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『ウェディングベルを貴方と 』
玖堂 鷹秀(ga5346)

結婚式――それは大好きな人と一生を共にする聖なる儀式。
その儀式を経て、他人同士だった2人は夫婦となり、一生お互いを支えあうのだ。
そして6月も近い事から、色々な結婚式場の案内が届く。
其の中で一番目についたのは「ウェディングモデル募集」と書かれた広告だった。
式場の案内広告、パンフレットなどに使用する写真を撮らせて欲しいという内容だった。
募集年齢は様々で子供から大人まで幅広く募集をしていると書いてある。
「ウェディングモデルか‥‥」
純白のウェディングドレス、きっといつか本物を見にまとう日が来るのだろうけれど、着てみたいなという気持ちが大きかった為に電話をしてモデルをしたいと言う事にしたのだった。

視点→玖堂 鷹秀

「へぇ〜、色んな事を考えるものなんだねぇ」
 土浦 真里は結婚式場の広告を見ながら小さく呟く。
「何を見ているんですか?」
 玖堂 鷹秀が真里の持っている広告を覗き込むとウェディングモデルを募集しているという内容が視界に入ってきた。
「や、クイーンズとしても新しい事をして読者を更にゲットしなくちゃいけないかな〜とか思って見てたんだ」
 真里はへらりと笑って鷹秀に言葉を返した。
 今日は珍しく鷹秀も傭兵としての仕事もなく、真里も編集作業などの仕事はない。だから鷹秀の部屋でまったりとした時間を過ごしていた。
(「そういえば‥‥」)
 鷹秀はソファに背中を預け、読んでいた本を膝の上に置いた後に壁にかけてあるカレンダーに視線を移した。
「私達も来月で結婚して1年になるんですね」
 鷹秀はしみじみと呟いた後「ふふ」と意味深に笑ってみせる。それが真里にとって不思議だったのだろう。かくりと首を傾げながら「どしたの? いきなり笑い出すなんて」と真里が鷹秀に言葉を投げかけた。
「いえ、大した事じゃないんですけど‥‥お付き合いをしていた頃と結婚した後、大きな変化はなかったな、と思いまして」
 鷹秀は苦笑しながら呟いた後「‥‥少し、疲れましたけどね」と俯き、表情を曇らせて小さく、本当に小さな声でボソリと呟いた。
「え?」
 真里が目を瞬かせた後に「何か言った?」と言葉を返す――が、真里はしっかりと鷹秀の呟きを聞いていた。
(「何か疲れたとか言ってたよね!? 何に疲れたんだろう。最近忙しそうだったし能力者としてのお仕事が大変なのかな? いやいや、待て。それならこのタイミングで言う言葉じゃないよね?! 明らかにマリちゃんとの結婚生活に疲れたって意味の『疲れました』だよね!? 何、もしかして離婚の危機!? どうしよう、離婚とか言われたらマリちゃんはどうすればいいの!? もしかして浮気!? マリちゃん以外に女がいるのか、鷹秀は!?」)
 真里は心の中で叫ぶが、その妄想は果てしない方向まで行っている事に彼女は気がついていない。
 そして一方、鷹秀のほうは百面相のように表情をくるくると変えながら葛藤する真里の姿に笑いを堪える事で精一杯だった。
(「本当にわかりやすい人ですねぇ、きっと私が浮気とかどうとかまで考えが行ってるんでしょうけど」)
「た、鷹秀?」
「はい?」
 何ですか、と言葉を返すと「ま、マリちゃんが肩をもんであげよう」とぎこちない口調で言葉を続けてきた。
「うん、最近鷹秀も無理しすぎな感じだし、少しばかり休んだ方がいいとマリちゃんは思うのだよ」
 真里の性格上、私のせいで、という言葉を出せない。だからあえてその辺は曖昧に言葉を濁した上で真里は鷹秀をねぎらおうとしていた。
「そ、それじゃ肩をもんであげる――――わっ!!」
 手を出した所で鷹秀によって少し強く引っ張られ、真里は鷹秀の腕の中にすっぽりとおさまる形になっていた。
