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『魔王様とバレンタインデー 』
白虎(ga9191)

ハッピーバレンタイン♪
は? チョコが欲しいの?
何で私があんたにチョコをあげなくちゃいけないの?
理由を5文字以内で答えなさいよね。

※※

バレンタインデーが近い事もあって、世間は少しだけ浮ついた様子が伺える。
例えばデパートに行けば必ずバレンタインデー専用のチョコレートコーナーがあるし、そのコーナーでチョコを探す女の子たちもいる。
「何でこんなモンに夢中になるのかしらね、まったくもって理解できないわ。お菓子会社が儲かるだけじゃないの」
ぶつぶつと文句を言いながらキルメリア・シュプールは手に持ったカゴの中に色々と投げ込んでいく。
文句を言いながらも彼女はこんなイベントは大好きだったりする。

「あれ、手作りにするの?」

知り合いの能力者がキルメリアを見かけて話しかけてくる。

「何よ、私が手作りしたら悪いっていうの? あんたみたいなブサイクはきっと一個ももらえないんだから今から女の機嫌でも取って一個くらいは貰えるように努力したらどうなの?」

相変わらずの毒舌で言葉を返すと男性能力者も「あ、あはは」と苦笑して言葉を返す事が出来なかった。

「とりあえずこれくらいでいいわね」

ふん、と言葉を残してキルメリアはレジへと向かっていく。
そして後日――このような手紙が届いた。

『Dear バカへ

チョコレートを作るから手伝いに来なさいよね。
来なかったら今度会った時に酷い目に合わすからね、その辺ちゃんと理解しなさいよ、ヘタレ。
っていうか、この手紙読んでる暇があったらさっさと来なさいよ、バカじゃないの。

        キルメリア・シュプール 』

しかし、彼女の家で待ち受けているのは甘い雰囲気でチョコレートを作る事ではなく‥‥。
チョコレートをエサに呼び出した能力者達を苛めるためにキルメリアがせっせと仕掛けた罠の数々だったりする。
キルメリア・シュプール‥‥彼女は自分が楽しむ為だけに莫大なお金をかけて罠を仕掛けていたのだった。

視点→白虎

 その日の白虎は少しだけそわそわとしていた。
 その日の白虎は『しっと団総帥』ではなく、ただ1人の少年だった。
 その日、白虎はキルメリア・シュプールから呼び出されていた。
「チョコレートを作るから手伝いに来いって‥‥にゃー、もしかしたらキリーお姉ちゃんからチョコが貰えるかも?」
 にゅあー、と顔を赤くしながら手をぱたぱたとしている白虎の姿はもはや『しっと団総帥』としての威厳も何もなかった。
「こんにちはにゃー」
 屋敷からかなり離れた所にある門の所に立って、白虎はインターホンを鳴らす。ここでうわついてはいけない、きっとキリーの事だから何かある――と気を引き締めた時だった。
「にゅぶぁ‥‥っ!」
 インターホンの下に不自然に取り付けられた場所からグローブをつけたバネ仕掛け――パンチングが白虎の顔面を襲う。
「にゃ、にゃー? い、一体何が起きたにゃ!」
 鼻を押さえて白虎が状況を把握しようと必死に頭をフル回転させていた時だった。
「きゃははは、引っ掛かったわね!」
 なんとも楽しそうな声がインターホンのスピーカーから聞こえてきた。
「あー、笑いすぎてお腹が捩れそう‥‥とりあえず鍵は開けてあるから勝手に入ってきなさいよね」
 仕掛けに関しての謝罪は一切なく、キリーはそれだけ言葉を残してブチンとスピーカーを切った。
 そして残された白虎は、呆然としながらも現在の状況を少しずつ把握し始めていた。キリーがチョコレートをくれる為に自分を呼んだのではなく、自分の暇潰しの為にチョコレートをエサにして呼び出されたという事に‥‥。
「くっ、チョコが貰えるかもと少しでも期待したボクが馬鹿だったにゃ‥‥それなのに待っていたのは罠っ! いやしかし、こんな事だろうとは思っていたにゃ‥‥ボクはしっと団総帥、世の中のバレンタインデーに現を抜かしていてはいけないのにゃ」
 がくりと膝折れながら白虎は必死に自分を慰める――が。
「だが‥‥例え一兆分の1の確率だろうと‥‥お姉ちゃんからチョコが貰えるかもって思ったら‥‥来ないわけにはいかないだろうっ!」
 拳を強く握り締め、きりっとした表情で叫ぶ白虎。やはりキリーからのチョコが欲しかったというのが白虎の心の奥底に、そしてかなり心の浅い部分にある本音だったりする。
「何1人でぎゃあぎゃあと喚いてンのよ、さっさと入って来なさいよね、ヘタレ」
 再びパンチングを白虎に仕掛けながらキリーがスピーカー越しに話し掛ける。2発目のパンチングを受け、白虎は『ゴゴゴゴゴ』と自分の中で燃える何かに気づく。
「やっぱり腹立つにゅああああ!!!」
 白虎の悲しみと怒りの咆哮がキリー宅(門の所)で響き渡るが当の本人であるキリーは聞いていないというオチつきだったりする。
「いいだろう‥‥ならば戦争だ!! バレンタインにしっ闘士をチョコで釣るという行為が何を意味するのか教えてやるぅ!」
 恐らく、この時点で白虎に適うしっ闘士はいるまい。キリーからチョコがもらえない、その事だけが白虎のしっとボルテージを限界突破させたのだから。
 白虎はすちゃっと巨大ハンマーを構えて「にゅあああ」と突撃をする、その行動はもはや大規模作戦にすら匹敵するのではないだろうかと思うくらいの迫力だった。
「罠なんてぶっ壊すにゃー!」
 白虎は叫びながら玄関から屋敷へと入るのだが、ばら撒かれたオイルによって転んでしまい、階段の上からはキリーが極上の笑顔を見せていた。
(「ヤバイ! この笑顔はヤバイにゃ‥‥っ!」)
 そう白虎が心の中で呟いた瞬間『シンニュウシャ、ハッケン、マッサージシマス』という機械的な声が響く。
「マッサージかよっ! にゅあ、ツッコミを入れてる場合じゃないのにゃ!」
 ロボットのようなマッサージ機が素早く白虎を掴み、そして椅子部分に座らせる。
「にゅおあああああ‥‥」
 ゴキゴキバキバキと鈍い音を立てながら『マッサージ(という名前の拷問)』が行われ、不覚にも白虎は一瞬だけ意識を失いそうになった。
「オキャクサマー、カユイトコロハナイデスカー?」
 ロボットは呟いた瞬間、白虎の頭をマッサージし始める。
「にゅああああああ‥‥」

