▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『〜夢のような世界で〜 』
シーヴ・王(ga5638)
 甲板に一組のカップルが立っている。
 背の高い男はタキシードを着ていて、イブニングドレスに身を包んだ小柄な赤毛の子をエスコートしていた。
 空からは雪が舞い降り、冬らしい世界を作っている。
「ドレス姿のシーヴを見ることって中々無いから新鮮だね‥‥綺麗で似合ってるよ」
 タキシードを着たライディ・王は赤毛の恋人‥‥否、伴侶であるシーヴ・フェルセンに微笑みと共にコートをかけた。
「あ、ありがとう‥‥です」
 気になっている自分の気持ちを見透かされ、シーヴはコートをかけられながら頬を赤くする。
「雪を見るとスウェーデンを思い出しやがるです‥‥」
 空を見上げながらシーヴは自らの故郷である森と湖の白い国のことを話し出した。
「俺のところは雪が良く降った訳じゃないから珍しいかな? ホワイトクリスマスをちゃんと迎えるようになったのはラストホープに着てからだね」
 ライディも吊られて空を見上げ、雪の冷たさを頬で感じ始める。
「そんな二人が出会って、今こうして一緒にいるなんてすごいです‥‥」
 目じりを下げて優しく微笑みを浮かべてシーヴはライディを見上げた。
「そうだね‥‥出会えて過ごせているなんてすごいよね」
 生まれも育ちも違う二人が小さな人工島での同居生活をし、結婚も果たした仲になるのは奇跡に近い。
「冷え込んでくるんで、そろそろ中にいくです」
「ディナーの時間だから食事にしようか」
 コートを羽織ったシーヴの手をとりライディはラウンジの方へとエスコートしていった。
 
〜今夜に乾杯〜
「シャンパンいかがですか?」
「じゃあ、俺だ‥‥」
「二人分お願いするです」
 ウェイターがビンを持ってやってくるとシーヴはシャンパンを頼む。
 二人のグラスに白い液体が注がれた。
「今日は特別なんですから、一杯くらいいいです?」
「一杯だけね? じゃあ、今日という日に‥‥」
「乾杯‥‥です」
 シャンパンの酸味が喉を潤していると、前菜からテーブルに並び始めた。
「すごく豪華‥‥ちゃんと食べるならボーナスじゃ‥‥」
 言いかけたライディの口をシーヴは指を当てて止める。
「その辺はいいっこなしです。今夜くらい仕事のこと忘れて欲しいでやがるです」
「ふふ、そうだね‥‥じゃあ、食べようか。逆にこういうマナーは俺が苦手だから教えてくれるかな?」
 コース料理を前に苦笑するライディへシーヴは自分を真似るようにいってから料理を食べた。
 手の動きを興味深げに眺めるライディの姿にシーヴの口元が綻ぶ。
「じろじろ見ているのはマナーがよくねぇですよ?」
「あはは、そうだね。ごめん‥‥ええっと、こっちがこうで‥‥」
 箸が上手いのにナイフとフォークの使い方に戸惑うライディをみると、箸を使っているときの自分もこうなのかなとシーヴは思った。
「お互い様でありやがるですね。釣り合いが取れてよかったです」
「ん? ‥‥何かいった?」
 ライディに聞こえないほどの小さな声でシーヴは呟きやってきたメインディッシュを味わう。
 デザートとコーヒーまですませると、ホールからゆったりとしたダンスミュージックが聞こえてきた。
「丁度いいです。ライディ、一緒に踊ってくれるですか?」
「もちろんだよ。こういうときは‥‥Shall We Dance? というべきかな?」
 口元をナプキンで拭いたシーヴが椅子から立ち上がって手を差し伸べるとライディも同じように立ち上がりその手を軽く握る。
 二人の夜はまだこれからだ。
 
〜ダンシングナイト〜
「初めてダンスしたのはあのウェスタンバーでしたね‥‥」
「あの頃はお互い緊張していて、酷い踊利だったね」
 シーヴの呟きにライディが答える。
 覚えていてくれたことに嬉しくなり、シーヴの顔が思わず緩んだ。
 フォークダンスよりも酷い踊りだったが、今はお互いに息のあったワルツを踊っている。
(あの頃はこんな風になるなんて思っても見なかったです)
 踊っている手が重なると、そこにはお揃いの結婚指輪が輝いていた。
 付き合きあいはじめてから紆余曲折あったが、今はこうして伴侶としてライディの傍にいる。
 シーヴには昔の自分が今こうしていることが予想できたかと考え、思わず笑った。
「どうしたの? 踊りながら笑いだしたけれど‥‥」
「なんでもないです」
 笑顔でごまかすとシーヴはそのままリードするように踊り続ける。
「うわっ、ちょっと!?」
 バランスを崩しながらもライディは懸命にシーヴへついていった。
 その手を離さないようにぎゅっと握り締めて‥‥。
 
〜夢の終わり、そして本当の始まり〜
「‥‥ーヴ。起きて、シーヴ」
「う、ライディ?」
 ダンスを踊っていたところまでは覚えていたシーヴが目を開けるとそこは住み慣れたスタジオ兼住居のリビングである。
「こんなところで寝ていると風邪ひくよ? シャンパン買ってきたけど、疲れているならゆっくり休んで起きてからパーティしよか? まだお昼だから時間もあるしね?」
 コートにシーヴが編んだマフラーをつけたライディは片手にシャンパンを袋に入れて持ちながらシーヴの顔を覗いていた。
「‥‥料理作りかけで転寝していたみたいです」
 朝から料理を仕込み、二人だけの小さなクリスマスパーティの準備を進めていたのである。
「俺の誕生日でもあって、二人だけのクリスマスは今日がはじめてだね。一緒に楽しく過ごそう」
「はいです」
 微笑みかけてくるライディへシーヴは笑顔を返した。
 
 夢よりももっと素敵な現実がすぐそこまでやってきている‥‥。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
【整理番号 / PC名      / 性別 / 年齢 / クラス  】
 ga5638  / シーヴ・フェルセン/ 女  / 18 / ファイター】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
いつもお世話になっています。
橘真斗です。

このたびも発注ありがとうございました。
甘めのノベルに仕上げてみたのですがいかがでしょうか?

NPCとしてこのような愛されているノベルを書けるのはライターとしてとても嬉しく思います。
ここから先が大変かとは思いますが、末永くお付き合いいただければと思います。

WS・クリスマスドリームノベル -
橘真斗 クリエイターズルームへ
CATCH THE SKY 地球SOS
2009年12月22日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.