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『一日中遊んだ夏 』
シーヴ・王(ga5638)

 お互いに選んだ新しい服を来て、夏の日のデート。
 
 結婚して一年は経ってないけれど、気分を変えるためにバス停で待ち合わせ。
 
 日傘をさして待っていると、恋人の頃を思い出す。
 
 今日はどんな思い出ができるのだろう?
 
 今日はどんな彼の姿がみられるのだろう?
 
 考えるだけで、私の心は弾んできた。
 
〜最初っから全力全開〜
「一緒に住むようになってからは待ち合わせってしなくなったんで。今日は恋人時代みてぇでした」
 バス停で待ち合わせてから10分ほど移動する間、シーヴ・王は隣に座るライディ・王に照れながら呟く。
「たまには新鮮でいいよね。俺もちょっと会うまでドキドキしたよ」
 揺れる座席に座っていくのも久しぶりのことだ。
 徒歩やライディの運転する車とはまた違った景色を楽しめてシーヴは楽しくなる。
「今日はどこに連れてってくれるです?」
「この間話をしていた鉄道博物館だよ。夕方でしまっちゃうから、そのまま近くの遊園地へナイトパレードを見る計画だね。今年は休みを多く取れてよかったよ」
 ライディは旅行雑誌を広げてシーヴにプランの説明を始めた。
 今年の夏はライディのいうように遊ぶ機会が本当に多い。
 二人の着ている服だって先日、二人で買い物してきたものだった。
 ただ、ここで言うことでもないので黙ってシーヴはライディについていく。
 バスが目的地に止まったので二人が降りると博物館の入り口前には黒いゴテゴテしい列車があった。
「うわ! わわ! デゴイチだよ。本物のデゴイチなんてはじめてみるなぁ!」
 まるで子供のように感動したライディがシーヴをそっちのけで写真を撮り始める。
「子供とかわんねぇですね‥‥あんなに楽しそうなライディを見るのは初めてです」
「あ、ごめん‥‥つい興奮しちゃって。デゴイチっていうのは日本の石炭で動く鉄道でD−51という型番からそう呼ばれているんだ」
 ライディがいうように列車の後部には石炭を乗せる入れ物様なものが接続されていた。
「バグアとの戦争が起きる前では日本でも走っていたそうだけど、今は走っているところはないからね。壊されずにここに運ばれていただけでも感動ものだよ」
 決して早そうではない列車を眺めるライディの目は笑みを浮かべている。
「‥‥ところでライディ、早く中にはいらねぇですか? さすがにずっと外は暑いです」
「ご、ごめん。チケットを買って早く中へいこう!」
 シーヴが申し訳なさそうに突っ込みをいれるとライディは慌てて手を繋ぎチケット売り場へと駆け出すのだった。
 
〜お土産、手土産〜
 博物館での行動は外での行動よりも、より子供っぽく、元気にライディは写真を撮ったりして動き回っていた。
「蒸気機関車はね、イギリスで1771年に発明されて、それが1801年には蒸気自動車に応用されて双方に発展していったんだよ」
「高速鉄道は軍備とも深く関わっていて、独自の軍隊を作り上げていたドイツ、イタリア、フランス、日本なんかが高速鉄道に強力なのはそういう背景があるからなんだよ」
 そんな歴史を含めた知識の披露にシーヴは半分は唖然とし、半分を微笑ましく思いながら夫の姿を見つめている。
「シーヴの小兄様も鉄道好きでありやがるですから、きっとライディと気が合うですよ」
「そっか。じゃあ、今度会うときは一緒に話をしたいかな? 今日もお土産を買って、何か贈ろうかな‥‥」
 ライディの説明の嵐を過ごした後、シーヴとライディは出口付近の土産屋に足を運んだ。
 記念切手やら、下敷き、キーホルダーなど良くあるものから、型式の書かれたタペストリーなど『らしい』ものまで沢山の品が並んでいる。
「‥‥ライディ、買い過ぎねぇように、ですよ?」
「うん、分かってる‥‥だから、今日の予算は結構ギリギリで組んでるんだ。お金があると買いたくなっちゃうし」
 うずうずしているライディにシーヴが苦笑しながら釘を刺すとライディも苦笑を浮かべて答える。
 その分、選ぶ時間がものすごくかかり、閉館時間まで考え抜いた挙句にデゴイチのジグソーパズルを自分とシーヴの兄への贈り物としてかったのだった。
「ちょっとずつ進められるタイプのって結構好きなんだ。これなら飾っても置けるし一石二鳥だよね」
「早くしねぇと、店員さんの目が鋭いんで遊園地に行くです」
 今度はシーヴがライディの手を取って引っ張るようにして博物館を後にする‥‥。
 
〜ナイトパレードへようこそ〜
 夕方から遊園地に入って早めの夕食を二人は済ませた。
「ライディがすごく饒舌で面白かったです」
「そんなこといわれても‥‥そんなに可笑しかったかな?」
 ライディは頭の裏をかきながら照れた顔をシーヴに見せる。
 あまり見ない表情にシーヴもくすりと笑いを零してしまった。
 店を出て歩けば、ライトアップされた遊園地が不思議な空間を作り出している。
「あ、ナイトパレードだよ」
 はぐれないように腕を組みだすと、一際輝く一団が見えてきた。
 男女共に輝きを発する服を着て山車の上で踊ったり、通路をそろって行進したりしている。
 近くで見ようと人だかりのできる中、二人も合間を縫って入りパレードの様子をじっくりと眺めた。
「綺麗でありやがるですね‥‥また来よう、ですね?」
 パレードが通り過ぎていくまで見送っていたシーヴは人並が追いかけていく中、ライディを見上げながら首をかしげる。
「うん‥‥これからも思い出作りしていこうね」
「はいです。今日のお礼です」
 ちゅっとシーヴは背伸びをしてライディの頬へキスをした。
 ライディは照れながらも屈みこんで同じようにキスを返す。
 夏の思い出が、また1ページ増えた‥‥。
 

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名      / 性別 / 年齢 / クラス  】
 ga5638  / シーヴ・王    / 女  / 19 / エースアサルト

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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どうも三本目の発注ありがとうございました。
いろいろな夏の思い出を描けてよかったです。

発注通り、ライディのマニアっぷりを出して見ましたがどうでしょうか?
いつもと違った彼を見せれてこちらも楽しかったです。

それでは次なる運命が交錯するまでごきげんよう。
ココ夏!サマードリームノベル -
橘真斗 クリエイターズルームへ
CATCH THE SKY 地球SOS
2010年09月17日

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