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『二人の夏、ラスホプの祭り 』
シーヴ・王(ga5638)

 今日は自宅近くのお祭りの日
 
 顔見知りの商店街の人が催してくれている
 
 ここに来て過ごしたことで気心しれた仲になった彼らとの夏は
 
 私にとって楽しみである
 
 もちろん、隣にいる夫と過ごせるのだから‥‥

〜夫婦(めおと)の休日〜
 キュキュっと帯の締まる音がするとライディ・王の腰を叩いてシーヴ・王は笑顔を浮かべる。
「ふふ、こうしてると夫婦って感じでありやがるですね。はい、出来たです」
 京都のお嬢様から着付けを伝授されたシーヴは人の着付けもお手の物だ。
「今日が仕事の休みでよかったよ。町内会のお祭りなんて久しぶりだね?」
「最近ライディは仕事で忙しいですから‥‥今日は息抜きするです」
 ライディの肩をもみながらシーヴは顔を覗かせて微笑む。
「そうだね、いろいろ食べたりしようね」
 微笑を返しながらライディはそっと手を差し出す。
 すっと手を重ねさせてシーヴは握った。
 そのまま手を繋ぎながら、スタジオ兼自宅を二人は後にする。
 外にでれば頭上には星が瞬く綺麗な空が広がっていた。
 
〜のんびり過ごそう〜
 カランコロンと下駄を鳴らして近所の公園まで歩く。
 近づけば祭囃子の音色と共に熱気あふれる風景が目に入ってきた。
 出店もいくつか並んでおり、見知った顔が営業をしている。
「よう、シーヴちゃん。焼き鳥どうだい? 美味しいよ。旦那とは久しぶりだねぇ〜」
「肉屋さんこんばんわです。じゃあ、ライディと一本ずつで‥‥」
 早速、声をかけられたシーヴは照れながらおじさんから焼き鳥をもらった。
 そうしていると、隣のたこ焼きをやいている魚屋さんから声を掛けられてと料理をやりはじめてから増えた買い物での付き合いの人から次々と声をかけられていく。
 焼きとうもろこしなどサービスをしてもらって、10分も立てば両手に荷物が一杯ば状況だった。
「シーヴが商店街の人にこんなにも知られているなんて初めて知ったよ‥‥家事をやっているおかげかな?」
「そうですね、商店街の人達からお勧めとか聞いたりしてるです。ライディにはいつも元気でいてほしいですから」
 すっかり主婦のようになったシーヴの姿にライディは微笑を見せる。
 一緒に暮らし始めて大分日がたったこともあり、馴染んできたんだなと直に感じられる光景だった。
「そうです。お揃いの小物とか何か買わねぇですか? こういうお祭りにいるとあの指輪を買ったときを思い出すです」
「一昨年の11月だもんね‥‥まだ恋人になったくらいの時期だったね」
 懐かしむように目を細めたライディは露店で買った指輪の思い出を口にする。
「そうです。指輪は結婚指輪と被っちまうんで、何か別なものがいいと思うです」
 
 シーヴの提案を受けて、二人は手荷物を気にしつつアクセサリーを売っている店を歩いた。
「あ、ブレスレットがあるね。このあたりとかどうかな?」
 ライディが指差したのは天眼石の手作りブレスレットだ。
 不思議な瞳が現れた天眼石をメインに横に配置して紐編みしたブレスレットで、派手過ぎないところがライディは気に入ったようである。
「手作り感があっていいですね、シーヴもこれでいいですよ?」
「じゃあ、二つお願いします」
 チベット人の店主から揃いのブレスレットを購入した二人は飲み物を買って休憩できるベンチへと足を運ぶのだった。

