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『+ そして舞台は新しい道へ + 』
ライラ・マグニフィセント(eb9243)&クリス・ラインハルト(ea2004)&ユリゼ・ファルアート(ea3502)&アーシャ・イクティノス(eb6702)



 ライラ・マグニフィセントが自身の家から古い宝の地図を見つけ、新大陸への地図を発見してから約一年。
 その一年の間に地図は多くの学者や知識者に様々な検証がなされていた。その結果、王国から陰ながらの支援を受ける事が出来るほど「地図は新大陸への道筋を描いた物であろう可能性が非常に高い」と判断され、名目上ライラの夫を隊長とした新大陸探検隊が編成された。


  ―― 新大陸への道 ――


 この言葉に胸を踊らせるものは多い。王国の援護を受け、まだ発見されていない未知の領域へと足を踏み入れる事が出来るのは名誉とも言える。


「冒険の準備は出来たさね。後は仲間を集めるだけさ」


 今回の調査は月道の探索も同時に行う。
 そのためライラは調査隊に加わってくれるメンバーを探す為にギルドへと足を運んだ。自身の胸に宿った野望を胸に彼女は数々の情報を記載した紙を手に、ギルドの扉を開きそして数々の冒険者たちの前に立ち、これまでの軌跡を語る。
 ゾンビとの戦闘、海の精霊との邂逅、地図の発見と王国の援護の話……と。


「もしかしたら無駄足で終わるかもしれない。だけどあたしはそれでも行く。ご先祖様が残した地図が嘘だなんて思いたくないんだ。――さぁ、あたしと一緒に行ってくれる勇気有る冒険者はこの中にいるかい?」


 彼女は最後に背をぴっと伸ばし、そう語る。
 その言葉を放った瞬間、手が上がった数の多さにライラは思わずぷっと息を噴出した。



■■■■



 そして出航の日。
 ライラは多くの冒険者と共に探検船ラ・グロワール号へと乗船していた。この船は天界渡りの技術が使われた新造船で、従来の船より格段に高速で嵐にも強い。


 そして冒険者の一人であるクリス・ラインハルトはその銀髪を風に揺らしながら船から外を見下ろす。彼女は前回の冒険でもライラと共に戦ったメンバーの一人で、今回もぜひと真っ先に挙手をした。


「新大陸探索なんて、わくわくです。魔法の楽器とか見つかると嬉しいんですけどね〜♪」
「あら、それはどうかしら? 今度こそ剣や剣の入った宝箱が見つかるかもしれませんわ」
「でも新大陸だから何もなかったり?」
「そういう時は開拓するのもまた楽しい事でしょう」


 クリスの言葉にそっと反応したのは長い銀の髪の毛を三つ編みにした女性――アーシャ・イクティノスもといアーシャ・エルダーだ。
 彼女もクリスと同じく前回の冒険で活躍したメンバーである。特に地形に詳しいバイキング達と交渉する際、彼女がバイキングの一人と戦いその見事な剣捌きを見せ付けた事は未だに思い出深い。
 今回の冒険も彼女は真っ先に加わり、そしてライラの為にと多くの支援をしてきた。


「皆、そろそろ出航の時間さね。忘れ物や何か旦那に伝え忘れた事とかはないかい?」
「ううん、今日は見送りに来てるから大丈夫〜♪」
「クリス殿の旦那も理解ある人だねぇ」
「えへへ」


 そう言ってクリスは海岸にいる自身の夫へと手を振る。
 「旦那」と呼ばれた青年は彼女のために祈りを込めて手を振り返した。その隣にはもう一人青年が立っており、彼もまたそっと手をあげる。その行動に反応したのはアーシャ。そう、既婚者である二人の旦那は妻の為にと各々の仕事・任務の合間に出航まで見送りに来てくれたのだ。
 やがて出航の為の汽笛が鳴らされ、船が進み始める。
 小さな点になるまでクリスとアーシャは旦那を見続けた。


「ああ、いよいよ新大陸へむかうのですね! 荒事なら任せてください。どんな難敵が現れようと倒しますよ」


 アーシャはどんっと胸を叩き、笑顔を浮かべる。
 その力強い言葉と行動に笑みを返したのはライラだった。彼女は信頼出来る仲間と共に旅立つ日をこの一年間ずっと待ち望んでいた。
 クリスは自分の愛用の楽器である森の息吹の込められた「妖精の竪琴」に指を引っ掛ける。
 ポロロン……。
 弦を鳴らす度に響く音はとても心落ち着かせるものだった。


