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『総帥に甘酸っぱい青春は許されない(子虎談) 』
白虎(ga9191)

「ふみゅ、折角だからお姉ちゃんと初詣に行くのにゃ♪ デートにゃ♪」
 折角のお正月なのだからと白虎(ga9191)は魔王娘、キルメリア・シュプール(gz0278)を誘って初詣に行こうと企み、もとい計画していた。
「は? 折角のお正月だって言うのに何で新年早々からあんたの顔を見なくちゃいけないわけ? でもどうしてもって言うなら行ってあげてもいいわよ、感謝なさい、ヘタレ」
 相変わらず素直な言葉で「誘ってくれてありがとう」と言えないキリーの返事は貰っていたし、白虎はその日を楽しみにして年を越したのだった。
 しかし、彼はしっと団総帥――新年から女の子と『きゃっきゃうふふ』なんて許されない宿命の元に生まれた少年なのだ。
「何か楽しい事ないかな〜☆ あれ? 白虎くん」
 白虎と『トラリオン』というショタっ子コンビを組んでいる相方である神崎・子虎(ga0513)が白虎が極秘にしている計画を知ってしまったのだ。子虎はしっと団協力者として数々のカオステロを白虎と引き起こしている人物であり、白虎にとっても危険人物である。外見も白虎と同じで女の子にしか見えないが立派な男の子なのだ。
「‥‥楽しいことみ〜〜っけ」
 にっこりと心から楽しそうな笑顔で子虎が呟き、白虎とは別の意味で当日が楽しみで仕方なくなってきたのだった。

 そして当日――‥‥。
「お姉ちゃん、あけましておめでとうなのにゃー☆」
「挨拶なんて形の残らないモンはいらないから金寄越しな。っつーか寒いのよ!」
 ばちん、と新年早々一発目のキリー暴力が炸裂して「にゅあああ‥‥」と白虎は叩かれた頬を押さえて涙目で耐える。新年早々殴られるという事はきっと今年1年もキリーによって殴られる年になってしまうのだろうか‥‥?
「ぷ、白虎君ったら早速殴られてる」
 子虎はビデオカメラでキリーと白虎の様子を撮影しながら小さく吹き出す。
「でも確か初詣に行くとか言ってた気がするのに、何で山に登ってんだろ」
 かくりと首を傾げながら子虎は呟き、白虎達を見失わないよう、そして2人の後をつけているのがバレないように静かに行動をするのだった。