「何でそんなに私を労おうとしてるんですか?」
 互いの息がわかるほどに近く顔を接近させながら鷹秀がクスリと笑みながら真里へと言葉を投げかける。
「う〜‥‥だって、その、ねぇ? 鷹秀、疲れたとか言ってるし、心優しいマリちゃんが肩でも揉んであげようかな〜なんて」
「『別れて欲しい』なんて言われると思いましたか?」
 鷹秀の言葉に「うっ」と真里は言葉を詰まらせ、それが図星だという事を鷹秀に理解させた。
「それはありませんよ、真里さんから嫌われない限り、私は真里さんのモノですから」
 鷹秀は言葉と同時に真里を抱きしめつつ耳元で「何時までも、真里の事を愛し続けるから、ね?」と囁くように言葉を続けた。
「〜〜〜〜〜っ!!」
 耳元で囁かれ、真里は顔を真っ赤にして「み、耳元禁止!」と大きな声で叫ぶ。
「やれやれ、この程度で参ってもらっちゃ困るんですけどね」
 鷹秀は苦笑しながら眼鏡を外し、サイドテーブルに置く。そしてその後、噛み付くようなキスを真里へと送る。いくら結婚したからといって、元々がお子様な感じの真里はいまだに大人のキスに慣れる事が出来ず、ついていくのが精一杯だった。
「い、いきなりはビックリ、するじゃん‥‥!」
 息を切らしながら真里が潤んだ瞳で鷹秀を睨む――がそれは煽るだけの行為でしかない事に真里は気づいていない。
「それでは、前もって言えばいいんですか? 今からキスをしますよ、と」
「そ、そういう事じゃなくて! 屁理屈言うな――って、あれ? た、鷹秀? 何でマリちゃんてばベッドに押し倒されてるのかな?」
 急に視界が変わり、真里は嫌な予感を感じながらもなるべく平静を装って鷹秀へと言葉を投げかける。
「ねぇ、真里さん? そろそろ変化があってもいいと思うんですけどいかがですか?」
 変化、という言葉に「変化? どういう意味?」と真里が目を瞬かせながら言葉を返す。
「『夫婦』から『家族』になるのも悪くはない、と私は思っているんですけど‥‥真里さんはどうですか?」
 夫婦から家族、真里は小さく呟き意味を理解したようで顔を真っ赤にして「ななななな」と言葉にならない言葉をつむいだ。
「嫌、ですか?」
 鷹秀の言葉に「‥‥‥‥ん」と小さな声で言葉を返す。
「真里さん?」
「嫌なわけないじゃんって言ってんの!! 大体ねぇ! こ、子供とか嫌だったら結婚なんてしないし! 別にマリちゃんは子供嫌いなわけじゃないし! いつかは欲しいなとか思ってたし! って何言わせるのよ!! 鷹秀の馬鹿!!!」
 ぎゃあぎゃあとわめきたてながら返された真里の言葉に鷹秀はうれしくなって笑みを漏らす。
 この後は、勿論2人の甘い時間が来たのは言うまでもなかったりする。


END


―― 登場人物 ――

ga5346/玖堂 鷹秀/27歳/男性/サイエンティスト

gz0004/土浦 真里/22歳/女性/一般人

――――――――――

玖堂 鷹秀様>
こんにちは、いつも真里がお世話になっています。
いや、もう本当に胃に穴があくほどにご迷惑ばかり真里がかけてしまってごめんなさい。
決して私じゃないのです、真里が勝手に動いてしまうんです(←
今回はちょっと納品が遅れてしまって申し訳ないです。
内容の方はいかがだったでしょうか?
気に入って頂ける内容に仕上がっていれば良いのですが‥‥!

それでは、今回は書かせて頂きありがとうございました!!

2010/6/23
HappyWedding・ドリームノベル -
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2010年06月24日

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