▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『雪の降る日に‥‥ 』
弓亜・優乃(ga0708)


クリスマス、それは1年の中で恋人達が最も盛り上がる日。
街中もクリスマス一色に染められ、綺麗なネオンが恋人達の甘い雰囲気を更に甘くしていた。
街を歩く人達もクリスマスが近い事で浮足立っているようにも見える。

「明日は雪が降り、ホワイトクリスマスになるでしょう」

天気予報のアナウンサーの言葉が聞こえ、近くにいた少女たちも嬉しそうに言葉をかけあっている。

ホワイトクリスマス、貴方は誰とどんな風に過ごしますか?

視点→弓亜・優乃

 12月25日、この日は恋人たちとしっ闘士が盛り上がる日。

「優乃さん、今度の休みに遊園地に行かない?」
 それは神崎・子虎からの突然のお誘いだった。今度の休み、つまりクリスマスを一緒に過ごそうと言われて弓亜・優乃は平静を保ちつつも内心は嬉しくてドキドキしていた。
「わ、私と一緒でいいの‥‥?」
 伺うように弓亜が問い掛けると、神崎は「あはは、おかしな優乃さんだね」と笑い「駄目なら誘わないよ」と言葉を付け足してきた。
「それとも‥‥僕と過ごすのは嫌なの?」
 寂しそうに首を傾げながら問いかけてくる神崎に「そ、そんなわけない!」と弓亜は慌てて否定する。
「じゃあ一緒に過ごそうね、楽しみだなぁ、クリスマス」
 楽しそうに呟く神崎を見て、弓亜もふっと表情を緩める。
(でも‥‥きっと子虎くんより私の方が楽しみなんだよ)
 心の中で呟き、弓亜は優しく微笑んだのだった。

 そして、約束の日、2人は最近出来て評判の良い遊園地へと来ていた。
(うーん‥‥もっと、おしゃれしてきた方が良かったのかな‥‥)
 弓亜が周りを見渡すと、今日がクリスマスという事もあって見事にカップルばかり。ほとんどの女の子はおしゃれな洋服を着ているにも関わらず、弓亜が着てきた服はジャケットにジーンズというラフなものだった。
「優乃さん、今日もとっても綺麗だね」
「えっ?」
 突然言われた言葉に弓亜が驚きで顔を真っ赤にする。
「僕の中では、ここにいるどの女の人よりも優乃さんが一番綺麗に見えるよ」
 天使の微笑み、というに相応しいくらいの笑顔で言われて弓亜は顔を更に赤くしながらも「‥‥ありがとう」と言葉を返した。
「子虎くんも可愛いよ」
「えー、そこは『かっこいい』の間違いじゃないのー? でも、優乃さんにとって一番なら僕はかっこいいでも可愛いでも何でもいいや」
 神崎が呟き、2人で手を繋いで遊園地の中へと入ろうとした時――‥‥神崎と弓亜の見覚えのある人物が門の所で寒さに震えていた。
「あれ? 何か見知った顔が門の所でガクブルってる」
 神崎の声を聞いた後、彼――白虎はギギギ‥‥と機械仕掛けの人形のように振り向いて、2人の姿を見て何とも言えない複雑そうな、そしてヤバいものでも見られたかのような表情を見せた。
「き、貴様ー! 何をしてるか! 今日はしっ闘士の日なんだぞ! そ、それを桃色するなんて邪道だにゃ!」
 ぎゃあぎゃあと白虎が騒いでいると「うるさいわよ! 他の人間に迷惑でしょうが!」とキリーが持っていたバッグ(ちなみにカド)で白虎を殴る。
(うわ、痛そう‥‥見た目と違ってバイオレンスな子なのかしら‥‥)
 弓亜が苦笑しながらキルメリア・シュプールを見ていると「何見てんのよ、見物料取るわよ」とじろりと睨みながら言葉を投げかけてきた。
「で、でもさ‥‥もしかして、白虎くん―――‥‥デート? デート?」
 にやにやと白虎をからかうように神崎が肘でつつきながら問いかける。
「ち、違うにゃ! り、リア充を粛清に来ただけなのにゃ!」
 白虎の叫びを聞き、神崎は「ふぅーん?」と意味ありげに白虎へ言葉を返す。
「それじゃ、一緒に遊びましょう? ね?」
 弓亜のお誘いに「な、何ー!」と白虎は本日何度目になるか分からない驚き。
「折角皆で会ったんだし、人数が多い方が楽しいと思うから、ね?」
 本音を言えば神崎と2人で過ごしたいという気持ちもあったけれど、弓亜自身が小さな子が大好きなのでせっかく会った白虎とキリーとも一緒に過ごしたいと考えていたのだ。
「うん、それがいいと思うよ。それとも何か問題でもあるのかなぁ? 白虎くん?」
「い「さっさとしなさいよ。寒いのよ、このドヘタレが!」ぐぐぐぐぐ‥‥」
(本当にバイオレンスな子なのね‥‥)
 口よりも先に手(時々足)が出るキリーを見て、弓亜は心の中で呟く。
 そして、何故かWデートをする事になった4人は遊園地の中へと入っていったのだった。


