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『花火、咲く。〜手ニ抱ク夢ノ 』
遊佐 篤ja0628

 普段履き慣れない下駄は、どことはなしにくすぐったい気がする。とはいえそれは遊佐 篤(ja0628)の気分の問題であったのだけれども。
 カラン、コロン。カラカラン。
 歩くごとに下駄の歯が立てる音を聞きながら篤は、例えて言うならばとっておきのスニーカーをおろした時と似たような気分で足下を、そうして自らが纏う衣装をぐるり、眺めた。青緑の布地で仕立てられた、布の濃淡だけで模様の浮き上がる、浴衣。
 それを着せてくれた鴻池 柊(ja1082)を振り返り、篤は無邪気な子供のように笑った。

「鴻池先輩! 着物ってのはなかなかかっこいーッスね!」
「遊佐が気に入る浴衣があって良かった」
「すっげー気に入りましたよ!」

 それに、大人びた雰囲気で笑った柊もまた、篤とは別の浴衣姿。言ってしまえばただそれだけなのに、なぜだか否応なしに「これから祭りだぞ〜〜〜ッ!」という気分が高まってくるのだから、面白いものである。
 だからそのハイテンションのまま、ぐぐっ、と両の拳を握った篤である。何しろこの浴衣ときたら、全体の色合いも涼しげでカッコいいけれども、背中には文字が書かれているという、実に不良心をくすぐるデザインなのである。
 書かれている文字は『喧嘩上等』。特効服になぞらえるならばいささか捻りのない文句かもしれないが、こんな浴衣が存在すると言うだけでも篤の中で、浴衣の地位は鰻登りに急上昇だ。
 だから上機嫌にカラコロと下駄を鳴らして歩きながら、花火大会の会場へと続く道を、柊と並んで歩く。柊やもう1人の幼馴染と一緒に暮らしている常塚 咲月(ja0156)は、先に出かけたとかで、現地で待ち合わせる約束なのだ。
 故に、遅れないように。うっかり待たせてしまったら、遅い……と怒られてしまいそうだし。
 そう、話しながら歩いていた篤はふと、行く手にあるコンビニの前で、もめている男女が居るのに気がついた。花火大会と言えば男女の出会いといういう意味でも良い機会だし、おおかた、どこぞの非モテな阿呆がナンパで相手を引っかけようと、必死なのだろう。
 どこか見物気分で、その男女をついじーっと見つめてしまったのは、果たして何かの予感があったからなのだろうか? 篤は不意に、ナンパされていると思しき女性、濃紺に蝶の模様がひらめく浴衣を纏ったその人が、待ち合わせている当の相手であることに気がついた。

「鴻池先輩、あれ、咲月先輩じゃ……?」
「……月(ユエ)……」

 そうと気付いた瞬間、傍らを歩く柊を振り返ったら、彼はすでに渋い顔で、大きな、大きなため息を吐いているところだった。ほんの一瞬だけ何かを恨むように空を仰ぎ、それから「行こう」と篤の肩を叩く。
 頷いて、心持ち足早に近付いていく目の前で、咲月がナンパ男どもに強引に腕を捕まれた。顔をしかめた咲月の嫌がる声が、篤達の所まで聞こえてくる。

「……ッ、離して……」
「聞こえねぇなぁ、俺達アホだからさー」
「そうそう。俺、すっげー傷ついたかも」
「俺もー。なぁ、この埋め合わせにさ、あの子達の代わりにあんたがナグサメてくれるよな?」
「痛……ッ」

 どうやら、別の相手をナンパしていたところに通りがかった咲月が、大変率直かつストレートに相手の知能レベルを評価した結果、今のような事態に陥っているらしい。柊の眉間のしわが深くなったような気がして、篤はひょいと肩をすくめた。
 とはいえ咲月の言った(かもしれない)評価は、決して間違っては居ない。今時まだ、こんな格好良さの欠片も感じられないような口説き文句を振りかざして、女性をナンパ出来ると考えている時点で、いろんな意味で残念だとしか言い様がないではないか。
 だが、どうやらそうは思っていない当のナンパ男達だけが、咲月の腕を握ったまま立て続けに適当な文句を並べながら、ぐいぐいとどこかに引っ張っていこうとする。さすがに不味い、と篤と柊は、彼らの前に回り込んで立ちふさがった。
 邪魔だ、とでも言いたげな眼差しが、2人の上に注がれる。それをまるっと無視して、篤は必要以上にわざとらしい良い笑顔を浮かべると、あれ? と咲月に声をかけた。