「さて、まずはバイキング達の元へと行くよ。彼らの航海の技術は非常に高い。彼らの協力を得る事が出来たならこの航海はより安全性の高いものになって心強い。……それに新大陸に残されたのはバイキング達だ。仲間の事だから他人事じゃないだろうしね」
「わーい! またあのバイキングさん達に逢えるんですね〜♪」
「今回は戦いを挑まれずにすんなりと交渉が済めばいいんですけどね。また戦いを挑まれましたら、私がまた出ますよ」
「アーシャ殿は本当に戦闘面では頼りになるさね」
「ふふ、有難う御座います。――それにしても暑〜い。ユリゼさん、お水ください……」


 空を見上げれば太陽が照りつける。
 海という場では帆が作ってくれる影が唯一の影場。だがそれに入れずにいるアーシャは気温の暑さに頭痛を感じ、冒険者の一人であるウィザード兼薬草師――ユリゼ・ファルアートへと助けを求めた。
 ユリゼは今まで荷物の確認を行っていたが、名を呼ばれた事により顔を上げてアーシャの方へと歩み寄る。普段は白のワンピースに似た服装を纏っている彼女だが、今は冒険中につき紺色のフードを被り直射日光を避けていた。


「はい、アーシャさんお水です。頭痛が酷いようでしたら薬の方も用意しますので気持ち悪くなったら直ぐに言って下さいね」
「有難う」
「いえいえ」


 彼女は魔法で真水を作り出すとそれをコップに注ぎ、アーシャへと手渡す。アーシャはユリゼに礼を述べると有り難くコップへと口付けた。
 ユリゼは普段月竜を相棒にあちこち旅をしている。大体が薬草採集目的だ。今回も竜を呼ぼうか迷ったが、だが今回はライラと共に船に乗って冒険をする事に決めた。
 ぱさりとフードを外し、彼女は緩い波の掛かった黒い髪の毛を晒す。同時にフードの影でよく見えなかった彼女の瞳――左が澄んだ碧、右が海のような青の瞳が露になった。
 その瞳は今、海の流れを見ている。


「ユリゼ殿。何か気にかかることでもあるのかい?」
「いえ、まだ良く分かりませんが風が強いような気がして」
「船がよく進んでいい事だと思うけれど?」
「気のせいかもしれません。私は海には強くありませんし」
「ふむ……いや、気が付いたことは何でも言ってくれて構わないさね。それが小さな事でも大事になるよりましさ」
「では何か気付きましたらすぐにお伝えしますね」


 ユリゼは柔らかな笑みを浮かべ頷く。それを見たライラは軽く手を振った後、他の船員達に指示を与える為にユリゼ達の元から去った。


 ――そしてそれは悲しくもライラが消えた直後に起こる。


「ユリゼさん……く、薬下さい〜……熱のせいでちょっと酔ったみたいです〜……」
「きゃぁっ! い、今ジンジャーを用意します! 酔い止めのお薬ですぐに効きますから吐いちゃ駄目ですよー!」
「あはは、今日は本当に暑いもんね〜♪ 僕も酔わないようにしなきゃっ」


 それはまさに冒険の始まりのちょっとしたハプニング。



■■■■



「一年ぶりに顔を見せたかと思えば……なるほど、例の地図は信頼におけると判断されたか」
「ああ、だからこうして再びそちらに応援を頼みに来たさね」


 バイキングの村に辿り着くとすぐにライラは長と対面する。
 まだ一年。もう一年。
 彼らにとってどちらかはわからないが、一年ぶりの再会に長は呆れたように息を吐いた。今回の訪問目的は新大陸への調査において、バイキング達の航海技術を貸り、協力をお願いしたいという事。彼らにとっても人事ではないと素直に伝えれば、長は眉間に皺を作る。傍に控えていた他のバイキング達も表情を真剣なものへと一変させた。


「前回の航海の時からお前達が再びこの地に来る様な気はしていた。――良かろう。我らの力で良ければ協力しよう。その代わり」
「また力試しかい?」
「それならば私が再びお相手致します」
「えへへ、バイキングの皆さん、また来ましたよー。この音色、憶えてますかー? もしまた音楽が必要なら僕が歌いますよ〜♪」


