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『雪の降る日に‥‥ 』
神崎・子虎(ga0513)

クリスマス、それは1年の中で恋人達が最も盛り上がる日。
街中もクリスマス一色に染められ、綺麗なネオンが恋人達の甘い雰囲気を更に甘くしていた。
街を歩く人達もクリスマスが近い事で浮足立っているようにも見える。

「明日は雪が降り、ホワイトクリスマスになるでしょう」

天気予報のアナウンサーの言葉が聞こえ、近くにいた少女たちも嬉しそうに言葉をかけあっている。

ホワイトクリスマス、貴方は誰とどんな風に過ごしますか?

視点→神崎・子虎

 12月25日、この日は恋人たちとしっ闘士が盛り上がる日。

「優乃さん、今度の休みに遊園地に行かない?」
 神崎・子虎は次の休み、つまりクリスマスを一緒に過ごそうと弓亜・優乃を遊園地へと誘った。
「わ、私と一緒でいいの‥‥?」
 伺うように弓亜から問い掛けられ、神崎は一瞬だけきょとんとした表情を見せ、そしてそれがおかしくなって「あはは!」と大きな声で笑い始めた。
「おかしな優乃さんだね、駄目なら誘わないよ」
 呟いた後に「それとも‥‥」と少し寂しげな表情を見せて「僕と過ごすのは嫌なの?」とかくりと首を傾げながら言葉を付け足す。
「そ、そんなわけない!」
 慌てて否定する弓亜に神崎はにっこりと微笑んで「じゃあ一緒に過ごそうね、楽しみだなぁ、クリスマス」と言葉を付け足したのだった。

 そして約束の日、2人は最近出来て評判の良い遊園地へと来ていた。
(ん?)
 隣を歩く弓亜を見ると、周りの女の子と自分を比べているようにも見えた。もしかして、と神崎は心の中で呟きながら「優乃さん、今日もとっても綺麗だね」と言葉を投げかけた。
 それを聞いた弓亜は「えっ?」と驚いたように言葉を返してきて、続くように顔を真っ赤に染めていた。
「僕の中では、ここにいるどの女の人よりも優乃さんが一番綺麗に見えるよ」
 にっこりと微笑みながら言葉を投げかけると、弓亜は更に顔を赤くしながら「‥‥ありがとう、子虎くんも可愛いよ」と言葉を返してきた。
「えー、そこは『かっこいい』の間違いじゃないのー? でも、優乃さんにとって一番なら僕はかっこいいでも可愛いでも何でもいいや」
 神崎が呟き、2人で手を繋いで遊園地の中へと入ろうとした時――‥‥神崎と弓亜の見覚えのある人物が門の所で寒さに震えていた。
「あれ? 何か見知った顔が門の所でガクブルってる」
 神崎の声を聞いた後、彼――白虎はギギギ‥‥と機械仕掛けの人形のように振り向いて、2人の姿を見て何とも言えない複雑そうな、そしてヤバいものでも見られたかのような表情を見せた。
「き、貴様ー! 何をしてるか! 今日はしっ闘士の日なんだぞ! そ、それを桃色するなんて邪道だにゃ!」
 ぎゃあぎゃあと白虎が騒いでいると「うるさいわよ! 他の人間に迷惑でしょうが!」とキリーが持っていたバッグ(ちなみにカド)で白虎を殴る。
(相変わらず白虎くんは可哀想な子なんだ‥‥)
 うわぁ、と言うような表情で見ていると弓亜も苦笑しながらキルメリア・シュプールを見ていた。
「何見てんのよ、見物料取るわよ」
 キリーから投げられた言葉に神崎と弓亜はお互い苦笑するしか出来なかった。
「で、でもさ‥‥もしかして、白虎くん―――‥‥デート? デート?」
 にやにやと白虎をからかうように神崎が肘でつつきながら問いかける。
「ち、違うにゃ! り、リア充を粛清に来ただけなのにゃ!」
 白虎の叫びを聞き、神崎は「ふぅーん?」と意味ありげに白虎へ言葉を返す。
「それじゃ、一緒に遊びましょう? ね?」
「な、何ー!」
 弓亜の提案に白虎が驚き、神崎は心の中でにやりと黒い笑顔で微笑む。
(うん、一緒にいた方が白虎くんに嫌がら――‥‥楽しいに決まってるからね)
 神崎が心の中で呟き「うん、それがいいと思うよ。それとも何か問題でもあるのかなぁ? 白虎くん?」とくるりと神崎は白虎の方を向き直って言葉を投げかける。
「い「さっさとしなさいよ。寒いのよ、このドヘタレが!」ぐぐぐぐぐ‥‥」
 言葉を遮られ、殴られた白虎を見て神崎は笑いがこみあげてくる。
(きっと白虎くん、将来が大変なんだろうなぁ‥‥色々と)
 もしこの2人が完全にくっついたとなったら、どう考えても白虎が不憫な生活を強いられるような気がしてならない。
 しかし、神崎にとっては『他人事』なので、心配はしたが最終的には『どうでもいいや』に行きついたのだった。
 そして、何故かWデートをする事になった4人は遊園地の中へと入っていったのだった。


