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『学園寮管理部が、離島で夏合宿を行った件について。 』
ヨグ=ニグラス(gb1949)

●そこに至るまでの経緯
 夏休みも残り少なくなったカンパネラ学園文化部棟は静寂に包まれていた。
 グラウンドから、部活に勤しむ生徒達の声が、人気のない通路に小さく響いている。
 空は抜けるような青、太陽はやや西に傾いているが、それでもギラギラ絶好調。
 風はぴたりと止んだまま、吹く気配はない。
 学園寮管理部室の窓の軒に吊された風鈴も、鳴る気配がない。

「暑ぇなオイ‥‥」
 温度計の目盛りは35度。
 文字通りうだるような暑さの部室で、シルバーラッシュは唸りとも呻きともつかない声をあげた。
 タンクトップにハーフパンツというラフなスタイルだが、仮に全裸であっても涼しくはないだろう。
 旧型の扇風機がせっせと部室内の空気をかき回してはいるが、爽やかな風など期待するべくもない。
「あ゛ーーづーーい゛ーー」
 熱風と、向けられた声に奇妙なエフェクトをつけて返すのが関の山のようだ。
「だらしないぞシルバー。心頭滅却すれば火もまた涼し、だ」
 事務机で書類整理をしていた鯨井レムが、呆れたように友人を振り返った。
 夏休みだというのに学園の制服をきちんと身につけ、背筋までぴんと伸ばしている。
 開け放たれた窓から差し込む西日さえ、どこ吹く風だ。
「シルバー、だれている暇があったら、そこの書類箱を片付けてくれ。全て処理済だから、次の廃品回収に出そうと思う」
 絵に描いたような優等生、しかも管理部長に命じられては従うほかない。
「へーへー」
 シルバーは示された箱を積み重ね、マジックで「廃品回収」と記した。5分もかからない動作なのに、汗だくになるのは何の不具合か。
「あぢぃ‥‥」
 これまた旧型の冷蔵庫の上部ドアをあけ、涼む。
「なー。鯨井は心頭滅却とやらで、暑くねェんだよな」
「無論だ」
 短い答えに、シルバーは冷凍庫に顔を突っ込んだままほくそ笑んだ。
「じゃあ、このアイス貰うな」
「なっ!?」
 掴み出されたプレミアム・カップアイスにレムが顔色を変える。
「それは僕が楽しみにとっておいた‥‥!」
「シントーメッキャクなんだろ? 俺が喰った方が有意義だって」
「それとこれとは話が別だ、返せ!」
 物言いは静かに。管理部長が覚醒した。
「だ が 断 る」
 対するシルバーのエミタも目を醒ます。
 キミらもう少し能力は有意義に使え、などといってはいけない。
 バグアが襲来するまでの古今東西、食べ物の奪い合いは戦争の原因になっていたのだから。
 一触即発、殺気が、高まる。
 と、そこへ。
「こんにちはですー」
 場の雰囲気を和ませるように、扉が開いた。
「レム姉様、シルバーさん、今日も暑いですねぇ」
 訪れたのはヨグ・ニグラス。さらさらの黒髪を揺らし、年上の2人ににこりと微笑みかける。
「んと、お土産です。プリン冷やしてきたのです」
 後輩に保冷バッグを差し出されては、停戦せざるを得ない。
「お、サンキュな」
 エミタを意志で制御したシルバーは、両手でプリンを受け取った。
「有難う、ヨグ」
 レムもにこやかに微笑む。が、アイスはちゃっかり奪還して冷凍室に戻した。
「暑かっただろう、その席は扇風機の風が当たるから比較的しのぎやすい」
 勝者の余裕で、先刻までシルバーが座っていた椅子を指す。
「はいっ、ありがとです。さあプリンたべましょ!」

