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『Coconut Dream【線香花火】 』
雛花・(ha2819)

 真夏の午睡が運ぶ夢。
 それはとても懐かしくもあり――そして、雛花を遠き島へと誘っていく。


「これを、俺に?」
 ブリーダーギルドのギルド長室で、オールヴィル・トランヴァースは雛花から渡された包みに視線を落とした。
「ギルドちょ……くま様にお似合いだと思います。……浴衣、なのですけれど」
 雛花はヴィルが持つ包みに手を伸ばして開封する。彼女の言うとおり、丁寧に畳まれた熊柄の浴衣が姿を現した。
「お、熊柄か……て、あれ?」
 浴衣をしげしげと眺めるヴィルは、それが一着ではないことに気付く。熊柄の下に、もう一着あるのだ。しかもそれは――。
「赤猫柄……」
「はい。相棒様と是非」
 くすりと笑み、雛花はソファに目をやる。今は誰もいないが、午後あたりから赤猫ならぬフェイニーズ・ダグラスがふらりとサボりに来ることだろう。
「じゃあ、ダグとお揃いで夏祭りにでも出かけてみるかなぁ」
「……素敵、です」
 二人が浴衣に身を包んで夏祭りに出現する様を想像し、雛花は首肯する。熊柄と赤猫柄の浴衣はきっと目立つに違いない。色んな意味で。
「それから……小熊様には浴衣と飾り小物をセットに。マグノリア様にもご用意しているんです。浴衣と……これを」
 そう言って見せたのは、ララ・トランヴァースの浴衣セットとマグノリア・シンの浴衣、そして分厚い書類の束だった。
「前にお話した以外の、クヴァール島や他の植生について気がついたこと、纏めた物です」
 マグノリアの役に立てばという雛花の気持ちが込められたそれは、かなり細かく書き込まれているようだ。ヴィルは「渡しておくよ」と受け取る。
「しかし……なんだって急に」
「袖の下、です」
「そ、袖の下……って……」
「ええ、袖の下です」
 雛花は頷き、目を細めて笑う。
「う……」
 雛花のことだ、あのほわほわした表情の裏で何かとんでもないことを考えているに違いない。絶対そうに違いない。ヴィルはあれこれ想像し、頬を引き攣らて後退した。
 じり、じり。
 雛花は一歩、また一歩とヴィルににじり寄る。ただ単に普通に近付いただけなのだが、ヴィルにはそう思えないのだろう。額に脂汗を滲ませ、雛花が一歩近付く度に一歩後退する。
 怖い――なんだかよくわからないけど、怖い!
 そのうちにヴィルは壁に激突して逃げ場を失い、涙目になる。捕まえたと言わんばかりに雛花は最後の一歩を詰めた。
 微かに背伸びして、ヴィルの顔を覗き込む。
 一瞬だけ呼吸を止め……そして、ゆっくりと唇を開いた。
「……というわけで、くま様」
 にこー。
 ――クヴァール島行きの船に乗せて下さいまし。
 その無言の圧力に、ヴィルは大粒の涙をひとつだけ零した……らしい。


