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『舞と南瓜パーティー 』
レイン・シュトラウド(ga9279)

「パンプキンパーティー?」
室生 舞(gz0140)はかくりと首を傾げながら呟いて、ハロウィン仕様に描かれたチケットを見る。
「そう、取材先の人から貰ったのよ。私はどうせ行けないし、あんたが言ってくれば? そのチケット一枚で最大6人までいけるんだって」
彼女を拾い、育ててくれている女性がチケットをひらひらとさせながら呟いた。
そのチケットを見ると、仮装パーティーらしく立食形式になっているビュッフェではハロウィンに相応しく南瓜料理が多く書かれている。
「料理も一流シェフらしいし、パーティーとは言っても簡単なモノみたいだから気軽に行けるしね。あ、仮装衣装は貸し出しのみみたいだから持参していかないように」
その女性はそれだけ言い残して「それじゃ取材に行って来るから楽しんでらっしゃい」と玄関から出て行ったのだった。
女性が出て行った後、舞はちらりとチケットを見る。
「どうしようかな‥‥」
舞は呟きながら誰と一緒にパーティーに行こうか悩み始めたのだった。

視点→レイン・シュトラウド

「こんにちは」
 レイン・シュトラウドは自分で焼いたパンプキンケーキを差し入れする為に自分の彼女である室生 舞が住んでいるクイーンズ編集室へとやって来ていた。
「あ、こんにちは。どうしたんですか?」
 舞はかくりと首を傾げながらレインに問いかけ、そして手に持たれている箱に視線を落とす。南瓜の良い匂いが漂う箱を持ち上げて見せながら「これを持って来たんです」とレインは言葉を返した。
「南瓜のケーキなんですけど‥‥皆で食べてください」
「わぁ、きっと皆喜びます。ありがとうございます」
 にっこりと笑顔で言葉を返して舞は箱を受け取り「リビングに置いて来ますね」と小走りで駆けていく。
 そして途中で立ち止まると「あ、この後ってお暇ですか?」と舞が問いかける。
「ちょっと一緒に行きたい所があるんですけど、まずはこれを置いてきますね」
 舞は言葉を返してリビングへ向かうとレインから貰ったケーキを置いて、再び玄関へと戻ってきた。
「実は、これを貰ったんですけど‥‥時間があるなら一緒に行きませんか?」
 舞は『パンプキンパーティー』の案内チケットをレインに見せる。
「衣装は向こうで貸し出しですか‥‥何か嫌な予感がするのは気のせいでしょうか‥‥」
 ふぅ、と一つため息を漏らしながらレインが呟くと「?」と舞は首を傾げる。
「あ、こっちの話ですので。ボクでよかったらご一緒させて頂きますよ」
 にこりと微笑みを返しながらレインが呟くと、舞は嬉しそうな表情で「それじゃ、ボク準備してきますね」とぱたぱたと可愛らしい足音を立てて、自分の部屋へと向かい、準備を始めたのだった。

 パーティー会場に到着すると、まず受付をするようにと案内係の女性から言われる。
「女の子2名のご参加ですね、楽しいパーティーになるようにお祈りしてますわ」
 にっこりと受付嬢に言われて「‥‥2人?」とレインが首を傾げる。間違いなく2人目の『女の子』としてカウントされているのは『自分』だろうと思うとため息が出てくる。
「はい、これが衣装です。これを着て参加してね」
 受付嬢から渡されたのはレインが天使の衣装、舞が悪魔の衣装だった。
(「‥‥なんでボクが悪魔なんだろう」)
(「大事な人の前で天使の仮装‥‥」)
 それぞれ様々な葛藤を抱えたが、二人は更衣室に向かって渡された衣装へと着替えた。レインにとって不幸中の幸いといえば更衣室が個室になっていた事だろうか。
「わぁ、可愛いですよ、レインさん」
 にこにことして舞が言葉を投げかけてくるのだが『彼氏』という立場上『可愛い』より『カッコイイ』を言って欲しいな、とレインは考えていた。
「‥‥やっぱりというか何と言うか、これはもう決定事項なんですね」
 ぼそりと呟くと「え?」と舞が聞き返してくる。
「いえ、舞さんもその黒い衣装かわいいですよ」
 レインが呟くと「あ、ありがとうございます」と舞は照れたように言葉を返した。
「何だかボクが相手じゃ勿体無いくらい‥‥」
 苦笑しながらレインが呟くと「‥‥そんな事言わないで下さい‥‥」と舞が俯きながら言葉を返す。
「ボクは‥‥レインさんが相手じゃないと嫌です」
 ぼそりと呟いた後、舞はぎゅうっと黒いワンピースを握り締めた。
「舞さん、ボクと一緒に踊っていただけませんか?」
 突然手を差し出されて、舞はきょとんとした顔でレインを見つめた後、嬉しそうに「はいっ」とレインの手を取ってダンスホールへと一緒に移動をする。
「‥‥でも、ダンスはちょっと苦手なので、上手く踊れないかもしれませんけど‥‥」
 レインが苦笑しながら呟くと「ボクだって普段はダンスなんて無縁ですから苦手です」と舞も言葉を返した。
 それから2人は心地良いゆったりとしたクラシックの曲が流れるダンスホールへと移動してダンスを踊り始めた。ワルツを踊る二人だったが、舞も言っていたように普段はダンスとあまり縁のない生活の為、他の人たちのように優雅には踊ることが出来なかった。
「‥‥ごめんなさい、ボク、さっきから躓いてばっかりですね」
 しょんぼりとしながら言葉を返す、確かに舞は躓いてばかりだが、苦手と言いながらもレインが精一杯リードしている為、派手なミスはない。
「大丈夫ですよ、パーティーとは楽しむものですよ、楽しかったらいいじゃないですか」
 それとも楽しくないですか? とレインが問いかけると舞は勢いよく首を横に振った。
「レインさんと一緒だったら何でも楽しいです」
 はっきりと言う舞にレインは浮かび上がってくる笑みを隠しきれず「それじゃ、もっと楽しみましょう」と言葉を返したのだった。

