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『ウェディングベルを貴方と 』
白虎(ga9191)

結婚式――それは大好きな人と一生を共にする聖なる儀式。
その儀式を経て、他人同士だった2人は夫婦となり、一生お互いを支えあうのだ。
そして6月も近い事から、色々な結婚式場の案内が届く。
其の中で一番目についたのは「ウェディングモデル募集」と書かれた広告だった。
式場の案内広告、パンフレットなどに使用する写真を撮らせて欲しいという内容だった。
募集年齢は様々で子供から大人まで幅広く募集をしていると書いてある。
「ウェディングモデルか‥‥」
純白のウェディングドレス、きっといつか本物を見にまとう日が来るのだろうけれど、着てみたいなという気持ちが大きかった為に電話をしてモデルをしたいと言う事にしたのだった。

視点→白虎

 6月の花嫁。6月に結婚した2人は幸せな結婚生活を送れるのだという‥‥。女性ならば誰もが6月の花嫁に1度は憧れた事があるだろう。
 しかし、少年・白虎にとっては忌むべきものでしかない。
 そう――しっ闘士の白虎にとっては‥‥今回、彼はジューンブライドの妨害をする為に式場へと来ていた。装備も万全でピコハン、イカ墨水鉄砲、桃色退散符、爆竹とフル装備で彼は式場へ乗り込む為にやって来ていた。
「あら、白虎。何してンのよ」
 そこへ現われたるはしっ闘士、しかもしっと団総帥という立場にありながら白虎が淡い恋心を寄せる少女、キルメリア・シュプールだった。
「な、な、何でキリーお姉ちゃんがここにいるにゃ!?」
 まさかこんな場所でキリーに会うとは夢にも思っていなかったのか、白虎は後ずさりをしながらキリーを指差す。
「人を指差してんじゃないわよ、このヘタレ!」
 再びバチコンと叩かれ「うにゅあぁぁ‥‥」と頭を抑えてその場に蹲る。
「それよりあんた何してンのよ」
 キリーの言葉に「よくぞ聞いてくれたにゃ!」と白虎は勢いよく立ち上がって自分が闘士活動をする為に式場へやってきた事をキリーに話す。
「6月の結婚式場、この世でこれほど桃色が集結する空間は他にない! だから今日は闘士活動を「ねぇちょっと」ぐぇぁば‥‥!」
 白虎がしっ闘士活動の説明をしているとキリーからのパンチが飛んできて「あんた暇ならちょっと付き合いなさいよ」と白虎の首根っこを引っ張る。
 ちなみに白虎が何しに式場まで来た事を説明したにも関わらず「あんた暇なら」とか言ってくる始末。
 つまり最初からキリーは白虎に拒否権を与えるつもりはなかったのだろう。
「ちょ、な、何なのにゃー!」
 ぐいぐいと引っ張られて式場の中に連れられ、白虎は訳がわからずに「一体何なのにゃー!」と大きな声で叫ぶ。
「デカい声出すんじゃないわよ」
 すぱーんと叩かれ「い、痛いにゃー‥‥」と叩かれた頬を抑えながら呟く。
「面白そうな事をこの式場がしてるみたいだから来たんだけど、相手がいなくてどうしようかって思ってたのよね。というわけで付き合いなさいよね。まさか嫌とは言わないわよね?」
 面白い事? と白虎がキリーに問いかけると「これよ、これ」と式場の広告をキリーは見せてきた。その広告にはウェディングモデルの募集が書かれていた。
「これ、付き合いなさいよ」
 キリーからの言葉に白虎は嬉しいと思う気持ちもあったが、それ以上に照れ、恥ずかしさ、そして何よりしっと団総帥としてのプライドがそれを素直に受け入れさせる事が出来なかった。
「こ、こんなの出来るか――――ッ! 絶対に僕はしないのにゅぶあっ!」
 白虎が「しない」と叫んでいる途中でキリーからの鳩尾パンチが入る。
「あんたに拒否権はないのよ。判ってる? 付き合ってってお願いしてるんじゃないの。付き合いなさいって命令してるのよ、その辺理解しなさいよね。ヘタレ」
 トドメにごすんともう一撃白虎に食らわせる。既に何発ぶたれているのか判らなくなってきたけれど白虎はプライドを捨てる事が出来ない。
「ウェディングモデルに来た子たちかしら? 女の子は突き当たりを左、男の子は突き当たりを右に曲がった所にあるお部屋で着替えてね?」
 係員がキリーと白虎に言葉を投げかけると「どうもありがとう」と天使の笑顔でキリーが言葉を返す。
「その笑顔の裏には悪魔がいるにゃんて気づかないんだろうにゃー‥‥」
 白虎が係員を見ながら心の中で呟くと「心の声、出てるわよ」と白虎の足を強く踏みつけながら言葉を返したのだった。