「咲月先輩、どうしました?」
「……何やってるんだ、月」
「おー……ひーちゃん、遊佐くん……」

 同時に呆れ返ったような声色で、大きなため息など吐きながら言った柊と、篤を見比べた咲月はのんびり嬉しそうな声を上げる。そうして、彼らが知り合いだった事に驚いて力が緩んだらしいナンパ男の腕を振りほどくと、カタカタと駆け寄ってきて、迷わず柊にぽふ、と抱きついた。

「2人とも遅い……」
「遅いって……時間通りですよ」
「どうして、月はいつもそうなんだ……」

 そうして文句を言う咲月に、思わず篤が苦笑したのと、柊がまた大きなため息を吐いたのは、同時。だが咲月はまったく気にした様子もなく、あっさり上機嫌になると、早く花火大会に行こうと2人を促して歩き始めた……あれ、この人、捕まってた張本人なのに、捕まえてた相手をガン無視してる?
 そのあまりにも自然な仕草に、篤はふと不安を抱く。その不安は、あっさり置いていかれそうになって『おい!』と怒気を孕んだ声を上げたナンパ男達を振り返った咲月の、不思議そうな表情で確信になった。
 まずい。ナンパ男達の怒りがヒートアップしつつある。
 篤は咲月とナンパ男達の間に入って、彼女が背中に隠れるように意識しながら、ナンパ男達に作った良い笑顔を向けた。

「なんか俺たちに用ですか?」
「すみません。何か用ですか?」

 そうして、篤と柊がそう言ったのは、やっぱり同時。とはいえ、一応はにこにこと人好きのしそうな笑顔を浮かべつつ、無言の牽制をかけようとした篤に対して、柊は一応当たり障りのない言葉遣いではあったものの、些か面倒くさそうな様子が伺えたが。
 ブチッ、とナンパ男達の堪忍袋の緒が切れる音がしたのも、だから、無理からぬ事だった。恐らく咲月にアホと言われたのだろう上に、横からいきなり男が2人も現れて、うやむやのうちにガン無視されかけたのだから、それはもう面白くないだろう。どころか、沽券に関わるのは想像に難くない。
 どうやらただでは収まらぬ様子のナンパ男達に、ふぅ、と柊がため息を吐いて、抱きついていた咲月をそっと放した。それにこの先の展開を予測して、篤はやれやれ、と肩を竦め。

「ん、ちょーっといいですか?」

 明るい声でそう言うと、篤は問答無用にナンパ男達の腕を引っつかみ、抵抗を許さず、ずるずる路地裏の方へと引きずって歩き出す。柊のあの様子では、どうにも一戦交えずには終わりそうにない。
 だが、幾らなんでも往来で始めたのでは、周りの皆さんにご迷惑である。だから場所を変えようと、路地裏に引きずり込む事にしたのだった――止める気はまったく、ない。
 路地裏にはちょうど良く、他には誰もいなかった。後を追って来た柊が、ポキ、と手の骨を鳴らして冷たい笑みを浮かべ、引きずり込まれた男達を見据える。

「体が鈍って仕方なかったんだ。――お相手よろしく」
「え……?」
「まさか、逃げるとは言わないだろう?」

 そう、畳み掛けられてナンパ男達の顔色が変わったのを、篤は見た。だが時すでに遅し、だ――さっさと逃げとけば良かったのにと、一応は親切心で考える篤の隣で、ひょい、としゃがみ込んだ咲月がのんびり声援する。

「ひーちゃん、頑張れー……」
「はいはい。……遊佐、少し手伝ってくれないか? 時間掛かると月が不機嫌になりそうだ」
「んー? 良いですよ」

 それに苦笑を返した柊に声をかけられて、敦は一瞬だけ目を見開いてから、にかっと笑って頷いた。そうして浴衣の袖を捲り上げ、嬉々としてナンパ男達に向かっていく。
 こんな面白そうなネタを前にして、暴れない理由はない。何しろ、最初に手を出そうとしたのはこちらではなくあちらなのだから、これは立派な正当防衛である――多分、そのはず。
 故に篤は楽しそうに、ナンパ男達に殴りかかる。着慣れない浴衣も、履き慣れない下駄も、いざ暴れ始めてしまえばさほど苦にはならなくて。