 牛乳と卵を固めた冷菓が、3人の喉を滑り落ちてゆく。
 温度計の目盛りも照りつける西日もあいかわらずだが、ほんの少しの涼しさを伴って。
「夏休みももう終わりかー。海でも行きてーなー」
 容器の中身を空にしたシルバーが、軽く伸びをしながら呟いた。
「ん、海。そうだ、僕は今日そのことで来たのでしたっ」
 とん、とヨグが椅子から降りる。背中のリュックサックから、折りたたんだ紙を取り出した。
「これ、陸人さんが広場で一生懸命配ってたです」
「陸人が?」
 行儀よくプリンを食べ終えたレムが、広げたそれを覗き込む。
「伊那加島観光ツアー‥‥旅行代理店でアルバイトをしていたのか‥‥」
 手作り感あふれる素朴なパンフレットには、青い海や瑞々しい緑の写真が、ふんだんに掲載されている。
「ふむ。キメラの風評で経営危機の観光地か‥‥」
「そうなのです。陸人さんはお客さんがこないと、アルバイト代もらえないって泣いてました。てか、 普通に依頼を受ければいいのにねっ」
 説明しつつ、至極真っ当なツッコミを入れるヨグ。一方レムは、持ち前の正義感が沸き立つのを感じていた。
「なるほど、ならばここはカンパネラ学園・学生寮管理部の腕のみせどころだろう。この島に活気を取り戻すために、我々が一肌脱ごうじゃないか。‥‥ヨグも手伝ってくれるかい?」
「もちろんですレム姉様♪」
 意気投合するふたり。そしてもうひとりは。
「んと、シルバーさんもいきますよね?」
「ん?」
 冷凍庫から取り出したアイスを咀嚼していた。「鯨井」と記されたフタが、机の上に放られている。
「シルバー、きみという男は!」
「ちょ、待、鯨」

 文化部棟の一角から、断末魔が夏空に響く。
 風はそよりとも吹かず、勿論風鈴は鳴らない。



●というわけで1日目
 沖縄県、八重山諸島北部に位置する「伊那加島」。
 かつてキメラに占拠されながらも、安全な観光地として再スタートを切った小さな島だ。
 もっとも風評被害は深刻で、小さな港にも賑わいはまるで見えなかった。
 ぽつんと、人影がひとつあるだけだ。小柄な少年である。
 「レ、レム先輩が手伝いにきてくれるなんて‥‥」
 首にタオル、頭には麦藁帽子。 手には「歓迎・カンパネラ学園寮管理部ご一行様」と記されたボード。
「レム先輩、どんな水着着てくるのかなぁ。ボーイッシュなのが好きそうだけど、案外チェックとかお花模様も似合う気がするんだよね‥‥」
 彼こそが今回の依頼人? 笠原陸人である。
「あ、でも! もしビキニだったらどうしよう! しかもヒモで結ぶやつだったらどうしよう!」
 暑さで茹っているのか、なにやらよからぬ妄想を繰り広げているようだ。
「そ、そんでもって!『オイルを塗ってくれ』とか言われたら、僕どうしたらいいんだろう!」
 いいから落ち着け少年。
 誰もが抱く思いが世界の摂理に伝わったのか、水平線の向こうに小さな船が見えた。
「あ、来た!」
 黒いしみのようだったそれはみるみる大きくなり、人気のない港に着岸する。
「リプト‥‥じゃなかった、陸人さーん♪」
 真っ先に降りてきたのはヨグ。濃紺の襟がついた半袖マリンルックが愛らしい。
「暫くぶりだな陸人。ブリュンヒルデの慰問以来か」
 さらに、ストレッチTシャツにカプリパンツ、なぜか首からホイッスルのレムが続く。
「レム先輩‥‥いつもと少し雰囲気が違うけどお似合いですっ! ヨグたんも男の娘みたいでかわいー!」
 しばし、再会を喜び合う3人。その後ろからシルバーが下船した。
「笠原じゃねーの」
「あ、シルバーせ‥‥」
 んぱい。
 言いかけた陸人の表情が凍りつく。
 無理もない、彼の「先輩」は黒地に銀色のハイビスカス柄のアロハシャツに蛍光色の短パン、さらにサングラスまでかけていたのだから。
「ヒイッ、ヤンキー!」
「誰がヤンキーだよ!」
 シルバーは舌打ちし、おびえる陸人にヘッドロックをかました。
 いや、誰がどう見ても‥‥ううん、なんでもない。

