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『初詣に行こう 』
ルーガ・バルハザード(gc8043)

毎年の如き、年末年始は色々と慌ただしい。
新年という事もあり、神社などは初詣客でいっぱいだ。

「‥‥なのに、それなのに‥‥何でここには初詣客が来ないんですか!」

巫女姿の少女が拳を高く突き上げて、青い空に向かって大きな声で叫ぶ。

「(男だけど)美人の巫女さん(ちなみに俺)もいるのに! 営業スマイルはそこらの女よりめろめろのキュンってなるはずなのに!」

はぁぁぁぁ、と新年から盛大なため息を吐き、いつ客が来てもいいように境内の掃除を始める。

ちなみに、この神社はそこら中に幽霊が出ると噂が立ったせいで、お客が毎年ぜろなのだ。

「日当たりもいいのに、初詣客の為にがらがらの鐘も買い換えたのに!」

こんな巫女さん(男ですが)がいる神社にあなたは初詣に行きませんか?

視点→ルーガ・バルハザード

「初詣?」
 新年を迎えた最初の朝、ルーガ・バルハザードは弟子であるエルレーンに「初詣に行こうか」と言葉を投げかけていた。
「あぁ、せっかくだから振袖を着て行くのはどうだ?」
「フリソデ? 行く行く! フリソデを着て初詣に行く!」
 振袖と言う言葉に気を良くしたのか、エルレーンは嬉しそうにはしゃぎながらルーガに言葉を返してきた。
(振袖がそんなに嬉しかったのか?)
 ふ、とルーガが微笑みながら心の中で呟く。
 それから、2人はそれぞれに用意した振袖を着て初詣に行く為、神社へと向かい始めた。

「‥‥めんどくさいなぁ‥‥」
 動きづらそうに歩きながらエルレーンがため息交じりに呟く。
「確かにこの着物というのは動きづらいな‥‥」
 ルーガもエルレーンの言葉に賛同するように、小さくため息を吐く。ルーガはシックな振袖で身を飾っており、エルレーンは薄い桃色の可愛らしい振袖を身に纏っていた。
(まぁ、動きづらいが今日だけと考えれば悪くはないな‥‥普段からこの姿で戦え、というならば私は今すぐ断るが‥‥)
 ちらり、と横を見ると初詣に来れて嬉しかったのか、それとも振袖を着れて嬉しかったのか、薄く微笑むエルレーンの表情が視界に入って来た。
 その表情を見ていると、窮屈な格好だったけれど振袖を着てエルレーンと初詣に来る事にして良かった――とルーガは心の中で呟いた。

「ねぇ、初詣ってこんなに人が少ないものなの?」
 神社に到着して、エルレーンが呟いた言葉がそれだった。
「いや、前にテレビで見た時にはもっと人が多いものだと認識していたんだが‥‥」
 ルーガも首を傾げながらエルレーンに言葉を返す。確かに屋台などは出ていて、初詣の雰囲気は出ているのだが、どうした事か参拝客が全くと言っていいほどいないのだ。
(‥‥人が多すぎるよりは少ない方が参拝しやすいが‥‥ここまで少ないと心配になるな)
 ルーガは心配になりながらも、せっかく来たのだからとエルレーンと参拝する事にした。
「あっ」
「ほら、屋台ばかり見ていないで最初は参拝しよう」
「‥‥はぁい‥‥」
 ずらりと立ち並ぶ屋台を見ているエルレーンの手を引き、ルーガは境内の方へと向かい始めたのだった。

(‥‥どうか世界からバグアやキメラがいなくなり、世界に平和が訪れますように‥‥)
 手を合わせ、ルーガが強く平和が訪れる事を願う。
(それから政情安定――‥‥そして、何より良縁良縁良縁良縁良縁――‥‥良い人が現れて嫁に行けますように!!!!)
 必死で祈る様は、先ほど願っていた世界平和や政情安定よりも強い願いのようにも思えた。むしろ『良縁』の方が本当の願いなのではないだろうか、と思う程に。
(よし、これだけ願えば今年は私にも良縁が巡ってくるだろう‥‥お賽銭も奮発したんだから、頼むぞ――‥‥神様!)
 良い仕事した、的な爽やかな表情でルーガが心の中で呟く。
「エルレーン、お前は何を願ったんだ?」
 ルーガが問い掛けると、エルレーンは悪戯っぽく微笑みながら「えへへー、ルーガがオトシダマくれますように、って」と言葉を返してきた。
「オトシダマ、だと‥‥?」
 ルーガが低い声で問いかけると「うん!」とエルレーンは元気よく言葉を返してきた。
「だってオショウガツは、子供はオトシダマっていうお小遣いもらえるんだよね?」
 ちょうだい、と手を差し出しながら言葉を付け足すエルレーンを見て、ルーガは心の中で舌打ちをする。
(ちっ、誰が余計な事を教えたんだ‥‥)
 忌々しげにルーガが心の中で呟き「そうだな、くれてやらん事もないが‥‥」と言葉を続ける。
「何?」
「おみくじでも引くか? 私のよりも良かったら考えてやらん事もないぞ」
 出来ればお年玉なんてあげたくない、それがルーガの本音なので適当な事を言うが、エルレーンはそれに乗って来て「わかった! 私の方が良かったらオトシダマもらうからね」とおみくじ売り場の方まで駆け出す。
「やれやれ、こんな寒い中だというのに元気な事だ‥‥」

