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『小春日和の中で 』
光月 羽澄(ea2806)&時永 貴由(ea2702)&御神村 茉織(ea4653)&逢莉笛 舞(ea6780)

 その日は小春日和というに相応しい、穏やかで暖かな冬のとある日のことでした。

「本当にお疲れ様です。此度の一件が片付き私も安堵いたしました」
「報告がてらに寄らせて頂きました。本日御予定等がなければ、是非ご一緒したいと思い‥‥」
 役宅では逢莉笛 舞(ea6780)が、長谷川平蔵が妻・久栄と談笑をしているところで、舞の誘いに久栄はどこか少女の様に華やいだ様子で話を聞いていて。
 辺りは小春日和の温かさが、僅かに吹く冷たい風からも温もりを奪われずにいるためか、折角の日和を良い機会と思った舞に久栄も近頃はこもりきりに御座いましたから、と嬉しそうに微笑んでいます。

「あー‥‥旦那、ちぃと宜しいですかい?」
「おお、御神村か、よぅ来たな。何ぞ困り事か?」
 同じ頃、御神村 茉織(ea4653)は江戸の郊外にて、長谷川平蔵その人と訪ねて行っている折。
 明らかに声に楽しげな響きを感じて参ったとばかりに御神村が息を吐くと、平蔵はひょいと塗笠を手にしてゆっくりと立ち上がります。
「ま、ここではなんだ、外で一杯ぇひっかけながら話を聞くこととするか」

 少なくともこの時点では、どこの場所でも平和な一日ではあったのですが。
「ほら、この期に及んで! 良いから来るのっ!」
「だから何度も言っている! 私は普通だと!」
「‥‥玄関先で騒ぐな、お前達」
 ずりずりと時永 貴由(ea2702)を引っ張ってやって来る光月 羽澄(ea2806)に、石川島から戻ったか、玄関先でばったり会った彦坂昭衛は微苦笑気味に言います。
「久栄殿なら奥に居る筈だが‥‥そうそう、先程逢莉笛が来ていると、木下が言っていたような気もするが」
「ちょうど良かったわ。さ、貴由行きましょ」
「ちょ、ちょっと待て、久栄様や舞さんを巻き込むなー!」
「‥‥‥‥ふむ‥‥ま、あの元気があるならば問題あるまい」
 羽澄が貴由をこれ幸いとばかりに引っ張って入って行くのを見送ると、昭衛は奥の自身の部屋へと向かうのでした。
「あら、貴由さんに羽澄さん? お二人とも、何かあったのですか?」
 やって来た二人を迎えたのは久栄と舞。
 直ぐに手ずからのお茶を用意する久栄に、引っ張ってこられてしまった為に困ったようにちょんと座るしかない貴由、羽澄はお茶を受け取ってお礼を言うとそれで一息ついてから、きっと顔を上げます。
「実は、ご相談したいことが有って参りました。近頃貴由の様子が可笑しく、幾ら聞いても何も無いの一点張り」
「だから、無いものは何も言いようが‥‥」
「良いから貴由は黙ってて! そこで、何か心当たりはないかと思い‥‥このままでは、貴由のお役目にも差し障りが出てしまいます」
「‥‥」
 途中で口を挟もうとした貴由を遮って久栄へと言う羽澄、舞には心当たりがあるもののなんとなくお茶を啜りながら成り行きを見守っていて。
「まぁ‥‥確かにそれは心配に御座いますね。ですが‥‥」
 自分の思っていることと関係有るのか自信が無い様子で少し困ったように口元に手を当てて小首を傾げる久栄。
「あぁ、そうそう二人とも丁度良かった、これから久栄様と出かけるところだったのだ。話はそちらでも出来る」
 役宅に引っ張られて来て何とも気まずい様子の貴由をちらりと見てから言って立ち上がると、舞は微かに笑みを浮かべて久栄と二人を促すのでした。

