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『―― 休息、心の癒し ―― 』
ブリジット・バレンタイン8025)&扇 ミツル(NPC5188)

「あの‥‥本当に大丈夫だったんですか?」
 ミツルは少し遠慮気味にブリジット・バレンタインへと言葉を投げかけた。
「大丈夫って‥‥何が?」
 ブリジットはミツルの言う意味が分からず、きょとんとした顔でミツルへ言葉を返す。
「だって、一週間も仕事休んで‥‥ブリジットさんは社長だから簡単に休めないんじゃ‥‥?」
 ミツルの言葉に「あぁ、何だ。そんな事?」と微笑みながらブリジットも呟く。
「私が一週間の休暇を取ったくらいでどうにかなる会社と社員じゃないわ」
 ブリジットはきっぱりと言い放つ。よほどの自信、そして社員達への信頼が無ければいえない言葉だという事がミツルにも分かる。
 今回、ブリジットとミツルは気分を変える為に、そしてミツルを親から離すことも考えてタヒチ島へと来ていた。
 これはブリジットの提案であり、ミツルは最初遠慮をしていたのだが、ブリジットが強引に連れてくる形でタヒチ島へと来ている。
「早速だし、ホテルに荷物を置いてバカンスを満喫しましょ」
 ブリジットに手を引かれ、ミツルもやや早足で歩く。
 その表情には、優しい笑みが浮かべられており、その笑みは紛れも無くブリジットに向けられたものだった。
(「よかった‥‥ミツルが笑ってる、やっぱり連れて来て正解だったわね」)
 ブリジットもミツルの表情を見ながら心の中で呟き、彼女自身も微笑む。親によって傷つけられたミツルに必要なのは休息。
 だからこそブリジットはミツルをタヒチ島へと連れてきた。日本から離れ、親から離れ、ミツルの傷ついた心が少しでも癒えるように、と。

「ふふ、人が多いけど海も綺麗だし、バカンスにはもってこいだわね」
「‥‥‥‥」
「とりあえず砂浜に寝そべってみましょうか? 空も綺麗だし、きっとミツルも気に入ると思うわ」
「‥‥‥‥」
「どうしたの?」
 先ほどからブリジットが話しても言葉を返さないミツルを不思議に思い、ブリジットが問いかけると‥‥ミツルは赤い顔をしながら「目のやり場に困ります」と言葉を返してきた。
 それは海で泳ぐ女性の事ではなく、目の前のブリジットの事。彼女は黒のスリングショットであり、ミツルはどんどん顔を赤く染めていく。
「そんな事気にしてたの?」
 くす、と笑いを零しながら呟くと「‥‥他の男性達からの視線、です」とミツルが少し面白く無さそうに言葉を返す。
 まるで拗ねた子供のような表情のミツルにブリジットは思わず笑いが出て「可愛いことを言うわね」と言葉を返したのだった。
 それから2人は砂浜で寝そべりながら空を見ていた。
「来てよかったでしょう? ゴーギャンがこの島を愛したのも分かる気がしない?」
 ブリジットが隣で寝そべるミツルに言葉を投げかけると「そう、ですね」とミツルは遠い目をしながら言葉を返した。
 恐らくは今後の事、彼自身の家の事、色々な事がミツルの頭の中には浮かんでは消えている事だろう。彼が今後を生きるうえで決して避けては通れない事なのだから。
「ありがとう、ブリジットさん」
 ミツルがポツリと呟く。何に対しての『ありがとう』なのか分からなかったけれど、きっと色々な『ありがとう』がこめられた言葉だと思い「どうしたしまして」とブリジットは言葉を返した。

 あれから海で泳いだりなどして昼のバカンスを満喫した後、ブリジットとミツルの2人はディナーを取りながらタヒチアンダンスをのショーを見ていた。
 情熱さと妖艶さ、そして力強さが溢れるダンスに拍手が沸き起こっていた。
「この島の女の子は皆美人でしょう? よく声をかけられているけど目移りしているんじゃない?」
 ブリジットは少し意地悪っぽくミツルに言葉を投げかけられる。確かに数名からミツルは声をかけられていたのだが‥‥。
「‥‥それはブリジットさんも同じじゃないですか」
 そう、ブリジットも男性から声をかけられたりしている。
「あら、そうだったかしら?」
 しれっとブリジットが言葉を返すと「意地悪ですね」とミツルがため息混じりに呟き、言葉を続ける。
「たとえ、どれだけの人から声をかけられても、一緒に居るのが楽しい人とじゃないと嫌です。だから‥‥」
 僕には貴方だけですよ、とミツルは少し照れながら言葉を返す。
「ふふ、ありがとう。それにしてもタヒチアンダンス、見事ね。私もあの衣装を着てやってみたいわ」
 ミツルはみててくれる? とブリジットが言葉を付け足しながらミツルに問いかけると「勿論ですよ」と言葉を返した。

 ブリジットのタヒチアンダンスを見た後、2人はホテルのスウィートルームへとやってきていた。
「ワインでも飲みましょうよ」
 何処から見ても高級そうなそのワインを取り出し、ブリジットは自分の分とミツルの分のグラスを取り出しながらそれを注ぐ。
「きっと、色々まだ何かあると思うわ。でも‥‥貴方には私が居る事を忘れないで」
 ブリジットの言葉に「ありがとう」とミツルは言葉を返し、どちらどちらからともなく唇を重ね、一緒に夜を過ごすのだった。



END


―― 登場人物 ――

8025/ブリジット・バレンタイン/32歳/女性/警備会社社長・バレンタイン家次期当主

NPC5188/扇 ミツル/21歳/男性/大学生

――――――――――

ブリジット・バレンタイン様>
こんにちは、いつもご発注いただきありがとうございます!
今回はちょっと体調を崩してしまい、ぎりぎりの納品で本当に申し訳ありませんでした!
気に入って頂ける内容に仕上がっていると良いのですが‥‥。

それでは、今回も書かせて頂きありがとうございました!

2010/8/27
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2010年08月30日

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