「う〜〜〜〜〜ん‥‥これ!」
 あれからエルレーンはおみくじが入っている箱と数十分ほどにらみ合いをしながら、一番下にあったおみくじを手に取り「コレください」と巫女さんに差し出す。
 そしてエルレーンの運勢は――――‥‥中吉と決して悪い物ではなかった。
「ルーガ! 私は中吉だよ!」
「‥‥‥‥分かっている」
 ルーガもおみくじの箱をじろりと睨みながら(何という事だ‥‥大吉でも引かない限り勝ちがないとは‥‥)
 内心、焦りながら箱の中を漁り「これだ‥‥!」と一枚のおみくじを引く。そして表情は無表情だったが、心の中ではドキドキしながらおみくじを開くと――‥‥。
「ふっ、私は大吉だな」
「えええっ! 中吉だったから絶対勝ったと思ったのに‥‥」
「ふふん! 見てみろ、金が欲しいなどと邪な考えを持つ者には神も味方せん!」
 勝ち誇ったようにエルレーンに言葉を投げかけるルーガだが、先ほど『良縁』と何度も神頼みしていた彼女の言葉に、あまり説得力はなかった。
「う、うきゃー! ちちちち違うもん! 今のはレンシュウだもん! 次がホンバンだからね!」
「‥‥おみくじに練習と本番があるのは知らなかったな。そんなに運勢をころころと変えていいのか?」
 呆れたようにルーガが呟くと「‥‥うぅ」とエルレーンが泣きそうな表情でルーガを見てくる。
「‥‥オトシダマ‥‥」
 恨めしそうに見られ、さすがのルーガも可哀想になってきたのか「仕方ない、屋台で何か買ってやるから、それで満足しろ」とため息交じりに言葉を投げかけた。
 だが、あくまでお年玉をあげるつもりはないらしい。
「ホント!? わぁい、ルーガ大好き!」
 抱き着きながらエルレーンは「何を食べようかな」と悩み、ルーガの振袖の袖を引っ張りながら「早く行こう!」とせっついた。
(我ながら甘いな‥‥本当はもっと厳しくするべきなのかもしれんが、あの顔で見られるとどうも甘くしてしまう)
 ため息を吐きながら「慌てると転ぶぞ」とエルレーンに言葉を投げかけ、屋台が並ぶ場所へと向かい始めた。

「おじさん! イカ焼き2つととうもろこし2つ! あとねー‥‥」
 あれから屋台で欲しかったものをルーガに強請るエルレーンだったが、既に両手いっぱいに食べ物を抱えていた。
(こんなに買わされる羽目になるなら、素直にお年玉をあげていた方が出費もおさえられたんじゃないだろうか‥‥)
 ルーガとエルレーン、2人の両手に抱えられているのはたこ焼き、お好み焼き、綿あめ、りんごあめ、チョコバナナ、クレープ、そして今買ったイカ焼きととうもろこし。
 確かにルーガは屋台で何か買ってやるとエルレーンに言葉を投げかけた――が、ルーガとしては1つか2つくらいを想像しており、まさかここまで買わされる事になるとは夢にも思っていなかった。
「あ、ルーガ! あっちにも――‥‥」
「そろそろいい加減にしてくれ‥‥新年早々私の財布を空っぽにするつもりか‥‥」
 ため息交じりに呟くルーガに「えへへ‥‥」と誤魔化すようにエルレーンは笑う。
「それじゃ、帰ってから2人で食べようよ」
 エルレーンの言葉に2人は初詣を終えて、自宅へと帰る事にした。
(やれやれ、財布は空っぽ寸前だし、新年早々先が思いやられるな‥‥)
 苦笑しながらエルレーンを見て、ルーガが心の中で呟く。
「ねぇ、ルーガ!」
「何だ?」
「今日はありがとう、すっごく楽しかった! 今年もよろしくね!」
 突然の言葉にルーガはきょとんとした表情でエルレーンを見て「‥‥あぁ、今年も宜しくな」と言葉を返したのだった。


END


―― 登場人物 ――

gc8043/ルーガ・バルハザード/28歳/女性/ファイター
gc8086/エルレーン/17歳/女性/エクセレンター

――――――――――
ルーガ・バルハザード様>

こんにちは。
こちらの方では初めまして、ですね。
いつもCTSの方ではお世話になっております。
今回は迎春ドリノベにご発注いただき、ありがとうございました。
内容の方はいかがだったでしょうか?
気に入っていただける内容に仕上がっていると良いのですが‥‥

それでは、今回は書かせて頂きありがとうございました!

2012/1/5
WF!迎春ドリームノベル -
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2012年01月05日

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