「はい、優乃さん。ココアでよかった?」
 神崎が温かいココアを弓亜に差し出しながら問い掛けると、弓亜は「ありがとう」と言葉を返してココアを受け取る。
(温かい‥‥)
「キリーお姉ちゃん! 飲み物買ってきたにゃ「何で冷たいのよ! 温かい飲み物買ってきなさいよ、この役立たず!」ぎゃふん!」
 神崎と同じように白虎もキリーに飲み物を買ってあげたらしいが、何故か冷たい飲み物でありキリーの逆鱗に触れてしまったようだ。
「き、貴様らー! しっと団総帥の前で桃色とは良い度胸だ! ボクはこんな扱いなのに何でそっちばかり桃色オーラなのにゃー!」
 神崎と弓亜の事に気が付いた白虎が今にも泣きそうな顔で叫んでいる。恐らく後半部分が本音なのだろう。
(何かこのままじゃ可哀想かもしれないわね‥‥)
 心の中で弓亜が呟き「とりあえずお昼の12時過ぎになったら、ここに集まってお昼ご飯は一緒に食べない?」と神崎、白虎、キリーに言葉を投げかける。
(私も、子虎くんと一緒に遊園地を楽しみたいし‥‥ね)
「そうだね、そうしようか♪」
 神崎は弓亜の手を取り、白虎たちと別れて自由行動を開始し始めたのだった。

「観覧車は最後に乗るとして、最初はやっぱり絶叫系に乗りたいね」
 白虎たちと別れた後、弓亜は先ほどと違って神崎を引っ張るようにジェットコースターの列へと並び始める。
「やっぱり遊園地って言ったらジェットコースターだよね♪ ここのジェットコースターは結構怖くて面白いって評判なんだよ」
「へぇ、そうなんだ‥‥」
 弓亜は神崎が見ていたパンフレットを覗きこみながら言葉を返してくる。
(あ、私の勝手でジェットコースターに来ちゃったけど‥‥子虎くんはどのアトラクションが好きなのかしら‥‥)
 ちらりと神崎を見ながら、弓亜は心の中で呟く。
「優乃さん、どうかした?」
 神崎がかくりと首を傾げながら弓亜に問い掛けてくる。
「ううん、私が勝手に決めちゃったから‥‥子虎くんの好きなアトラクションは何かなーと思って‥‥」
 少し俯きながら弓亜が答えると「僕はどこでもいいよ?」と神崎が言葉を返す。
「僕は優乃さんと一緒にいれば、それで十分だから。優乃さんと一緒だったらどんなアトラクションだって楽しいから」
「‥‥ありがとう」
 弓亜は小さな声で呟き、神崎はその小さな言葉に気づいたのか弓亜の手を握る力を少し強くした。
 その時、2人の順番が回って来て、ジェットコースターへと乗り込んだのだった。
 それから、2人はジェットコースターに乗った後、コーヒーカップ、メリーゴーランド、お化け屋敷などのアトラクションを楽しんだ。
 メリーゴーランドでは小さな子供ばかりで、少しだけ弓亜は恥ずかしそうだったけれど神崎と一緒だったせいか(もちろん子供という意味ではなく)周りの視線も気にならない程に楽しむ事が出来た。
「さっきのお化け屋敷、優乃さんってばあんなからくりに驚くんだもん、びっくりしたよ」
 あはは、と笑いながら神崎が先ほどの出来事を思い出したように呟く。神崎が驚いているのは、お化け屋敷の出口付近に仕掛けられていたこんにゃくに弓亜が予想以上に驚いたことだった。
「だ、だって‥‥まさかあんな最後でこんにゃくがあるなんて思わなかったんだもの‥‥」
 顔を赤くしながら弓亜が言葉を返す。弓亜は色々なお化けやトラップを超え、出口が見えてきた所で気を抜いてしまったのがいけなかった。
 最後の最後に仕掛けられたこんにゃくという何ともくだらないトラップに「うひゃあっ!」と大きな声で叫んでしまったのである。
「うひゃあっって可愛かったよ、優乃さん」
「もう、お願いだからからかわないで‥‥ほら、そろそろお昼だし集合場所に行きましょ!」
 ぐいぐいと神崎の手を引っ張り、弓亜は引きずるように白虎とキリーが待っているであろう場所へと向かい始めたのだった。


