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『春の宴〜春、始まりの春〜 』
シーヴ・王(ga5638)

 ラストホープの大きな桜の下で待ち合わせ
 桜は自分とあの人の始まりだった
 指輪をつけるまでいったとしても、春にかける想いは今も色あせない
 
〜春、はじまりの季節〜
 桜の花びらが視界を流れていく。
 息を吸えば仄かな甘い香りと肉等の香ばしい匂いが漂い、喧騒が大きくなってきた。
 晴れた空の下、すでに大小さまざまな宴会が開かれているのが分かる。
「春……でやがるです」
 暖かな日差しを受けて少し丘を登り、視界に広がるビニールシートと人の塊を一望しながら求める人物を探した。
「おーい、こっちこっちー」
 探していた人物のライディ・王がシーヴを先に見つけたのか手を振って読んでいる。
 バスケットを頭の上にもっていきながら狭い道を身体を縦や横に動かしながらライディの元へとシーヴは辿りついた。
 桜の木の傍で、程よい日陰があって昼寝をしたら気持ちよさそうな場所である。
「場所取れて良かったでありやがるですね。はいこれ。上手く出来てるといいんですが‥‥」
「ありがとう、少し早いけどお昼に食べようね」
 微笑みを浮かべたシーヴがバスケットをライディに差し出した。
 昔よりもずいぶんと料理の腕は上がってきたが、まだまだ勉強することは多いためやはり心配である。
「もしもーし、俺らを忘れてないか?」
「まぁ、いいんじゃない? むしろお邪魔じゃないかしら」
「場所もないから少し離れていればいいじゃろう。沖那、ジュースの御代わりじゃ」
 ライディがシーヴと応対しているのを同席している沖那とレオノーラ、磨理那が二人のやり取りを温かく見守りだした。
 二人の微笑ましい光景は宴の肴に丁度いい。
 
〜思い出話ぽろぽろ〜
 鉄板で焼いたライディの手作り餃子とシーヴのお弁当がビニールシートの上に広がり、缶入りのカクテルで乾杯をする。
「二十歳になって、やっと一緒に飲める、ですね」
「そうだね、シーヴの方が強そうだけど……」
「ひ、否定しかねるです……」
 約束で20歳までは酒を禁止されていたシーヴは一緒に飲める今日を楽しみにしていた。
 好きな人と何かを共有したいという思いは誰もがもっている。
 喉を通り染み込んでくる微量の炭酸が心地よかった。
「たこさんウィンナーもできるようになったんだね。彩りも綺麗だ」
「握り飯も良い形になってきたのじゃ」
 ライディが褒めると磨理那も広がっているお弁当の中身を覗きながら、おにぎりを一つ手にとって満足そうに頷く。
「磨理那に認められればシーヴもがんばった甲斐があるです」
 お握りの師匠としている磨理那からの褒め言葉はシーヴにとって嬉しいことだった。
 磨理那と出会って1年半ほどだが、多くの料理を教えてくれた師匠として尊敬もし、また可愛い妹分のようにもシーヴは思っている。
「ライディとも出会って二年くらい経つです……あの頃はまだ……恋だと分からないままで、ライディを困らせた、ですよね」
「今日はワンピースだけど、あのときは着物だったね。もう二年なんだ」
 缶を傾けてライディはアルコールを味わいながら顔をほころばせた。
「覚えていてくれて嬉しいです……今日も来るときに思い出していたです。きっと、ずっと桜を見るたびに思い出すですね」
 びゅぅと強い風が吹くとシーヴのストレートロングの髪を持っていき、頭上の枝を揺らして花びらを多く散らせる。
「どうかしたですか?」
 ライディが口をぽかんとあけながらシーヴを見ていたため、髪を押さえていたシーヴは不思議そうに首を傾けた。
「ああ、うん……すごく綺麗だなって……ストレートロングは母さんを思い出すよ」
 照れているのかライディは顔を赤くして頬を掻く。
「ツインテールを卒業したら寂しいかもと思っていたから、よかったです……ライディの母様の話、あまり聞いていなかったですね」
「そうだね……折角だからいろいろと話そうかな?」
 アルコールが入っているためか、ライディはいつもはあまり話さない家族のことについて饒舌に語りだした。
 シーヴはその話を静かに聞きながら、春の新しい思い出の一ページに今日のこと書き加える。
「春はやっぱりいい季節です」
 初めてのことと出会える季節だと、シーヴは改めて思うのだった。
 
〜宴の終わり〜
「ん……あ、れ?」
「おはようです……大丈夫ですか?」
 ライディが目を空けると桜の木をバックに覗き込むシーヴの顔がある。
 日も落ちて、いつの間にか時間がたっていることをライディは感じた。
 そして、頭痛も一緒に……。
「ちょっと、飲みすぎちゃったかな?」
「饒舌だったから気持ちよく酔っていたと思うです……」
「皆は先に帰っちゃったみたいだね」
「磨理那の船もあるみたいだったですし、レオノーラは気を利かせてくれたみてぇです」
 頭を抑えながら上体を起そうとしたライディをそっと指輪のついた右手で押さえて、ライディの指輪のある手を左手で握る。
 『永遠』という名の如く、いつまでも一緒にと願って作った二人の指輪が光を受けて輝いた。
 いつの間にか再び寝息を立てだした夫の耳元へシーヴは顔を近づけてそっと囁く。

 『アイシテル』
 
 大切な人へ贈る魔法の言葉。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名      / 性別 / 年齢 / クラス  】
 ga5638  / シーヴ・フェルセン/ 女  / 18 / ファイター

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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どうも、いつもお世話になっています橘真斗です。
お花見を楽しく、そしてほんわかイチャツキを目指して仕上げてみました。

もう付き合って二年ということですが、長く慕っていただき嬉しい限りです。
これからも続く付き合いとなりますが、宜しくお願いします。

それでは運命の交錯するときまでごきげんよう。
春花の宴・フラワードリームノベル -
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CATCH THE SKY 地球SOS
2010年04月26日

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