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『宿命の対決 ドリルガール対ブラックドリルガール #1 』
ブラック・ドリルガール2644)&葉月・政人(1855)&銀野・らせん(2066)

葉月政人は、近頃謎の少女ドリルガールを探すことに必死だった。様々な謎の怪人事件に姿を現し、共闘しているので気がかりでならない。幸い、FZ-01からの記録からドリルガールの顔写真を手に入れている。そして、その時の服装から検証するに辺り、神聖都学園の高等部と分かった。
神聖都は巨大すぎるため、制服の基準などあってなきがごとし。しかし、一応存在するそうだ。其れもバリエーションに富んでいるので見つけるのも一苦労だった。
「しかし、探さなくては」
と、葉月は神聖都学園の、校門前で聞き込みを開始した。
「らせんまたね〜」
「うん、またね〜」
銀野らせんは、警察が聞き込みしていることをつゆ知らず下校する。
校門前では、かなりの美形の男が、数人の生徒に黒い手帳をみせてから、何かを訊いている。生徒は首を横に振る。
―何なのだろう?
と、らせんは首を傾げて極力その男を避けようと思って、彼から少し離れて門を通るのだが…
「すみません」
と、呼び止められた。
―え?どうしてぇ?
らせんは驚く。ヒョッとして、ナンパなの?
「あ、あのなんでしょうか?」
「僕はこういう者です」
と、葉月は警察手帳の写真と名前をみせた。
―け、警察!?
らせんはその場で硬直する。
ヒョッとして、ドリルガールで暴れたことが問題に?など色々怖い想像しているらせん。
そんなことを知らずに、葉月は写真をらせんにみせた。
「あの少し訊きたいことがあるのですが、いいですか?」
らせんが見た写真はやっぱり自分がドリルガールになった時のモノだった。真っ赤になるらせん。
「い、いえそんなかっこ…して…いえ…」
「何か知っていますか?」
「いえ、…知りません」
恥ずかしさで赤面しており、顔を俯くらせん。
人見知り激しいのかな?と全く写真のドリルガールと目の前のらせんを見比べて気が付かない葉月。
「あ、お手間おかけしました」
と、葉月は礼をして去って他の人に聞き込みを開始する。
その時であった。
轟音が神聖都の校門前で起こった。
「な、何だ!何が起こった!?」
土煙で何も見えない。
生徒や教諭があわてふためく中、今度はいくつもの悲鳴が聞こえた。
未だ近くにはらせんと葉月がいる。
土煙が収まり、電柱に誰かいることが分かる。
「ま、まさか!?」
葉月は絶句する。
その姿は、らせんと同じようにドリルを装着したドリルガールだったのだ。しかし、ドリルの色は漆黒であった。
「黒の螺旋に敵意を込めて、回れ邪悪のスパイラル ドリルガールらせん、満を持して只今見参!」
と、叫んだそのドリルガールは、ドリルで神聖都の校門前を破壊し、人を襲い精神破壊していく。
「ドリルガールは…ドリルガールは正義の味方ではなかったのか!」
愕然とする葉月。しかし、彼もこの状況に呆然と見ているわけには行かない、
「FZ-01緊急出動要請します!!」
と、携帯で連絡をした。

この騒ぎで、急いで物陰に隠れたらせんは…魔法のドリルを召還し、ドリルガールに変身する。
「アレは一体何者なの?」
疑問に思うらせん。しかし考えるのは後だ。

人々を襲い続ける、漆黒のドリル。
「ははは!全てをコロス!」
嬉々として、襲う漆黒ドリルの前に、銀色に光る閃光が遮った。
黒い光と、銀の光がはじいて、二つの人影が別の電柱に立つ。
「銀の螺旋に勇気を込めて、回れ正義のスパイラル ドリルガールらせん、満を持して只今見参!」
本当のドリルガールが現れた。
「あなた誰?何者なの?」
「おびき寄せられたなドリルガール。わが名はブラックドリルガール。貴様を殺す」
「!!」
いきなりの宣戦布告。しかし
「あたしの色違いで真似して、あたしを殺すですって!あなた、格闘ゲームのやりすぎ?それとも昔の特撮とかの見過ぎ?」
「貴様の言っていることが今ひとつ分からないが?」
ブラックドリルガールは頭をポリポリかいて答える。どうも、らせんの言っていることを全く理解できないらしい。其れもそのはず、彼女は戦闘訓練と必要最低限の一般知識しか知らない製作したTI社のクローンなのだ。戦闘以外の余分な雑学など要らない。
そして方や本物のドリルガールである銀野らせんは大手オモチャ会社の令嬢と来たものだ。オモチャに関する知識がかなりあっても不思議ではない。
最も、今の状況に於いてお互いの素性を知ることなど無いのだが。
「其れは些細なことだ。貴様さえ殺せば其れで良いのだ」
ブラックドリルガールは、構えた。
「はいそーですかで殺されちゃかなわないわ!」
らせんも戦闘態勢に入る。
銀と黒の光が、神聖都で激しく火花を散らす。ドリルで攻撃を受け止める時に起こる現象だ。

