▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『神威の一日 』
天津・神威2447

何というか、暇だ。
此処の主はガッコウとか言うのに行っているし、この屋敷は広いし、何というか猫共はどっか行ってるし…。暇だ、暇だ。こんなに暇だとイライラする。アイツが言う「ストレス」だろうか?

挨拶が遅くなった。俺は天津神威。
何故そんな名前なのか全然知らない。此処の主は勝手に付けただけだ。名前がないと不便だし、喋る紫猫にからかわれて腹が立つ一つの理由にもなりかねん。
記憶を失っているのでどこの者かわからない。困ったものだ。己のためにも迷惑かけているアイツにも早く記憶を取り戻したいもんだ。

アイツがいうにはこの所空き巣が多いらしい。箱の中で人間がそう言った。これはTVと言う物らしい。箱に入っているわけでなく、その箱がある力で映像とやらを受けているものだそうだ。もう操作も何かも分かった俺はこれを結構気に入っているが、面白くない物だと長くいるつもりはない。
「世の中の子供の闇に〜」
あー何か蘊蓄がはじまった、くだらねー。と、TVのスイッチを消す。
その時に、何か見知らぬ箱があった。黒い小さな宝箱のような…でも、よく見ると先ほどのTVに繋がっているし、妙なスイッチなどが付いているひも付きリモコンがある。もう一度TVをつけて、これのスイッチらしき物を探して付けてみる。そしてこれが繋がっているチャンネルを探す事、50分…。
「ゲームCDをいれて下さい」
何だって――――っ!…ってゲームって何だ?
壁にへばりついているアレが…
「ゲームも知らないのか」
と、ここぞとばかりあの紫猫が馬鹿にしてきた。
「うるせー!この猫外の生き物!」
だいたい、記憶が無くてもこの猫が尋常でない事は分かる。普通猫って、にゃー、にゃー、鳴く。しかしコイツは人の言葉を喋っているし、電話にも出るから驚きだ。人のように二本足で歩く奴でもある。しかし俺が記憶の中では、そう言うモノをよく見た覚えがあるが…頭痛いから考えるのは止める。
「どうすれば良いんだ?」
「ん?そこに同じ紋章がついているケースの中にゲームのデータがある」
と、割と親切の教えてくれる紫猫。やっぱり何かたくらんでいるのか?しかし、入れてみたが、何も反応がない。
「入れる方向逆」

……
早く言ってくれ…。
そのゲームが面白くなって、その猫と一緒に遊んでいた気がする。時間はとうに昼頃らしい。
アイツが用意してくれた昼飯を食い終えて、どうするか考える。外に出たら人混みの中にはいるので嫌だ。
前からの友達とか言うもう1匹はのんびり昼寝をしているようだ。先ほどの暇猫は既に見あたらない。

外の方から、ピンポーンとかいう音が鳴る。無視、無視。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。
イライラしてきた。しかし対応できない。何せどうすればいいか分からないからだ。
10分間、我慢した甲斐があったのか鳴りやんだ…(後日分かる事だがインターフォンという物がある事を教えてくれた)。
しかし気配がまだする。
前に言っていた空き巣とやらか?其れだとアイツには申し訳立たない。
気配の方向に向かう。
確かその方向は、金庫か何か金目の物がある部屋だ。
ガラスが静かに切られる音、窓の鍵が開く音…。
ドンピシャだ。
走った。そしてドアを蹴破った。
2人の全く知らない奴が、金庫を開けようとしていたのだ。
相手はビックリし、何か獲物を持っている。短刀にTVで観たL字型の物。鉄砲という奴か?
「ちっ、中にいたのか!殺されたくなかったらおとなしくしろ!」
「黙れぇ!この空き巣めぇ」
突っかかる。
轟音が鳴る。…俺の身体を貫いた。
「おとなしくしていればいいのにな」
空き巣は何か言っている。しかしだな…俺其れにぶっ放されたんだよな?でもさ、これって当たると殺されるんじゃないのか?全くイタくも何ともなく、すぐに傷はふさがった…。
「え?え?え?」
相手は驚いている。俺も驚いているんだが…。驚いている理由は俺が左胸を其れにやられて居ても立ち上がったからだ。服には少し赤く血が染まっている。
その隙に、俺はコイツらをコテンパにした。
ただ、痛くはないが、体の調子悪いので、そいつらを逃がす事になってしまった。窓は壊される、血まみれになる。アイツにどう説明すればいいのやら…。
汚れてしまったら、仕方ない、洗濯して風呂につからないと…。
しかし、こんな事昔あったような…。
俺は…人を…襲って……。
頭が痛い…。
思い起こそうとすると頭が痛い。
襲って…た…。
痛い、痛い、痛い!
痛いから考えるのは止めた。
掃除をして、汗をかいたので風呂を沸かす。本当のことを言うと、風呂は嫌いだ。お湯を頭から被るとか好きじゃない。
苦手だった風呂につかり、汗を落とした。
でも、不思議にすっきりする。何とも言えない爽快感。
髪をしっかり洗うと不快感もなくなる。
さっきの頭の痛さ持とうに消えた。

おやつと強請る、あの猫がいつの間にか戻ってきて、一緒におやつの煎餅を食べ(猫はジャーキー)、のんびり、あのお気に入りのTV番組を見る(ビデオと言う箱に収めて貰ったのだ)。

ただ、今回の事は何だったろう?記憶も未だ思い出せない。
まぁ、何とかなるか。

と、気が付いたらアイツがガッコウから帰ってくる時間だった。
さて、アイツがどんな話ししてくれるか楽しみだ。
其れまで色々好きかってさせて貰うよ。


PCシチュエーションノベル(シングル) -
滝照直樹 クリエイターズルームへ
東京怪談
2004年02月05日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.