「ギルド長、怯えてらっしゃいましたよ?」
 クヴァール対岸要塞に併設されている港で、雛花を出迎えたエステル・アイヴォリーはそう告げ口する。
 ヴィルは先に船に乗り込んでおり、甲板でララと楽しそうに話し込んでいた。クヴァール島に雛花が行くという話をしたら、ララが自分も行くと大騒ぎしたのだ。それでヴィルも同行することになったらしい。
「私……怖がらせてしまうようなこと……言ったでしょうか……?」
 乗船手続きを終えた雛花は小首を傾げる。
「雛花さんが単身ギルド長室に乗り込んで、有無を言わさぬ迫力で迫ってクヴァール島行きを認めさせたとか……」
「いえ……普通にお願いしただけですけど……」
「ですよねぇ……?」
 二人は唸り、ヴィルをちらりと見る。
「いいこと教えてあげようか。あの馬鹿熊は、結構恐がりなんだ」
「えっ?」
 ふいに後ろから囁かれ、二人が慌てて振り返ると、そこには満面の笑みのマグノリア。しかも雛花からプレゼントされた浴衣を身に纏っている。
「マグノリア様、どうしてこちらに」
 雛花が問えば、マグノリアは頷きながら小さな種を数粒、彼女に渡した。
「ホントはアタシも行きたいところだけど……まとまった休みが取れなくて。だから、見送りくらいは……ね」
「マグノリア様……。……この、種は?」
「浴衣とクヴァール島のデータのお礼。先日、うちの研究室で咲いたマリーゴールドの種さね」
「よろしいのですか……?」
「ああ。まだ研究室でしか咲かせられないけど……いつか、外でも咲かせてみせるよ。そうしたら、また種をあげる。……あ、そろそろ出航みたいだね。ほら、とっとと乗った、乗った」
 マグノリアは満面の笑みで雛花とエステルの背を押す。二人はその勢いのままに船に乗り込んでいった。
「じゃ、行っておいで! アタシの分もいっぱい見てきておくれね!」
 港で声を張り上げるマグノリア。着慣れない浴衣に時々足をもつれさせながら。
「はい、見て参ります。……マグノリア様、とてもお似合いです」
 大きく手を振り、雛花はマグノリアの浴衣に目を細める。「照れるじゃないか」と頬を染めたマグノリアは、その直後派手にすっ転んだ。
「さあ……エステル様。師に会いに行きましょう?」
 くすくすと笑みを零し、雛花はエステルを振り返る。
「はい。あちらにはもう連絡を入れてありますから、きっと待ってらっしゃいますよ」
 エステルはそう言って北の方角を見つめる。水平線の向こう、かつて敵地だった島が待つ。
 船は、ゆっくりと海原に滑り出した。


「俺、まだ道が覚えられないんだ」
 クヴァール島を奥へと進みながら、ヴィルが呟いた。
「あら、そうなんですか……?」
「奥には頻繁に行かないからなぁ……。エステルがいないと迷う」
「あたしは二回目。お花見の時以来だよ」
 ララはきょろきょろと周囲を見回している。
「……道らしい道もないですし……迷っても仕方ありません、ね」
 苗木の葉が瑞々しさを保っている様子を見て、雛花は笑みを零す。どうやら上手く根付き始めているようだ。このまま順調に成長してくれるといいのだが。
「私も最初は迷ってばかりで。その度にヴィスター様や炎烏様が捜索してくださったんです。他にも、この島で作業をされているブリーダー達が迷子になると、お二人が島のエレメント達を連れて捜索に出るんですよ。……今では私も『捜索隊』の一員です」
 先頭を行くエステルは、時折出会う島の「住人」達と軽く挨拶を交わしていく。迷うことなく進む様子に、彼女が頻繁にこの島を訪れていることが窺える。
「お疲れかと思いますが……もう少しです。皆さん、頑張ってくださいね」
 エステルがそう言った時、木々の向こうに見知った者達の影が見えた。

「よく来たな」
「お待ちしていましたよ」
 リチャード・クレイ・シアレント(クレイ・リチャードソン)の墓の手前で一同を出迎えた炎烏とヴィスター・シアレントは、雛花に目を留めた。
「ご無沙汰いたしております。……お二人に、浴衣をお届けしたくて」
 ゆるりと頭を垂れた後、手に持っていた包みをそれぞれに手渡していく。
「浴衣、か」
 炎烏はくわえていた煙管を処理して帯に差し込み、心なしか嬉しそうに包みを開いた。好みを把握されているのか、落ち着いた色合いの浴衣に満足げな表情を浮かべる。その様子を見て、雛花はもうひとつ包みを差し出した。
「それから、こちらも」
「……ん? 浴衣だけじゃねぇのか?」
「はい、浴衣以外に……陣とエピドシス風の衣も。いつか行かれるかと思いましたので……。それから、その……」
 どこか言いにくそうに、雛花は口ごもる。炎烏は首を傾げながらも包みを開くと、そこには確かに陣風の衣とエピドシス風の衣があり、先程の浴衣とは違った色彩が溢れ出てきた。
 そして、ちょこんと添えられているのは――。
「おい、これ……もしかして」
 炎烏が思わず苦笑してしまうそれは、細長い袋状になったもの。肩上の白蛇をちらりと見て、もう一度苦笑する。
「白蛇様にはその、合うでしょうか……所謂、寝袋。炎烏様に首から提げて頂けたら」
 じぃ、と白蛇を見つめる雛花。
「いいかもしんねぇな。よし、今日からこれで寝ろや」
 そう言って炎烏は苦笑を笑みに変え、寝袋を首から提げて見せる。
 ――え、ちょ、寝袋!?
 と言わんばかりに、白蛇はその頭を前後左右に激しく振った。