「はい、優乃さん。ココアでよかった?」
 神崎が温かいココアを弓亜に差し出しながら問い掛けると、弓亜は「ありがとう」と言葉を返してココアを受け取る。
「キリーお姉ちゃん! 飲み物買ってきたにゃ「何で冷たいのよ! 温かい飲み物買ってきなさいよ、この役立たず!」ぎゃふん!」
 神崎と同じように白虎もキリーに飲み物を買ってあげたらしいが、何故か冷たい飲み物でありキリーの逆鱗に触れてしまったようだ。
「き、貴様らー! しっと団総帥の前で桃色とは良い度胸だ! ボクはこんな扱いなのに何でそっちばかり桃色オーラなのにゃー!」
 神崎と弓亜の事に気が付いた白虎が今にも泣きそうな顔で叫んでいる。恐らく後半部分が本音なのだろう。
「とりあえずお昼の12時過ぎになったら、ここに集まってお昼ご飯は一緒に食べない?」
 弓亜の提案にきょとんとしながらも、白虎たちと弓亜を交互に見て「そうだね、そうしようか♪」と神崎も言葉を返した。
(僕も優乃さんと一緒に居たいしね)
 神崎は心の中で呟き、弓亜の手を引いて白虎たちと別行動を取り始めたのだった。

「観覧車は最後に乗るとして、最初はやっぱり絶叫系に乗りたいね」
 白虎たちと別れた後、弓亜は先ほどと違って神崎を引っ張るようにジェットコースターの列へと並び始める。
「やっぱり遊園地って言ったらジェットコースターだよね♪ ここのジェットコースターは結構怖くて面白いって評判なんだよ」
 パンフレットを見ながら神崎が弓亜に言葉を投げかけると「へぇ、そうなんだ‥‥」と神崎が持っているパンフレットを弓亜も覗きこむ。
(ん‥‥?)
 パンフレットを見ていると、ちらちらと自分を見てくる弓亜に気づく。
「優乃さん、どうかした?」
 かくりと首を傾げながら、神崎が問い掛けると「ううん、私が勝手に決めちゃったから‥‥子虎くんの好きなアトラクションは何かなーと思って‥‥」と弓亜が言葉を返す。
 少し俯きながら弓亜が答えると「僕はどこでもいいよ?」と神崎が言葉を返す。
「僕は優乃さんと一緒にいれば、それで十分だから。優乃さんと一緒だったらどんなアトラクションだって楽しいから」
 神崎の言葉に弓亜が「ありがとう」と小さな声で呟き、2人の順番が回って来て、ジェットコースターへと乗り込んだのだった。
 それから、2人はジェットコースターに乗った後、コーヒーカップ、メリーゴーランド、お化け屋敷などのアトラクションを楽しんだ。
 メリーゴーランドでは小さな子供ばかりで、少しだけ弓亜は恥ずかしそうだったけれど神崎と一緒だったせいか(もちろん子供という意味ではなく)周りの視線も気にならない程に楽しむ事が出来た。
「さっきのお化け屋敷、優乃さんってばあんなからくりに驚くんだもん、びっくりしたよ」
 あはは、と笑いながら神崎が先ほどの出来事を思い出したように呟く。神崎が驚いているのは、お化け屋敷の出口付近に仕掛けられていたこんにゃくに弓亜が予想以上に驚いたことだった。
「だ、だって‥‥まさかあんな最後でこんにゃくがあるなんて思わなかったんだもの‥‥」
 顔を赤くしながら弓亜が言葉を返す。
「うひゃあっって可愛かったよ、優乃さん」
「もう、お願いだからからかわないで‥‥ほら、そろそろお昼だし集合場所に行きましょ!」
 ぐいぐいと神崎の手を引っ張り、弓亜は引きずるように白虎とキリーが待っているであろう場所へと向かい始めたのだった。