「ちょっとは楽しませてくれよ、な!」

 ドガッ! バキッ! ドスッ!
 己の不運を嘆く2人のナンパ男を、思う存分ぼこぼこにしながら、篤は楽しげに叫んだ。叫び、思い切り暴れ回り。

「2人とも、遅い……」

 お腹を空かせた咲月に、結局じと目で睨み上げられたのは、ここだけの話である。





「ぁー……お腹すいた……」

 その後、ようやく辿りついた花火大会の会場で、咲月は早速立っていた林檎飴の屋台にまっしぐらに向かっていった。ミニ林檎に普通の林檎、ミカンやブドウにイチゴも揃っているその屋台で、ジーッと並んだ商品を見つめている。
 この調子では、とりあえず一通り、とか言いそうだ。篤がそう思ったくらいだから、見ていた柊も当然そう感じたのだろう、彼は悩む咲月の頭をこつん、と軽く小突いた。

「ひーちゃん……?」
「飴だけで腹を膨らせる気か?」
「大丈夫だよ……?」

 例え全種類を制覇した所で、まだまだ他にも食べたいものはあるのだから、そうそうお腹一杯にはならないと訴えるのが、らしいというか。そういう問題じゃないだろうと、聞いていた篤まで苦笑してしまう。
 それに、む、とちょっとだけ唇を尖らせた咲月は、けれども大人しく普通の林檎飴を、ただし一番大きなものをじっくり選んで購入した。そうして嬉しそうに林檎の表面に固まった飴をぺろ、と舐めた咲月の眼差しは、早くも隣の屋台に向けられている。
 そこにあるのは綿飴の屋台。その向こうには焼きそばの屋台がソースの焦げる美味しそうな匂いを漂わせていて、さらにその向こうではたこ焼きが。ふと遠くを見やれば、唐揚げや焼きとうもろこし、きゅうりの一本漬けにベビーカステラ、チョコケーキ、焼き鳥、箸巻き、飴玉……食べ物の屋台だけでも、数え切れないほどのれんが下がっている。
 ほわ……と感激にも似た声が、咲月の唇から漏れた。もちろん手にはしっかり、林檎飴を握ったまま。

「屋台って良いよね……一気に色んなもの食べれる……」

 しみじみそう呟きながら、ふらり、と綿飴の屋台へ向けて歩き出したのに、篤はまた苦笑した。これはもう、咲月が満足するまで思う存分、お付き合いせねばなるまい。
 そう、綿飴の機械が糸を吐き出し、くるくると箸に巻きついていく様子を子供のようにじっと見ている咲月を、見る。この屋台だけなのか、たかが綿飴といってもオレンジ、レモン、イチゴ、ブルーハワイ、メロンと、驚くばかりに種類が豊富だ。
 どれか俺も買おうかな、とつい真剣に見つめる篤である。綿飴なんて特に、こういったお祭ででも買わなければ、なかなか巡り合わないものだ。
 そう思いながら結局、隣の屋台から良い匂いを漂わせてきているたこ焼きに目がくらみ、篤はそちらに手を出すことにした。熱々のたこ焼きの上にソースがかかって、たっぷりのかつお節と青海苔が何とも香ばしい。
 その間にもふらり、ふらり、咲月は気の向くままに人ごみを歩いていく。そんな彼女を見失わないように気をつけながら、熱々のたこ焼きをはふはふ頬張っていたら、「あ……」と咲月が振り返った。

「遊佐くん射的あるよ……する?」
「お! もちろんします!」
「……2人とも、ほどほどにしとけよ?」

 その言葉に、篤はまさにたこ焼きを口に放り込もうとしていた手を止めて、目を輝かせて大きく頷いた。射的が大好きで、大得意の彼である。もうたこ焼きなんでそっちのけで、屋台の奥に並んでいる棚のどの商品を落とそうか、真剣に吟味し始めた。
 そんな篤と、それから同じく棚をジーッと見ている咲月に、柊が小さく苦笑する。はい、と返した返事はけれども、我ながら上の空で。
 一際大きなくまのぬいぐるみに狙いを定め、よし、と頷いて篤は玩具の銃を受け取り、狙いをつけた。射的の玉は当たり前だが、実弾のそれより遥かに軽いから、狙いどころも重要だ。
 あのぬいぐるみを落とすなら、狙うは重心の上の方、おでこの辺り。それも間を空けて撃つのではなく、畳み掛けるように連射しなければ落ちない。
 だから篤はただ一点を狙い、立て続けに引き金を引いた。その勢いに圧されるように、狙い通り、くまのぬいぐるみはぐらりと大きく揺れて。
 隣で咲月が「うー……当たらない……」と唸ったのが、聞こえた。それと同時に、篤の銃から飛び出した最後のおもちゃの弾丸が、一際大きくくまのぬいぐるみを揺らし――ぼとん、とついに棚から転がり落ちる。

