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『雪の降る日に‥‥ 』
リック・オルコット(gc4548)

クリスマス、それは1年の中で恋人達が最も盛り上がる日。
街中もクリスマス一色に染められ、綺麗なネオンが恋人達の甘い雰囲気を更に甘くしていた。
街を歩く人達もクリスマスが近い事で浮足立っているようにも見える。

「明日は雪が降り、ホワイトクリスマスになるでしょう」

天気予報のアナウンサーの言葉が聞こえ、近くにいた少女たちも嬉しそうに言葉をかけあっている。

ホワイトクリスマス、貴方は誰とどんな風に過ごしますか?

視点→リック・オルコット

 恋人たちが一緒に過ごす聖なる日。
 リック・オルコットとロシャーデ・ルークはオーロラを見る為にアラスカへと来ていた。
「傭兵稼業で色んな所に飛びまわっているけど、流石にアラスカに来た事はなかったよ」
 極寒の地で寒さに身体を震わせ、リックが自嘲気味に呟く。
(愛する人と一緒じゃなかったら、出来れば味わいたくない寒さかもな‥‥)
 苦笑しながら心の中で呟いていると「そうね、私も初めて訪れるけど‥‥なかなか寒いわね」とリックと同じく身体を震わせながらロシャーデが言葉を返してきた。
「とりあえず、ホテルに荷物を置いて温かい物でも飲もう。このまま外にいたらオーロラを見る前に風邪を引きそうだ」
 肩を竦めてみせると、ロシャーデは少し微笑み「そうね、まずは身体を温めましょう」と言葉を返してきて、予め予約していたホテルへと2人で向かい始める。
「ん?」
 ホテルへの道を歩く途中、自分の手を握るロシャーデの力が強くなったのをリックは感じていた。
(こんな寒さは初めてだからな、もしかしたら具合でも悪くなったのか‥‥?)
 リックは心の中で呟き「寒い?」とロシャーデに問い掛ける。
 だが、彼女は少し顔を赤らめて「ううん、そんなんじゃないわ。心配しなくても大丈夫」と微笑みながら言葉を返してきた。
「そう? それならいいけど‥‥」
 言葉を返すと、リックの態度が可笑しかったのかロシャーデは「オルコット君は心配しすぎよ」と笑いながら言葉を投げかけてきた。

 それから、2人はチェックインを済ませてホテルの自室で凍えきった身体を温めていた。
「やっぱり部屋の中は温まるわね」
 ロシャーデは紅茶を飲み「ほぅ」と息を吐きながら呟く。
「コゼット、夜はもっと冷えるからちゃんと厚着をしていかないと駄目だからな――‥‥コゼット?」
 暫くぼんやりとしているロシャーデ、いや――コゼットを不思議そうにリックが見やる。
「あ、な、何でもないわ」
 手をぱたぱたと振りながら、紅茶をごくりと一気に飲み干すコゼットを見て(どうしたんだろう、でも‥‥可愛いな)とリックは自分の顔が緩むのを抑える事が出来なかった。
「それならいいけど」
 コゼットはすぐに俯いたけれど、それが恥ずかしさから、という事にリックは気が付いていた。

 そして、夜は更けて――‥‥2人はしっかりと着こんでからオーロラを見る為に外へと出た。
「流石に冷えるな、防寒装備がないと凍える」
 リックは独り言のつもりで呟いたのだが、コゼットにも聞こえていたらしく「そうね、冷たいって言うより痛い感じがするものね」と苦笑しながら言葉を返してきた。
 その時、ちらりとコゼットの方を見ると風で綺麗な白銀の髪が靡いていた。
(‥‥消えてしまいそうだ)
 コゼット自身が景色に溶けてしまいそうな気がして、リックはコゼットを強く抱きしめた。
「え、え? もうこんなところ――‥‥オルコット君?」
 宥める、あやす、そんな雰囲気の声色でコゼットが言葉を投げかけてきて「何でもない、ちょっと寒くなっただけ」と冗談めかして言葉を返したが、コゼットにはそれが通らなかったのだろう。
「大丈夫、ずっと一緒よ、何処にもいかない」
 強く手を握られ、リックは安心したように首を縦に振る。

 あれからオーロラを見る為に場所を移動した2人。リックは魔法瓶に温めていたコーヒーを入れており、愛用のスキットルにはウイスキーを入れていた。
「コーヒー飲む? ウイスキーもあるけど」
 リックはカップを差し出しながらコゼットへと問いかける。コゼットは「ありがとう」と言いながらコーヒーの入ったカップを受け取った。
「‥‥暖かい‥‥‥‥オルコット君は今までにオーロラを見た事は?」
「当然ながら初めて見るよ、ちゃんと見えるか、どんな風に見えるか楽しみだ」
 空を見上げながら呟くと、子供のようにはしゃいでいるリックがおかしかったのか隣に座っているコゼットが身体を震わせながら笑っていた。
(子供っぽかったかな‥‥でも、楽しそうだしいいか)
 ふ、とリックが微笑み、2人で同じように空を仰いだのだった。