「‥‥白虎、どういう事か私に分かるように説明してくれるかしら? いますぐに」
 ひゅおおおおおお、と冷たい風が吹き荒ぶ中、目の前の状況をあまり理解したくないキリーが白虎へと問いかける。本気で怒っているのか今日は本気で魔王の怒り表情であった。
 現在の2人(そして後ろからついてきている子虎)の状況――それは、何故か目の前で繰り広げられる超人のような能力者達の雪合戦。普通の雪合戦ならばキリーも100%魔王降臨はしなかっただろうが、何故かその能力者達が投げている雪玉、軽く時速数百キロを超えているような気がしてならない。
 雪玉が目の前を行きかうたびに『ごおおお』という風切り音が聞こえ、地面に落ちた雪玉は土煙ならぬ雪煙を撒き散らしている。
 つまり、簡単に言ってしまえば初詣に行こうと山に登ったはずが何故か超人能力者達の雪合戦に巻き込まれちゃった――という感じである、テヘ☆
「テヘじゃないにゃー!! 何故こんな事に‥‥! その前に『テヘ☆』って言ったのは誰にゃー! 出てくるにゃー!」
 白虎が頭の中に飼っているナレーターに対してツッコミを入れるが、勿論キリーにも子虎にもナレーターの声は聞こえない。だって彼の頭の中にいるんだから。
「何か、良い具合に壊れてきてるなぁ、白虎君‥‥」
 笑いを堪えながらも子虎は壊れゆく白虎を撮影していく。
「落ち着けっつーの! 最初に質問してンのは私! 頭の中の住人と会話する前に私の質問に答えなさいよ!」
 ずべし、とキリーからチョップを食らわされて白虎が「にゃん!」と叫ぶ。当たり所が悪かったのだろう、瞳に涙をためながら「ぼ、ボクにもわかんにゃいにゃー」と言葉を返した。
「っていうか、何で初詣に行くのに山に登るのよ、近くに神社があったでしょうが。それとも何? 山頂で宇宙人と交信でもするわけ? このば――『ひゅん』――‥‥」
 キリーが白虎を説教していた時、白虎とキリーの間を豪速球の雪玉が抜けていった。あんなものが直撃してしまえば『痛い』では済まされないだろう。
「こ、こんな場所からは早く逃げるにゃ! にゅあ!」
「ちょ、いきなり引っ張らないで――って何コケてんのよ、あんた‥‥は‥‥?」
 白虎がキリーを強く引っ張ったせいだろうか、白虎は雪でスベってしまいキリーの方へと倒れてしまう。
「‥‥いたた、お姉ちゃん大丈夫ー? ‥‥に、にゃーん‥‥」
 キリーの上に倒れこんだ白虎は顔を一気に青ざめさせる。彼女の上に倒れこんだまではよかった、怒るだろうけれどそこまではキリーも100000000万歩譲って許す事が出来たかもしれない――しかし、白虎の手はキリーの胸のところに置かれており、キリーは怒り爆発寸前である。
「‥‥へぇ、もしかしてこういうことする為に山へ連れ込んだわけ? へぇ、そうなんだ? こンのエロガキがぁぁぁぁ!」
「にゃあああ、ち、違うのにゃ! 今のは事故にゃ! 予期せぬ事故なのにゃー!!」
 キリーの投げる雪玉を白虎が避けながら言い訳をする――しかし大勢の超人能力者達の中に何故か見知った顔がいるような気がして一度外した視線をもう一度戻す。
「「あ」」
 そこにいたのはトラリオンの相方である子虎だった、しかもビデオカメラを手に持って凄く楽しそうな笑顔を向けて「やっほー」と手を振っている。
「にゃああああ! 何やってるにゃーー!!」
 慌てて白虎が大声で子虎へと言葉を投げかけると「でばがめー!」と言葉が返ってくる。
「もちろん、さっきのもばっちりしっかり撮ったよー!」
 子虎の言葉を聞いて白虎の顔色がまるで雪山で遭難でもしたかのように青ざめていく。キリーとデート(白虎はそう思っている)している所を撮られただけでもしっと団員達に何を言われるか分かったものではないのに、先ほどの『予期せぬ事故☆イヤン』までしっかり収められているのだ。
 これがもし他のしっと団員たちの手に渡ってしまえば‥‥恐らく予想するのも嫌な状況が待ち受けているに違いない。
「返すのにゃー! そんなビデオなど壊してくれるにゃーー!!」
 雪玉を投げつけて子虎を攻撃するのだがさすがに白虎の相方を務めるだけの事はある、全て避けきった後に「この後もデート続けていいよー」と言葉を投げかけてきたのだった。
「ちょっと! 私の話はまだ終わってな「今は一刻を争う事態なのにゃ!」‥‥つまり、あんたは私に対してちっとも悪いとは思ってないわけね?」
「にゃにゃにゃん、そんなことはないのにゃ! ただ、あぁぁ‥‥見失っちゃうにゃー‥‥」
「あとで覚えてなさいよね、どれ? 誰を捕まえればいいのぶふっ‥‥」
「あ、狙いが外れちゃった」
 子虎が少し遠くからカメラを構えたまま雪玉を投げてきたようで、白虎には直撃せずに隣に立っていたキリーの顔面へと直撃してしまった。
「‥‥あいつね、あいつを捕まえればいいのね? 私に雪玉を投げたこと‥‥顔面に雪をねじ込んで後悔させてやるわ!」
(「にゅー、結果的に良い方向に動いてるからオッケーなのにゃー」)
 白虎は子虎を、キリーは雪玉の恨みを晴らす為に逃げ回る子虎を追いかけ始めたのだった。
「はっ、お姉ちゃん、あぶにゃ――にゅあ‥‥っ!」
 キリーの方向に超人雪玉が飛んできて白虎が庇おうとしたのだが、キリーは白虎の腕を引っ張って自らの盾にする。