「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
 集合場所に行くと、確かに白虎とキリーは待っていた。まだ時間に余裕があるにも関わらず、明らかに待たされて不機嫌なキリーと何があったのか分からないが酷くやつれた白虎が亡霊のように立っている。
「一週間や二週間離れてたわけじゃないよね?」
「‥‥そ、そうね‥‥い、一体何があったのかしら‥‥」
 声を潜める必要はないはずなのに、弓亜と神崎は内緒話でもするかのように小さな声で会話をしていた。
「な、何があったのかな‥‥白虎くん」
 恐る恐る神崎が白虎に問い掛けると「‥‥色々あったのにゃ、そう、色々‥‥」ともう色んな意味で神崎と弓亜は白虎が残念な人に見えた。
(何かよっぽどの目にでもあったのかしら‥‥でもキリーちゃんは傷一つないから、危険な目にはあってないみたいだけど‥‥)
 弓亜は心の中で呟く。しかし弓亜は気づいていない。キリーにとって危険な事はなくても、白虎にとっては危険な事があったのだという事に。
「とりあえずご飯でも食べようか。夜はパレードもあるし、イルミネーションも凄く綺麗らしいよ」
 話を誤魔化すかのように神崎が近くにあったレストランへと入っていき、白虎、キリー、弓亜も神崎の後ろについていく事にした。

「はい、優乃さん♪ あーん♪」
 神崎がハンバーグをフォークに刺して弓亜に差し出す。
「こ、子虎くん‥‥ちょっと恥ずかしいよ――でも、ありがとう」
 差し出されたハンバーグをぱくりと食べながら弓亜が言葉を返す。
「き、キリーお姉ちゃん‥‥」
「はい、白虎――あーん☆」
 キリーが天使の笑顔で神崎のようにフォークに刺して白虎へと差し出す。
 白虎は嬉しさのあまり、勢いよくがぶりと食いつく――しかし数秒後に「ぎゃあああああ!」とのた打ち回りながら床を転がる事になってしまう。
「‥‥き、キリーちゃん。それってトウガラシよね‥‥?」
 弓亜が問い掛けると「あ、そうなの? キリー知らなかったぁ☆」と明らかに知っていた事を伺わせる口調だった。

 お昼ご飯を食べた後、再び自由行動へとなる。先ほどと違うのはこのまま合流する事はなく、それぞれ解散するという事。
「またキリーちゃんと白虎くんと遊べるといいね」
 弓亜が呟くと「そうだね、白虎くん『で』遊べるといいね」と神崎が言葉を返す。
(ん? 何か言葉が違ったような気がするけど‥‥気のせいかしら)
 弓亜は気のせいだと思う事にして、神崎の言葉をあまり深く考えない事にした。
 それから2人はまだ回っていないアトラクションを制覇し、パレードを知らせる放送が園内に響き渡る。
「うわー‥‥すっごく綺麗だね〜☆ でも優乃さんの方も負けないくらい綺麗なんだぞ☆」
 神崎の言葉を聞いて、弓亜は顔を赤くしながら「もう‥‥」と言葉にならない言葉を返す。
(今が夜でよかった‥‥顔が真っ赤なのバレちゃうから‥‥)
 熱くなる頬を抑えながら弓亜は心の中で呟く。

 それから、きらきらと綺麗なパレードを見た後、園内のイルミネーションを見ながら2人は帰路に着いたのだった。

END



―― 登場人物 ――

ga0513/神崎・子虎/15歳/男性/ダークファイター
ga9191/白虎/10歳/男性/ビーストマン
ga0708/弓亜・優乃/18歳/女性/ファイター
gz0278/キルメリア・シュプール/13歳/女性/サイエンティスト

――――――――――
弓亜・優乃さま>

こんにちは&初めまして。
今回はドリノベにご発注下さり、ありがとうございました!
話の内容はいかがだったでしょうか?
甘く仕上がっていれば良いのですが‥‥!

それでは、今回は書かせて頂きありがとうございました。

2011/12/27
WF!Xmasドリームノベル -
水貴透子 クリエイターズルームへ
CATCH THE SKY 地球SOS
2011年12月28日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.