 手配したジーザリオで、4人は島の南端にある宿泊施設へと入った。
 アジアンリゾートをイメージしたコテージは、なかなかよい雰囲気だ。
 大きなベッドが二つ並んだ寝室に、涼しげなラタンで統一されたリビング。素焼きタイルを敷き詰めた床は、そのまま彼らが腰を下ろしているオープン・テラスへと繋がっている。
「惜しいな。決して悪くないが、ツメが甘い。そう例えば」
 手にしたミントティーをテーブルに置き、短くホイッスルを鳴らすレム。すっと伸びた指先には大きな「キメラ出没注意」の看板が見える。
「レム先輩、あの看板、だめですか?」
「ああいったものが目に入ると、現実に引き戻されてしまうだろう? ここは能力者が集まる安全な島というのをアピールして、一般客にはつかの間の安息を楽しんでもらうことが必要だ。まずは我々で島内、特に道路や港を調査して‥‥」
 ふむふむ、と陸人はメモをとる。手の中のコーラを一気に呷ったシルバーも頷いた。
「りょーかい。やっぱ夏ぐらいは遊ばなきゃ嘘だろ。せっかくだから俺は海に潜るぜ! キメラ被害を受けてたんなら、海の生態系もかわっちまってるかもしれねーしな」
ちょっと待て。了解、と以降が一致していない。突っ込む間もなく
「僕は森を探検したいです。天然記念物的ネコ科とかいそうだし。あと卵とかミルクとかゲットできないか探してみます。島の活性化! それすなわち名物! とりあえずカンパネラ生徒会プリンとか作ってみれば、学生来ると思うの」
ヨグも目をキラキラさせた。ちなみに飲み物はアイスココアだ。
大丈夫か管理部。まとまりに欠けるぞ。
「そですね。キメラは一応駆除宣言が出てるんですけど、それっぽい目撃証言は海、森の両方で出てるんです。今回の滞在は2泊3日の予定だから、明日明後日で1日ずつ、みて回るといいかなって思うんですよね」
 陸人が「一見上手く折衷したようだが、とりあえず纏めただけ」の案を提案する。
「なるほど。ではそれ以外の場所の調査はこれから行うしかないか」
 いち早く立ち上がったのは学園寮管理部長。
「レム先輩、今からですか?」
「そのつもりだが。陸人、何か問題が?」
「す、すみません‥‥僕『カンパネラの友』まだやってないんです‥‥」
 生徒会事務部雑用係は、うなだれつつ宿題帳を見せた。
 なるほど書き込みは半分弱。夏休みの終盤でこれでは、あまりよろしくない。
「ん、僕が陸人さんのをお手伝いするです。明日からのために今日中に片付けるです」
「ほんと?ヨグたんありがとお!」
 14歳の申し出に、感涙する17歳。おいどうなんだそれは。
 しかしレムは、そこにはあえて突っ込まず
「わかった。調査は僕とシルバーの二人で行ってくる。ジーザリオの鍵をかしてくれないか」
 穏やかに笑んで、車のキーを手に取った。

 そんなこんなで別行動をとった2組。
 探索していたレムとシルバーが帰ってきたのは、日も落ちようとする頃合だった。
「あ、おかえりなさいー」
「ただいま。陸人、どうだ。宿題の調子は」
「あ、一応片付きました‥ヨグたん様様です‥」
 言葉通り、コテージのリビングテーブルには片付けたと思しきカンパネラの友が放り出されている。
 脇のソファでは片付けに尽力したらしいヨグが横になり、可愛らしい寝息を立てていた。
「そりゃお疲れサンだ」
「さびれた商店の活性化に協力してきた。食後にでも食べよう」
 レムがぶら下げていた袋を陸人に手渡した。中身は少し霜のついたカップアイスが4つ。
「わー、ありがとうございま‥‥」
 受け取った陸人は、少し首を傾げた。
「あれレム先輩、首筋赤くなってますよ? 虫さされかな、ちょっと見せてください?」
「いやあの、これは」
 他意はないであろう指摘に、管理部長はわずかに狼狽する。
「いーから早くアイスしまってこい、な?」
 ソファに腰を下ろしたシルバーが、面倒くさそうにキッチンを指差した。
 興味なさげを装っているが、彼からもなぜか、話題を打ち切りたい素振りが見え隠れしている。
 無意識に空気を読んだのか単に食い気につられたのか。
「はーい。僕チョコ&バニラがたべたいなあ♪」
 陸人は興味をさっさとアイスに移し、袋を大切そうに冷蔵庫にしまい
「んと、おはようございます。おなかがすきました」
 ナイスなタイミングで、ヨグがソファから身を起こした。