 その時、ボクの頭には潰されるトマトが思い浮かびました。

「‥‥はっ! 潰されてたまるか!!」
 白虎はハンマーを握り締め、マッサージ機(自称)を壊して逃げる。
「‥‥やっぱり1つじゃダメね」
 その様子を見ていたキリーは持っていたスイッチを押す。ちなみにマッサージ機は残り4つ存在しており、その全てを白虎にけしかけた――という事をまだ彼は知らない。
「もう怒ったにゃ‥‥ボクの心を弄んだだけではなく、あんな殺人マッサージ機まで‥‥! にゅあああ、な、な、なななな‥‥」
「シンニュウシャ、ハッケン」
「ボクラのレンケイぱわーデ」
「シンニュウシャヲ」
「マッサージシマス」
 目の前に現われたるは4つのマッサージ機、しかもなにやら先ほどのマッサージ機とは違い、刃物などの物騒なものまで持ち出している。
「ツイデニ」
「カミノケマデキッテアゲマショウ」
「ボクタチッテ」
「ヤッサシー! オトコギアフレルもひかんニシテアゲマース」
 逃げようにも2つによって退路をふさがれ、残り2つはハサミやカミソリをしゃきんしゃきんと鳴らしている。
「ここで敗れてはしっと団総帥の名が廃るにゃー!!」
 うおおおお、と突撃をした白虎だったが4対1では勝てるはずもなく‥‥「にゅあああ」と叫びながら廊下へと倒れた。
 しかし倒れたのはぬいぐるみ、倒れる瞬間に変わり身の術を使っていた――のだがぬいぐるみの中にはしっかりと白虎が入っているため、変わり身と呼べるかどうか少しだけあやしかったりする。
「ぬいぐるみ? 何よ、こんなモン使って‥‥卑怯じゃないの」
 様子を見に来たキリーがぬいぐるみ(IN 白虎)をガスガスと蹴りながら不満そうに呟く。ちなみに自分が用意したマッサージ機については卑怯と欠片も思っていないようである。
「にゅはははは、隙ありにゃー!」
 がばっと(痛さに耐えかねて)飛び出した白虎がキリーを取り押さえる。
「きゃああっ! ‥‥って何私を押し倒してンのよ! このえろがきが!」
 ばちーん、と音が響き渡り白虎はマッサージ機ではなく今度はキリーによって吹っ飛ばされる羽目になった。

 それから「飽きた」というキリーの一言からチョコレートを作る事になったのだが‥‥。
「ほら、早くしないと味が落ちちゃうでしょ」
「もうちょっと可愛く作れないの?」
 キリーは指示をするばかりで実は白虎に全て作らせていたという‥‥。
「ふふ、上手く出来たわ♪ お母さん、喜んでくれるかなー♪ あ、あんたはもう帰っていいわよ」
 しっしっ、と追い払うような仕草で白虎を追い返す。
(「いいんだ‥‥別にお姉ちゃんからのチョコなんて‥‥期待してなかったんだから」)
 しょぼーんとしながら白虎が帰ろうとすると「ちょっと待って」とキリーが呼び止める。
「あんたにチョコやってなかったわよね、それをあげるから」
 白虎はキリーの言葉にぱぁっと表情を輝かせたが『それ』を見て一気に表情を険しくする。
 キリーが言う『それ』とはチョコつくりの為に使ったボウルにこびりついたチョコだったのだから。
「お姉ちゃんのバカー!!」
 うわぁぁん、と夕日に走るように白虎は泣き真似をしながら帰っていったのだった。


 そしてバレンタインデー当日‥‥。
『これをあげるから感謝しなさいよね』
 差出人不明の荷物が白虎宛に届き、中を開けると‥‥。

『ぶっち義理』

 そう書かれたハート(しかも真ん中から割れている)のチョコレートが箱の中に入っていたのだった。


END


―― 登場人物 ――

ga9191/白虎/10歳/男性/ビーストマン

―― 特別登場人物 ――

gz0278/キルメリア・シュプール/13歳/女性/サイエンティスト

――――――――――

白虎様>
こんにちは、いつもご発注ありがとうございます。
そしてごめんなさい(ぁ
相変わらず白虎君を酷い目(←)にあわせてしまっていますが‥‥
だ、大丈夫でしょうか?
少しでも楽しんでいただける内容に仕上がっていれば幸いです。
ちなみにキリーが用意したチョコは全て同じものですのでご安心を(ぁ

それでは、今回は書かせて頂きありがとうございました!

2010/2/8

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2010年02月08日

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