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『ルシファー機動… 』
貴城・竜太郎1865)&葉月・政人(1855)&ザ・スパイダ−(1881)

1.偶然の遭遇
ザ・スパイダーはテクニカルインターフェイス社から、ライバル会社IGN(アイ・ギガ・ネット)社に忍び込み、企業秘密を盗み出す任務を受けていた。
普通のスパイ工作は、社員になりすまして情報を漏洩するわけだが、テクニカルインターフェイスはさらにこうした「改造人間」を用いて情報を得る(盗む)のだ。
クモとの合成された、スパイダーはこういう仕事には慣れている。生身の身体の時代のスパイ術、交渉の匠さを竜太郎に買われ、強化されたのだ。合成の副作用で常時乱暴な口調になるのだが、仕事となれば冷静な男になれる。内でも外でもスパイが可能な「怪物」になったのだ。
「任務は成功して当たり前」
それがテクニカルインターフェイスの信条のひとつ。失敗は死に繋がる。特殊工作員が直接社長と話できるのは、エリート部下であるか、強化された人物しか居ない。

すんなりとIGN社壁を上る。月夜が彼を照らすことはなく誰も見ることはない。身体全体に光を吸収する服を(実はこれもTI社開発のもの)着ているからだ。もちろん、スパイダーの能力を阻害しないように改良をされている。
会社のコントロールルームにたどり着き、メインコンピュータに堂々とアクセスする。一般スパイが頑張った下調べのおかげでもあるが、彼らがその後どうなったか知る気はない。あちらは、別の情報を漏洩させたおとりなのだ。此方から本番である。
「こっちに使える、データって…ん〜これかな?」
スパイダーは、辺りを警戒し、メディアを取り出し、難なくコピーする。当然アクセス履歴と中の技術データさえ消して…。
「一丁上がり〜」
今の時代は大容量のデータを安心して運べるメディアが出来た。TIでは一般に「キューブ」と呼ぶ。市販されている、コンパクトHDDと同じ物なのだが、大きさ、容量、耐久性は違うのだ。見た目はDVDか妙な立方体である。

しかし、運が良かれ悪しかれ…厄介な者を見てしまった。
FZ-01だ。
どうも、此処の会社から非科学的事件で人が襲われるという通報をうけて出動したのだ。
普通の警備では太刀打ちできないので警察が見回りをしている。
流石の真面目な葉月も小声で、
「早く量産化されないものかなぁ…」
とぼやいている。1人でガチャガチャ強化服を着ての見回りだと、犯人を見つけることは出来そうにないからだ。すでに気づいて逃げているに違いない。
「聞こえているわよ」
「な、何でもないです!」
こっそりスパイダーは逃げようと思ったのだが…。FZ-01の赤外線探知機が何かを察知した。
「生命反応あり!サイズM、CR4〜6…コントロールルーム!」
葉月はハンドガンを持ち、入り口にあるパスロックを強化服のコネクタを介し、開けた。
急いで、中に進入し、警戒する。
「見付かっちまった…」
スパイダーは焦る。
葉月は窓に気づく。
「切り取られている。まるで空き巣が入ったように…しては大きい…」
スケールは子供1人が入る大きさなのだが…不思議な穴がある。当然これはスパイダーの仕業なのだが。
その隙に、スパイダーは逃げる決意をする。既にバレているので糸などで絡ませ身動きが出来無くすればいい。キューブを大事に持つ。
口から糸をはき出す。
反応が遅かった葉月。
「うわ!」
巻き付けられるFZ-01はそのまま転んでしまう。
そして、窓から逃げようとするスパイダーだが…。
FZ-01のパワーは蜘蛛の糸だけでは抑えることは出来なかったようだ。
ハンドガンを持つ右腕一つで蜘蛛の巣を取り払う。
「な!」
「こいつか、人を襲う『怪物』は!」
ハンドガンで威嚇射撃。
スパイダーは避ける。
「犀の化け物…とおなじなのか?」
葉月は前の戦いを思い出す。
コントロールルームを傷つけることは出来ないので、弾は特殊発光ペイント弾だ。すでに腰には特殊警棒を装備している。逃がさないために周りの封鎖を要求。コントロールルームの出入り口を守る葉月。
―厄介なことに…。
スパイダーは舌打ちする。
しかし、彼は大きなミスを犯した。彼の脚に微かだがペイント弾が当たっていたのだ。
少し動いただけで…
「発見!」
FZ-01が警棒を持って、殴りつける。
「しまった!」
スパイダーも応戦するも…力の差は歴然としていた。
毒針も強化装甲の前では無力…糸も無力と知った。
―逃げるしかねー!
戦っている最中…彼は大事な「キューブ」をFZ-01に投げつけてしまったのだ。
それでよろける葉月。
金属音が響く中、隙を見て窓から飛び降りるスパイダー。
糸を使って、別のビルに飛び移って逃げた。
しかし…任務は大失敗だった。
キューブは完全に壊れており、鑑識でもない葉月は首を傾げるだけだった。
「なんだろう?…あとで鑑識に回すかな…」
と呟き…。アシスタントに無線で状況確認をするのだった。


