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『家族サービスなクリスマス 』
シルヴィーナ(gc5551)

 家族って不思議
 
 何気ない街をただ一緒に歩く
 
 それだけでもどこか楽しく、何故か嬉しい
 
 そんな家族のいることが、一番の幸せだと思う
 
 
〜わふわふクリスマス〜
「ん、こうやって家族で出かけるのも久し振りだね?」
「本当にそうね」
「クリスマスツリー初めて見ましたですっ! わふわふ、きれいですねー!」
 右手にはおとーさんことクラーク・エアハルト、左手にはおかーさんことレオノーラ・ハンビーの手がある。
 息も白くなる空の下でもシルヴィーナは温かい気持ちになれた。
 ショッピングモールの中央にそびえ立つ大きなツリーには電飾がつけられてドレスを着たお姫様のように輝いている。
「わんっ! そういえばクリスマスをこのようにすごしたのは初めてのようなきがしますですねー‥‥」
 思い出したかのようにシルヴィーナは呟く。
 しかし、思い出したというのも彼女にとっては当たらないかもしれない。
 なぜならば、孤児院に引き取られる前の記憶がないのだ。
 幼い子供のような外見をしているものの、本来の年来は定かではない。
 クリスマスも孤児院の皆で小さなツリーを囲んで過ごした思い出の方がはっきりしていた。
 だから、親しい人とこうして街へでるなんて覚えている限り『はじめて』である。
「綺麗な物だね。少し前までは、しっと団対策で動いてたから、ゆっくりとクリスマスを楽しむのは久し振りだな」
「変に首を突っ込まなくてもいいのに首を突っ込みたがるんだから、困ったものだわ」
 義理の両親の二人が黙っているシルヴィーナを気遣ってかそっと手を握ってくれた。
 手のひらのほのかな暖かさが伝わってきて、シルヴィーナの頬が緩む。
「あの一番上のお星様取っていいですかー?」
 ツリーの上にある大きな星を見上げてシルヴィーナが二人の手を引っ張った。
「だーめ、あの星はね。サンタさんがプレゼントを届けにくるための目印なのよ?」
「わふ、そうなのですねー。私、一つ賢くなったです」
 レオノーラが優しい声色でシルヴィーナを宥めて頭をそっと撫でる。
「そうですよ。あのお星様はあげられませんけど、他に何か欲しいものがあれば買ってあげますから歩いてみていきましょうか」
「はいなのです!」
 二人の手をぎゅーっと握り返してシルヴィーナは元気よく返事をした。

〜手と手と繋いで〜(小さくても力強い手で握られているわ) レオノーラはブティックなどのある通りを歩きながら思う。 戦争やら紛争に明け暮れていた傭兵生活では考えられない温もりだった。 もちろん、握っている手の主も一人前の能力者であり戦士でもある。 しかし、小さい子供と年上だけどちょっと頼りない夫と他愛もない話をしながら街を歩くなんて昔の自分がみたら笑ってしまうだろう。
 血生臭い戦場を梯子して出会いよりも別れを多く経験してきたレオノーラにとって家族とはこそばゆい存在だった。
「冬物でいいのあるかしらね。毛皮のコートとかあったかそう」
「ふわふわしているのです」
「そうね、シルヴィーとお揃いの服とかも買ったりしたいわ」
 無邪気な反応を返してくる義理の娘が今はとても愛おしい。「興味があるなら買ってあげますよ? う、結構高いのです」
 クリスマスプレゼントにでもしようと思っているのか、旦那のクラークは値札を確認するが、ゼロの多さに目を丸くした。
「そんなお金があるなら自分の命を守るものに投資しなさいよ。頑張って稼いでくれないと産休もできないじゃない?」
「わ、わかりました!」
 もう三十を過ぎているというのに何処か抜けいてそんなところが可愛いクラークだと彼女は思う。
「本当の子供が欲しいとか言ってもいたので、それくらいは頑張って貰わないと」
「私の妹か弟ができるのです? 早くみたいです」
 ぴょんぴょんと飛び上がり、両親の顔を交互に見てくる義娘にレオノーラは悪戯っぽく微笑みを浮かべた。
「そうねぇ、頑張ってはいるのだけどこればかりはねぇ?」
「子供の前であんまりイジメないでくださいよ〜」
 冷や汗をさきほどからだらだらとかいているクラークではあるものの、からかわれて互いに笑いあうひと時を楽しんでいる。
 血は繋がっていないけれども、家族としての絆がちゃんとあるようにおもえた。
 この手のようにしっかりと繋がっている。
「ふふ、ごめんなさい。買い物は今日はいいからどこかで夕飯にしましょう。こっちはちゃーんと奢ってもらうからね?」
「わふわふ、美味しいものをたくさん食べるです」
「こほん……はい、それくらい任せてください。今日は家族サービスをしますよ」
 一度咳払いをしてからクラークは胸をトンと叩いて笑顔をむけた。
「頼もしいパパで嬉しいわね?」
「はい、おとーさん大好きです」
 にぱーとしか形容できない笑顔をシルヴィーナは浮かべる。
 笑顔を向けられたクラークの方は照れくさそうに頬をかくだけだった。