●山へ分け入る2日目
 滞在2日目、午前6時。
「起床ーーーーッ!」
 学生寮管理部夏合宿(?)の朝は、部長のホイッスルから始まった。
 学校指定のジャージに身を包んだレムは、
「6時15分より点呼、6時30分よりカンパネラ学園体操、7時より朝食! 貴重な時間は1秒も無駄にできないぞ!」
 うだうだごろごろと寝そべる男子どもに、ピシパシと号令をかける。
「うぅ‥‥レム先輩‥可愛いんだからそのジャージは‥‥」
「‥‥ってかカンパネラ学園体操って何よ‥」
 寝ぼけた頭でなど、彼女に勝てるわけがない。
 あわただしく着替えを済ませ朝食をかき込み、管理部の一行は2日目のプログラムを開始した。

 伊那加島の気候や植生は亜熱帯に近く、森は鬱蒼と茂っていた。
 深い緑の葉をつけた大樹が真夏の陽射しをほどよく遮っているせいか、湿気を帯びた空気に、不快な蒸し暑さはない。
「すっごいジャングルですねっ」
 先頭を行くのはヨグ。首から双眼鏡を提げ、手には大きなバスケットを携えている。中には既に、道すがら拾い集めた木の実や卵などが入っていた。
「けっこう拾えたねえ」
「ふふふ、お昼ごはんの時に試作品を作ってみるのです」
 一方レムはヨグ、陸人の後ろを歩く。後輩2人とは目の付け所が違うようで、自分たちが歩く遊歩道の様子を注意深くチェックしていた。
 観光再開に合わせて一応整備されたようだが、色々と目に付く点があるようだ。
「陸人」
 ホイッスルを短く鳴らしながら、レムがある1点を指さした。
「このような急カーブのところだけでも、外側に柵を設けた方がいい。万が一滑って転落などしたら、大けがにつながるだろう。撮影とメモを頼む」
「はい、レム先輩」
デジタルカメラのシャッター音が、虫と鳥の声を破って、周囲に響く。
「そういえばシルバー先輩は、どうしたんだろう?」
「ああ、適当にロケハンして、バーベキューの準備をするとか言っていた」
「シルバーさん、なにげにそういうの好きですもんねー。プリンの試作品素材もたくさん手に入ったし、僕たちもそろそろ行くですかー?」

 眼下に美しい海を一望でき、後ろには緑の森が広がる中腹。
 シルバーはこの場所を、バーベキュー・ポイントに設定していた。
 石を組んだかまどの上には既に網が乗せられ、隙間から炎が赤い舌をちろちろと覗かせている。
「さって、そろそろ焼けてきたかな‥‥?」
 木の枝を削った菜箸で、網の上の串焼きをひっくり返す学生寮管理部・筆頭。
 と、タイミングをはかったように。
「わー、いいにおいー!」
 ヨグ、レム、陸人の3人が合流した。
 ヨグは特にお腹が空いていたらしく網にかけより、じゅうじゅう音を立てる串焼きに手を伸ばす。
「シルバーさんこれ何のお肉ですか? 牛?豚?鶏?」
「あァ? さっきそのへん走ってたトカゲの尻尾。ちとクセありそうだったから、ハバネロとニンニクに漬け込んだ俺様スペシャルだ」
「‥‥」
 ヨグはそっと串を網に戻そうとしたが
「ヨグ、1回取ったモンは食うのがお約束だろうが」
 もともとトラップのつもりだったのか、シルバーはにやにや笑いながら阻止した。
「えと‥‥」
 絶体絶命のピンチに、ヨグの頭脳がフル回転する。回避する方法はないか? ないか?
「あーーのど乾いた」
 目の端で、クーラーボックスからお茶を取り出して呷る陸人を捕捉。
「陸人さん♪ あーん」
「ん? あーん♪」