 長の言葉をさえぎり、ライラが尋ねる。
 その言葉に戦闘体勢を整えていたアーシャが一歩前に出た。クリスも竪琴を手にその隣に立った――だが、長は首を振る。


「実は今我らには長期航海する為の充分な食料がない。それを補える程の食料はそちらにあるか?」


 長は問う。
 バイキング達は基本的に貿易よりも略奪を主に働く。だが航海のための食料がないと言うことは、平和に暮らしていたのであろう。ライラは以前とは違う注文に一瞬だけ目を細める。他の面々はきょとんと目を丸めた。
 やがてライラは肩を竦め、そして少しだけ笑った。


「ああ、多くの食料を積んできたさね。どれだけの人員を割いてくれるかは分からないが出来るだけ分けると約束しよう」
「心得た。――お前達、聞いたな! 今、手が空いているものはすぐに準備をしろ! 我らがバイキングの力、再び見せ付けるときだ」
「「おおーー!!!」」


 村に響く叫び声。
 その音にびりっとした空気の震えを感じると、ライラ達はほっと胸を撫で下ろした。



■■■■



 夜の船上に響く優しい音色。
 それはクリスの竪琴、そしてアーシャのフルートの音だ。彼女達の音楽に心癒されながら進む海路はまだ穏やかで順調と言えた。


「さあ、皆食べておくれ! 航海中は士気を高める為にも美味しい食事と言う楽しみは欠かせない! 色々工夫を凝らして腕を揮ったあたしの料理、ぜひご賞味あれ!」


 ライラはバイキングの長との約束通り、付いてきてくれたバイキング達にも食料を分け与えながら航海を続ける。
 それもライラ自ら調理した美味しい料理となって、だ。その味に感動したバイキング達は気分良く歌を歌い始める。クリスとアーシャは顔を見合わせると、その歌を支援するように更にテンポの速い曲調へと変えた。


「ユリゼ殿。あたしの料理はどうだい」
「とても美味しいです。薬味もちゃんと利いてて……本当に美味しい!」
「口にあったなら何よりさ。あたしは喜んでもらえるのが一番嬉しいからね」


 ユリゼはライラの料理を口に運びながら素直に感想を漏らす。
 ライラはお菓子作りを専門としているが、料理面でも腕が良い事を知らしめた。士気の上がっていく様子に満足しつつ、自分もまた食事を取ろうと皿に手を掛けた。
 だが視線を海へと走らせた瞬間、その存在に気付く。彼女は慌てて船の端へと寄り、身を乗り出す。目を凝らし、黒い海を見やれば――彼女は確信し、その名を呟いた。


「……アドゥール」
― 行くのか。
「ああ。行かせてもらうさ」
― 先にどんな困難が待ち受けていても?
「前回の冒険でもあたし達は乗り越えて進んだ。今回だって乗り越えてみせるさ」
「あー、アドゥール様だぁ〜♪ お久しぶりです♪」
― お前はあの時の娘か。変わらず何より。
「アドゥール様もお元気そうで嬉しい!」


 姿は鯱に似ているが、彼こそが海の精霊アドゥール。
 前回の冒険でご先祖様の残した地図の先を案内をしてくれた精霊だ。クリスは音楽を止め、自分もまた身を乗り出して手をぶんぶん振る。アドゥールはそれに応える様に、動物の鳴き声を海に響かせた。


― この先は気をつけていけ。もし地図を覗く余裕があるのならばもう一度確かめてみるが良い。無事を祈る。
「地図をかい?」
― どうかお前達の旅路に幸あらん事を。


 そう言って彼は海に静かに沈んで姿を消した。
 初めてその姿を見たユリゼは目を瞬かせる。世の中にはまだまだ自分の知らない世界や精霊が多く存在しているのだと自覚せずには居られない。


「あれがアドゥール……姿は可愛らしいのね」


 ほうっと息を吐きながらユリゼは呟く。
 その言葉にアーシャは思わずくすっと笑みを浮かべると、再びフルートに口付けた。



■■■■



 そしてどれほどの日数が経っただろうか。
 アドゥールが、そしてユリゼが危惧していた事がとうとうやってきてしまった。それは自然界では当然ありえる事。航海をしてきた者にとって最大の敵ともいえる――嵐だった。


「帆を畳め! 出来るだけ船体を揺らすな!」
「「おー!!」」
「この先を乗り越えれば新大陸はすぐさね! 皆頑張っておくれよ!」
「「承知っ!!」」


 バイキングの長とライラ。
 この二人が指示を出し、嵐の海を乗り越えていく。船員達は皆裸足で各々与えられた場所で役割を果たす。ある者は荷物が飛ばぬよう船体へと放り込んだり、ある者は帆を畳み風の抵抗を少なくし船体の安定を図る。
 そして船に詳しくない者は邪魔にならない程度にその者達の手助けをした。
 その甲斐もあり、海はやがてその怒りを収め次第に波は穏やかなものへと変わっていく。被害を数えてみたが、思ったよりかは少なく今後の航海に支障はない。その事が救いだ。


