夕暮れを迎えたクロガネ邸の庭に、カボチャ提灯の柔らかな光が揺らめく。何とか六匹の暴走ジャック達を捕獲出来た花霞は、被害も最小限に押さえて無事にハロウィンを迎える事が出来たのだ。
「Trick or treat!」
玄関先でそう叫んだ花霞の前に、金色ジャックオーランタンがばーん!と飛び出して来た。金色ジャックの身体は、ビームや炎で焦げてたり、落下の衝撃でヒビが入ってたり、燈色ジャックの目に嵌まってたせいで、カボチャの角が削れたりと、満身創痍の状態だ。中で灯った蝋燭の光が、くり貫かれて作られた顔以外の所からも漏れ出ている。楽しい筈のハロウィンの夜に、何故かうらぶれた雰囲気をひとり漂わせていた。