 あれから一時間ほど、ダンスホールで踊っていた2人だったが流石に疲れと喉の渇きには勝てずに壁に寄りかかりながら他の参加者達が踊るダンスを見ていた。
「少し喉が渇きましたね、飲み物を取ってきます」
「あ、それじゃボクは何か食べるものを持ってきますね」
 レインは飲み物を、舞は食べ物を取りに行くため一度別れることにした。
「えっと、ジュースは‥‥」
 レインが2人分の飲み物を探していると「ねぇ、一緒に踊らない?」と男性が話しかけてきた。身なりからして結構なお金持ちなのだろう、何処か人を値踏みするような目にレインは少しだけ不快感を抱いた。
「大切な人を待たせているので失礼します」
 そう言ってレインは適当なジュースを手に取って、その場を離れようとするが男性が目の前に立ちはだかってくる。
「別にいいじゃん、俺の方がカッコイイでしょ」
 レインの相手が『男性』だと勘違いして男性はなおもレインに詰め寄る。
「しつこい人は嫌われますよ」
 レインは一言呟くと思い切り男性の足の甲を踏みつけて、その場を後にする。後ろから呻き声のようなものがレインの耳に響いてきたが「自業自得です」と冷たく言葉を残して舞のところへと戻っていったのだった。
「飲み物の所は混んでいたんですか? 少し遅かったから心配しました」
 舞が少し眉を下げながら問いかける。
「いえ、別‥‥」
 そこまで言いかけてレインは言葉を止める。男にナンパされました、なんて舞にはあまり知られたくないので「ええ、そうなんです」とレインは言葉を返した。
 それから2人は料理や飲み物、そしてまたダンスを十分に楽しむと衣装を受付に返して帰路へとついたのだった。

 パーティーが終わった後、レインは舞をクイーンズ編集室へと送っていた。
「今日は凄く楽しかったです、一緒に行ってくれてありがとうございました」
 ぺこりと頭を下げながら舞がレインに言うと「いえ、ボクも楽しかったですから」と言葉を返した。
「あ、それとこれをどうぞ」
 レインがバッグから取り出したのはハートや星、デフォルメした可愛い幽霊や南瓜の形をしたクッキーの詰め合わせだった。
「わぁ、可愛い、これレインさんが作ったんですか?」
「えぇ、お口に合えば良いのですが‥‥」
 そう言って苦笑するレインに「凄く嬉しいです、ありがとうございます」と舞は大事そうにクッキー詰め合わせを持ちながらレインにお礼を言ったのだった。


END


―― 出演者 ――

ga9279/レイン・シュトラウド/15歳/男性/スナイパー

―― 特別出演者 ――

gz0140/室生・舞/15歳/女性/オペレーター訓練生


―――――――――
レイン・シュトラウド様>

こんにちは、水貴透子です。
今回はパンパレ・舞シナリオにご発注をありがとうございました。
今回の内容はいかがだったでしょうか?
ほのぼのラブな二人を目指して書いてみましたが、お気に召していただければ幸いです。
それでは、今回は書かせて頂き、ありがとうございましたっ。

2009/10/20
パンパレ・ハロウィンドリームノベル -
水貴透子 クリエイターズルームへ
CATCH THE SKY 地球SOS
2009年10月21日

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