 舞の案内で四人が着いたのはとある蕎麦屋。
 奥と二階に座敷のあるちょっと気の効いた風な女将が、甘味を求めての客やちょっと訳ありの男女などを、それぞれ旨く顔を合わせないように割り振っているようで、其の辺りを気にしなければ、店の表の縁台で蕎麦や甘味を楽しむことも出来る場所。
 四人が通されたのは中庭に面したちょっとこぢんまりとした座敷で、向かい側の部屋は木々が遮って見えなくなっているところで。
「さて、と‥‥久栄様、ここのお勧めは白玉あんみつだそうですよ」
 部屋で腰を下ろして一息つくと、舞は何処か嬉しげに笑ってそう言うのでした。

「おう、酒と蕎麦を二枚頼む。旨ぇやつを頼むぜ」
 平蔵が笑いながらそう店の娘に注文すれば、それを受けて部屋を出て行く娘を見送ると、中庭に面した部屋の障子を細め窓の障子を開けて日を入れてから緩く息を吐く御神村。
「さて、随分と困っているようじゃねぇか」
 そう言って低く笑う平蔵に平蔵の向かい側に座ると更に深く溜息を吐いてから口を開く御神村。
「実は‥‥どうにもこの間から、その、貴由に‥‥」
「避けられている、か」
「えぇ、まぁ、そういうこって‥‥多分、この間の事件のことがとは思うんですがね‥‥」
 はぁと溜息を吐く御神村、平蔵はしょうがねぇなぁと微苦笑気味に言うと煙管を燻らせて。
「貴由は妹みてぇなもんでしたし、それに‥‥」
「貴由にとっちゃぁ、俺ぁ親父みてぇなもんだろうがよ」
 何と言って良いのか分からない様子で平蔵を見る御神村にそう言えば、店の娘が蕎麦とお酒のお膳を運んで入って来て会話は途切れて。
 お酒が御入り用の頃にまた来ますと言って下がる娘を見送ると、庭の向こう側のお座敷には何やら女性が連れ立ってきたのか微かに数人の声が聞こえてきていましたが、部屋の中へと入ったか声は途切れて。
「ま、まずは一杯呑め」
 言って平蔵がお銚子を摘み上げるのに慌てて御神村は杯を手にするのでした。

「皆が心配するから、言えば良いのに」
 舞の言葉に困った様子で手の中の白玉あんみつの器へと目を落とす貴由、羽澄は気になって聞きたくて仕方のない様子であるし、久栄は何となく察しているのか気にかけているようで、目が合えば穏やかな笑みを向けられて更に貴由は困ってしまって。
 ずばりと忠告した舞はと言うと、白玉あんみつを口へ運ぶとほんのりと嬉しそうな満足そうな、そんな表情を浮かべ。
「別に私は‥‥茉織がこの間の事件で大変だったようだから、そっとしておいているだけで‥‥」
「茉織さん? 茉織さんがどうかしたの? そう言えばこの間捕物があったようだけれど‥‥」
 羽澄が聞き返せば、自分のそれが失言であることに気が付いてかもごもごと言葉に詰まる貴由は、何とか言葉を探すも、何でと首を捻っていた羽澄がふと何かに気が付いたかのような表情を浮かべるのを見て気まずくて俯いてしまって。
「あら、まさか‥‥元から貴由が茉織さんに大きな信頼を寄せていたのは知っていたけれど、恋愛ごとに発展していたなんて‥‥」
「れっ、恋愛ごとって、別にそうじゃなくて、茉織は私の事を仲間か妹としか思ってないぞ? 私は危なっかしいから面倒見てるだけで‥‥」
 気不味げに言う貴由ですが、微妙にそれを言うことは意識していると肯定しているというのには気が付いていないようです。
「もう、貴由、私に黙ってるなんて水臭いわ。茉織さんって、鶴吉君の時とか、真っ先に貴由を庇ってたし脈がない事はないと思うのよね」
「ぇ、ぁ、ぃ、ぃゃ、ぁ‥‥」
「‥‥見事に墓穴を掘っているな」
「あぁ、えぇと、とりあえず貴由さん、御茶でも頂いて落ち着かれては如何にございましょう? 羽澄さんも、ゆっくりお話をお伺いしても宜しいと思いますよ」
 どちらかといえばのんびりと白玉あんみつを頂きながらお話したいだけな気もしますが、久栄が微笑みながらお茶を勧めれば、あわあわとしながらとりあえずお茶をすする貴由に、羽澄は匙で寒天を掬ってぱくり。
「いや、ここの白玉は実に良い。弾力といい慎ましやかな甘さといい」
「ほんに‥‥こういった甘い物を頂きながら和やかにお話しすると、まるで少女の頃に戻ったかのような心持がいたします」
 舞と久栄の言葉が耳に入っているのかいないのか、貴由は一杯の御茶を何度にも分けちびちびと飲み進めながら、なかなか顔を上げることができないのでした。