「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
 集合場所に行くと、確かに白虎とキリーは待っていた。まだ時間に余裕があるにも関わらず、明らかに待たされて不機嫌なキリーと何があったのか分からないが酷くやつれた白虎が亡霊のように立っている。
「一週間や二週間離れてたわけじゃないよね?」
「‥‥そ、そうね‥‥い、一体何があったのかしら‥‥」
 声を潜める必要はないはずなのに、弓亜と神崎は内緒話でもするかのように小さな声で会話をしていた。
「な、何があったのかな‥‥白虎くん」
 恐る恐る神崎が白虎に問い掛けると「‥‥色々あったのにゃ、そう、色々‥‥」ともう色んな意味で神崎と弓亜は白虎が残念な人に見えた。
「とりあえずご飯でも食べようか。夜はパレードもあるし、イルミネーションも凄く綺麗らしいよ」
 話を誤魔化すかのように神崎が近くにあったレストランへと入っていき、白虎、キリー、弓亜も神崎の後ろについていく事にした。

「はい、優乃さん♪ あーん♪」
 神崎がハンバーグをフォークに刺して弓亜に差し出す。
「こ、子虎くん‥‥ちょっと恥ずかしいよ――でも、ありがとう」
 差し出されたハンバーグをぱくりと食べながら弓亜が言葉を返す。
「き、キリーお姉ちゃん‥‥」
「はい、白虎――あーん☆」
 キリーが天使の笑顔で神崎のようにフォークに刺して白虎へと差し出す。
(あ、それって‥‥)
 神崎が止めようとした時には、もうすべてが遅かった。
 白虎は嬉しさのあまり、勢いよくがぶりと食いつく――しかし数秒後に「ぎゃあああああ!」とのた打ち回りながら床を転がる事になってしまう。
「‥‥き、キリーちゃん。それってトウガラシよね‥‥?」
 弓亜が問い掛けると「あ、そうなの? キリー知らなかったぁ☆」と明らかに知っていた事を伺わせる口調だった。

 お昼ご飯を食べた後、再び自由行動へとなる。先ほどと違うのはこのまま合流する事はなく、それぞれ解散するという事。
「またキリーちゃんと白虎くんと遊べるといいね」
「そうだね、白虎くん『で』遊べるといいね」
 神崎がにっこりと笑顔で弓亜に言葉を返す。弓亜は少し首を傾げたけれど、あまり深く考えなかったのか言葉の意味を聞いてくる事はしなかった。
(これをしっと団メンバーが知ったら、どうなるかなぁ‥‥)
 ふ、と神崎は心の中で呟く。ちなみに彼はさきほどキリーと白虎の『あーん☆』とこっそりと写真に撮っていた。
 もちろん『あーん☆』の部分のみの写真なので、誤解を招いてもおかしくはない。むしろ『誤解しろ』という勢いで神崎は写真を撮っていた。
 それから2人はまだ回っていないアトラクションを制覇し、パレードを知らせる放送が園内に響き渡る。
「うわー‥‥すっごく綺麗だね〜☆ でも優乃さんの方も負けないくらい綺麗なんだぞ☆」
 神崎の言葉を聞いて、弓亜は顔を赤くしながら「もう‥‥」と言葉にならない言葉を返す。

 それから、きらきらと綺麗なパレードを見た後、園内のイルミネーションを見ながら2人は帰路に着いたのだった。

END



―― 登場人物 ――

ga0513/神崎・子虎/15歳/男性/ダークファイター
ga9191/白虎/10歳/男性/ビーストマン
ga0708/弓亜・優乃/18歳/女性/ファイター
gz0278/キルメリア・シュプール/13歳/女性/サイエンティスト

――――――――――
神崎・子虎様>

こんにちは&お久しぶりです。
今回はドリノベにご発注下さり、ありがとうございました!
話の内容はいかがだったでしょうか?
楽しんでいただける内容に仕上がっていれば嬉しいです。

それでは、今回も書かせて頂きありがとうございました。

2011/12/27
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2011年12月28日

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