〜家族のために〜
 店の外にでると夜も更けて益々イルミネーションが輝いている。
「雪ですよ、おとーさん、おかーさん!」
 パタパタとシルヴィーナが両手を上にあげて駆け出した。
「危ないですよ」
「だいじょーぶです」
 転びそうになるもののくるりとターンをして体勢を立て直してみせてシルヴィーナは笑う。
(レオノーラと会えなかったけど、家族と一緒に入れる時間は大切だね)
 義理の娘のはしゃぎっぷりにため息が漏れた。
 しかし、隣で聖母のように微笑む最愛の妻をみているとクラークは今日を過ごせてよかったと思う。
「はじめに見たツリーで記念写真を撮りましょう」
「クラークって写真を撮るのが好きよね……戦争が終わったら趣味か仕事にでもしてみたら?」
「趣味ですか……考えたこともなかったですね。写真はなんというかつい」
 家族と過ごせるひと時、つかの間の休息として過ごしてはいるものの戦争が終わったら何をするかなんてあまり考えていなかった。
 元軍人であり、今は傭兵として仕事をしているものの平和になればそういう仕事も少なくなる。
 そのときどうするかというのはそろそろ考えた方がいいかもしれなかった。
 考え込んでいるうちにショッピングモール中央にある大きなツリーに辿りつく。
 周囲では同じことを考えている人が写真をとっていた。
「よいしょっと、これでいいですね」
 三脚で安定させてカメラをタイマーセットしてシルヴィーナの右にクラーク、左にレオノーラというポジションで撮影する。
 カシャリという音と共にフラッシュが瞬いた後でカメラを回収したクラークは胸のポケットからペンダントを取り出した。
「シルヴィー……はい、メリークリスマス。レオノーラの分も用意してあるからね?」
 クラークは『狼と百合の花の描かれた盾』のペンダントを、レオノーラには同じく銀製の『祈る乙女の描かれた盾』のペンダントを手渡す。
「おとーさんありがとうですー」
「ありがとう、てっきりさっきのコートかと期待しちゃったけど‥‥これもステキよ」
 チュっとレオノーラがクラークの頬へキスをするとシルヴィーナが少しむくれた。
「おかーさんだけずるいです。私もお礼のちゅーをするのです」
 飛び上がって抱きつきながらシルヴィーナがクラークの頬へキスをする。
「家族っていいですね」
「キスされていうのって何だかエッチね」
「おとーさんのエッチーですー」
「え、そ、そうなるんですか?」
 何気なく呟いた一言を二人に責められてたじたじになるクラークだった。
 ただ、こんなひと時が本当にいいものだと思ってもいる。
 
 明日も、明後日も、その先も……。
 
 ずっとこうしていられますように。
 
 
 
 
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名      / 性別 / 年齢 / クラス 】
 ga4961  /クラーク・エアハルト/ 男  / 30 /イェーガー
 gc5551  /シルヴィーナ    / 女  /外見12/ダークファイター

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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どうも、こんばんわ。橘真斗です。
親子3人のアットホームな発注ありがとうございました。
楽しく暖かいクリスマスムードを楽しんでもらえたのなら幸いです。

これからもレオノーラともども仲良くしていただければと思います。

では、次なる運命が交錯するときまでごきげんよう
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2011年12月21日

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