「ライラさん、ちょっと地図を読ませて頂いてもいい?」
「ん? ユリゼ殿。どうかしたかい?」
「海の精霊、アドゥールは地図を見ろって言っていたのよね。多分もう王国の方で調査済みだとは思うけれど、私は精霊碑文語もそれなりに読めるの。念のため地図に変わった書き込みが無いか覗いてみたいの。いいかしら」
「じゃあお願いしようかね。もしかしたら誰も気付いていない何かにユリゼ殿なら気付いてくれるかもしれない」


 ライラと共にユリゼは船室へと足を運ぶ。
 船長室――つまりライラが寝泊りしている部屋へと彼女は訪れ、ライラが机の上に出してきた地図を覗き込んだ。だがその表情が一瞬にして曇る。


「これは控え?」
「そう、写し取った控えさ。本物はこっちにある。何かあると困るから大事に仕舞い込んであるのだけれど……ああ!」
「どうしたの!?」
「しまった。先程の嵐で入り込んできた海水で地図を少し濡らしてしまったようだ……」
「……あら、これは」
「何か見つけたかい?」
「ええ、この海の水に濡れた部分に文字が浮かびあがっているの――えーっと……『人魚の海』、かしら」


 ユリゼは指を滑らせ、地図に浮かんだ精霊碑文語を読む。控えにも念のため濡らしてみたがそれは所詮偽物。浮かび上がるはずがなかった。海水に濡らしたせいなのか、それともこの海域に辿り着いたから浮かび上がったのかは分からない。だが新たな印にライラは心躍らせる。


「ライラさんっ!! 外に来てください〜っ!!」


 不意に聞こえてきたアーシャの叫び声。
 二人はその声に素早く反応すると地図を片手に船室から外へと飛び出た。アーシャとクリスが指を指した先、そこには多くの――。


「あれ、鮫の群れじゃないですかっ!」
「それにあそこ! あの鮫の群れに襲われているのって溺れた人間に見えるんですけれど!」
「人間だとっ!?」


 ライラは船員から遠眼鏡を奪い取るとすぐに鮫の方へと向ける。ちっと舌打ちするとライラは後ろを振り返り、船員と冒険者達に向かって声を荒げた。


「襲われているのは人間じゃなくて人魚さ! 見過ごす事は出来ないね! 皆、船をまず人魚と鮫の間に割り込ませるよ!」
「「はいっ!」」
「次に戦える者は鮫に攻撃を仕掛けて追い払うよ! ユリゼ殿は補助を」
「任せてください」
「アーシャ殿は弓を」
「もちろん!」
「クリス殿は人魚との交信をお願いするよ」
「分かったよ!」


 各々へ指示を飛ばすと、船は今まで以上のスピードで鮫の群れへと突っ込む。
 人魚を巻き込んでしまう可能性もあったが、そこはバイキング達の腕のみせどころ。見事鮫と人魚を隔てる事に成功すると、まずアーシャが弓――フェアリーボウを構え、射った。


「私の弓にかかれば鮫なんてイチコロ! さっさとお退きなさい!」


 出来るだけ間を置かずにアーシャは撃ち続ける。その間にライラは仲間の一人にウォーターウォークを掛けて貰うと船上から海の上へと飛び降りる。もちろん魔法が掛かっているので沈む事はない。彼女は愛剣片手に鮫達へと攻撃を仕掛けていく。もちろんライラの動きも読んでアーシャは弓を撃つので彼女に当たることはない。


「人魚を大勢で苛めるなんて許せないね! さあ、あたしの剣で切られる前にお逃げ!」


 ライラはそう叫びながら剣を振るう。
 その勢いに鮫達は怯み、けれど口を大きく開いて彼女へと襲い掛かってきた。だがアーシャが放つ弓が口内を貫き、鮫はあっけなく沈んでいく。


