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『春日和をあなたと‥‥ 』
レイン・シュトラウド(ga9279)

 今日はぽかぽか良い天気。
 こんな日は誰かと一緒に遊びたくなっちゃうよね。

 春物の洋服を買いに行ってもいいし、食べ歩きをしてもいいし、お花見に行くってのもアリだよね。
 あ、普通に散歩するにも良い天気だし楽しそうかも。

 どうしようかな、色々と楽しそうな事がいっぱいで悩んじゃうけど‥‥。
 他にも何か楽しそうな事がないかな?

視点→レイン・シュトラウド

 今日は天気が良くて、レイン・シュトラウドは買い物へと来ていた。普段、能力者として戦いの場に身を置いている彼にとってゆっくりと買い物など出来る自分の時間というものは非常に貴重なものだった。
「桜ですか‥‥」
 ひらひらと桃色の花びらが舞い散ってくるのがレインの視界に入ってきて、ふと見上げる。そこには立派な桜の木が何本も立っており、まるで桃色の雪が舞っているようにも見えた。
「そういえば、もうお花見の時期ですね‥‥」
 そう呟いてレインは携帯電話を取り出して『舞さん』というアドレスを探し出してから通話ボタンを押す。
「はい、もしもし、舞です」
 数回のコールで電話に出たのはレインが家族以外で一番大切に、大事に想っている少女――室生 舞だった。
「もしもし、レインですけどこれから時間はありませんか?」
 レインは「突然のお誘いで申し訳ないんですけど」と言葉を付け足してから舞からの返事を待つ。先ほども彼女に言った通り、いきなりの誘いなので断られる可能性もあった。だから舞からの返事が返ってくるまでに数秒、レインは少しいつもよりドキドキとして手が汗ばむのを感じていた。
「大丈夫ですよ。今日はお仕事もお休みですから」
 舞ののんびりとした口調で言葉が返され、レインはほっとする気持ち以上に久々に舞に会える事に嬉しさを感じていた。
 それから数時間後に舞を迎えに行く事になり、レインは少し足早に自宅へと帰るとお花見のための料理を作り始めた。メニューはおにぎりやから揚げ、卵焼きなどの定番メニューからデザートに桜餅まで揃えた贅沢弁当。普通ならばもう少し時間がかかるかもしれないが、料理に慣れたレインにとってはこれらを作る事は既に慣れており、そこらの料理好きな人より早く作り終える事が出来た。
「よし、これで準備完了かな」
 桜色の風呂敷に弁当箱を丁寧に包み、中のおかずやおにぎりが崩れてしまわないように丁寧に持って舞を迎えに出発する。
「そういえば‥‥座るところあるかな」
 ふと感じた疑問。先ほど買い物帰りに見た時も花見客でいっぱいであり、騒がしくも楽しそうな光景が広がっていた。
「場所が空いていればいいけど‥‥」
 レインは小さく呟きながら舞が住むクイーンズ編集室へと到着した。舞は既に外で待っており、レインの姿を見つけると小走りで駈けて来た。
「久しぶりですね」
 にっこりと笑う彼女は薄い緑色のシフォンスカートを着ており、春らしい服装だった。
「あ、これですか?」
 レインが舞が持っている小さな箱をジッと見ていると箱を胸の辺りまで持ち上げながら「ケーキ屋さんで桜ケーキというのがあって買ってきたんです」と笑って言葉を返した。
「ボクもお弁当と桜餅を」
 レインも持ってきた弁当箱を見せながら言葉を返すと「わぁ、楽しみです♪」と舞が楽しそうに言葉を返し、2人は花見会場へと向かって一緒に歩き出したのだった。

「お花見の時期だけあって、流石に混んでますね」
 苦笑しながらレインが呟く。買い物帰りのあの時ですら人でいっぱいだったのだから人が少しは減っているかなと言う気持ちはなく「やっぱり」と言う気持ちの方が大きかった。
「あ、あそこに座れそうですね」
 レインが見つけたのは大きな桜の木が一本立つ小高い丘。近くにも人はいたけれど、恐らく誰かが帰ったのだろう。一組分だけぽっかりと穴のように空いていた。
 早速そこへと向かい、シートを広げてちょこんと2人は座る。
「お口に合うといいんですが‥‥」
 レインは少し照れながら弁当箱を広げる。それと同時に「わぁ、美味しそう♪」と喜ぶ舞の姿が見れてレインはほっとしたように笑った。
「ふふ、レインさんの作るご飯ってボク大好きです」
 から揚げをぱくりと食べながら「あ、勿論レインさんも好き‥‥ですけど」と舞は呟いた後に照れたのか顔を赤くしながら語尾がだんだんと小さくなっていた。
(「きっと、こういうのが幸せって言うんでしょうね」)
 レインもぱくりと卵焼きを食べながら桜の木を見上げ、そして優しげに見つめる。
「此処に来るまでは、桜は本でしか見た事なかったですけど、本物はこんなにも綺麗なんですね」
 ポツリと呟いたレインに「あ、そっか」と舞が呟く。日本人である舞にとって桜は当たり前のような馴染み深いものだけれど日本生まれではないレインにとっては、そう馴染みの深いものではないのだろう。
「LHに来て良かったです。綺麗な桜を見ることが出来ましたし‥‥」
「ボクもこんなに綺麗な桜は初めてです」
 レインの言葉に舞も桜を見上げながら目を細めて呟く。
「それに‥‥」
 レインは舞の方を振り返りながら「舞さんと出会う事が出来ましたから」と言葉を付け足した。その言葉は飾りでも何でもなく、レインの心からの本音なのだと舞にも分かっており「ボクもです」と舞は言葉を返した。
「ボクと出会ってくれてありがとうございます。ボクを支えてくれてありがとうございます」
 舞はいくら言っても足りないくらいの「ありがとう」と言う言葉を何度もレインへと投げかける。
 その言葉が嬉しくなったレインは舞をぎゅっと抱きしめて「ずっと、舞さんの傍にいてもいいですか?」とささやくように言葉を投げかける。
「‥‥ずっと、傍にいてくれなくちゃ、イヤです」
 舞からの言葉が返ってくると同時に優しくキスをする。
 きっと、この時の二人は桜にも負けないくらいの顔をピンクに染めていた事だろう。

 また来年も一緒に来よう、そう約束をして二人はもう一度桜を見上げたのだった。


END


―― 登場人物 ――

ga9279/レイン・シュトラウド/15歳/男性/スナイパー

―― 特別登場人物 ――

gz0140/室生 舞/15歳/女性/オペレーター訓練生

――――――――――

レイン・シュトラウド様>
こんにちは、いつもご発注ありがとうございます。
今回はお花見のノベルをご発注いただきましたが、ご希望に添えているでしょうか?
きっと2人は普段からこんなにラブラブなんだろうなぁと思うと、ちょっと執筆しながらニヤけていました(笑)

それでは、今回は書かせていただきありがとうございました!

2010/4/28


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2010年04月28日

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