2.処刑
息を切らして、逃げるスパイダーに恐怖の声が聞こえた。
ビル街…。彼の目の前には銀色の輝く人影。
「やってくれましたね…貴方は」
「し、知らなかったんです!どうか!社長!」
「しかも、此方の特性キューブを投げ捨てるとは…前の貴方はそうではなかった…」
竜太郎は、銀色の装甲を着ており、スパイダーと対峙している。
「全て見ていました。キューブと貴方にカメラを仕込んでいますからね…見損ないました」
「何とかもう一度チャンスを!」
「却下します。役立たずは、死ぬ事がいいのです」
企業秘密のデータが無くなったことに気づくスパイダー。とんでも無いミスをしてしまった。
「幾ら強化しても…冷静さを保っていられないのは…キメラに少し改良が必要ですね…」
竜太郎は…音も立てずに歩く。FZ-01とは大きな違いが其処にあった。重装備に見えるのにかかわらず、人のなめらかな動きができるのだ。
「ひぃい!」
恐怖に叫ぶスパイダーは、糸を使ってビル伝いで逃げまどう。
「無駄なことを…」
銀の装甲はため息をつく。
「飛行ユニットセット可動」
「Standby」
音声認識で上空から、小型飛行機のような物体が装甲に接続される。
「OK」
「目標座標……」
そして装甲はとんだ…。天使のように…。

何とか逃げるんだ、逃げて…。
しかしどうする?事を知らせるのか?
でも、殺されるのはイヤだ…。
スパイダーは、必至に逃げた。
逃げた。逃げた。逃げた。逃げた。逃げた。逃げた。
逃げた。逃げた。逃げた。逃げた。逃げた。逃げた。
しかし…其れが無駄である。
―「カメラを付けていますから」―
竜太郎の言葉だ。
しかし、既に冷静さを欠いたスパイダーには思い出すことはない。
カメラは軍事衛星のGPSも兼ね備えているからだ。
既に上空には銀の天使が彼を発見している。
スパイダーがそれに気がついたのは…自分に何かの衝撃が当たった事だ。
竜太郎の急降下攻撃が直撃したのだ。
「ぐあ!」
スパイダーはかなり先まで飛ばされる。
蜘蛛の糸でクッションを作り、衝撃を和らげるも朦朧状態となる。
「逃げても無駄です」
竜太郎はゆっくりとスパイダーに近寄る。
「ルシファーの能力、堪能して…死んでください」
声は静かだが…怒りに満ちていた。
スパイダーは、竜太郎を蜘蛛の糸で巻き付けて時間を稼ごうとする。
しかし、幾ら巻き付けても…竜太郎が着ている装甲服ルシファーの前には無力だった。
腕一本で、粘着質の糸の束縛をたやすく破る。
巣の結界さえも、毒針の発射も…。ルシファーには無力だった。
スパイダーは諜報、暗殺には向いているだろう。しかし、肉弾戦では全く無力だ。しかし、彼は逃げ延びたい故にあらゆる行動をする。其れが理屈では判っていても、だ。
急いで逃げるスパイダー。いや…態と竜太郎は逃がしたのだ。
そして…ビル街から離れたところ…何とか逃げたと思いこむスパイダー。
しかし…聞き慣れた飛行音…。ルシファーが追いついてきている。
「た…楽しんでやがる…」
スパイダーは何か圧縮された力を受けた。その場から動けないスパイダー。
「誘導ビーコン作動、OK」
上空には銀の天使。目には見えない何かの力。
竜太郎は…ルシファーの力を最大限に活性化させスパイダーに渾身のキックをみまった。
「ぎゃあ――!!」
キックを食らったスパイダーの断末魔はルシファーのキックの轟音でかき消された。
残ったのは…銀の天使「ルシファー」と、燃え尽きた塵だけだった。
「この技は、ルシファーズスマッシュで良いでしょう」
彼はそう呟いて、そのまま彼は闇夜を飛んでいった。

End

PCシチュエーションノベル(グループ3) -
滝照直樹 クリエイターズルームへ
東京怪談
2003年10月15日

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