「お? 今何やら貴由の声が聞こえてきたような気が‥‥」
「旦那、茶化さねぇでくださいよ」
 蕎麦屋の奥の座敷、蕎麦を啜りながらどう切り出すか迷う様子の御神村に、平蔵がそんなことを言えばえらく困った表情でそう返して。
「しかしなぁ、お前ぇもはっきりしちまえば良いのになぁ」
「旦那も他人事だと思って‥‥はっきりと言われても、どーすりゃ良いのかわからねぇから、こうして来てるんじゃありやせんか」
 役目柄でなら兎も角とぼやく御神村、平蔵は蕎麦を一啜りすると箸を置き改めて御神村へと目を向けて。
「第一、旦那みてぇに女の扱いがわかりゃ苦労はしねぇんですがねぇ」
「それじゃあ俺が酷ぇ奴見てぇじゃねぇか。全く‥‥揃いも揃ってじれってぇ奴らだなぁ」
 にと笑うと、平蔵は徳利を手にし、杯を取るように御神村に勧め。
「いや、本当に旦那、旦那の場合はどうだったんですかい?」
 半分はからかわれて居ると感じている事柄から話を逸らす為でもあったのですが、もう半分はある意味平蔵の実体験から来る助言を求めるものでもあって。
「どうもこうもねぇ、惚れちまったもんは、どうにもならねぇよ」
 御神村が徳利を手に平蔵の杯へ注げば、ゆったりと平蔵は杯を干してから笑います。
「理屈だ何だじゃねぇ。こればっかりは、な‥‥」
「‥‥」
 可笑しげに低く笑いを漏らしたまま、御神村に呑むよう勧めると、平蔵は続けて。
「惚れちまったんなら、後悔するような羽目にゃ、なるなよ」
 色々な人間の、手から大切なものを零してしまった人間模様を見ているからか、何時の間にか静かに口元に笑みを浮かべたまま、平蔵が見ているのを感じて言葉に詰まる御神村。
 御神村も密偵として同じような人々を見て来ている為か、改めて、その言葉の意味を感じると御神村は僅かに目を伏せるのでした。