「ヴィスター様には、星の浴衣と……陽の浴衣」
 じっと二着の浴衣を見つめているヴィスターに雛花が歩み寄る。ヴィスターは墓標の大剣に視線を流し、小さく頷いた。あそこで眠る大切な存在を想う。きっと……とても似合うことだろう。
「ありがとう、大切にします。……浴衣と一緒に入っていたこれは……線香花火ですか?」
 そう言ってヴィスターは、浴衣の余った生地に包まれていた花火の山に目を細める。
「はい。……島の皆様も、これなら驚かれないかと……」
「いいじゃねぇか。今夜やるか」
 線香花火を覗き込んだのは炎烏。そのうちの一本を手に取り、くるくる回して懐かしげに眺めた。

 夜までは皆が思い思いに過ごす。
 クレイの墓前に参ったあと、ララは周囲の探険に――迷子防止にヴィスターのパートナーに同行してもらって――出かけ、ヴィルはどうやら少しバテたようで調査ブリーダー用の休憩小屋で仮眠を取っている。
 エステルはヴィスターに各種報告など諸々の必要作業をこなし、そして雛花は――。
「……少し、学んで来ました」
「お、助かるぜ。俺もヴィスターも全然わからねぇからなあ」
 軽く肩を竦める炎烏と共に、苗木や木々の診察を始めた。
 適切な肥料を与え、土壌や葉、幹に這う虫などを確認する。そして彼等が元気に育つよう祈り、そっと手を添えた。
「ヴィスター様も……?」
 添えた手を離し、微かに額に滲む汗を拭う。陽射しはあまり差し込まないが、暑い。
「あいつ、森育ちだから……木は勝手に生えて育つもんだと思ってるらしい。ま、それは俺も同じだがな。木は……ねぐらとか、休憩するために留まるとか、そういうイメージもでかい」
 そう言って、炎烏は木々を見上げて目を細めた。まだ人型になる前はよく枝に留まって遠くを眺めていたものだ。もっとも、今でも枝に座ることはあるが。
「……かぁ」
 雛花は彼の言葉に何か感じたのか、かくりと首を傾げてカラスの鳴き真似をしてみた。
「……な、なんだよ」
「……かぁ」
「……何が言いたいんだよ」
「……かぁ」
「……う……、か……かぁ……」
「ありがとうございます」
 にっこり。雛花はかなり満足げに笑うと、次の木に駆け寄って診察を始めた。一体何が目的だったのか、それは彼女にしかわからない。
「……毎度のことながら……恐ろしいヤツ……」
 炎烏は背筋に冷たいものが走るのを感じた。雛花には「対峙」する度にとんでもない言葉を投げかけられる。今回も何かあるだろうと身構えていたが……。
 まさかこの俺を、「かぁ」と鳴かせるとは――!
 人型エレメント達を纏め、今や野生のエレメントやモンスター達の頂点に立つ自分としては、衝撃以外の何者でもない。思わず周囲を見渡し、そこにヴィスターや他の面々、そして島のエレメント達がいないことを確認する。見られていたら、聞かれていたら……後々厄介だ。色んな意味で。
「よし、いねぇな……」
 ホッと胸を撫で下ろしたその時、炎烏の首に軽く何かが巻き付く感触があった。
「……しまった……っ! コイツのこと忘れてた……っ!」
 慌てて首からそれを引きはがせば、炎烏の手に握られた白蛇が楽しげにちろちろと舌を出している。
 ――見たわよ、聞いたわよ……?
 くるりと手首に巻き付き、先程の雛花のように首を傾げてじっと見つめてきた。いいネタを仕入れたと言わんばかりに。
「……あぁぁ……もう……」
 炎烏は頬を引き攣らせ、がっくりと項垂れた。