 一方、人魚の方ではクリスとユリゼが船体から身を乗り出し声を掛ける。


「えー僕達の声わかります〜? もし伝わらなかったらテレパシー使うね〜!」
「っ、危ない!」


 ユリゼは人魚に迫る一匹の鮫の影を見つけるとアイスブリザードを仕掛ける。驚いた鮫は人魚から一気に距離を開けるように逃げていった。
 クリスはすぅっと息を吸い、そして吐く。
 それからテレパシーを使って不安そうに自分達を見つめる人魚へと優しく語りかけた。


― 大丈夫?
― 貴方達は人間?
― 僕達は冒険者。今ね、新大陸を探して冒険中なんだ。
― しんたいりく?
― そう、この近くに僕達の知らない新しい大陸があるらしいんだ。僕達は僕達の船長のご先祖様が残した地図を見て此処まで来たんだよ。
― しんたいりくは知らないけれど。
― 何か心当たりはあるの?
― ここの近くに人間が住んでる場所、心当たりがあるわ。
― 本当!?
― ええ、鮫を追い払ってくださったお礼によければご案内しましょうか。
― わーい♪ 嬉しい!


 愛らしい人魚はテレパシーで自身の持つ情報を伝える。
 やがて全ての鮫がライラ達の活躍によって追い払われると、クリスは人魚が新大陸だと思われる場所へ案内してくれる旨を伝えた。当然ライラは喜び、自分自らテレパシーで人魚へと話しかける。


― こっちよ。地図の場所と同じか確認しながらついてきてね。


 ぱしゃん、と水飛沫をあげながら人魚はすいすい泳いでいく。
 その可憐な姿を追いかけるように、船は進む。ライラは地図とコンパスを使い海域が間違っていないか細かくチェックしながら人魚の姿を見やり、そして確信する。
 間違いない。
 この人魚が案内してくれているのは自分達が待ち望んでいた新大陸だと。


― ここよ。ここに、人間がいるの。
― 有難う! 助かったよ〜♪
― 私の方こそ有難う。ここの海域には人魚も鮫も多く存在するの。そちらも気をつけてね。


 やがて現れた陸地。
 人魚は最後に大きく手を振るとその尾で水面を叩いてから静かに海中へと消えた。


「ライラさん……ここって」
「間違いないね。ここが地図の示す新大陸だ」
「じゃあ、僕達は無事辿り着けたんだ!?」
「わぁ、どんな冒険が待ち構えているのか腕が鳴ります」


 ライラの言葉に冒険者・船員達がざわめく。


「さあ、船をつけておくれ!! 降りるよ!!」


 船長の指示に皆素早く従う。
 今一番この初めて見る大地に胸を躍らせているのは誰だろう。――いや、きっと皆同じ気持ちなのだろう。お互いの表情を見ればわくわくした気持ちが伝わってくるのだから。
 やがて船体から下ろされる小船、それに乗り込み海岸まで向かうライラ達。


 この先に何が待っているかは――今はまだ、分からないままである。








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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【eb9243 / ライラ・マグニフィセント / 女性 / 21歳 / ファイター / お菓子作り職人】
【ea2004 / クリス・ラインハルト / 女性 / 23歳 / バード / 吟遊詩人】
【ea3502 / ユリゼ・ファルアート / 女性 / 24歳 / ウィザード / 薬草師】
【eb6702 / アーシャ・イクティノス / 女性 / 21歳 (実年齢43歳 ) / ナイト / 警護】


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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、今回も冒険発注有難う御座います!
 またしても文字数上限ぎりぎりでの納品となりました。長い旅となりますが楽しんで頂けましたら幸いですv


■ライラ様。
 こんにちは、いつもお世話になっております。
 今回も当方を選んで下さって有難う御座います。前回の冒険とも絡ませつつ新たな話へと展開させていただきましたがいかがでしょうか?


■クリス様
 こんにちは!
 前回に引き続き今回も人魚との会話などサポート担当をお願いいたしました。こっそりいろんなところで活躍して頂きましたがどうでしょう。


■ユリゼ様
 こんにちは、初めまして!
 今回はウィザードとして、そして薬草師としての立場を大いに活用させて頂きました。サポート・補助的立場となりましたがとても助かりましたv



■アーシャ様
 こんにちは!
 前回同様戦闘シーンなどを担当して頂きました。それから個人的にフルートの描写に女性らしさを感じましたのでそれの描写もこっそり力を入れております。


 最後に。
 新大陸への上陸おめでとう御座います!
 これから先どんな冒険が待っているか分かりませんが、幸あらん事を!
WTアナザーストーリーノベル -
蒼木裕 クリエイターズルームへ
Asura Fantasy Online
2010年07月06日

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