「にゃー‥‥結果的に同じ事してるはずなのに、何か納得いかにゃいにゃー‥‥」
 ぐったりとしながら敵は子虎だけじゃない事を知り、白虎はよろよろしながら子虎追いかけを再開する。
「こうなったら‥‥! お姉ちゃんはあっちから回っ「何、私に命令してんのよ(ばしっ)」‥‥命令じゃなくてお願いにゃー」
 話を途中で遮られたあげく頭を叩かれて白虎が言葉を返した。結局、白虎の言う通りに動いてキリーと白虎は子虎を挟む形になった。
「よくもさっきはやってくれたわね!」
 じりじりと詰め寄るキリーに子虎は「うーん、どうしよう」と呟きながら逃げ場所を探す。キリーは目の前にいて、白虎は後ろといえど少し小高い場所から子虎を見ている。逃げるチャンスがあるとすれば白虎の方だ、そう考えて子虎はキリーに背中を向けて走り始める――しかし、これが白虎の狙いであった。
「一体何をするつもりなのかしら、あのばか、は‥‥?」
「にゅははははは! これでも食らうにゃー!」
 白虎は巨大な大雪玉を子虎目指して転がし始める。さすがの子虎もこれは避けられなかったようで、雪玉に巻き込まれてしまった。
「ボクに勝とうなんて百年早いの‥‥にゃー!! お姉ちゃん逃げてにゃー!」
 しかしここでまたもや白虎の誤算が入る。子虎をも巻き込んだ大雪玉がキリーの方にも向かっていた事だ。
「きゃああぁぁぁぁぁぁ‥‥」
 キリーも大雪玉に巻き込まれてごろごろと転がっていく。そして暫く転がった後、子虎とキリーを巻き込んだ大雪玉は岩壁にぶつかって止まる。
「お、おねえちゃーん!」
 ざくざくと大雪玉を崩しながら巻き込まれてしまったキリーを探すと、ぐったりとしたキリーが雪玉から出てきた。
「お、おねえちゃん! 大丈夫かにゃ‥‥!?」
「‥‥なんでこんな事に‥‥何か寒いし、眠たくなってきたし‥‥」
「にゃー! 起きるにゃー! 寝たら死ぬのにゃー!」
 慌ててべしべしとキリーの頬を(軽く)叩きながら白虎が懸命にキリーを起こそうとする。
「‥‥私、もう‥‥」
「お、おねえちゃーん!」
「我慢の限界なのよ! 今まで以上に辛く当たってやろうか!? このバカ! 新年早々人を雪玉に巻き込んで、何遭難したみたいな台詞吐いてんのよ!」
 我慢の限界なのよ、その言葉と同時に勢いよくキリーが起き上がって白虎に頭突きを食らわした。
「い、いたいにゃー‥‥!」
「自業自得でしょ! バカ虎!」
 そして何か視線を感じて2人が近くの木の方を見ると‥‥子虎が再びカメラを回していた。
「にゃー! 何で無事なのにゃー! っていうか何時の間にでてきたのにゃー!」
「あ、僕の事は気にしないで続きをどうぞ」
 にこにことビデオをまわし続ける子虎に「そもそも、そんなビデオがなければボクが叩かれる事もなかったのにゃ!」と駆け出していく。
 勿論その間にも超人雪玉などは飛んできており、白虎の苛々メーターは上昇していく。
「にゅあー! どいつもこいつも邪魔ばかり! こうなったら雪崩でも起こして邪魔者を始末するしかぬぁい!」
「いくら白虎君でも雪崩なんて起こせるはずないじゃないか、と言う事でこれは皆に見せておくね。白虎君の密着プライベートとして♪ きっと皆喜ぶよ」
 子虎はにこにこと笑って言葉を返す。きっと『喜ぶ』と書いて『面白がる』と読むのだろう。
 しかしここで奇跡は起きた。ゴゴゴゴ、と言う音が響き渡った後、白虎の言う通り本当に雪崩が起きたのだ。
「これでビデオは葬られる! これでいいのにゅああああ‥‥」
 しかし雪崩が起きた時、既に子虎はビデオを持って嬉々として帰った後だった。白虎の言う通り雪崩が起きるという奇跡は起きたけれど、その奇跡はあまり白虎にとって意味のない奇跡に終わってしまった。
「‥‥覚えてなさいよ、バカ虎‥‥!」
 雪崩に飲まれながらキリーはじろりと白虎を睨みつけたのだった。

「ねぇねぇ、これ見てよ。この前3人で遊んだ時のビデオだよ」
 帰った後、早速子虎はしっと団員達に見せており、疲れ果てて帰った白虎に再び災難が襲い掛かるのだった。
「あー、今日は楽しかったな♪ 他にも楽しいことないかなー☆」
 満足したように子虎が呟き、次の『楽しいこと』を探しに行ったのだった。


END


―― 登場人物 ――

ga9191/白虎/10歳/男性/ビーストマン

ga0513/神崎・子虎/15歳/男性/ファイター

gz0140/キルメリア・シュプール/13歳/女性/サイエンティスト

――――――――――

白虎様>
子虎様>
こんにちは、いつもお世話になっております。
今回は『テラネッツ八世界冒険ノベル』にご発注いただき、ありがとうございました!
ちょっと‥いや、かなり好き勝手させていただいた感がありますので、リテイクなどありましたら遠慮なくお申し付け下さいませ。

それでは、今回は書かせて頂きありがとうございましたっ。

2010/1/4
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水貴透子 クリエイターズルームへ
CATCH THE SKY 地球SOS
2010年01月05日

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