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『『夏が来たりて』 』
フェンリエッタ(ib0018)


 今年も夏がやって来た。
 移ろう四季の中、最も輝く季節が――。



 ジルベリア東方に位置する海沿いの町。その一角で【海の家】を営む知人宅に向かうアジュール姉妹――ファリルローゼ(ib0401)とフェンリエッタ(ib0018)は馬車に揺られながら、時おり風に乗って運ばれて来る潮の匂いに表情を綻ばせた。
 海はまだ見えないけれど、近付いているのが確かに判る。
 耳を澄ませば潮騒も聞こえて来そうだ。
「楽しみね」
「ん♪」
 姉の声に応じたフェンリエッタは、その視線を膝の上の小鉢に向けて微笑んだ。植えられているのは、向日葵。夏の暑さ厳しい太陽の光りを真正面から受け止める花は、この季節に広がる真っ青な空に堂々と胸を張って咲き誇る。
 その姿は、まるで――。
「フェン」
 妹の些細な変化に気付いたファリルローゼの優しい呼び掛け。フェンリエッタは顔を上げると、見守ってくれる姉に笑顔で応える。
「思いっきり楽しむの。ね?」
「ええ」
 ファリルローゼの微笑も嬉しそうな笑顔に変わり、その様子を背中で聞いていた御者は楽しげな表情で二人に前方を指し示した。
「ほら、海が見えてきたよ」
「!」
「わぁぁ‥‥っ!」
 言われて見つめた視線の先、馬車道が丘陵のなだらかな孤で途切れたかに見える景色の最果てを輝かせるのは真夏の太陽に輝く青い海。
「今日は天気も良いしね。存分に楽しんでくると良いよ」
「ああ」
 ファリルローゼが妹と話す時とは異なる声音で頷き。
「海‥‥っ」
 フェンリエッタは身を乗り出しながら期待に満ちた眼差しで海を見つめていた。
 そうして傾いた膝の上。
 今まで大切に抱えられていた向日葵が、まるで残り僅かとなった馬車での移動を惜しむようにふわりと揺れた。



 海沿いの道で馬車を下り、徒歩で知人が経営する【海の家】に向かう姉妹は、その道中、部屋に荷物を置いたらまずは何をしようか、何処へ行こうかと、短い夏の思い出を作るべく語らっていた。
 通り過ぎる海岸は多くの人々で賑わい、若者達が無邪気にはしゃぐ姿、家族連れがパラソルの下で涼む光景、海で泳ぎの練習をする親子――恐らく知人の店も繁盛しているだろうし世話になるお礼に店の手伝いも出来れば、と。
 姉妹は何の疑いもなく考えていた――のに。
「‥‥」
「‥‥」
 到着した建物の中で姉妹に言葉は無かった。
 そもそも今が稼ぎ時の【海の家】がしんと静まり返り、扉が閉じていた時点で「おかしいな」とは思ったのだ。
 だからって。
『今日一日任せた』
 二人を出迎えたのがそう書かれた紙切れ一枚というのは、どういうわけか。
「あの人は‥‥」
 ファリルローゼが軽い吐息を一つ吐きながら額を押さえ、チラと妹の顔を見た。実を言えば、あの知人がこんな美味しい話を持ち込んで来た時点でこういう展開を想像していなかったわけではなく、また、今こうして隣に佇む妹の表情も予想の範疇――。
「とても面白そう♪」
 フェンリエッタが無邪気に喜ぶからファリルローゼも微笑う。自身としては妹と夏の一時を過ごせればそれで満足なのだ、あとは彼女が楽しんでくれれば良い。
「あの‥‥」
 カタンと小さな物音に入り口を振り返った姉妹は、そこから遠慮がちに屋内を覗き込んでいる若者を見た。
「今日はお店、お休みですか?」
 尋ねられて顔を見合わせた姉妹は互いに笑む。
 そうして二人揃って出た言葉は一つ。
「「いらっしゃいませ!」」