 お茶と最中や餡ころ餅などといった甘味が補充される中、相も変わらずたじたじになっている様子の貴由にぽんぽんと言葉を発し続ける羽澄。
「それにそもそも茉織さんなら長谷川様と昭衛様のお墨貰う素敵な人だし‥‥貴由が言っていた妹みたいって‥‥」
「‥‥なにやらお見合いの絵姿に着いてくる推薦文のようだ。そういえば、久栄様の場合は長谷川様とはどういった形での御縁で?」
「うちは父とあの人が道場での同門で‥‥父は武術にはからきしだったそうに御座いますが、良く一緒にお酒を召してから帰ることが多く‥‥」
 賑やかな二人の様子を眺めながら舞と久栄はのんびりとお茶とお菓子を楽しんでいるようで、微妙に救いを求める視線を貴由が向けていても気が付いていないのか気が付いていないふりをしているのか。
「いや、だからそもそも茉織は妹みたいも何も妹以上には見ていなく‥‥」
「だーかーら! それは貴由が長谷川様を慕う気持ちが強いから一歩下がっているだけでしょ? 私から見れば、父さん子がお父さんに懐いてる感じだけど、その分遠慮しちゃっているかもしれないじゃないの」
「ううう‥‥」
「はぁ、本当に同族に良い男さえいれば‥‥違うな、良い男は出会う前に何故片付いてしまっているのか‥‥」
「何事も焦らず、に御座いましょう。焦って悪い男に捕まってしまうより、回り逢うべくして回り逢った方と‥‥それこそそういった方と意地を張って離れてしまってはどうにもならぬものに御座いますが‥‥」
「‥‥久栄様まで‥‥ど、何処にも味方はいないのか‥‥」
 密かに逃げ道を塞がれている気がしなくもない貴由は嘆くも、まぁ気心が知れて悪意を挟まない女性同士の会話とはこんなもの、羽澄に捕まり役宅に向かったあたりから薄らと予想がついてしまったのがさらに悲しいところですが。
「そうそう、意地を張って知らぬと突っぱねておれば良い縁とて離れてしまうもの‥‥手遅れになっては、な」
「‥‥」
 ちらりと貴由へ目を向けて言う舞、貴由は困ったように目を落すと、本当に困り切ってしまった表情でやがて口を開いて。
「‥‥今までは一緒にいるだけで不安が消えて全てにおいて安心できたのに‥‥今は、そういったことを考えると、何故だか悲しくなる‥‥」
「それは、頭でどうこうと、御自身の中にある答えを、言葉で求めようとなさるからではありませぬか?」
「‥‥言葉で?」
 久栄がお茶を改めて貴由に勧めながら言う言葉に、貴由は戸惑った様子で聞き返します。
「ええ。簡単に言葉にできぬ事柄は、人にとって怖いものに御座いまする。理解ができねばそれは未知のものに御座いますから‥‥それが、本当に理解できぬわけではない場合ですら‥‥」
「そうだな。確かに今の貴由は理解できないからといって躍起になって否定しようとしているように見える」
「理解してしまえば、今の関係が変わってしまう、それが、どういう形に変わるかが分からないから、未知のものにしてしまっていて‥‥ということかしら?」
 舞と羽澄も言えば、戸惑った表情のままの貴由は久栄の方が向けずに俯いて。
「物事はなるようにしかなりませぬ、それでも、なるようになるものに御座いますわ」
「まぁ、あまりに逃げられ続けて茉織がへこたれる前に何とか結論は出した方が良いだろうが‥‥あ、久栄殿、黄な粉餅が来たようです」
 まぁ、真面目な話の中でも甘味と御茶を欠かさないのは女性たちの特権かもしれません。
 もっとも、貴由にとってはそれどころではなく、何やらぐるぐると混乱中の様なのでした。

「まぁ、女ってのぁ、ややこしい生き物だからなぁ。泣いたと思えばすぐ笑う、逃げられていたって、当人の気持ち次第で次の日にゃまた違う対応されるときもあらぁな」
「それにしたって、こっちゃ生きた心地もしやせんぜ、顔を見たら逃げられる状態で、それこそ木村の旦那どころか、この間は伊勢さんにまで『御神村、お前何やった?』と来たもんでさ」
「そらそうだ、役宅に色々と出入りするたぁいえ、それでも若い女は少ないときてら。器量良しなら尚のこと、目立つもんよ。今まで密偵として一緒に居る所をさんざっぱら見られてるんだぜ?」
「そりゃあ、そうですが‥‥」
 色々と納得いかないようで酒をちびちび嘗めつつぼやく御神村、二人の様子を見れば、はっきりしていないのは当人たち同士であることが良く分かってか、からかう役宅の人間を思い浮かべて思わず笑いを漏らす平蔵。
「第一、お前ぇがずばっとはっきり自分の気持ちやら何やら出せば、まだ向こうも反応しようがあるだろうによ」
「それはつまり‥‥えーと‥‥当たって砕けろということですかい?」
「あたりもせずにはどーにもならねぇだろ? ま、骨は拾ってやるからどーんといけ」
「ちょ、旦那、それは砕けること前提ですかい!?」
 慌てる御神村に、その様子が可笑しかったか呵々と笑い声をあげる平蔵。