強化服を装着して現場に戻った葉月は、この状況で驚く。
「ド、ドリルガールが…ふ、2人?」
どっちが偽物なのか全く分からない。しゃべり方が違う事も、色違いであるのに全く分からないのだ。
「どちらに加勢すべきなのか…分からない!」
そして、2人とも空中で戦っているために手出しが出来ないのだ。
葉月は、その場で2人の戦いを見ているしかなかった。


「ふっ!オリジナルでもこの程度か!ドリルガール!」
「つ、強い!」
力は互角だ。一瞬の隙が命取りになると分かるらせん。一方敵の方もその覚悟はあるようだ。
跳躍し、ドリルで受け流す。全く同じ先の読み方、そして戦い。銀と黒の2本の線が、周りを描いている。そのたびに建物は破壊されていく。
「このままでは被害が大きく…」
らせんは不安になった。
「隙だらけだ!」
ブラックドリルガールの一撃がらせんを襲う。
「くぅ!このぉ!」
彼女は何とかドリルで受け流し、敵に反動の蹴りをいれた。吹き飛ぶブラックドリルガール。
しかし、彼女も受け身をとっており大したダメージを負っていないようで、らせんに向かってきた。
そして又、激闘が続く。
しかし、お互い疲労が激しくなり…
「このままでは…」
と、2人は思った。
そして2人は、必殺技の構えをとる。
一瞬時間が止まった。
そして、二つの閃光がぶつかり、爆音と土煙が舞った。


土煙で前が見えない。何が起こったのか、其れを理解できる者はその場にいなかった。
「な、何が起こったんだ…2人のドリルガールに…」
歩み寄るFZ-01。頭に何かの破片が当たる。
其れを拾って見ると…見覚えのある形をしていた。
ドリルガールのドリルの一部…。
不安を感じた葉月は爆音の現場に駆け寄る。
その場所では、ドリルの先端が砕けた、2人のドリルガールがいた。

まさか初戦で、自分のドリルが大破するとは思っていなかったブラックドリルガール。
「今日の所は勘弁してやろう。今度こそ貴様を殺す!」
と言って、ブラックドリルガールはそのまま姿を消す。
一方、銀野らせんの方は、ドリルが大破したのを見ると、地面に膝をつき、
「ど、ドリルが…魔法のドリルが…」
と、呆然としていた。
当然、FZ-01を着ている葉月も何のことか分からないまま、立ちつくしている。
2人のドリルガールの戦闘。その戦いの激しさ。武器のドリルの大破で茫然自失のドリルガール。
そして、
ドリルガールは魔法のドリルが大破したことで、元の姿〜銀野らせん〜に戻っていった。
「き、君は!」
葉月は驚く。
無理もない、目の前で変身が解けたドリルガールの正体が、聞き込みの時に慌てて恥ずかしがっていた少女だったからだ。
「ドリルが壊れちゃったよう…」
その場で泣くらせん。アーム部分を抱いて、そのままうずくまる。
「うわあぁぁぁん!」
今まで、共にしてきた大事な宝物が壊れたことがとても悲しかった。
葉月は、装甲服のマスクを外し、むせび泣くらせんに近づく。
「大丈夫?怪我は無かったですか?」
「…ヒック…」
まだ泣いている少女。
被害の調査、確認をアシスタントに任せ、葉月はらせんを助け起こし、この事故現場から離れた。


葉月は、敢えて銀野らせんがドリルガールと言うことを伏せて、戦闘現場の被害者として状況報告をする。
「では、君が探しているドリルガールは実は2人いて、両方とも逃げたと言うことですか?」
「はい」
「しかし、まさか謎の少女が2人もいるなんてね…」
調査書を見て上司はため息をついた。


ブラックドリルガールは…TI社の自室にて荒れていた。
とどめを刺せなかったことが悔しいのだ。
そして、机を拳で壊してこう叫んだ。
「今度こそ、奴を殺す」
PCシチュエーションノベル(グループ3) -
滝照直樹 クリエイターズルームへ
東京怪談
2004年02月19日

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