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『ミッド・ナイトメア・サマー 』
シーヴ・王(ga5638)

楽しい旅行のはずだった

ラストホープから旦那さまであるライディ・王の故郷である中国へ向かう途中で事故が起きた

揺れる機体、響く叫び声、シーヴ・フェルセンは隣にいたライディの腕を放すまいとぎゅっと握る

KVで撃墜されたときのような強い衝撃と体がふわっと浮くような感じを受けたかと思うと意識が遠のいた‥‥

〜能力者と一般人〜
 シーヴが目を覚ますと手には砂が握られている。
 口を動かせばジャリっと噛み締めた音がした。
 目を動かして回りを確認すると、浜辺に打ち上げられているようだった。
 時折波が足にかかって冷たい刺激を与え、シーヴの意識をハッキリさせてくれる。
「‥‥ライディ? ライディ!」
 すぐさま立ち上がったシーヴは意識を失うまで握っていた腕の所在を確認した。
 振り返ると墜落した飛行機が壊れた姿でジャングルへ突っ込んでおり、翼が折れ無残な姿となっている。
 胴体はねじ切れていて、尾翼部は沖に灯台のように立っていた。
 水上には浮きのように漂う死体、浜辺にも動かない人が何人も倒れている。
「ライディ! ライディ!」
 名前を叫びながらシーヴは浜辺を走り、愛する人の姿を探した。
 言いようのない不安が頭を駆け巡り、足を進ませる。
 倒れている人の中で、ライディを見つけたシーヴは近寄って声をかけた。
「大丈夫でありやがるですか? しっかりするですよ」
「シーヴ? ‥‥ごめん、何か体が動かなくて‥‥」
 見ただけで怪我が酷く、骨折などが見られるライディを気遣いながらシーヴは背負う。
 後ろに回した手にべっとりと血が流れてきてシーヴは血の気が引く。
(「早く‥‥手当てしねぇと!」)
 安全に横になれる場所を探しシーヴは走った。
 砂浜に足がとられ、暑い日ざしがシーヴを攻め立ててくる。
 北欧育ちには厳しい環境だが、それよりも傷ついたライディをどうにかする方が先立った。
(「どこかに‥‥どこかにねぇですか‥‥」)
 焦りが強くなり、何を見ても違うという気持ちばかりが浮かんでしまう。
「シーヴ‥‥落ち着いて、日陰と寝れるところがあれば‥‥だいじょうぶ‥‥だから‥‥」
 ライディの声でシーヴは我にかえり、大きな岩が屋根のようになったところへライディを運んでいくのだった。
 
〜無力を感じて〜
 涼しい日陰にライディを寝かせ、自分の服が汚れるのも気にすることなくシーヴはライディにつくした。
 飛行機に残っていた僅かな食料を確保し、ライディに施す。
「救急箱しかなかったです‥‥」
 傷口を洗い包帯を巻くしか出来ないシーヴはそれでもライディが元気になるように願いを込めた。
「シーヴ‥‥ごめん‥‥ね。なんだか、俺が足引っ張ってるみたいで」
「そんなことないです。シーヴはライディが無事であることが一番でやがるです」
 骨折もしているだろうにライディは自分のことよりもシーヴを気遣っている。
 その気遣いがまたシーヴの心をキュッと締め付けた。
「水、飲ませてあげるですからね」
 自分の口に水を含み、シーヴは口移しでライディに水を飲ませる。
「う‥‥んく‥‥ありがとう‥‥シーヴが怪我をしていなくて‥‥よかったよ」
「そんな‥‥シーヴは能力者だからで‥‥でも、それはライディを守るための力であって欲しかった‥‥です」
 微笑みかけてくるライディにシーヴの瞳から涙がこぼれた。
 無力だった、自分は殆ど傷ついていないのに愛する人がこんなにも苦しんでいるなんてシーヴは自分の無力さを感じずにはいられない。
「泣かないで‥‥シーヴ‥‥大丈夫、助かるから‥‥だから‥‥シーヴも食べる物食べて‥‥元気でいて?」
 優しく微笑みを浮かべながらライディはか細い声でシーヴを宥めた。

〜夜を越えて〜
 朝日が昇るまでシーヴはライディの汗を拭いたり甲斐甲斐しく世話を続けた。
 それだけしか出来ない自分が悔しくても、それさえもしないことは許せなかったから‥‥。
「シーヴ‥‥一人にして‥‥ごめんね」
「ライディ? 何をいうですか、しっかりするですよ!」
 朝日と共に呟いたライディの言葉に耳を疑うようにシーヴはライディの肩を掴んで精一杯叫んだ。
 涙を流し続けて腫れた目で見るライディの顔から生気が抜けてくるのが分かる。
「ライディ! ライディィィ! ずっと一緒って言ってくれたじゃないですか‥‥なんで、何でこんなときに‥‥」
 体を揺さぶるもライディの首はだらりと垂れて安らかな顔を浮かべていた。
 悲しみやら怒りやらいろんな負の感情がシーヴの心にうずまき、薪を集めるときに使ったナイフへ目がいく。

 ズットイッショ‥‥ソウダ‥‥ズットイッショニナルンダ
 
 暗い声に導かれるようにシーヴはナイフを手に取り、目を伏せると自分の心臓を一突きに貫いた。
 痛みがなく、何故かと目をあけると見慣れた景色が目の前にある。
 柔らかい布団と温かいライディの腕‥‥。
「どうしたの? 急にしがみついてきたから起きちゃったけど‥‥」
 心配そうに顔を覗くライディの顔は生気に溢れていて、気付けばシーヴはライディにしがみついて起してしまったようだ。
「なんでもない‥‥です。夢で、よかったです‥‥」
「今日はおやすみだから、二度寝しようか‥‥ゆっくりとね?」
 ライディはシーヴをそっと抱きしめる。
 涙で濡れた目を拭いシーヴはライディの鼓動を聞きながらゆっくりと眠りにつくのだった。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名      / 性別 / 年齢 / クラス  】
 ga5638  / シーヴ・フェルセン/ 女  / 18 / ファイター


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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どうも、毎回お世話になっています。
橘真斗です。
今回はいつもと違う雰囲気のプレイングでしたので緊張感を前にだすように仕上げてみましたがいかがでしたでしょうか?
野暮な人間はださずに二人の世界をしっかりと堪能していただけたのなら幸いです。

それでは短いですが次なる運命が交錯するときまで、ごきげんよう。
ココ夏!サマードリームノベル -
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CATCH THE SKY 地球SOS
2010年07月22日

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