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『銀髪夫婦と盆祭り 』
クラーク・エアハルト(ga4961)

 ひと時の安らぎの機会として

 嫁を誘って蛍の見える神社のお祭りへ出向く

 東方の不思議な祭りを嫁は楽しんでくれるだろうか?
 
 自分の選んだ浴衣は似合うと思うけど、気に入ってくれるだろうか?

 不安と期待の混ざり合う気分と共にラストホープを発った
 
〜ぶらり露店巡り〜
「霊が帰ってくる日ですか‥‥まぁ、お祭りなんでしょうけど‥‥」
「何を不思議がっているの? ようはハロウィンと似たようなものじゃない」
 甚平姿であごに手を当て唸るクラーク・エアハルトにユリの花が刺繍された浴衣のレオノーラ・ハンビーはくすくす笑いながら眺める。
 西洋のハロウィンは時期は違えど死者が家に帰ってきたり、精霊や魔女がでてくると言われたケルト人の風習が元といわれていた。
「あ、そうでしたね‥‥雰囲気が違うのですぐに結び付けれなかったですよ」
 ぽんと手を叩いてクラークは納得する。
 年下の嫁であるレオノーラの豊富な知識にはいつも驚かされてばかりだ。
「あ、リンゴ飴ですって。林檎、好きでしたよね? 良かったら買いますよ」
「じゃあ、もらいましょうか。好きなもの覚えていてくれるなんて嬉しいわ。ポイント高いわよ。この浴衣のセンスもいいし」
 雑談をしていると露店が並んでいるのが見え、その中の一つに近づくとクラークはレオノーラにリンゴ飴を買って渡す。
 自分の選んだ浴衣も気に入ってくれているようで何よりだ。
「自分はフライドポテトでも食べましょうか」
 隣で売っていたフライドポテトをクラークは買って二人そろって露店をぶらぶらと見て回る。
 ぶらぶらっとしていると神社に流れる川の川下の方から花火が上がった。
 夜空に大輪の花が咲いて光が二人の顔を照らす。
「花火、綺麗ですね」
「本当に綺麗だけど‥‥私とどちらが綺麗?」
「レオノーラに決まっているじゃないですか‥‥でも、二つを一緒に楽しみたいですね」
 クラークは花火に照らされるレオノーラを見つつも手を引いて座れる場所へと連れて行くのだった。

〜蛍と君と〜
 打ち上げ花火が落ち着き、川での仕掛け花火になったところで神社の裏手にある静かな林へ二人は移動する。
「神社の裏って静かで良いですね?」
「こんなところに連れ込んで何をする気なの?」
 手を引っ張りつれてこられた薄暗く、水のせせらぎとセミの声が聞こえる裏手の林は人の姿は少なかった。
「秘密です」
 クラークが人差し指を自分の唇にそっと当てて笑うと小さな光が二人の視線の前を横切る。
「今のは‥‥」
 レオノーラが光が来た先へ視線を巡らせると小さな光がせせらぎのする川から何匹も飛び上がってきていた。
 じっと見ればそれらは小さな昆虫であることが分かる。
 綺麗な水にしか生息しないといわれる夏の風物詩、蛍だ。
「今日は本当に綺麗なものが多いですね。レオノーラが一番綺麗ですが。浴衣、似合ってますよ」
 蛍を眺めるレオノーラに向けてクラークは微笑みと共にその姿を褒める。
「もう、褒めても何もでないわよ」
 綺麗と何度も言われて若干顔を赤くしたレオノーラは少しばかり強がって見せた。
(「そういうところも可愛いのですけど‥‥黙っておきましょう」)
 クラークは照れているレオノーラの手を軽く引っ張って抱き寄せると唇を奪う。
 最初は少し驚いていたレオノーラだったが、すぐに眼を伏せ、体を寄せ、背伸びをしてキスを受け止めた。
 蛍だけが二人の逢瀬をそっと見守っている‥‥。

〜帰り道の遭遇〜
 キスを続けていると、同じく蛍を見に来た人々がやってきたため入れ替わるように二人は林を回って帰り道へと進む。
「さあ、祭も終わったし帰りましょうか?」
「もう、こういうときばかりは強引よね。今日のキスは塩味がしたわ」
「レオノーラの唇はリンゴの味がしましたよ」
 手を繋ぎ、木々の間から降り注ぐ月の光を道しるべにしながら二人は小さな川にそって歩いていった。
 草を草履で踏んでいく感覚が心地よい。
「今日はありがとうね。クラーク。楽しかったわ」
「いえ、自分こそありがとうございます‥‥楽しい思いも、美味しい思いもさせてもらいましたよ」
 どこか勝ち誇ったかのような笑みを浮かべるクラークにレオノーラは今日は負けたと思っていた。
 普段は頼りないところが多いが、外に出ると頼れるようになってきたのは素直に嬉しかったのである。
「え、姉御?」
 クラークがふと立ち止まっておどいた視線を林の方へ注いでいた。
「姉御って、ベルディット少‥‥じゃない、大尉?」
 レオノーラは驚いてクラークの傍まで近づいて視線を追ったが、そこには何も見えない。
「見間違え? いや、でも‥‥」
「いるわけないわよ‥‥だって、あの人はコロンビアの闘技場で自決したのよ?」
「わかっています。けど、あの赤い髪は見忘れるわけありませんよ」
 悩みだすクラークにレオノーラが冷静に突っ込みを入れるが、あくまでもクラークは事実だと思っているようだった。
「お盆だからかしら‥‥ね? あまり信じないけどね。そういう話は‥‥」
「ま、きっと見守りくれただけですよ。機会をみつけて墓参りにいきたいところですね」
 背筋が寒くなるような話を受けてレオノーラはクラークへぎゅっと腕に抱きつく。
「実はレオノーラ、ホラー物がだめだったりする?」
「そ、そんなこと無いわよ‥‥先に行くわよ」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ〜」
 レオノーラは自分のことをごまかしつつ、クラークの制止なんか聞かなかった。
 帰り道そずんずんと先に進み、結局クラークが後を追いかける。
 夏の銀髪夫婦の盆祭りはこんな感じで締められたのだった。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名      / 性別 / 年齢 / クラス 】
 ga4961  /クラーク・エアハルト/ 男  / 28 /スナイパー

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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まいど!
お世話になっています、橘真斗です。
この度も発注をありがとうございます。

エロは無しですがややエロに仕上げさせていただきました。
またベルディットにしても気にかけていただいて嬉しく思います。

こちらとしてはちょっと男らしい部分を要望も踏まえて書かせていただきましたが、今後しっかりできるかどうかはクラークさん次第ですね。
それでは次なる運命が交錯するときまでごきげんよう。
ココ夏!サマードリームノベル -
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CATCH THE SKY 地球SOS
2010年08月31日

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