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『おねえさまといっしょ 』
海原・みその1388)&海原・みなも(1252)

1.
「みなも、今日は草間興信所に零様のお手伝いをしにいかなければならないの。一緒に行ってくれる?」
海原みそのがそう言うと、海原みなもは間髪入れずに頷いた。
素直な妹。可愛い妹。
みそのはそんな妹に内緒で荷物をつめたカバンを持った。
今日は楽しい一日になりそうだ・・・。


2.
 ♪お嬢さん おはいんなさ〜い
  お嬢さん おはいんなさ〜い♪

草間零は上機嫌に繰り返し同じフレーズを歌っていた。
遠い昔の子供が縄跳びをするときに口ずさんでいたのを聞き覚えた為、その部分しか知らなかった。
兄は依頼人のところに調査終了報告に行って留守だ。
帰ってくるまでには部屋を綺麗にして美味しい料理を作っておこう。
なんていったって依頼料が久しぶりに入る日だ。
それが零を上機嫌にしていた。
「こんにちわ〜」
「あれ?こんにちわ、みなもさん。今日は兄さんも出かけていますし、特に依頼のほうもないんですが・・・」
零が首をかしげると、みなもの後ろからみそのが声をかけた。
「こんにちわ。今日は零様のお手伝いに参りました」
「お手伝い?」
「はい。先日そうお約束しましたので・・」
みそのがそういうと零は必死に思い出そうと努力しているようだった。
しかし、実際に零はみそのとそのような約束などをしていないので思い出せるわけがない。
「ん〜・・思い出せないんですけど、みそのさんがそう言われるのならお約束したんですよね・・」
「はい、こちらの部屋はわたくしとみなもでお掃除いたしますので、零様はお台所でお料理などでもしてくださいませ」
みそのは悪びれもせずそう言った。
「じゃあ、お願いします」
零はにこりと笑うと台所へと消えていった。
「では、みなも。お掃除しましょうか」
「はい、お姉様」
草間興信所はいつだって散らかっている。
そのことを考慮に入れての今回の連れ出し作戦だったが、まさかこんなに簡単にいくとは・・・。
今回、みなもを連れ出した理由はこの部屋に隠されている。
みそのはそれを探すために密かに部屋を片付けるフリをしつつ、零が隠しそうな場所を探した。
探し物は簡単に見つかった。
「ねぇ、みなも。これにちょっと入ってもらっていいかしら?」
みそのはにこりと可愛い妹へとその微笑を向けた。


3.
「なんですか?これ??」
みなもは不思議そうにそれを摘み上げた。
みなもにはただの小汚く、大きな袋状になった布としか見えなかった。
「先日、草間様がこの中に入って出られなくなってしまう事件があったのですが、なぜ出れなくなってしまったかがまだ謎のままなのです。それを調べるために入ってもらえないかと思って」
みそのがそういうと、みなもは素直にその中に入っていく。
「・・これ、中で布が折り返してて出口が見つけにくいです」
みなもがそう言うと、みそのはポッコリと外からでもわかるみなもの頭を数回軽く叩いた。
「!?お、お姉様!?」
驚嘆の叫びが叩くたびに増えていき、頭の出っ張り部分が増えていく。
ある程度の回数を叩くとみそのはゆっくりと布をめくった。

『お姉様〜・・』

情けない声で一斉にみそのを見つめる小みなも軍団。
その小みなも軍団をナデナデと1人1人撫でつつ、みそのは言った。
「これ『不思議なぽけっと』と言って、叩くと中のものが分裂してしまうの」
『そ、そんな・・』
「大丈夫、わたくしの力で元に戻すことができるのはわかってますから」
みそのはそういうと持ってきた荷物を小みなも軍団の前へと差し出した。
「それよりもね、みなも。わたくし、あなたにとっても素敵なものを持ってきたの」
『素敵な物?』
みそのが手際よくカバンを開け、取り出すは色とりどりな人形サイズの服と小物。
メイド服はもちろんのこと、定番の天使・悪魔・ネコ耳・エルフ耳・和服、果てはアーミー服や幼稚園の制服なんてのも入っていた。
「着てみて♪」
『・・・』
1人1着、小みなも軍団はみそのの用意した服を渋々と取って着替えていく。
みそのはその間に同じく持ってきたカメラと模造品を造ることのできる古代遺産を出した。
これでいつでも準備はOKだ。
『出来ました、お姉様』
小みなも軍団は恥ずかしげにみそのにそう告げた。


4.
「わたくし聞いたことがあるのだけど、『ぼうねんかい』という宴では『やきゅうけん』という遊びをやるのでしょう?みなもとわたくしでやってみましょう?」
みそのはにっこりと悪魔の提案をした。
『だ、だってそれ、負けたら服を脱がなければいけないんですよ!?お姉様!』
小みなも軍団は口をそろえて言った。
だが・・・
「いいじゃない♪負けなければよいだけの話でしょう?」
「・・・それは・・そうですけど」
「じゃあ決まり」
みそのの方が一枚上手であった。
あっさりとみなもはみそのの術中にはまり、野球拳が始まった。
トップバッターはメイド服を来た小みなもである。
お決まりの曲と歌、だが何故それをみそのが知ったのか・・・?
謎は残るがみそのがウキウキとしているのを見て、みなもはお姉様がこんなに楽しそうなんだし・・と思った。

曲が終わり、双方それぞれの手を出した。
みそのがグーを出す。みなもがチョキを出す。
至極当然ではあるが、みなもの負けである。
「わたくしの勝ち。さぁ、みなも。脱・い・で?」
にっこりと笑うみそのにみなもは温情を求めたが、みそのはそれを無視した。
困り顔をしつつも、みなもはスルスルと一枚上着を脱いだ。
「さぁ、まだまだ脱げるものはあるのだから、いっぱい楽しみましょう」
「お姉様〜・・」

 ♪よよいのよい!