 静かな闇に、ぱちぱちと火薬の爆ぜる音が響く。
 微かに、仄かに、優しく照るのは――線香花火。
「線香花火なんて……何年ぶりだろうなぁ」
 炎烏が雛花の持つ線香花火に火を灯し、笑む。
「浴衣、お似合いです」
 小さく火花を散らし始めた線香花火と炎烏を交互に見やり、雛花も笑んだ。
「あ、また落ちたっ」
 そう呟くのは、点火して数秒で火球が落ちてばかりのヴィル。彼はふと、ララがいないことに気付いた。
「あれ? ララがいねぇ?」
「小熊様でしたら……休憩小屋のほうに忘れ物を取りに行かれましたけれど……」
 きょろきょろするヴィルに、雛花が答える。しかし忘れ物を取りにいってからかなりの時間が経っているが――やはりヴィスターのエレメントがついているはずだからそれほど心配もないだろう。
「私の、いつまでも終わらないんですけど……短くなってきたんですけど……大丈夫でしょうか……っ」
 かなり短くなった線香花火におろおろするのはエステル。そんな彼女の様子を眺め、微かに笑むヴィスターは、墓碑に軽くもたれて線香花火を二本手にしていた。墓碑には陽の浴衣がかけられている。
「……ああ、そういえば炎烏。線香花火と言えば……志芯国に……」
「ああ、そうだった、志芯国に……な」
 ヴィスターの意味深な言葉に炎烏はにやりと笑み、「ちょうどいい、お前らにも話してやる」と皆の顔を見渡した。そして、新しい線香花火を手に取り、火を灯す。
 ヴィスター以外は皆そこに見入り、炎烏の次の言葉を待った。

 ――俺がまだ……普通のエレメントだった頃の話だ。
 志芯国を縄張りにしていたんだがな……ある日、小さな集落で騒動があったんだ。
 十二歳くらい……かねぇ。ひとりの娘が行方不明になっちまったんだ。おかっぱで目が大きくて、可愛らしい顔をしていたなあ。
 その娘は線香花火が好きでな。夏だろうが冬だろうが、嬉しいことがあると線香花火を灯して眺めていた。
 俺はよく空からその様子を見ていた。別に気になるわけじゃなくてな、飛行ルートがたまたまその娘の家の上空だっただけのことさ。
 行方不明になってから、その家の庭で線香花火が灯ることがなくなった。もちろん、娘の親達も、里の者達も必死になって捜したさ。
 だが何の手掛かりも得られず……月日だけが無情に過ぎていく。そのうちに、誰もが諦めてしまってな。娘は死んだものとして……葬式の準備を始めやがった。
 まあ、俺には関係のないことだがな。それでもまあ、飛行ルートの真下での葬式ってのは……なあ?
 葬式の日、俺は遠くからじっと様子を見てたさ。
 死体のない葬式は不思議なもんさ。俺らも死ねば体は残らないけどよ、それとはまた違うわけだ。空の棺桶に娘が好きだった線香花火を入れて、焼いてた。
 で、まあ……そんなこんなで葬式も終わってな。誰もが娘を死者として心の中に受け入れたわけだな。
 だが、その夜な……。