〜思い出語り〜
 たこ焼きや焼きとおもろこしを食べ、飲み物を飲むゆったりした時間を二人ですごしていうとシーヴがライディの顔を見上げてきた。
「とうもろこしの粒ついているです」
 口元についていた粒を手にとるとシーヴはパクリと口に入れる。
 自然とした行動だったが、思い返すとかなり恥ずかしいことをしていたことに気づいた。
「えっと、ライディの故郷のお盆はどんな感じです?」
 照れ隠しをするようにシーヴはライディを見上げながら尋ねた。
「中国だと施餓鬼(せがき)といって死後も苦しんでいる全ての霊を供養するんだ。旧暦だから7月の末になるんだけどね」
「食べ物を備えたり、紙のカバンに紙でつくった日用品を入れて燃やしたりとか。眼の見えない霊たちのためにお寺まで竹線香を並べて道をつくってからお経を唱えたりとか変わってると思うよ」
 やや買いすぎた食べ物を口にしながらライディは話をはじめる。
「スウェーデンだと6月の夏至祭がお盆みてぇなモンですね」
 夏至祭は短い夏の到来を祝うクリスマスに次ぐスウェーデンの二大祭りとも呼ばれ、モミの木のツリーを立てることなどをシーヴは話した。
 こうして会話をするとお互いまったく違う文化圏で育っていることが再認識できる。
「ミッドサマー・ポールか‥‥どんなものか実際にみてみたいな」
「来年はいこうです。きっと楽しいですから」
 ライディの楽しそうな顔につられてシーヴも笑顔になる。
 そんな話をしながら焼きそばを食べていると、ヒューっと甲高い音が響いたと思ったら星空に華が咲いた。
「あ、花火‥‥です」
「うん、綺麗だね?」
 どちらからとも無く寄り添い、二人は花火を見上げる。
 色とりどりの花が小規模ながらも咲き乱れて夜空を彩っていた。
 最後の花火が終わるまでライディもシーヴもその場からは動かずずっと眺める。
 お揃いのブレスレットをつけた手を握り合いながら‥‥。

〜お供えもの〜
「せっかくなので、お供えするです。タイヤキですがいいですかね?」
「中国のお供えものは豚の頭とかあるし、大丈夫だよ。甘いもの二人とも好きだったし」
 スタジオ兼自宅へと戻ってきたシーヴは早速ライディに尋ねる。
 食べ切れなかった白タイヤキなのだが、せっかくなので今日買ったものがいいと思ったのだ。
 赤い台に赤いろうそく、長いお線香などが備え付けられた自宅のお供え檀にタイヤキを置いて二人は両手を合わせて頭を下げる。
『ありがとう、これからも息子をよろしくね?』
「え‥‥今、声が‥‥」
 以前、中国に出向いたときに現れたライディの母親らしき声を聞いたシーヴは頭を上げてキョロキョロと見回した。
「どうしたの?」
「なんでもねぇです‥‥ライディの母様が喜んでくれたような気がしただけです」
 不思議そうに首をかしげるライディに向けてシーヴはくすりと笑って答える。
 こんな不思議な体験は胸にそっと閉まっておくのが一番だ。

『シーヴのこともこれからも見守ってくださいです』


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名      / 性別 / 年齢 / クラス  】
 ga5638  / シーヴ・王    / 女  / 20 / ファイター


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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どうも、いつもお世話になっています。橘真斗です。
年齢の方をあげてなかったことに今頃気づいた夏です。

お盆のお祭りということで不思議な体験をつめていろいろやってみましたがいかがでしょうか?
あとは主婦っぽくしていたりする場面とか普段のシナリオでは書けない描写も書けて楽しかったです。

お揃いの小物は指定が無かったのでこちらのセンスで選んでしまったのですがどうでしょう?
ライディのセンスなんてこんなものです(酷)

さて、長くなってしまいましたが今回はこのあたりで。
中国盆については長崎でやっているお祭りを参照しましたので、興味がおありでしたら来年に訪れて見るといいかもしれませんね。

それでは次の運命が交錯するときまでごきげんよう。
ココ夏!サマードリームノベル -
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CATCH THE SKY 地球SOS
2010年08月30日

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