念」
エターナルレディはオーバーアクションでがっかりしているが口元は笑っていた。
「あ、…」
通り過ぎようとしたらせんは…強い眠気に襲われ、そのまま倒れてしまった。
「これから大事な大会があるの。その主賓がいないとおねーさん社長に怒られちゃう」
意識遠のくらせんに聞こえたエターナルレディから聞いた言葉だった。


らせんが目覚めると、サッカーは出来るぐらいと思しき広さのスタジアムだった。4方に巨大液晶パネルが設置されている。
「ここは…どこ?」
4方向のパネルからエターナルレディが映し出され、
「は〜い。お目覚めかしら。TIアリーナにようこそ。これからドリル女王決定戦が始まっちゃいますので、頑張ってちょうだいね」
と告げた。
「ドリル女王?まさか!」
入場口から、ゆっくりと、スポットライトを浴びながら重装備で現れたブラックドリルガールが歩いてくる。彼女の目は殺気に満ちていた。
「ドリルガール…貴様を今ここで殺す」
「殺すって!前も戦って…」
ドリルが壊れた記憶を思い起こされる。しかし今は違う…。
「この馬鹿げた戦いで決着付けるのね」
「馬鹿げたか…死んでもそのセリフが吐けるか?」
ブラックドリルガールは構える。
らせんは魔法のドリルを召還し右腕に装着した。光を放ち、ドリルガールに変身する。
「セリフは今回省略よ!」
かなりマジならせんだ。セリフを言っているときに攻撃されたら溜まったものではない。
「すまないが…変身時の台詞は言って欲しい」
ブラックドリルガールから懇願された。
「おねーさんもお願いするわぁ」
パネルからのエターナルレディ。
―どういう頭してんのよ!
一気に力が抜けるらせん、仕方ないので。
「わ、わかったわよ〜でもあなたもいっしょに言うのよ」
「あ、分かった」
2人のドリルガールが変身したポーズをとって、
「銀の螺旋に勇気を込めて、回れ正義のスパイラル ドリルガールらせん、ご期待通りに只今見参!」
「黒の螺旋に敵意を込めて、回れ邪悪のスパイラル ドリルガールらせん、満を持して只今見参!」
と、同時に言った。
「あ〜ん2人とも可愛い♪…バトルスタート♪」
エターナルレディは、放送室でくねくねしてバトル開始の宣言をした。


戦いの方は、まず互角と思われた。お互い空間歪曲での物理攻撃で牽制している。
「あの時の早さと違う!」
「前みたいに無様にやられたりはしない!」
避ける空間、地面が穿つ。
魔法のドリルがぼそっと
「気になるな」
と言う。
戦いながらもらせんは
「どうして?」
「TI社にしてはかなり大仰な設定じゃないか?もしかすると」
「ヒョッとして私のデータを盗むってこと?」
「そうだな。今は互角だろうがあの技だけは使うな。実際こっちの方が、前の3倍能力が上がっているし、その3割しか出していない」
「わ、わかった」
らせんはブラックドリルガールの攻撃をかわしながら、魔法のドリルと会話し、逃げに回る。
「ちょこまかと!」
ブラックドリルガールは、荷電粒子ライフルを装着し、らせんに向かって放つ。
避ける物の、ブラックドリルガールの地場操作でホーミングし命中する。
「きゃぁ!」
電撃の激痛に悲鳴を上げる。
「貰った!」
黒い影はそのままトドメと言わんばかりにドリルで貫こうと走ってきた。
「飛び道具なんて卑怯よ!」
らせんは叫んで、ドリルで応戦。
前の戦いが再び繰り広げられた。
地を穿ち、体当たり、ドリル同士が交わるときの花火。銀の帯と黒き帯がアリーナを駆けめぐる。

放送室で眺めているエターナルレディは、新発売と言われている美味しそうなファーストフードセットを頬張りながら、
「なかなか面白い戦い♪」
と、しっかり仕事をしているのかどうか怪しく観戦している。
「あ、しっかりお仕事、お仕事」
思い出したように、モバイルPCを取り出して、何かを打ち始めるエターナルレディだった。


コピーはオリジナルに勝てないと言う話がある。様々な戦いの歴史でそうした結果が多いから言われている話だ。例外的結末はあるにせよ、事実であるだろう。
魔法(魔術)という奇蹟の変身をしているドリルガール。科学力で作られたブラックドリルガールの違い。其れは機構の構成だ。ブラックドリルガールの能力はTI社の各地衛星などから補佐され続ける。しかし、らせんは其れを必要としない。常に己の強い意志と魔法のドリルとの同調からなった。もし、この戦いが外で行われた場合、長時間戦うことが出来るのはらせんの方だろう。

既にフルパワーで戦っているブラックドリルガールだが、余裕をみせているらせん。
「なに?」
「前の私とは違うわ!」
押し始めたらせん。ドリルの力を3割から4割に力を上げた。
互角を表していた帯が消え、ブラックドリルガールが吹き飛ばされる。
「クソ!」
飛びかかるブラックドリルガール。しかし、彼女のあらゆる攻撃を紙一重、また空間歪曲で相殺し、確実にピンポイントでブラックドリルガールにダメージを与えていくドリルガール。
「ば、バカな!こんな事があって!」
焦るブラックドリルガール。
「こんな事があってたまるかぁ!ダークニングボルトォ――――――――!」
渾身の力を込めたブラックドリルガールの空間歪曲必殺技を放つ。黒い電磁エネルギーをぶつける技だ。
「ウィンドエナジーフォース!」
らせんはドリルを高速回転させ風の盾を展開、その電撃を弾いて防いだのだ。
「此で終わりよ!ブラックドリルガール!マインドシュート・モラルブレーカー!」
「!!」
らせんの精神攻撃が空間を無視し、ブラックドリルガールに『戦意喪失』の効果を与えた。

元はと言えば、精神にダメージを与えることがドリルガールの能力だ。物理攻撃というのは非常事態のみである。視点を間違えているTI社。最も、精神、魂という存在は見えない故、推し量れないものだ。魔術師にしろ魔法使いにしろ、その魂という小宇宙を研究している。目に見えない力に、超常現象を否定しようとしている(存在を肯定し再現する側は除く)科学と化学は…太刀打ち出来ないだろう。

ブラックドリルガールが、跪き戦う意志を『無くされた』ことで涙する姿をみたらせん。
「此で終わりね」
と、巨大パネルをみる。
らせんの勝利は確実だった。
「わ、わたしは…」
ブラックドリルガールは泣きながら…
「こんな負け方…!」
「え?!」
いきなりの爆発…そして跡形もなくなったブラックドリルガール。
「そ、そんな!精神攻撃だよ!どうして!」
その場で怯える、らせん。
魔法のドリルは
「違う。落ちつけらせん」
らせんを宥めるも、
「わ、あたし…敵でもひ、人を殺し…」
悲鳴を上げ、そのまま天井を突き破りアリーナから逃げた。
罪悪感からなる、涙が宙をまった。


TI社地下…階は不明。
何かのドームのようだ。中央の水槽タンクに先ほど爆破し跡形もなくなったはずのブラックドリルガールの体があった。正確には違う。もう一つのクローンだ。それは培養液に満たされてうかんでいる。
「と〜ってもエクセレントなデータが採れました。これであなたもパーフェクトになれますね」
エターナルレディはニコニコと笑い、ドームのライトを少し明るくする。
そのドームは培養液に満たされた巨大水槽だった。

TI社恐るべき計画が…始まろうとしている。
PCシチュエーションノベル(グループ3) -
滝照直樹 クリエイターズルームへ
東京怪談
2004年03月01日

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