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『春の宴〜夢の中だけでも二人で……〜 』
綾河 零音(gb9784)

 その日、私は夢を見た
 
 晴れた日の桜の下でお花見をする夢
 
 そこにでてきた人物は私が敬愛する彼だった……
 
〜桜と貴方……そして、私〜
 春の訪れを感じる晴れた空、胸いっぱいに息を吸えば桜の香りが吸い込まれる。
 いつの間にこんなところに来たのか綾河 零音覚えていないが、さわやかな風や楽しく宴会をやっている人々の声を聞くとどうでもよくなった。
「晴れたなー♪ どうしたんだ、コジャック?」
 桜並木を零音がぽてぽて歩いていると、頭に載った仔ライオンが不思議そうに上を向いていた。
 釣られて見上げると、桜の木の上で誰かが缶ココアを飲んでいる。
 窓の桟にでも座るように肩膝を立て、その上に肘をお気ながらリラックスしつつ飲む姿は零音の胸をときめかせるその人に見えた。
 コジャックを肩に乗せ代えて零音は桜の樹を登りだす。
 実家がマフィアであり、荒んだ世界を過ごしてきた零音だが、中身は繊細な恋する乙女なのだ。
 桜の香りに混ざってココアの香りが強くなる。
「よう。やっぱりお前か。こんなとこにいるとは珍しいな」
 枝を登った零音は挨拶代わりにと出会い頭にカカト落としをアスレードに叩き込もうとした。
 すぅっと伸びた足が加速して座っているアスレードの頭にカカトを向かわせるが、アスレードは片手で受け止める。
「俺がいちゃわりぃのか? あぁん?」
「受け止めっ……って、あぶねぇェェっ!」
 カカトを受け止められた零音はそのままカカトを持ち上げられて木の上から落ちそうになる。
 眼下には地面が見え、落ちると思い目を瞑るが痛みはいつまでもやってこない。
「あ、あれ……?」
「てめぇからはチョコの匂いがした。殺さずに置いてやる」
 零音の踵を下ろし、軽く抱き寄せたアスレードは太い幹の上に陣取った。
 チョコに対するこだわりの深さを感じながらも、もう少し抱いていて欲しいと零音思う。
 しかし、口からでたのは別の言葉。
「あ、ありがとう……桜、似合うよね」
 顔を赤くしながら見上げた零音の眼には風に吹かれて舞う桜とさらさらと靡くアスレードの金髪が一枚の名画のように見えていた。

〜夢は続く〜
「アッスィー動物平気?」
 アスレードから離れた零音はコジャックを膝の上に乗せて撫でつつアスレードを見る。
 大抵の人間を呼び捨てにする零音だが、アスレードにはこの愛称で呼ぶのが気に入っていた。
「嫌いじゃねぇが好きでもねぇな」
 缶ココアを口にしながら、ぶっきらぼうにアスレードは答える。
「ふーん、そう……あ、アッスィーお弁当食べる?」
 隣を陣取りながら、背中に背負ったリュックからお弁当を広げた。
 簡単なサンドイッチとポテトサラダを出してアスレードに向ける。
「ああ、食ってやるぜ」
 サンドイッチを奪うように手にしたアスレードは零音とは視線を合わせずにもぐもぐとサンドイッチを食べ始めた。
「ちょっとくらいこっちを見ろよな……」
 視線を中々合わさないアスレードに零音は苛立ちを感じながらもポソリと呟く。
 そんな言葉など無かったようにアスレードはサンドイッチを食べていた。
 いろいろと聞きたいことがあったような気もするが、何一つ零音にはでてこない。
「あ、そうだ……命を救ってくれたこれをださないとな。勢いで買ったんだけど」
 思い出したようにポケットを探りながら零音は鯛焼きを二つ取り出した。
 見た目は普通だが、仄かに茶色い下地が浮き出ている。
「チョコの匂いはこれか」
「そう、チョコ鯛焼きっていう奴」
 鯛焼きをじっと見ていたアスレードはそれを猫のように奪い取ると一口食べた。
「ククク、いいチョコを使っている。こいつぁいいな」
 ぶっきらぼうだったアスレードの顔に笑顔が見える。
 歪んではいるが喜んでいるのは確かだった。
 喜んでいるアスレードの顔をみると零音も嬉しくなる。
 自分もチョコ鯛焼きを食べると確かに美味しいかった。
 お弁当に鯛焼きも食べ終わると、温かい日差しが眠気を誘ってくる。
「今日くらいいいよね?」
 アスレードも零音も木の上で寝転んでぼーっと桜の香りと太陽にされるがままになった。
 さりげなく零音はアスレードの隣にくっつくように身を寄せている。
 隣のアスレードはすぅすぅと寝息を立ていて気持ちよさそうだった。
「雰囲気も何も無いな……けど、これはチャンスか」
 ゆっくりと寝息をたてるアスレードの顔へ近づき唇を目指して零音は顔を寄せていく。
「あふっ! こら、踏むなコジャック。今いいとこなんだから」
 もう少しで触れそうになった時、コジャックが構ってとばかりに零音の頭に乗ってぺしぺしとたたき出した。
 折角のいい雰囲気が台無しになり、再開しようと思ったとき目が覚める。
 
〜夢の終わり〜
「コジャック……なんで起したんだよ」
 頭の上に乗っているコジャックをどかしながら零音は身体を起した。
 朝日が差し込む自分の部屋が目の前にはある。
 隣にはアスレードがいるわけでもなく、触ったベッドは冷たい。
「夢か……夢じゃなかったら……」
 それ以上の言葉はあえて言わずに、立ち上がると零音は着替え始めた。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 外見年齢 / クラス】
 gb9784  /零音 零音/  女 /  15歳 / エキスパート

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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どうも、このたびは発注ありがとうございました。
アスレードといちゃついた感じに描きましたがいかかでしょうか?

あくまでも夢なので、その辺はご了承いただければと思います。
今後とも機会あればアスレードとのこうしたノベルをだしていきたいと思いますので機会があれば宜しくお願いします。

では、運命の交錯するときまでごきげんよう。
春花の宴・フラワードリームノベル -
橘真斗 クリエイターズルームへ
CATCH THE SKY 地球SOS
2010年05月10日

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