 今日一日、海の家の経営を任されようと決めた姉妹が最初にした事は閉ざされていた入り口や窓を全て開放して屋内に夏の日差しを惜しみなく取り込む作業。それから店内や調理場を見て回り一通り全て使える事を確認した。
「食材も充分に揃っているようだし買出しに行く必要はないかな?」
 フェンリエッタが肉や魚、野菜、果実、調味料、その他諸々の品揃えを見ている頃、先刻の客を席に案内したファリルローゼが戻って来た。
「フェン。さっきのお客様が焼きそばを注文したいと言うのだけれど‥‥」
 天儀では有名なその料理名に難しい顔をする姉へ、フェンリエッタは少し考えた後でそっと彼女の手を握った。
「お姉様、料理は私が担当するから大丈夫」
 ぐっと手を握られたファリルリーゼは目を瞬かせ。
「そうね‥‥店のためには私は調理場に入らない方が良いでしょうけれど、私に接客というのも‥‥」
 悩むファリルローゼに「それも心配要らないわ」とフェンリエッタが差し出したのは、先刻の『今日一日任せた』と書かれた書置きと一緒に置かれていた手紙である。
「接客はいつものお姉様らしい応対で大丈夫ですって」
「‥‥?」
 妹以外にはどうしても淡々とした口調になりがちなファリルローゼは、それで構わないとはどういう訳かと渡された手紙を最初から最後まで熟読する。そこには確かに普段――彼女が知人と接している態度そのままでOKと書いてある。
「‥‥接客態度もそうだけれど、制服が水着にフリルエプロンというのは‥‥おかしくないかしら」
「んー‥‥確かに気になるけれど」
 フェンリエッタは厨房の出入り口からチラと外を眺めた。
 当然のことながら外に広がるのは真夏の海。強い日差しと煌く水面。厚着している海水浴客など一人もいない。
「だから良いと思うの」
「そ、そうね‥‥」
 半ば押し切られる形で接客態度と制服に関して納得したファリルローゼは、フェンリエッタが焼きそばを作っている間に奥の部屋に行き、海を楽しむ為に持って来た荷物の中から水着を取り出して着替えた。
 フリルエプロンは調理場に掛かっていたものを着用。
「‥‥天儀の友人達にはとても見せられないな‥‥」
 うっすらと頬を染めて呟くファリルローゼだったがやると決めたからには後には退けない。
 腹を決めて厨房に戻ればフェンリエッタが喜んで手を叩く。
「お姉様、とても素敵!」
「そうかしら‥‥」
 最愛の妹に褒められればファリルローゼに恐いものなどない。
「フェンが作った焼きそばがとても美味しそうだわ。後は私が運べば良いのね」
「ええ。海の家の営業が終わったら、その時はお姉様のためだけに腕を奮うから頑張って♪」
 お願いしますとフェンリエッタからファリルローゼに手渡される焼きそば。そうしてファリルローゼが厨房を出て行った後にはフェンリエッタも水着とフリルエプロンに変装‥‥否、この【海の家】の正式な制服に着替えるべく奥の部屋へ移動した。


「待たせてしまったか」
 客席に焼きそばを運んだファリルローゼは、其処に座っていた若者達にそう声を掛けた。時間勝負とも言える接客業である事を考えれば、回転準備から着替え、完成までに掛かった時間も相当のもので客も待ちくたびれていて当然。
 その若者達も渋い顔で料理を運んで来たファリルローゼを振り返り、――固まった。
「? どうした」
 目を見開いたまま微動だにしない若者達にファリルローゼは微笑む。
「フェンの手作りだ。美味しいぞ」
 すっと差し出された焼きそばの匂いも香しかったが、それを差し出す手腕の細さと夏に眩しい白い肌、可愛いフリルエプロンも魅力的だが、その下が水着というのはごにょごにょ。
「‥‥食べないのか」
 自分を見たまま固まっている若者達が、まるでフェンリエッタの料理を無視しているように感じたファリルローゼが視線に冷気を含ませれば弾かれたように「た、食べますっ」と慌てて動き出す。
「う、美味い‥‥っ」
 若者の一人が唸れば「よし」と微笑むファリルローゼ。それが彼らにとってはトドメだった。
「ゆっくりしていくと良い」
「ぁ、ありがとうございますっっ」
 何故か客に感謝される従業員。
 こうして姉妹の嵐の如き一日は始まった――。



