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『水無月の祝福〜ありし世界の血痕記念日〜 』
葵 宙華(ga4067)

 遠いようで近い未来
 
 世界は無限の可能性で溢れていて、無限の選択肢による未来が用意されている
 
 その中の一つの世界で一組の男女が戦いあう。
 
 如何なるときも、互いを殺死あう誓いを立てた二人の戦いだった。
 
 時に2012年 12月21日。奇しくも、過去の文明で世界滅亡の予言のされた日のことである。

 
〜幾千の屍を超えて〜
 
「うぐぁ‥‥く、そ‥‥」
 胸を貫く熱い痛みが男を支配した。
 肺に血がたまり息苦しくなって、もがく。
 その手には武器は無く、目の先にあるものは狂人ともいえる顔をした金髪の男―アスレード―だけだった。
「いい筋だったが、あと100年ほどたらねぇなぁ。あの世で悔しがってな、クソが!」
 ぐっと胸の奥が締まったかと思うと血液が逆流してきた感じが男を襲い、意識を失わせる。
 アスレードは握り潰した心臓の破片を口に含んでその滴る血の味に舌鼓を打った。
「さぁて、かれこれ6時間かぁ? 十分持つようになったじゃねぇかよ、人間ども。俺様の空腹を満たせる味になったことは褒めてやるぜ」
 アスレードが足を踏み出し、倒れているAU−KVを砕いた。
 地面という地面にはKVだったり、人だったりが幾つも倒れ、それが物言わぬ屍として存在している。

 太平洋を動いていたラストホープにアスレードが≪瞬間移動≫してきてから、早6時間が経過していた。
 何をもって、どうやってアスレードが来たのか、誰も知ることは無い。
 それよりも前に生き延びるために戦わなければならなかったのだ。
 厳戒態勢が敷かれ、ラストホープが戦場となった。
 一般人がある程度避難しているとはいえ、能力者になったばかりの新人はアスレードの登場に恐れて動けなくなる。
 だが、戦場で動くことをやめたものは既に死ぬのだ。
 『弱肉強食』
 そんな言葉が誰の頭にもよぎる。
 弱ければ死ぬ。
 たとえ、KVという鋼鉄の鎧をまとったとしてもアスレードの前では木偶人形と変わらなかった。
「今日の俺様は全力で向かうぜぇぇ、人間どもぉっ!」
 特撮かCGでとられた映画のようにアスレードの蹴りでKVが上下に別れて爆発する。

 そのような一方的な戦いを強いられて6時間がたっていた。
 今、アスレードの目の前には一人の少女が蒼い薔薇を絡みつかせた銃をリロードし、アスレードを見つめている。
「ずいぶんとゆっくりした登場だなぁ? まだオードブルか? それともメインディッシュくらいにはなってくれただろうなぁ?」
 アスレードは返り血を浴びた姿で少女―葵 宙華―を眺めた。

〜ケッコン〜
 無論、葵はアスレードに一人で挑むわけではない。
 宣言どおりに、倒すべき仲間をそろえてきたのだ。
 しかし、一人、また一人と葵の目の前で散っていく。
 だが、歴戦の傭兵である彼らは必ず一矢報いていた。
 外見上は治っているようにみえたアスレードの腕と足から血を溢れさせる。
「いいぜ‥‥この戦い、死が見えるぜ、ククク」
 自分が大きく負傷することに喜んでいるかのようにアスレードは笑い、残った葵に向かって駆けた。
「アスレード! 貴方の命、ここで終わらせてあげるわ。他の人ではなく、この私の手で!」
 葵も銃を撃ちながらアスレードへと向かう。
 その足取りは憎き相手に向かうというよりも、愛する人の胸に飛び込まんとする乙女のようだった。
 赤い血で染められた道を進み、二人はぶつかりあう。
 アスレードの衝撃波を伴う蹴りで、葵の右肩の服が破れ、『刻印』と自らが呼ぶアスレードから受けた傷跡がさらされた。
「そんな傷を残したままの拳で俺に勝てると思ったかぁ!」
「ええ、勝つわ! 私が戦う理由がこれだもの!」
 無事な腕と足だけで戦うアスレードに致命傷を避けれるだけ葵は若干有利である。
 しかし、同じ殺愛(ころしあい)を求むものとして、アスレードを満足させたいと葵は思っていた。
 アスレードの拳が光を放って葵に迫る。
「あぁぁぁっ!」
 背中に隠していたハンドガンをアスレードの腹に当てて銃弾を撃ち込むものの、アスレードの拳は葵の胸を貫いていた。
 それでも、引き金を引くことを葵はやめなかった。
「……く、まだ……届かないの? 満たされないの? アスレード!!」
「ククク……悪かねぇ…認めてやるよ」
 ぐふっと口から血を吐き出したアスレードは嘲笑しながらも葵に向けて、穏やかな笑みを浮かべる。
「好きよ、アスレード、これから先も殺し続けてあげる」
 葵も笑みを返し、自らの体が貫かれていることも構わずにアスレードに抱きついた。
「あちらの世界で皆待ってる。そう、終わらぬ戦いが私達を待ってる」
 葵の血がアスレードを赤く染め、アスレードの血を拭った葵は唇に真紅のルージュのごとく塗る。
 長い髪がヴェールのように広がる様は花嫁にも見えた。
「ハンッ、この世界でやりたいことは終わった。なら、付き合ってやるぜてめぇのいう世界にな」
 アスレードから熱く血の混じる濃厚なキスを葵に交わしてくる。
 契約の証ともいえるキスだ。
「いつまでも殺愛ましょう‥‥」
 もう、離れまいと葵はアスレードを抱きしめ、アスレードもそんな葵を空いている手で抱き返した。
 
 
 「「二人を生が分かつまで」」


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名 / 性別 /外見年齢 / クラス】
 ga4067  /葵 宙華 /  女 / 19 /ペネトレイター

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 発注ありがとうございました。
 橘真斗です。
 愛の溢れた発注文に嬉しくも、答えれることができるか不安ではありましたがいかがでしょうか?
 ジューンブライド物らしく味付けをしてしまいましたが、楽しんでいただけたのなら幸いです。
 
 それでは、次なる運命が交錯するときまで、ごきげんよう
水無月・祝福のドリームノベル -
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CATCH THE SKY 地球SOS
2011年07月19日

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