▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『バラットバラードウェディング 』
綾河 零音(gb9784)

 どうしても願わずにはいられない
 
 たとえ、それが叶う事がないものだとしても
 
 たとえ、それが無謀なことだとしても
 
〜自由を縛るもの〜
 部下の黒服が集まるチャペルを窓から覗きながら綾瀬零音は白いウェディングドレスを控え室で整えていた。
 傍にいる女性も幹部の妻だったり妹だったりしたもの達であり、出入り口の前にも零音の部下が見張りにつくほどの厳重な状態である。
「政略結婚か……」
 口に出してみても、イマイチ実感がわかない。
 新たに同盟を結ぶ相手のファミリーが提示してきたのは零音と後とり息子との結婚だった。
 見た目や趣味などまったく零音と合わなかったが、組織の命令とあればしないわけにはいかない。
 自由に生きてきた分のツケが回ってきたと思うしかなかった。
「しばらく一人にしてくれ……」
 メイクや着付けを手伝ってくれた女たちを下がらせて、零音はヴェールに包まれた自分の姿を鏡でみる。
 馬子にも衣装という日本のことわざが一番に浮かんだ。
 そのとき、『何か』を感じた零音はふっと振り返る。
「ククク、ずいぶんとしおらしいじゃねぇか、アァン?」
 自分以外誰もいないはずの部屋にどこから来たのかアスレードがタキシード姿で立っていた。
 顔にはいつもと変わらない嘲笑が張り付いていて、衣装とのバランスが悪い。
「何だお前かよ!」
 しかし、零音の心は言葉とは裏腹に熱く燃え上がっていた。
 けれども、その勢いを深呼吸と共に抑えて目の前の男と別れなければならないと自分に言い聞かせる。
「やっぱり人間って弱い、よな。運命に逆らえず、ただ濁流に溺れないように必死にもがくコトしかできない。……お前なら、どうする?」
 なるべく顔をみないようにすれ違った後でアスレードに向けて零音は問いかけた。
「ハンッ、よえぇやつなんざ五万といる。いいことを教えてやるぜ、必死にもがいて助かる前に諦めたやつは死ぬんだよ。最後まで諦めずに、そして掴んだチャンスはモノにしろ」
 それだけを言い残すとアスレードは姿を消す。
 後に残ったのは零音ただ一人だ。
「零音様……式の準備が整いました」
「今、いく……」
 ドアの外から聞こえる声に答え、スカートを持ちながら零音は進む。
 最後まで諦めずに、願おうと決めた女の強い足取りだった。

〜鎖を断ち切る力〜
 結局、式は始まり隣に立つ顔はよくはあるが興味のない男と夫婦になる瞬間が刻一刻と近づいている。
 神父の話を聞きながらも脳裏に浮かぶのはアスレードの姿。
 耳に残る声。
 目を閉じるだけで憎むべき敵のはずなのに愛してしまった男の姿がハッキリと見えてきた。
「大丈夫かい?」
 自分でも気付かずに涙を流し、未来の旦那が心配して声をかけてくる。
「大丈夫だ……これでも、私は……強い、女だ……。誓いのキスをする……ぞ」
 涙を堪えて零音は隣の男に答え、顔を向けた。
「ククク、涙を流してりゃぁ、せわねぇなぁ……レオン」
 ドアがバァンと空いてタキシードを着た男がチャペルに乱入してくる。
「嘘……だろ?」
 涙が止まらない、それは驚きなのか喜びなのか零音にも分からなかった。
「若造がぁぁぁっ!」
 回りに控えていた男たちが立ち上がり、どこに隠し持っていたのかSMGを取り出して男[アスレード]に向かって乱射する。
 銃弾が長椅子を壊すが、アスレードは大きく跳ぶと男たちの首を蹴り一つでへし折り、頭部を腕一つで砕いた。
 一瞬の出来事に男たちが固まっていると指弾を飛ばして胸に穴を開けて惨状を広げていく。
「う……うわぁぁぁ、ばけものぉぉぉっ! 金はやる、だから助けてくれ!」
「クソが、俺様はなぁ、命乞いをする雑魚が嫌いなんだよ。シネ……」
 アスレードが見下しながら吐き捨てると手から衝撃波を飛ばして旦那となる男を真っ二つに裂いた。
 その勢いは神父をも貫き、生き残っているのは零音とアスレードだけになる。
「お前……どうして……」
 アスレードは答えずに零音をお姫様抱っこして抱えあげるとチャペルを後にした。
 落ちないように、そして離さない様に首へ手を回して抱きついた零音はアスレードの唇へ顔を伸ばしてキスをする。
「さっき出来なかったから、な♪ 誓いのキスをしたのはお前だから、一生離さないぞ?」
「言うのがおせぇんだよ……」
 悪態をつくアスレードに零音は血のついたウエディングドレスに身を包んだ自分をゆだねるのだった。
 
 
 そんなある日の夢物語……。
 

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
【整理番号 / PC名 / 性別 / 外見年齢 / クラス】
 gb9784  /綾瀬 零音/  女 /  15歳 / エキスパート

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
長らくお待たせしましたノベルを提出させてもらいます。
タイトルは何となくでつけたのでアレかもしれませんが(汗)

いちゃコラな夢をたっぷり書かせていただきましたいかがだったでしょうか?
いろいろとあって開始が遅れてしまいましたが書いている間は楽しかったです。

零音ちゃんはツンデレですね。

これからも本編ではラブラブは無理かもしれませんが、ノベル類ではちきれんばかりの妄想お待ちしております。

それでは次なる運命が交錯する時までごきげんよう。
HappyWedding・ドリームノベル -
橘真斗 クリエイターズルームへ
CATCH THE SKY 地球SOS
2010年07月05日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.