 その後、2人の視界に映った幻想的なオーロラに感激するという言葉がぴったりだった。空をゆらゆらと流れるように現れるオーロラは幻想的であり、神秘的でもあった。
(あ‥‥)
 隣を見ると、かたかたと小さく震えるコゼットの姿があった。防寒装備をしていてもやはり寒さを完全にしのぐ事は出来なかったのだ。
「え、何?」
 少しでも寒さが治まるように、とリックがコゼットを抱き寄せると驚いたようにコゼットが見てくる。
「ん? 身体を寄せ合った方が暖かいよ?」
「‥‥ありがとう」
 コゼットが大人しく身を寄せ、暫く2人はお互いの温もりを求めて抱きしめあっていた。

 オーロラを見終わった後、2人はホテルへと戻って来ていた。
「はぁ‥‥綺麗な物だったね。自然って凄い、改めて実感させられたよ」
 リックがベッドに腰掛けながら呟くと「そうね、凄く綺麗だったし幻想的で素敵だったわ」とコゼットが言葉を返してきた。
「とりあえずお風呂にでも入って温まりましょう。部屋の中にいるのに温まる気がしないもの」
 身体を震わせながらコゼットが呟く。
「何なら一緒に入る?」
「もう、馬鹿‥‥」
 顔を赤くしながらコゼットは着替えとタオルを持って、足早に浴室へと入っていってしまった。
「可愛いなぁ」
 困ったように笑いながらリックはシャワーの音が響く浴室を見つめていた。
(付き合い始めて一年も経ってないけど、色んな事があったような気がする。そしてこれからもきっと色んな事があるんだろう。楽しい事、つらい事、悲しい事‥‥)
 お互いが傭兵をしているという事もあって、考えたくはないけれどどちらかが欠けるかもしれない――という事もあるのだ。
(分からない先の事を考えても仕方がない。楽しければそれでいい、とは言わないが楽しい時が長く続くように俺達は戦うんだろうな)
 ベッドに寝転がり、天井を見ながらリックは心の中で呟いたのだった。

 それからコゼットがお風呂から上がった後、入れ替わるようにリックが浴室へと入っていく。
 お風呂から上がった後、コゼットは窓の外を見ているらしくぼんやりと淡い光に照らされて神秘的だった。
「何、見てんの?」
 リックは後ろからコゼットを抱きしめ、コゼットの肩に顎を乗せる。
「外を見ていたの。オーロラも綺麗だったけど町の灯りも綺麗なのよ」
 コゼットに促され、リックも外を見る。確かに仄かな灯りがちらちらとしていて、派手な綺麗さはないけれど、心を温かくするような光だった。
「本当だ、綺麗だね」
「オルコッ――‥‥ん」
 リックはコゼットに唇を重ね、やがてそれは激しいものへと変わっていく。あまり慣れていないコゼットが必死について来ようとしてくれているのが嬉しくて、リックは再び深い口づけを落とす。
「‥‥は、ぁ‥‥」
「相変わらず慣れないね」
 くす、と笑いながらコゼットに言葉を投げかける。
「し、仕方ないじゃない‥‥」
 息を荒くし、顔を真っ赤にしながらコゼットが抗議するように呟く。
「もちろん、俺はその方が嬉しいけど――っていうか、先に言っておくね」
 リックの言葉が不思議だったのかコゼットが首を傾げながら「先に‥‥? 何を?」と聞き返してくる。
 リックはコゼットの耳元に口を寄せながら「今夜は寝かさないからね」と小さな声で呟く。
「なっ‥‥」
 顔を真っ赤にするコゼットが可愛くて、リックはコゼットを優しくベッドへと押し倒し、長い夜を2人で楽しんだのだった。


END


―― 登場人物 ――

ga1391/ロシャーデ・ルーク/女性/22歳/グラップラー

gc4548/リック・オルコット/男性/20歳/ドラグーン

――――――――――
リック・オルコット様>

こんにちは&お久しぶりです。
今回はクリスマスドリノベにご発注いただき、ありがとうございました。
内容の方はいかがだったでしょうか?
気に入っていただける内容に仕上がっていれば幸いです。

それでは、今回は書かせていただきありがとうございました!

2011/12/26
WF!Xmasドリームノベル -
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2011年12月26日

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