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『甘恋物語〜哀‥‥震える、アイ〜 』
奉丈・遮那(ga0352)

 リネーアさんがバレンタイン用のチョコを作ってるといわれれば勿論いただきます
 
 でも、試作品を貰ってる自分は当日もらえないんじゃないか?
 
 まだ、僕とリネーアさんは友達ですし義理チョコなのは仕方ないとして‥‥
 
 ああ、なんだか意識が‥‥
 
〜夢、それとも‥‥〜
「‥‥さん、‥‥なさん、遮那さん! 大丈夫!?」
 奉丈・遮那が目を覚ますと、目の前に青白いリネーア・ベリィルンドの顔が視界に入ってきた。
 彼女の顔の後ろには天井が見え、彼女の顔の下には特徴的なバストがある。
 意識が段々と戻ってくると、遮那は自分の頭が柔らかいものの上に乗せられていることに気付いた。
 柔らかさと共に暖かさもある‥‥そう、これは膝枕。
「あ、ああ!? はいっ、だ、大丈夫です」
「急に倒れたから、心配で‥‥。本当に大丈夫? タオルもう少し冷たいほうがよかった?」
 冷たいタオルが乗せられているようだが、その冷たさを感じる余裕は今の遮那にはない。
「いえ、そうではなく‥‥とにかく大丈夫ですから」
 このままゆっくりできればもっと距離が近づきそうなものだが、予想外のチャンスに対応できない遮那は立ち上がって椅子に座りなおした。
 記憶をゆっくりとさかのぼる。
 確か、リネーアにバレンタイン用のチョコの試作品を食べないかと誘われて当日もらえないかと不安を抱いていたところまでははっきりと覚えていた。
「ああ‥‥ビール入りチョコでしたっけ、そう、それを食べました」
「ええ、その後急に倒れてしまったから‥‥口に合わなかった?」
「えーと、その‥‥凄い味でしたとしかいえません」
 頬を掻くと涙の後を指がなぞる、涙を堪えて絶句したことがフラッシュバックして遮那の脳裏に蘇ってくる。
 たとえようの無い味で、ビールを入れたチョコが果たしてここまで変わってしまうものなのか理解に苦しむくらいだった。
「あの、材料は何をいれたのですか? ビール以外でです」
「ええと、確かこの本には好きなものを入れるといいとあったから、ピーナッツとか、ブランデーを少々」
「普通‥‥ですね‥‥」
「あ、あと‥‥スルメとか、塩辛とかを隠し味にいれたわ。チョコと一緒に食べても美味しいのよ」
 そ・れ・だ! と遮那は心の中で叫ぶ。
「一応、出来上がったら配るつもりなんですよね? また何か凄い噂が増えそうですから別のにしましょう」
 拳を思わず握り、流れる汗を無視しながら遮那はリネーアの説得に出た。
 バレンタインの翌日にバグアのテロとして片付けられそうな気もするが、リネーアが犯人となってラストホープタイムズに載っては一大事である。
「そう? じゃあ、どんなものがいいかしら?」
「こんな凝ったものにしなくても、リネーアさんから貰えるってだけで皆さん大喜びだと思いますし」
 『僕も含めて』と口にしたかった遮那だが、喉元まででかかった言葉をここで飲み込んだ。
「では、時間を取り戻すように頑張りましょう。これでも少しは手伝えると思いますから」
「ありがとう、じゃあ、がんばりましょう」
 遮那は微笑みかけながら腕まくりをする。
 リネーアも吊られて微笑を返した。
 やっとみれたリネーアの笑顔に遮那は本当に落ち着くことができたのだった。

〜チョコを作ろう〜
 後日、リネーアと遮那が兵舎にあるUPC食堂を借りて義理チョコ作りに専念する。
 時間は13日の夜、もうギリギリの作成だった。
「できたわ」
「できましたね」
 チョコを湯煎して好みであるピーナッツのみを残して固めたナッツチョコを小分けにしてようやく作り上げる。
 同僚から、交友のある人まで含め100個以上のチョコが並ぶ姿は壮観だった。
「なんとか14日は間に合ったわ。夜遅くまで付き合ってくれてありがとう」
「いえいえ、リネーアさんのためですから平気ですよ」
 エプロン姿のリネーアが収まりきらない胸を揺らして喜ぶのを見れただけでも遮那にとって手伝ってよかったと思える。
 時計の針が12時を刻み、バレンタインデーになった。
「じゃあ、遅いので今夜はこの辺で失礼しますね」
 遮那が片付けを終えて立ち去ろうとしたとき、リネーアが遮那の袖を掴んで止める。
 トクンと遮那の心臓がなった。
 膝枕で目覚めたことといい、ここ数日の展開は遮那の予想を超えていた。
 チョコレートで倒れたことは今、忘却の彼方へと飛ばしている。
「お礼というわけじゃないけれど‥‥」
 バクバクと心臓が早鐘を打ち始め、遮那は呼吸が止まりだした。
 頭ではそんなことは無いと思うけれども、淡い期待をしてしまう。
「これ一つ、あげるわ。それじゃあ、おやすみなさい」
 ラッピングまで終えた手作りチョコを一つ遮那の手に握らせるとリネーアは残りをもって去っていった。
「まぁ、貰えたからいい‥‥かな?」
 自分が手伝って作ったものだが、リネーアの手作りでもある。
 バレンタインに貰えたこのチョコレート、少し勿体無くて食べれなくなりそうな遮那だった。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / クラス 】
 ga0352  /奉丈・遮那/  男 / 31 /スナイパー

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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どうも、この度もありがとうございました。
発注文から膨らませた後半に結構力が入ってしまいましたが楽しんでいただけたでしょうか?

遮那さんの気持ちをイメージして見ましたがドキドキです。

それでは運命の交錯するときまでごきげんよう。
甘恋物語・スイートドリームノベル -
橘真斗 クリエイターズルームへ
CATCH THE SKY 地球SOS
2010年03月19日

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