「聞こえるんだよ、ぱちぱちと」
 炎烏は火球が落ちた線香花火をそのまま見つめ、小さく呟く。
「聞こえるって……何が……?」
 雛花は次の線香花火を渡す。
「……線香花火の、音」
 火を灯し、押し黙る。静まりかえったその空間に、線香花火の音だけが響く。
 暫しそのまま時を過ごした後、再び炎烏が口を開いた。
「……燃やした棺桶の灰を墓に入れたんだが、その墓から……な。ぱちぱち……ぱちぱち……って」
「や、やめてくれよ……っ、俺、その手の話は苦手……っ」
 ヴィルが涙目で訴えると、「黙ってください!」と雛花とエステルがその口を塞いで続きを促した。
「娘の親が音に気付いて……墓に様子を見に行くとな、そこに……いたんだよ……。線香花火で遊ぶ……娘が」
 ごくり、息を呑む複数の音が響く。
 再び火球が落ちる。今度はヴィスターが新たな線香花火を二本、手に持った。炎烏がそこに火を灯すと、彼はおもむろに線香花火を木々の奥に広がる闇へと向けた。
「な、なんだよ、何かあるってのかよ」
 ヴィルががたがたと震え始める。その直後、ヴィスターの線香花火も消え、再び周囲に闇が――広がらなかった。
 先程照らした木々の奥に、薄ぼんやりと照るオレンジの光。
 ぱちぱち。
 ぱちぱち。
 微かに響く、線香花火の音。
「……線香花火をしながら、この話をするとな……出るんだよ」
「出るって何がっ!」
「……決まってるだろ……?」
 そう言って炎烏は、木々の奥に小さな火球を飛ばす。
 ゆらりと揺れ飛ぶそれは、まるで人魂のようだ。
 やがて、先程のオレンジの光に辿り着き、それを持つ者を照らし出した。
「……っ!! おかっぱ……っ!!」
 叫び、ヴィルは卒倒する。
 そう……そこにいたのは、おかっぱの少女。
 手に線香花火を持ち、浴衣を身に纏った……。
「あら、小熊様」
「ララさん!」
 そう、髪を下ろしたララ。
「えへへー、うまくいった? お父さんびっくりした? ……って、あれ? お父さん倒れちゃってる?」
 ララはにこにこ笑って駆けてきた。そして倒れているヴィルを見てきょとんとしてしまう。
「刺激が強かったか」
「まだまだだな……ヴィル」
 炎烏とヴィスターがヴィルを抱え起こす。ヴィルはすぐに意識を取り戻し、自身を覗き込んでいるララを見て再び気を失った。
「あーあ、お父さんったら、情けない」
 ララはくすくす笑う。
「もしかして……今のって……」
 雛花が炎烏とヴィスター、そしてララを順に見る。
「うん、あたしが提案したの! お父さんを驚かしちゃおうって!」
「そうだったのですか」
 雛花とエステルは顔を見合わせ、思わず吹き出してしまった。
「まあ、そいつもそのうち目が覚めるだろ。続き、やるか?」
 笑いを噛み殺しながら、炎烏は線香花火を雛花とエステル、そしてララに渡す。
「沢山……沢山、持ってきましたから。ゆっくり……楽しみましょう」
 雛花は自身の吐息で揺れる火球に視線を落とし、穏やかに笑みを零した。
「じゃあ、今度は本当に志芯国の怪談話でもしてやるよ」
 そう言って、炎烏も再び線香花火を手に取り、火を灯す。肩上にいた白蛇はするすると地に降り、口に一本くわえて自分もやるのだと言いたげに炎烏に火を求める。
「来年もまた……線香花火をお持ちしますね」
 雛花の線香花火は、まだ火球が落ちる気配はない。穏やかな時がこのまま続くことを予感させるかのように。
 ぱちぱちと、爆ぜるオレンジの炎。
 ゆらりと揺れる線香花火は、クヴァール島の夏を静かに包み込んでいった――。




━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ha2819 / 雛花 / 女性 / 18歳 / 魔石練師】
【hz0008 / オールヴィル・トランヴァース / 男性 / 32歳 / ウォーリアー】
【hz0020 / ヴィスター・シアレント / 男性 / 34歳(実年齢102歳) / ウォーリアー】
【hz0021 / エステル・アイヴォリー / 女性 / 20歳 / ウォーリアー】
【hz0031 / ララ・トランヴァース / 女性 / 12歳 / ウォーリアー】
【hz0037 / マグノリア・シン / 女性 / 32歳 / ウォーリアー】
【hz0052 / 炎烏 / 男性 / 年齢不詳 / エレメント】

 ◇Special◇
【hz0002 / フェイニーズ・ダグラス / 男性 / 32歳 / ソーサラー】
【hz0032 / クレイ・リチャードソン / 男性 / 24歳 / ウォーリアー】



ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
■雛花様
いつもお世話になっております、佐伯ますみです。
「ココ夏! サマードリームノベル」、お届けいたします。
クヴァール島へ、とのことで、色々とやってみましたが……このような感じで大丈夫でしょうか(笑
ホラー風味……と申しますか、若干怪談めいたものも交えつつ。面子が面子ですので、やはりこういう展開になりました(笑
そして、各NPCへのお気遣い、本当にありがとうございました!
気が付けば指が勝手に動いていた部分が多かったように思います。

この度はご注文下さり、誠にありがとうございました。
とても楽しく書かせていただきました。少しでも楽しんでいただければ幸いです。
まだ暑い日が続きますので、お体くれぐれもご自愛くださいませ。
2010年 9月某日 佐伯ますみ
ココ夏!サマードリームノベル -
佐伯ますみ クリエイターズルームへ
The Soul Partner 〜next asura fantasy online〜
2010年09月13日

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