 その日、海辺は一つの話題で持ち切りだった。
 曰く「あの海の家に超○○な従業員がいる!」と。
 ○の部分は話題にする人物の性別、年齢等で異なるのだが多いのは「可愛い」「美人」「カッコイイ」といった形容詞だろう。
 店を飛び交う幾つもの声。
「フェン、焼きそば二つと苺のカキ氷が二つよ」
「わかったわ」
「おーい、注文良いかなぁ?」
「いま行く」
「す、すみませんっ、こっちも注文お願いしますっ」
「ああ、少し待ってくれるか」
「はいっ」
 外で聞いているとどれが従業員で、客の台詞なのか首を傾げたくなるのだが、海辺の話題を掻っ攫う【海の家】なら試しに行って見ようかと足を運んだ男二人は、しかし建物を囲うように続いている座席待ちの人の列にげんなりした。これでは何時間待ちなのだろうと顔を見合わせた直後、店内から聞こえてくる怒声。
「おまえ食い終わってるじゃないか、これだけ待ってンだからさっさと出てけよ!」
「うっさいなっ、いつ席立ったってこっちの勝手だろ先着順なんだから!」
 相当の怒気を孕んだ言い合いに「止めておこう」と言いかけた彼らだったが、次の瞬間。
「喧嘩ならば私が相手になるが」
 今にも掴み合いになりそうな一触即発の二人の間にスッと盆を差し込んだのは長い金髪を結わえ、水着にフリルエプロン姿の従業員。
「‥‥騒ぐのか?」
 美人の淡々とした物言いが伴う迫力は相当なもので、醸し出される威圧感には喧嘩しそうになっていた彼ら以外の面々も「まさかっ」と即答。美人は目元を和ませた。
「ならば良い。だが、食事が済んだのなら席を空けてもらえるだろうか? 待ってくれている人が大勢いる」
「は、はいっ」
「喜んで!」
 素早く立ち上がった二人に「ありがとう」と美人が微笑めば、店の奥からは「さすがお姉様」と楽しげな声が聞こえて来た。
 厨房に続く扉に掛かったのれんをふわりと揺らす細い掌。そこから顔を出したのは艶めいた黒髪の、こちらも水着にフリルエプロンの可憐な美少女だ。彼女が新しい客の来店に「いらっしゃいませ」と笑顔を綻ばせると同時、店内がどよめく。
「うっ‥‥わぁ‥‥マジ噂通りの美少女っ」
「あんな子が作った飯ならそりゃ美味いって‥‥!」
「粘った甲斐があった‥‥!!」
「あの子もこっち来てくれりゃ良いのになぁ‥‥っ」
 男達の台詞に、若干だが周囲の気温が下がるも本人達は気付かない。
 更には。
「お姉さん、あの子フェンちゃんだっけ? 彼氏いンの?」
「あんなに可愛いんだからいないわけねぇっつーか、そんなの聞いてどうすんだよ」
「そりゃあ彼氏いないンなら俺が立候補しちゃおうかなぁって」
「ぎゃははは、おまえじゃ無理無理!」
「そンなん聞いてみなきゃ判らねぇだろ。ねぇ、お姉さ――‥‥お姉さん?」
 そこまで言ってようやくお姉さんこと金髪美人の様子がおかしな事に気付いたが時既に遅し。
「せっかくだ、これも食べて行くと良い」
 どこからともなくスッと差し出された料理は。
「‥‥ピロシキ?」
「私の手作りだ」
「おおっ」
 男達が歓喜に湧き、少女達が身を乗り出す。
「お姉様、私達にも是非一つ!」
 その中の一人が元気良く挙手したなら、金髪美人は自分の唇の前に人差し指を立てて『静かに』のポーズ。
「??」
 少女達が小首を傾げると同時。
「ぐぁぁああああ!?」
 ピロシキを口に入れた男達が叫んだ。それもそのはず、それを作ったのは金髪美人、本人申告の通りファリルローゼなのだ。
 辛いではない。
 苦いでもない。
 ただ、強烈に不味い。
 マスタードを大量に注入しただとか、そういう理由ではなく、ファリルローゼが作ったという事実が危険なのだ。
「ひゅひゃひゅふゅ‥‥っ」
「フェンをナンパするつもりなら今度は私がその口にこれを放り込むぞ」
「ひゃっひゅひゅひょひゃ‥‥っ!!」
 何を言っているのかは不明だが、恐らく手は出しませんと宣言したのだろう。
「お姉様さすがです‥‥っ」と目を輝かせるのは客席の少女達。本当の妹であるフェンリエッタはのれんの向こうで笑いを堪えている。
「さぁ食事が済んだら順に席を代わってくれ。待ってくれている人が本当に大勢いるんだ」
 ファリルローゼの言葉に、それまで列の最後尾に並んでいた二人の若者は背後を振り返り、自分達がいつの間にか列の中程になっている事に気付いた。
 どうしようか、と互いに顔を見合わせる二人だったが。
「ひどいっス、お姉さん! 俺らまだフェンちゃんに手ぇ出してないのに!」
「フェンに悪い虫を近づけるわけにはいかないからな」
「悪い虫って俺らのこと!?」
「俺達、客なのに‥‥っ」
「フェンに関しては別だ」
「くっそー!」
「お姉様素敵‥‥っ」
 悔しがる男性客、うっとりと息を吐く女性客、見物人からは実に楽しげな笑い声が上がり、広がり、店内の温かな雰囲気が心地良い。何時間待ちになるかも判らないけれど、それでも此処で夏の一時を過ごしてみたいという気持ちにさせられた。
「お姉様、ピロシキが出来たわ」
 フェンリエッタが厨房に戻って運んで来たピロシキを受け取ったファリルローゼは、それを注文した客の元へ。
「フェンの作ったピロシキは絶品だ」
「俺もそれ食いたい!」
「ならば並んでまた後で来い」
 とにかく今は席を回転させたいファリルローゼが言えば「絶対にまた後で来ンぜ!」と男達。
 たった一日だけの姉妹の【海の家】は早々にリピーターまで獲得。日が沈み、閉店するまで数時間を大勢の人々が訪れたのだった――‥‥。