「さっさと着替えてきなさいよ、じゃないと写真が撮れないでしょう? 人の迷惑も考えなさいよ、ヘタレ」
 キリーが衣裳部屋に入りながら白虎に言葉を投げかけ、白虎もため息混じりに衣装部屋へと入る。
「うにゅう‥‥」
 白虎としては嫌な気持ちはない。ないのだけれど‥‥。
「絶対、僕で遊んでるにゃー! 面白がってるのにゃー!!」
 着替えながら白虎が叫ぶ。はっきり言って白虎の言葉は大正解だろう。
「まだ着替え終わらないの?! 女より時間がかかるってどんだけなのよ、アンタは!」
 扉を靴で蹴る音だろう、ガスガスガスガスと音が響きながらキリーの明らかに不機嫌な声が聞こえる。仕方なく白虎も着替えて扉を開けると‥‥。
 そこにはふんわりとピンクのドレスを着たキリーの姿があった。メイク係の人に髪も結わいてもらったのだろう。いつもと違う髪形のせいか雰囲気まで違って見える。
「で、でもしっと団総帥としてこんな事はできないにゃー!」
 キリーの隙を見て逃げ出そうとするのだけれど、後ろに強く引っ張られる感覚に白虎は顔面から床へ転げてしまう。
「馬鹿ねぇ、あんたが逃げ出すのなんて百も承知よ、だから今これをつけたのよ」
 キリーの持っているロープは白虎が着ているタキシードのベルト通し部分に繋がっており、フックとロープがくくりつけてある。
「にゅあああ! 何だ何だこれはーーッ!」
「次、逃げてみなさいよ。このロープを首に括り付けてあげるわよ?」
 にっこりと楽しそうな笑顔で言葉を返され、白虎は身の危険を感じて「ぜ、善処しますにゃー‥‥」と言葉を返したのだった。
 それから2人が移動したのは写真撮影室。色々なパターンの写真を撮るために撮影室の中には様々なセットが組んであった。
 そこでカメラマンの要望にこたえて様々な写真を撮る。向き合っている写真や教会の前で撮った写真、ブーケを投げている写真。その途中で何回も白虎は逃げようとしたけれど、本気でキリーから首を絞めかけられ、逃げる事を一時やめる事にした。
「な、なんか疲れたにゃ‥‥喉も渇いたし‥‥」
 白虎が呟くと「何が飲みたい?」とキリーが言葉を返してくる。
(「にゅ!? も、もしかしてキリーお姉ちゃんが僕のために‥‥!?」)
「私も喉渇いたからついでにあんたのも買ってきなさいよ。財布くらい持ってきてるでしょ?」
「ちくしょおおおおおお、やっぱりこういう展開かああああ!!!! 今日はつき合わせてごめんね。ジュースくらいならおごるわ――なんて甘い展開はないと思っていたにゃああああ!」
 白虎は決してジュースをおごって欲しかったわけではない。今回は私のわがままにつき合わせてごめんね――というちょっと甘い展開を期待していたのだが、その期待はキリーという金槌によって粉々に砕かれ、挙句にキリーの分のジュースまで買わされる羽目になり、白虎にとっては踏んだり蹴ったりな状態になってしまっていた。
 しかし、彼にとっての地獄はこの写真撮影会を終えたあとにあった。その後、キリーとも何事もなく終わり、自宅に帰り、結局無駄になってしまったフル装備を見て白虎は盛大なため息を吐いた。
「しっと団総帥としてこんなんじゃいけないのにゃ‥‥桃色破壊を1つも出来なかったのにゃ‥‥」
 疲れた、寝るにゃー、と呟き白虎は横になる。
 しかし、次の日――白虎とキリーのウェディング撮影を聞きつけたしっと団員達が総帥を粛清する為に動き始め、白虎にとって安息の闘士活動を行う日々はまだまだやってこないようだった。


END


―― 登場人物 ――

ga9191/白虎/10歳/男性/ビーストマン

gz0278/キルメリア・シュプール/13歳/女性/サイエンティスト

――――――――――

白虎様>
こんにちは、いつもお世話になっております。
今回は季節ドリームノベルにご発注くださり、ありがとうございました!
えぇと、相変わらず総帥が酷い目にあっていますがご希望に添えていますでしょうか(ぁ
内容の方、気に入って頂けるものに仕上がっていれば良いのですが‥‥。

それでは、今回は書かせて頂きありがとうございました!

2010/6/18
HappyWedding・ドリームノベル -
水貴透子 クリエイターズルームへ
CATCH THE SKY 地球SOS
2010年06月18日

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