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『ウェディングベルを貴方と 』
レイン・シュトラウド(ga9279)

結婚式――それは大好きな人と一生を共にする聖なる儀式。
その儀式を経て、他人同士だった2人は夫婦となり、一生お互いを支えあうのだ。
そして6月も近い事から、色々な結婚式場の案内が届く。
其の中で一番目についたのは「ウェディングモデル募集」と書かれた広告だった。
式場の案内広告、パンフレットなどに使用する写真を撮らせて欲しいという内容だった。
募集年齢は様々で子供から大人まで幅広く募集をしていると書いてある。
「ウェディングモデルか‥‥」
純白のウェディングドレス、きっといつか本物を見にまとう日が来るのだろうけれど、着てみたいなという気持ちが大きかった為に電話をしてモデルをしたいと言う事にしたのだった。

視点→レイン・シュトラウド

 其の日、レイン・シュトラウドは買い物をする為に商店街を歩いていた。その商店街から自宅に帰るまでの道のりに大きいとは言えないけれど、雰囲気の良い教会がある。
「あ‥‥」
 買い物袋を提げてレインは足をぴたりと止める。その教会では今まさに結婚式が行われており、純白のウェディングドレスを身に纏った綺麗な花嫁さんが幸せそうに笑っている。
「結婚か‥‥ボクもいつかはするのかな?」
 レインは小さく呟く。まだ15歳の彼だけどあと数年すれば結婚する事も可能になる。そしてレインの頭には1人の女性――少女の姿しか思い浮かぶ事はなかった。
 レインが家族以外で大切に想っている女の子でオペレーター訓練生として働いている室生 舞――レインがもし今後結婚するとしたら今は彼女しか想像する事は出来なかった。
「ボクもいつかは舞さんと‥‥ってまだ早すぎますよね‥‥」
 苦笑しながらレインは顔を赤くして呟いた。
「あ、そうだ‥‥これを舞さんに差し入れてあげよう。今日は確かお休みでクイーンズ編集室にいるって言ってたから‥‥」
 レインは買ったケーキを見ながら呟く。きっと甘い物が大好きな舞ならば喜んでくれる、笑顔で「ありがとうございます」と言ってくれるだろうと思うとレインの足取りは自然と軽くなっていった。

「え? モデル募集、ですか?」
 レインがクイーンズ編集室へと到着し、舞にケーキを渡すと想像していた通りの笑顔でお礼を言ってきた。
 そしてケーキを皿に入れて、紅茶を舞が持ってくる。その時にウェディングドレスとタキシードを着て写真を撮らせて欲しいというモデル募集の話がある事をレインは舞から聞かされる。
「子供でも大人でも、ドレスやタキシードのサイズは揃っているみたいでボク達でもモデルをさせてもらえるんです。だからもしレインさんさえ良かったら一緒にモデルをしてみませんか?」
 舞がケーキをぱくりと食べながらレインに言葉を投げかける。
(「モデル撮影とはいえ、舞さんのウェディングドレス姿か‥‥」)
 先ほどの結婚式の様子が思い出され、レインは再び顔が熱くなるのを感じる。きっとまだ舞は幼さの抜けない顔をしている為、見かけた花嫁さんのように――とは行かないかもしれない。
(「でも――‥‥」)
 たとえモデルとは言え、大切な人のウェディングドレス姿が見られる事は嬉しいとレインは思う。
「あの、もし――いやだったら言ってくださいね? 無理強いはしたくないですから‥‥」
 何も答えないレインを見て舞は少し気まずくなったのだろう。少し遠慮がちに言葉を付け足してきた。
「あ、いや――その、違うんです。ボクで良ければ、喜んで‥‥」
 喜んで、というレインの言葉に舞は凄く嬉しそうに「ありがとうございます!」と言葉を返す。
 それからケーキを食べ、紅茶を飲み終わった後に2人はモデル募集をしている結婚式場へと向かい始めたのだった。

「あら、可愛いお2人さんね」
 結婚式場に到着し、受付で「モデル募集を見てきたんですけど‥‥」と説明を聞くと受付の女性がくすくすと笑いながらレインと舞に言葉を返してきた。
 でもその口調もからかうようなものではなく、本当に可愛い2人と思っているのだとレインと舞にも分かっており、嫌な気分にはならなかった。
「此処の廊下を突き当たりまでまっすぐ行って、右の部屋が撮影室とドレスルームになってるからそこで着替えをしてね」
 受付の女性は分かりやすく場所の説明をしてくれ、レインと舞は撮影室へと向かって歩き出す。
「うわぁ‥‥」
 撮影室は意外と小さな部屋で隣のドレスルームが大きかった。様々なサイズのドレスがあり、ピンク、純白、薄い青、色々な色のドレスがあり、タキシードもサイズごとにずらりと並べられていた。
「えぇと、じゃあ30分後に撮影を始めますからそれまでに着替えて撮影室の方に来てくださいね」
 カメラマンから言われ、レインは男性側、舞は女性側のドレスルームへと入り、それぞれタキシードとウェディングドレスを選び始めたのだった。
 それから20分後、タキシードを着たレインが女性側のドレスルーム前で舞を待っていた。
「こういうのを着ると、自然とドキドキしますね‥‥花嫁さんを見る前の新郎もこんな気持ちなんでしょうか」
 タキシードを着て窓ガラスに映った自分を見ながら小さく呟く。
「ごめんなさい、お待たせしましたか?」
 舞が慌てた口調で女性側のドレスルームから出てくる。
「色々とドレスがあってどのドレスを着るかで迷っちゃって‥‥レインさん?」
 レインの前に現れた舞が着ていたドレスはオーソドックスな純白のウェディングドレス。フリルが沢山あしらってあり、綺麗というよりは可愛らしい感じのドレスだった。
「あのー、レインさん?」
 自分を見たまま動かないレインを不思議に思った舞が顔の前で手をひらひらと振ってみせる。
「あ、ご、ごめんなさい。舞さんがあまりに素敵過ぎて、つい見惚れてしまいました」
 レインからの言葉を受け、舞は顔を一気に茹蛸のように赤くするが「レインさんも、凄くかっこいいです」と舞は赤くなった顔を見せまいと俯きながら言葉を返したのだった。
「ありがとうございます。舞さん、とても綺麗ですよ。まるで本物の天使のようです」
 レインの言葉に「あ、あんまりほめられると照れちゃいます」と小さな声で言葉を返したけれど、照れ隠しの言葉なのだとレインにはすぐに分かった。
 それから撮影が始まる。
 ヴァージンロードを歩いたり、舞をお姫様抱っこしたりしている姿などを写真に収めてもらう。写真撮影をしている間、レインは舞の横顔を見ながら思った事がある。
(「今はまだ早いですけど‥‥ボクがもう少し大人になったら、正式にプロポーズしますから――それまで、待っていてくださいね」)
 レインはいつか確実に来るその日を想い、少し微笑んだのだった。


END


―― 登場人物 ――

ga9279/レイン・シュトラウド/15歳/男性/スナイパー

gz0140/室生 舞/15歳/女性/オペレーター訓練生

――――――――――

レイン・シュトラウド様>
こんにちは、今回執筆させていただきました水貴です。
今回は季節ノベルのご発注ありがとうございました!
そしていつも舞がお世話になっております。
話の内容の方はいかがだったでしょうか?
少しでも気に入って頂ける内容に仕上がっていれば良いのですが‥‥。

それでは、今回は書かせて頂きありがとうございました!

2010/6/3
HappyWedding・ドリームノベル -
水貴透子 クリエイターズルームへ
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2010年06月03日

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