 すっかり陽も沈み、日中の賑わいが嘘のように静まり返った夜の浜辺を、夏の海を楽しみに来たはずが一日働いて終わってしまった姉妹が並んで歩く。
 フェンリエッタの手に提げられているのは花火だ。
 その手を思いっきり空に伸ばし。
「んーーっ、無事に終わって良かった♪」
「ええ。どのお客様もフェンの料理が美味しいって喜んでいたわ」
「あら、お姉様の接客も好感度高かったでしょう?」
「どうかしら」
 数時間前の店での光景を思い出して笑う姉妹は、いつしかどちらからともなく海を見つめた。寄せては返す波の音が耳に優しく、二人は微笑う。
「予想外で戸惑う事もあったけれど、楽しかった」
 フェンリエッタの言葉にファリルローゼも頷く。
 これはこれで楽しい夏の思い出になったから。
「ねえお姉様、この辺りでどう?」
「そうね、月も綺麗に見えるし」
 応じるファリルローゼの腕に抱えられているのは、向日葵の鉢。陽が落ちた今は花も下を向いてしまっていたけれど、花火をするのならどうしても側に置いておきたくて持って来たのだ。
 二人は砂地をならして鉢を置き、蝋燭に火を灯して石で囲んで固定。
 フェンリエッタは一本の花火をファリルローゼに手渡した。
「はい」
「ありがとう」
 そうして火を点ければ闇夜に咲く火の花。
「わぁ‥‥っ」
「綺麗‥‥」
 光りの乏しい場所だからこそ一時咲き誇る花火はとても美しかった。
 激しく弾むもの、煌びやかに広がるもの、静かに花開きそっと散るもの――。
「線香花火って趣があるわね」
「ん‥‥」
 不思議と声を出すのも憚られて口数少なくなった姉妹は、それぞれに自分の手元を照らすささやかな火花に見入り、‥‥ふと向日葵を見遣る。
 微かな光りの中に浮かび上がる夏の花は夜闇の中で沈んでいるように見えたけれど、今は太陽と共に輝くための眠りの時間。笑顔の花だからしんみりする必要はない。
 フェンリエッタも、ファリルローゼも、決して忘れないあの日の誓い。
 ――‥‥友情。
「‥‥皆の幸せの未来の為に、頑張らないと」
「そうね」
 妹の言葉に姉も深く頷いた。
 それからまたしばらく線香花火の静かな時間が流れて、誓い、約束、想い、願い――様々なものが心を占める。
 二人きりの、夏の夜。
「‥‥お姉様」
 フェンリエッタは告げる。深呼吸を二度繰り返し、意を決し。
 一つの火が地面に落ちて訪れた闇の中。
「私‥‥好きな人がいるの」
 誰、と。
 告げる名前に、しかしファリルローゼの反応は。
「打ち明けてくれて、ありがとう」
 ぽむ、とフェンリエッタの髪を撫でた温かな手。
 正直な心境を語れば、以前から最愛の妹に想いを寄せる相手が出来てしまった事実には気付いていたから心中穏やかではなかったし、告げられた名前が予想通りの相手だった事には相手に剣勝負を挑みたいところではあるが、そういう自分を知っていてなお恋をした事実を話してくれた妹の気持ちを受け止めてあげたいと思う。それこそ、フェンリエッタがファリルローゼにとって本当に大切な家族だからだ。
 同様に、そんな姉の心境を正しく察していたフェンリエッタが、それでも想いを告げたのも姉を信頼してこそ。どんな不安や危惧があっても、最終的には応援してくれると判っているから、‥‥今まで、言えなかった。
「ありがとう」
 フェンリエッタは告げる。
 心からの感謝と、愛情を込めた言葉。
「ありがとうお姉様‥‥ありがとう‥‥っ」
「もう‥‥」
 ファリルローゼはフェンリエッタを抱き締めた。
 今はまだ側に居てくれる大切な存在。いつかはこうした役目も他所の男のものになってしまうのだろうけれど、今は、まだ。
「ありがとう」
 互いに一番近い場所で聴ける、その言葉も――。



