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『Snow Festival〜らすほぷ幼稚園〜 』
シーヴ・王(ga5638)

 もしも、自分がこうだったら
 
 そう思う人は多いかもしれない
 
 夢は色々なものが形になる
 
 ありえない世界、そんなものが出てくるのも正月らしいのかもしれない……
 
〜いつものあさ〜
「やーい、きょうもいちゃついてんじゃねーよっ! ひゅーひゅー」
 金髪で人相の悪い幼稚園児、アスレード(gz0165)がシーヴ・王とライディ・王(gz0023)が手を繋いで歩いているのを見つけると囃子たてた。
「やめてです」
 シーヴ・王はウルウルとした瞳でアスレードを見る。
 気弱でおとなしい彼女はいつもガキ大将のアスレードのいじめられているのだ。
 いつも一緒にいるライディとは仲がよく、そのために皆から茶化されることは多い。
 もっとも、その発端は大体アスレードなのだが……。
「こらっ、二人とも何をやってるの! アスくんは女の子を泣かしたらだめでしょう?」
 保育士のリネーア・ベリィルンド(gz0006)が腰に手を当ててアスレードの顔を覗き込んだ。
「なかしてなんかないよぉ〜。俺さ‥‥僕は仲良くしようと話しかけていただけだz‥‥よぉ〜?」
 かぶりきれてない猫をかぶりつつアスレードはリネーア先生の足にすりつき甘える。
 シーヴを見るときだけ、ニタリとサメのような笑みを浮かべたのはいうまでもなかった。
「シーヴちゃんもアスくんと仲良くしないとだめでしょう?」
「だって……シーヴ、いつもアスくんにいじめられてるんだもん」
「アスくんはちょっと怖いところがあるかもしれないけれど、いい子よ? だから……ね?」
 シーヴが相変わらずの涙目で見上げるもリネーアは優しく頭を撫でるだけでシーヴの言うことに耳を貸してくれない。
「さぁ、皆さん。朝のお歌からいきますよ」
 ぱんぱんと手を叩くとリネーアはシーヴをはじめとした園児を部屋へと連れて行った。
 ここははなまるLH幼稚園。
 ガキ大将アスレードが君臨する場所だった。
 
〜じゃくにくきゅうしょく〜
 お昼、皆で手を合わせて給食を食べる。
 この後はお昼寝と続くため、園児達には楽しい時間の始まりとも言えた。
「なぁ、てめぇはなんであんな女と一緒にいるんだぁ?」
 むしゃむしゃと意地汚くパンでシチューの残りを拭い取って食べるアスレードは隣で食べているライディにこそこそと話しかける。
 視線はライディの正面でパンをシーヴの方へと向いていた。
「え、えーっと‥‥それは‥‥」
 頬を染めて俯き、ライディはモジモジとして言葉に詰まる。
 たれ目で泣きボクロもある彼がそんな行動をとっていると女子に見えなくもない。
 そこが気に入らないのか、アスレードは更につっかかった。
「あんな、ぺちゃんこの何がいいんだよ。どうせなら、リネーアみたくボンキュボンに魅力を感じないようじゃ男じゃないぜ」
 幼稚園児にぺちゃんこ以外に何があるかとも思うが、幼い頃ほど年上の人間に憧れを感じるのは良くある話ではある。
「そ、そんなことによ。シーヴはいい子だし、可愛いよ」
 ライディは顔を赤くしながらも真剣にアスレードへ言い返した。
「うわー、マジレス? あっついんですけどぉ〜」
 にへらにへらとしながらアスレードはライディのとっておいたチョコレートプリンを奪う。
「のろけはぼっしゅー、このチョコプリンは俺様がもらったぜ」
「ちょっとぉ、やめてよぉ、返してよぉ〜」
 情けない声を出してライディがアスレードに手を伸ばすが、アスレードはライディに足払いをすると、そのまま逃げ出した。
「まってよぉ〜」
 泣き出しそうな顔でライディはアスレードを追いかけるが、途中でこけて今度は本当に泣き出す。
「コレくらいで泣くなんて、男らしくねぇなぁ?」
 近づいてきたアスレードはチョコプリンをライディに差し出す。
「返してくれるの?」
「いや、やんねー」
 むしゃっとわざとらしく見せ付けてアスレードはチョコプリンをほお張った。
「アスくんのばかー!」
 泣き叫びながらもライディはアスレードにぐーぱんちをする。
「てめぇ、やりやがったな! この野郎!」
 お返しとばかりにアスレードのパンチを返した。
 給食の最中だったにもかかわらずに始まった二人の乱闘に、園児達は自分達に被害がでないように逃げ出している。
 髪をひっぱったり、腕を噛んだりとルール無用の戦いは終わりが見えない。
「ちょっと! 二人ともやめなさい!」
 リネーアが静止をしても、興奮しきった二人は止まることなく、ついにはアスレードが机の方へライディを勢いに任せて投げる暴挙にでていた。
 ガッシャーンと机にぶつかったライディはあまりの痛さに身悶えする。
「‥‥いい加減にしやがれです!」
 大きな声に騒がしかった部屋が沈黙でみたされた。
 
〜じょおうさまこうりん〜
 声を発したのは隅の方で震えていたシーヴである。
 言葉を発することなくしゃがみこむと、飛び上がりスカートの中が見えようがお構いなしにドロップキックをアスレードに食らわせた。
 顔面から地面にぶつかり、鼻血をドバドバながしながらアスレードが立ち上がる。
「なにしやがる! クソアマァ!」
 プッツンしたアスレードがぐーぱんちを繰り出すが、シーヴは身をかがめファイティングポーズのままに踏み込んだ。
 左のジャブから右ストレートを打つワン・ツーから、左フックをアスレードの顔面に鮮やかに叩き込む。
 鼻血をだしていたアスレードの顔は更に真っ赤にそまって、そのままバタンキューと倒れた。
「し、シーヴっ! すごく、強いんだね」
 ぽっとライディの顔が赤くなる。
「強くなりたきゃ、シーヴについてくるです。今日から弱いものいじめをするやつはシーヴは許さないです」
 シュッシュッと空を切るシャドーボクシングを見せるシーヴに畏敬の念の込められた拍手が捧げられた。
 支配者交代の瞬間である……。
 
 ***
 
「なんか、変な夢を見たです。二度寝したのがいけねぇんですかね」
 目覚めたシーヴは夢の内容を思い返すと、眉をしかめて不機嫌そうに口を尖らせる。
「シーヴはそこまでたくましくて乱暴じゃねぇですからね? ライディも弱弱しすぎるのがいけねぇんです」
 隣で気持ちよさそうに寝ている旦那へシーヴは話すのだった……。
 
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名      / 性別 / 年齢 / クラス  】
 ga5638  / シーヴ・王    / 女  / 19 / エースアサルト

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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二本目、ありがとうございます。
橘真斗です!

幼稚園児という中々すごい設定をぶつけられたので大丈夫かなと心配ではありましたが、書きはじめると割りとすらすら進みました。
楽しい雰囲気が少しでも伝わっていれば幸いです。

それでは今回はこのへんで。
次なる運命が交錯する日まで、ごきげんよう。
SnowF!新春!初夢(ドリーム)ノベル -
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CATCH THE SKY 地球SOS
2011年02月01日

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