「また、わたくしの勝ち」

 ♪よよいのよい!

「また勝ってしまったわ」

 ♪よよいのよい!

「あらあら」
連勝を続けるみそのと連敗し続けるみなも。
それもそのはず。
みそのはみなもが出す手を、みなもの思考の流れから汲み取ってはそれに勝つ手を選んで出しているのだから。
「もう脱げません〜・・」
ついに小みなもが降参した。
みると、メイド服はすっかり純白の下着姿へと変貌を遂げていた。
「まぁ、可愛い。記念に一枚撮りましょうね」
みそのはそういうとカメラでぱちりと一枚写真を撮った。
「駄目です!お姉様!!」
「いいじゃない♪そうだ、複製も作っておきましょう」
「きゃああ!」
哀願する可愛い妹をみそのは複製した・・・。


5.
 ♪よよいのよい!

「また・・負けました・・・」
小みなもはがっくりとうなだれた。
「まぁ、今度の服は脱がせ甲斐がありますわ。ねぇ。わたくしが脱がせてもいいかしら?」
「は、はい・・・」
みそのはそう言うが早いがみなもの胴に巻かれていた細長い帯へと手をかけた。
そう、今度の小みなもが着ている服は和服である。
「わたくし、一度やってみたかったの。とっても面白そうなんですもの」
「うぅ、あんまり激しくしないでくださいね・・」
みなもは観念した様子で腕を上に突き出した。
「わたくし、これをやるときに言う言葉を知ってます」
みそのはウキウキしていた。

「よいではないか〜♪よいではないか〜♪」

意図していたのか、みなもはみそのの言葉に続けて言った。

「あ〜れ〜!」

悪代官ゴッコ、ここに極まれりである。
帯がすっかり小みなもの体から離れると、みなもはよろよろと座り込んだ。
着崩した着物、その着物から覗き見える白い足、ほんのり桜色に染まった頬に伝う涙・・・。
「可愛いわ、みなも・・・」
みそのはうっとりした。
可愛いだけの妹だと思っていたのに、いつの間にこんなに綺麗になっていたのだろう?
これはもう撮影と複製するしかない。
「そのままよ?動かないで。すぐに終わるから」
みそのはにっこりとみなもの艶やかなその姿態をカメラに収めた。


6.
すべての小みなもを脱がせ終わった。
『お姉様・・もう服着ていいでしょうか?』
下着姿のままの小みなも達がみそのに懇願した。
「待って。最後に折角だから記念写真を撮りましょう」
みそのがそういうと、みなも達は困った顔をしながらも『はい』と頷いた。
「お掃除終わりました?お茶でもいかがですか?」
とその時、台所で料理をしていた零が顔を出した。
「零様、ちょうどよかった。このカメラのシャッターを押していただけませんか?」
みそのはにっこりと言った。
「あ・・はい。いいですよ」
零は状況を把握しないまま、カメラを構えた。
ファインダーの中には下着姿の小みなも軍団とにっこりと満足げな笑みを浮かべるみその。
カシャリと一枚撮ると「ありがとうございました」とみそのはカメラを受け取った。
「あの、台所にお茶を用意したので・・」
「はい、もう少し片付けてからいただきに参ります」
零は「そうですか」と言うと、みそのやみなもについては何も聞かず台所へと再び消えた。
「・・・」
みなもは複雑そうな顔をしていたが、わざわざ追いかけて説明をすることも出来ずただ立ち尽くしていた。
「さぁ、みなも。元に戻してあげます。目を瞑って・・」
みそのが優しくそう言った。
小みなも軍団は目を瞑った。
温かな姉の力が自分の周りを包んでいく・・・。
「目を開けてもいいわ」
みなもが目を開けると、先ほどまで見えていた巨大な姉は自分と同じ大きさになっていた。
「さぁ、片づけをしたら零様のお茶をいただきに参りましょう」
みそのがそういったので、みなもは元気に「はい!」と返事をした。


7.
「ど、どうしたんですか!?その格好!」
台所に入ったみなもを見て、零は叫んだ。
えっ?とみなもは己の姿を見て悟った。
今日着てきたはずの服をみなもは着ておらず、純白の下着のままだったからだ。
そう言えば、小さくなった後お姉様の持ってきた服に着替えて・・それから?
みなもはダッシュで応接室に戻った。
今日着てきた服が先ほどまでの小さなサイズで何枚も、何十枚も落ちていた。
「お、お姉様。こ、これ・・」
「まぁ、わたくしとしたことが・・・」
みそのは本気で驚いているのか、それともワザとなのかよくわからない声で「ごめんね、みなも」と言った。
「お姉様〜!早く元に戻してください〜!!」
「でも、その前に写真と複製を作りましょうね?」
みそのがいつの間にかカメラを構えてにっこり微笑んでいた。


その日、等身大の怪しげな人形とカバンいっぱいの同じ顔の人形を抱えた少女2人が目撃されたという。

そして、その等身大の人形はその少女の1人にそっくりだったとか・・・。
PCシチュエーションノベル(ツイン) -
三咲 都李 クリエイターズルームへ
東京怪談
2003年12月17日

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