 緑の森に、怪鳥の鳴き声が響いた。


●なんだかんだで3日目
 抜けるような夏空の下に、珊瑚の砂浜が広がる。海は澄んだエメラルドグリーン。
「やっぱリゾートはこうじゃねーとな!」
「こうじゃねーとな! なんて♪」
 水着にシュノーケル、足ヒレまで装備したシルバーとヨグが顔を見合わせて気合いを入れる。シルバーはさらに、小さな銛まで握っていた。「獲ったど〜!」する気マンマンらしい。
「陸人は泳がないのか?」
 モノトーンのスポーティな水着に身を包んだレムが、Tシャツを羽織ったままの雑用係に視線を寄越す。正直たいした露出度ではないが着ている人補正が働いたらしく
「ぼ、僕泳ぎ得意じゃないんで、こ、ここで待ってますっ」
 陸人は「能力者としてどうなんだ」的な言い訳を、もごもごと呟いたのだった。
「ふむ‥‥では、いってくるよ」

 水深はせいぜい5m。陽の光が差し込む浅瀬を、3人の能力者が泳ぐ。
 かつてキメラに蹂躙された南の海は、少しずつ、だが確かに息を吹き返しつつあった。
 例えば死んでしまった珊瑚の隙間から、生き残った部分が小さな泡を吐き出していたり、まだ生え始めたばかりと思しき海藻がゆらゆらと揺らめいていたり
「わ。まだキメラがいるんですねっ」
 明らかに生態系とそぐわない魚‥‥すなわちキメラの様子をうかがいながらも、健気に泳ぐ熱帯魚の姿であったりだ。
「ンだな。ここはしぶといキメラを駆除しなきゃ嘘だろ」
 熱帯の浅瀬には似つかわしくない「サケ」にシルバーが狙いをつけた。
 ちなみにヨグが狙うのは「カツオ」だ。
 何というか、造形は悪くないのだからもう少し生態を観察すればいいと思うんだ、バグアさんも。
 それはともかく。
「射ッ!!!」
 二人の銛が、見事獲物をゲット。
 狩りを続ける2人に代わって、レムが水面まで魚を持って戻る。
「ぷぁ」
 海水のフィルターを通さない陽光は、強く眩しい。
「もうすぐ昼か‥‥」
 見上げた太陽は、真上に近かった。

 3日目の昼食は、浜辺で海の幸バーベキューと相成った。
 シルバーとヨグが最初に獲ったサケとカツオの他、拳ぐらいありそうなアサリにサザエ、果ては深海魚キメラの丸焼きまで、網の上でよい匂いを放っている。
「んじゃまァ、実施調査お疲れサン」
「うむ、有意義な3日間だった」
 クーラーボックスから飲み物を取り出した4人は、プラスチック・コップの縁を合わせた。あみなみと注がれた飲み物はスポーツドリンク、オレンジジュース、カンパネラのオイシイ水、などなど。
「短い調査だったが、十分楽しめる島だとおもう。今回の体験をレポート風の広告などにすれば、客増加が見込めるのではないだろうか」
 サケのバター焼きをつつきながら、頬をほころばせるレム。
「うんうん、お魚おいしいですっ。ねね、このプリン、学園名物に出来るかな?」
 昨日収穫した木の実や卵で作ったプリンを勧めて回るヨグ。
「おー、悪くねーぜ」
 そのプリンを立ち食いし、飲み物を呷って椅子から立ち上がるシルバー。
「よっし、腹ごなしにもう一泳ぎしてくっか!」
「あ、シルバーさん待ってー!」
「僕も、僕もー!」
 後を追いかける、下級生2人。
 男子3人が、転がるように灼けた砂の上を駆けてゆく。
「やれやれ」
 彼らの背中を見送ったレムは、ざっと後片付けをすませて、シートを敷いた砂の上に横になった。
「食べてすぐ横になるのは行儀が悪いが‥‥」
 たまには、いいだろう。口の中で呟いて目を閉じる。
 迎えの船が来るまでにはまだ少し間があった。
 しばし夏の休日を、楽しもうじゃないか。


 南の島の、ゆるやかな一日。
 学生達が夏を満喫した、ある日のお話。




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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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gb1949/ヨグ=ニグラス/14/男/ドラグーン
gb2666/鯨井レム/18/性別/女/ドラグーン
gb1998/シルバーラッシュ/19/男/ドラグーン


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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学生寮管理部の皆さんこんにちは、クダモノネコです。このたびは発注ありがとうございました!
管理部の皆さんの、夏の思い出になれば幸いです。
笠原くんともども、これからもよろしくお願いいたします。
ココ夏!サマードリームノベル -
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CATCH THE SKY 地球SOS
2010年09月07日

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