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『貴方に出会えてよかった 』
シーヴ・王(ga5638)

〜受け継がれるもの〜
「おばあちゃん、ただいま」
「お帰りライディ、シーヴちゃんもお久しぶりだねぇ」
 優しそうな笑顔を見せる老婆がライディ・王とシーヴ・フェルセンを迎えてくれた。
 シーヴがライディの故郷で結婚衣裳を見せていないと言ってやって来たのである。
「久しぶりでやがるです。今日はこっちでも式を一度あげたいと思って……」
 言い出すのに少し照れ臭さを感じ、シーヴはおずおずといった様子でライディの祖母に頭を下げた。
「私も見たかったからねぇ……そうだ、確かあの子の服が残っていただろ?」
「妹のあれだね。二人ともあがってこい。店の中で広げるわけにもいかないからな」
 王麗園と呼ばれる中華料理屋で働いているライディの伯父が二階の居住スペースへ二人を連れて行く。
 半年前の結婚したくらいに一度泊まっただけの場所から、廊下を進み、途中で曲がったりして進んだ。
 長い間使われた建物独特の匂いにシーヴは楽しそうに微笑む。
 ライディの母親が過ごした場所、いうなればライディの原点がここにあるからだ。
「この部屋だ。前着たときは案内できなかったが、ここが俺の妹でライディの母親でもある王・紅華の部屋だ」
 伯父に案内されると整理されてはいるものの家主がずっといなくて埃っぽい部屋がある。
 中に入ると写真やら料理の本、手製のレシピ帳などがあった。
「ここに入るのも何年ぶりだろう……ただいま、母さん」
 机を撫でながらライディが懐かしそうに笑う。
「確かここに……ほら、あったぞ。妹が着ていた結婚衣裳だ」
 伯父さんが取り出したのは赤いドレスだった。
 母親の名前の通り大きな華が胸の辺りに装飾されたものである。
「白じゃないんですね?」
「中国では白い服は死人のものといって避けられる風習があるんだ。今は純白のイメージも浸透したからそうでもないんだけどね?」
 ライディはシーヴに説明をしながら母親のドレスをじっと眺めるのだった。

〜現代的結婚儀式〜
 中国の伝統的結婚儀式には六礼というものがあり、複雑なものだが今回は簡易な現代式で式をあげる。
 二階から降りてくる真紅のドレスを身に着けたシーヴをライディが一階で待ちながら迎えた。
 店にいる大勢の親戚、馴染み客たちが拍手でもって二人を祝う。
「綺麗だよ、シーヴ」
「ライディの衣装こそカッコいいです。今日はシーヴよりもライディが主役です」
 夕食時の披露宴のみというシンプルな式が中国の現代の婚礼の仕方なのだ。
 ライディを知っている知人達が祝辞を述べ、それに答えるようにライディがシーヴをつれビールを注ぎながら紹介していく。
 小さい頃に通っていた学校の先生だとか、一緒に遊んだ友達なども一緒にいる。
 格式ばったものではなく、どこかアットホームな式をシーヴは楽しんだ。
 お返しにビールを注がされて飲むライディを微笑ましく眺めていると、その後ろの離れたところにライディの母親の部屋で見た父親と母親の姿を見る。
「ほら、ライディ。俺からの酒もうけろよ」
「うわ、ちょっと伯父さん……」
(ライディ……ごめんです)
 強引に伯父に捕まったライディがビールを飲まされているのを尻目にシーヴはライディの両親の方へ駆け出した。

〜愛しき人の歴史〜
「この辺にいたような気がしたですが……」
 きょろきょろと中庭の方へ出てきたシーヴが見渡すと、灯篭の明かりの下に一組の男女が佇んでいる。
「あ……紅華様でやがるですか?」
「ええ、おめでとう。シーヴさん……息子の恋人がこんな綺麗な子で私は嬉しいわ。その衣装もお古だけど似合っているわよ」
 紅華は微笑みを浮かべながらシーヴの長い髪を撫でた。
 黒髪でショートボブのまとまった髪をして、垂れ目をしている母親はライディにそっくりの顔つきをしている。
「お古なんて……素敵な衣装で嬉しい、です」
「息子も国際結婚なんて血は争えないということかな、母さん」
 頬を掻くライディと同じ癖をみせながらブロンドのクセッ毛のある長身の男が紅華の隣から声をかけた。
「父親のイーヴォン・ラートスだ。頼り無い息子だから、しっかりと引っ張って欲しい」
 ニヒルな笑みを浮かべて握手を求めるイーヴォンにシーヴは同じように握手をして答える。
 墓前で一方的に声をかけたことの無い二人と直接話せて驚きと共に不思議な気分にシーヴはなった。
「ライディは二人がいたから生まれたです。そのことを感謝してるです。えっと……拶は先に済ませちまったですが、改めてフツツカモノですが、宜しくお願いしやがるです……父様、母様」
 身なりを手で整えるとシーヴは二人に向かって深く頭を下げる。
「こちらこそ、よろしくお願いしますね」
「私達はいつでも見守っているよ」
 シーヴは頭を下げながら二人の言葉を聴いて、頭を上げなおすとそこに二人の姿はなかった。
「あれ?」
「おーい、シーヴー、シーヴー」
 首をかしげているとライディの呼ぶ声が聞こえてくる。
「あ、こっちです!」 
 シーヴも手を振ってライディを呼んだ。
「もう、どこに行ったのか心配したよ。披露宴も終わったから、今夜は泊まって明日お墓に見せにいこうね?」
「ん、いや、いいです。もう済ませたですから」
 ライディの提案にシーヴは含み笑いをしながら答える。
 何のことか分からないライディは首を傾げるも、シーヴはライディの手に抱きつくと一緒に中庭を歩き出した。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名      / 性別 / 年齢 / クラス  】
 ga5638  / シーヴ・フェルセン/ 女  / 18 / ファイター

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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この度は発注ありがとうございます。
両親を出してということもありまして、夢幻か出会ってしまうという展開を行いました。

両親の名前は今回初めてだったような気はしますが、違っていたらごめんなさい(何故)

今後も機会あれば出して行きたいなとは思います。

それでは短いですが、今回はこの辺で筆をおきたいと思います。

運命の交錯するときまで、ごきげんよう。
HappyWedding・ドリームノベル -
橘真斗 クリエイターズルームへ
CATCH THE SKY 地球SOS
2010年06月14日

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