「そういえば」
 花火を追えて今宵の宿となる【海の家】への帰路、フェンリエッタはふと思い出したように口を切った。
「お姉様も気になる人、いるでしょ?」
「‥‥え?」
 気になる人、と言われて。
 無意識に脳裏に浮かんだ面影がファリルローゼの頬を赤く染めさせた。
「気になる人なんていないわ‥‥!」
「でも、いま誰かを思い浮べなかった?」
「誰かって‥‥」
「例えば赤い髪の‥‥」
「!」
「青い瞳の‥‥」
「誰も思い浮べてなんかいないわ」
 じぃっっと自分を見上げてくる妹の視線から逃れるように早足になれば、そんなファリルローゼの手をフェンリエッタが楽しげな笑顔と共に繋いでくる。
「ふふふ」
「何よ」
「何でもないけれど‥‥でも‥‥ふふっ」
「フェン!」
「だってー♪」
 姉妹、手を繋いで砂浜を行く光景はとても微笑ましく。
 フェンリエッタは、そんな姉にも幸せになって欲しいと心から願うから。


 未来がきっと幸せに満ちるように。
 そのために今をしっかりと生きていくことを、約束した。
 腕に抱えた向日葵がふわりと揺れる。
 誓いの花。
 約束の、笑顔。
 ‥‥忘れない。


 絶対に、忘れない。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ib0018 / フェンリエッタ / 女性 / 18歳(外見年齢) / 騎士】
【ib0401 / ファリルローゼ / 女性 / 19歳(外見年齢) / 騎士】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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この度は当方に大切なお二人の物語をご依頼頂きましてありがとうございます。
また、ノベルのお届けまでこのようにお待たせしてしまいました事をお詫び致します。お待たせしてしまった時間に見合う物語をお届け出来ていれば良いのですが‥‥っ。

途中、赤髪に青い瞳の某氏を出演させようかと目論んだのですが、水着にフリルエプロンのお嬢さんと対面したら物語が終わらなくなりそうでしたので、いつか機会がありましたら妹さんと某氏でお姉さんをからかえたら楽しいだろうなぁと妄想する次第です(笑)。

それでは季節の変わり目、体調を崩したりなさいませんようお体はくれぐれもご自愛くださいね。

十月某日 月原みなみ拝
ココ夏!サマードリームノベル -
月原みなみ クリエイターズルームへ
舵天照 -DTS-
2010年10月08日

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