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『銀髪夫妻の温泉旅行 』
クラーク・エアハルト(ga4961)

〜そうだ、温泉にいこう〜

「折角の休みですから温泉にいきましょう」


 そんなクラーク・エアハルトの一言からはじまった温泉旅行。
 カプロイアから発売されたスポーツバイクに跨って温泉旅館へと二人で走った。
 風が気持ちよく顔にあたり、流れていく。
 野山を走り、木々の間を抜けて走ると平和な光景が流れていった。
 戦争をしているとは思えないほどに平和な姿、高速移動艇を使ってちょっと足を延ばしただけの価値はある。
『もうすぐつきますよ』
 ヘルメット越しに無線機を繋いだクラークの声が聞こえてきた。
 場所などはすべてお任せ、こういうときくらい男を見せてくれないと私も困るわ。
 山間の静かな旅館に辿りつくと駐輪場にバイクを置くとヘルメットを取った。
 さらっとロングヘヤーをかきあげるとクラークがこっちを見ている。
「どうしたの?」
「いえ‥‥その、綺麗でして‥‥」
 同じようにヘルメットとったクラークの顔は少し赤くなっていた。
「ふふ、ありがとう‥‥これからどうするの?」
「こほん、そうですね。荷物を置いたら浴衣で散歩をしませんか?」
 バイクに縛り付けてある荷物をおろしながらクラークは咳払い一つをして誘いだしてくる。
「ええ、コースは任せるわ。退屈させたりしたら嫌よ?」
 見上げるように迫るとクラークは再び顔を赤くしたが、すぐさまキスをしてくれた。
 これくらいはやってもらわないとね?
 
〜散歩に行こう〜
 一緒に腕を組んで景観を眺める。
 そんな当たり前の夫婦のすることを自分は妻であるレオノーラ・ハンビー共にすることは少なかった。
 お互い傭兵であり、別々の戦場で戦うことが多い。
 時折あったとしても作戦が違っていたり、摸擬戦で対戦したりと上手くいかないこともあった。
 だから、今日のような晴れた日に涼しげな山を二人で散歩をする時間を大切にしたいと思う。
「レオノーラは今回の旅行を楽しんでますか?」
 新緑の多い5月の山を眺めていた視線を隣にいる彼女に向けた。
「んー、まだお楽しみはこれからじゃないの?」
 自分たちはお藍色の浴衣を揃いで身につけ、下駄をカラコロ鳴らしながら旅館に近い散歩道を歩いている。
 腕を組んで胸の辺りを押し付けてくる彼女の積極さには時折たじろいでしまう。
 自称18歳で年下のはずだが、こういうときの彼女は自分よりも上と錯覚してしまうときが多かった。
「ええ、ここの温泉は混浴で気持ちいいと聞いていましたからそちらが楽しみですね」
 眼鏡を軽く治しながら、これからの予定について自分は話す。
 上目遣いで近づく彼女はの顔にはマシュマロのように柔らかそうな肌とふっくらとした唇があった。
 綺麗に整えられた眉など自分の好む部分を余すとこなく持っている彼女だから、頭が上がらないのかもしれない。
「混浴を探すなんて相変わらずね。そういえばお風呂を一緒にはいるのってあんまりなかったわ」
 呆れる様な口ぶりながらもクスクスと笑うレオノーラを見ていると誘ってよかったと感じた。
 