「何やら、今聞き覚えのある声がしたような気もするが‥‥まぁ、気のせいか」
 どこか慌てふためいた声と笑い声が聞こえた気がした舞が首を傾げますが、その辺りはこういった蕎麦屋の座敷、何がはっきりと聞こえるわけでもないからか、深く気にするのはやめた様子で。
「どちらにしろ、あまりにも避けられ続ければ、どのように御心の強い殿方でも、心が折れてしまいまする」
「そうよねぇ‥‥それでなくても、やっぱり密偵同士なのに避けていれば、御役目に響くのではなくて?」
「うう‥‥そ、そうは言うが‥‥その、ここのところまともに話してもいないのに、どんな顔して会えば良いと‥‥」
「そこのところは貴由が避けていたのだもの、私たちどうこうできる問題ではないのではないかしら? ‥‥それにしてもここの葛餅はもちもちした触感でいて、さらっと食べられて、本当に美味しいわね。思わず沢山食べてしまったわ」
「‥‥」
 それぞれの言葉に目を伏せている貴由、舞はと言えば心行くまで甘味を楽しんだか、御茶を飲んで満足そうにゆったりとした息をつきます。
「とりあえず、一度落ち着いてお話しされてみては如何に御座いますか?」
「そうね、いつまでも避けていられる問題じゃないわよ?」
「ぁ‥‥う、うん‥‥そう、だな‥‥」
 久栄と羽澄に言われて、何とかそれだけ返す貴由に、舞はちらりと目を向けて、本当に大丈夫かな、とばかりに先程一瞬耳にした聞き覚えのある声の主を思い浮かべているのでした。

「お?」
「あら、まぁ‥‥」
「何だお前ら揃って。挙句にうちの女房殿まで」
 特にお互い潜んで来ているわけではないからか、女性陣が座敷を出て履き物の支度をしていれば、後から出てきた平蔵と御神村は店の入り口でばったりと女性陣四人に出くわして。
「こちらでは甘味がとても美味とのこと故、お誘い頂きました」
「ほう、それは良かった。俺の方は一息ついたところだし一杯となってな。甘味でこの店となると、舞か?」
「長谷川様は、酒に蕎麦といったところで?」
「あら、貴由どうしたのよ」
「あー‥‥」
 平和に会話をしている平蔵夫妻に舞、思わず羽澄の後ろに隠れる貴由に、困ったような声を漏らす御神村。
「よぅ、久しぶり。あー‥‥それで、その‥‥貴由、あのな‥‥?」
 とりあえず羽澄へと挨拶をした茉織は、羽澄の後ろに隠れている貴由になんと言っていいのか迷うように言葉を探していたのですが。
「あ、お、おい?」
 身を翻して逃げ出す貴由に、ぽつねんと戸惑いの表情のままになすすべもなく見送った御神村は‥‥。
「やっぱり逃げられてんじゃねぇですか!?」
「ま、気長にやるこったな」
 慌てて逃げていく貴由を笑って見送る平蔵に思わず眩暈を覚えて言う御神村ですが、平蔵は低く笑うとぽんぽんと御神村の肩を軽く叩きます。
「もう、言った矢先だというのに、貴由ったら‥‥」
「ま、直ぐ直ぐにどうなるものでもあるまいしな」
 どうしたものかと頭を抱える御神村を尻目に、残った皆は仕方のないとばかりに笑いながら、走り去った貴由を見送っているのでした。
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2009年12月14日

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