〜温泉でのんびりと〜
 食後、新緑の木々の見える広い露天風呂には夕食後という絶好の時間だというのにクラークとレオノーラの二人しかいない。
「あら? 混浴よね? どうして人がいないのかしら?」
「旅館の人に無理をいってもらってこの時間だけ貸切にしてもらいました」
 首を傾けて疑問符を浮かべるレオノーラにクラークが照れながら声をかける。
 一瞬、目を開いて驚くレオノーラだったが、すぐに喜びに顔を綻ばせた。
 積極的に動いてくれた旦那の株が上がったようである。
 二人は体を洗って、湯気の立つ湯船へと身を沈めた。
 全身に染み込んでくるような温かさが心地よい。
 普段シャワーで済ますことの多い二人にとって足を延ばせて入れる露店風呂の温泉は格別な贅沢だった。
「はぁ……生き返るわね……全身を伸ばせるのって気持ちいいわ」
 レオノーラは両手を組んでぐっと背をそらして伸びをすると形のよい胸が湯船に顔をだす。
「それではついでにマッサージでもしましょうか、肩とか凝っていませんか?」
 体を伸ばしているレオノーラの背後に回りこんだクラークは両手をレオノーラの肩に乗せながら顔を覗きながら尋ねた。
「クラークの方こそ体とか疲れてないの?」
 振り向いて聞き返すレオノーラには答えずクラークは肩を揉み始める。
 自分よりも細い体ながらも筋肉が無駄なくついている体に一瞬驚いた。
「凝ってますね……傷はないみたいですが、傭兵として長い間戦っていたんでしたっけ?」
「ええ、そうね……世界中いろいろスパイ活動まがいの前線工作とかいろいろとね。体の傷はエミタに頼って治しちゃったわ」
 ぺロリと舌を出して平然と答えるレオノーラにクラークは未だ謎の多いことを知る。
 姿や立ち振る舞いに惚れて告白をして結婚までいったが、彼女の過去について自分はどれほど知っているのか……考えだすと言い知れぬ不安が心の中に広がってきた。
「ちょ……ちょっとどうしたの?」
 クラークが急に抱きしめてきたためレオノーラが動揺した声をあげる。
「うん……ごめん、少しだけこのままでいさせてくれるかな?」
 大切にしたい……それだけの思いで抱きしめていた。
 両手から伝わる熱は湯の温度のほかにもレオノーラの体温もある。
 心地よい温かさではあるが、それだけに失うことが怖くもなってきた。
 だから、大切にしようとクラークは誓う。
「しょうがないわね……けど、のぼせるまで一緒なのは嫌よ?」
 クラークの気持ちを知ってか知らずか、レオノーラはクラークの胸に体を預け、自らを抱きしめる両手にそっと手を添えた。
 
〜月を見て、星を見て、君をみて〜
 温泉から上がって部屋にいくと窓から眺めれる夜空に浮かび上がっている。
 そよ風が火照ったからだを撫でて程よく冷ましてくれた。
 部屋には布団が一つだけ引いてあり、その上には枕が二つ乗っている。
 明かりをつけようとした私の手を止めて、クラークが一升瓶とグラスを持ってきた。
「月見酒なの? 本当に弱いのだから分かっているのかしら……」
「酔い潰さないで楽しみますから大丈夫ですよ〜」
 一歩退いた私のことは気にせずニコニコとグラスに日本酒を注いで私に手渡す。
 本当にこの人は、こういうところだけは強引なんだから……。
「それじゃあ、今日という日に……乾杯です」
 軽くグラスを当てて日本酒を口にする。
 ワインともビールとも違う味わいのアルコールは喉の通りが良く、美味しかった。
「お酒を飲むよりも月を見ましょうか」
 隣により沿って私を支えるようにしながらクラークが窓の外の月をみる。
 私も釣られて見ると三日月が淡く光っていた。
 でも、すぐにぼやけて体の力が抜けてくる……アルコール強いの苦手なのに……。
「どうかしましたか? もう酔いました?」
「そうよ〜、わるぃ〜? 何度もいってるじゃないのぉ〜、よわいってぇ〜」
 抵抗しようにもトロンとした気分になり何を言っても呂律が回らない、クラークの顔がぼやけながらも笑っているのが分かった。
「浴衣に合ってますね……幻想的でもありますが少し着乱れていますよ?」
 体が火照っているし、動き辛いから脱ぎたくもある……こういう手段ばかりは上手になっているんだからこまったもの。
 けど、こんな彼が一番好きだったりする私もどうかしているわ。
「ど〜せ、ここから先いただくんでしょぉ〜?」
 睨もうと思っていても睨むことが出来ない。
 ドンドン体の力は抜けてくるが、芯の方が変わって熱くなってくる。
「いつも通りで悪いですが……今晩も頂きますね?」
 クラークが私にキスをし、布団に押し倒してきたところで私の意識は遠のいていった。
 最後に一言だけ聞こえる。
 
『さあ、また明日から頑張りましょうね? また旅行に行く為にも』



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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名      / 性別 / 年齢 / クラス 】
 ga4961  /クラーク・エアハルト/ 男  / 28 /スナイパー

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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どうも、毎度ありがとうございます橘真斗です。
このたびは限定商品の発注ありがとうございました。
限定商品らしく、気合を入れて書かせていただきましたので楽しんでいただけたら幸いです。

もうなんというか、ギリギリに挑戦ですよ(何)

夜のクラークさんは実に男らしいのですが、平時でも頑張ってもらえると嬉しいです。

では、次の運命が交錯するときまでごきげんよう。

■「連休…そうだ、旅行へ行こう」ノベル■ -
橘真斗 クリエイターズルームへ
CATCH THE SKY 地球SOS
2010年05月24日

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