「よっし! 必中!」

 篤は大きくガッツポーズを決めた。同時に、見ていた屋台のおじさんが恐ろしく渋い顔になって、何度も篤とぬいぐるみを見比べた後で、ようやくぬいぐるみを拾い上げ、ホコリ避けのビニールカバーごと「ほらよ」と篤に渡してくれる。
 うっし! とぬいぐるみを受け取って、篤はすっかりテンションを上げた。勢いのままべりべりとビニールをひっぺがし、もふもふの毛並みをにぎにぎと確かめて、そのテンションのままで柊を振り返る。

「鴻池先輩!」
「ん、なんだ……?」
「ほーら先輩でかいッスよ! くまー! くまー!!」

 そうして振り返った柊の顔面めがけて、ハイテンションのまま、篤はくまのぬいぐるみをもふもふとけしかけた。柊の顔がすっかりくまのぬいぐるみで覆い隠され、ほらほらほらほらー、と子供の様にはしゃいだ声が高く響く。
 もふもふもふもふもふもふもふもふ……
 大物をゲットした喜びに任せて、ひたすら柊をもふっていたら、くまのぬいぐるみの向こうから、遊佐、と苦笑する声が聞こえた。

「意外と暑いからな……? 相手も間違ってる」
「相手?」

 その言葉に、篤はくまのぬいぐるみをもふもふ動かす手を止めて、こく、と首をかしげた。くるりと咲月の方を振り返る。
 この場には篤と柊のほかには、咲月しか居ない。まさか自分で自分をもふれとは言わないだろうから、柊の言った『相手』とは咲月のことに違いない。
 だから篤は咲月の前まで行くと、はい、とそのぬいぐるみを手渡した。

「ぬいぐるみ好きでしたか? もしよければ、どうぞ!」
「う? いいの……? ありがと……」

 ぬいぐるみを受け取って、咲月がほんわり微笑んだ。そのままきゅっと胸に抱きこんで、もふ、と柔らかな熊のぬいぐるみの頭を撫でる所を見ると、本当に好きなのだろう。
 良かった、と思った。篤は大物が欲しかっただけなのだから、どうせなら好きな人に貰ってもらった方が、ぬいぐるみだって嬉しいに決まっているのだし。
 ――その時。

 ドー……ンッ!
 ドドー………ンッ!!

 雷にも似た音が空に響き渡った。けれども本物の雷じゃない事は、空を見上げればすぐに解る。
 暗闇の中ぱっと咲く、色とりどりの、炎の花。鮮やかに、華やかに――咲くと同時に消え行く、儚き花。
 夜空に幾つも、幾つも咲く、花火という名の刹那の花が、儚く、力強く、鮮やかに、健気に、夏の夜空を彩っては消えていく。

「おぉ、すげぇ……」

 その光景に、知らず篤はじっと夜空を見上げた。この大会のメインなのだから、よく考えてみれば見応えがあるのも当然なのだけれども、思わず素直に感動してしまうほどに、その光景は素晴らしかったのだ。
 まぁるく夜空に開いたかと思えば、幾つもの流星のようにキラキラと零れ落ちていく花火があある。一度は消えてしまったかと思えば、不意に思い出したように小さくぽんと花を開かせるような、不思議な花火もあったりして。
 緩急をつけて、一気に打ち上げられたかと思えば、不意の静寂が訪れる。その静寂が全身に染み渡った頃にまた、ドン! と大きな、大きな花火が咲く。
 その光景を食い入るように見上げていたら、ふと呟く咲月の声が、聞こえた。

「あ、花火だけど……お願い事しよ……?」

 その言葉に、応えたのは柊だ。視線を見上げた花火から咲月へと移して、ひょい、と首をかしげている。

「願い事?」
「儚いモノにお願いするのも一興……でしょ?」
「願うってことは望みをハッキリさせることだし、いーッスね」

 篤はちょっと乗り気になって、よぉぉっし、と次の花火のタイミングを計ろうと、真剣に夜空を見上げ始めた。何かを願うということは、自分が何を望んでいるかを自分自身に問いかける、自分との対話のようなところが、あると思う。
 ――普通だったら流れる星に願いをかけるものだけれども、同じ位に儚い花火に願いをかけてもきっと、届くのじゃないだろうか。キラキラ輝きながら消えていくタイプの花火なんて、まんま、流れ星のようではないか。
 だから篤は夜空を見上げ、ドーン! と再び上がった花火にぎゅっと目を閉じた。そうして強く、強く願う。

(どうか、みんなを守れるくらいに強い男になれますよーにッ!!)

 もしかしたらどこかで聞いているかもしれない誰かに絶対に届けるのだと、言わんばかりの力強さで、心の中で篤は願った。それは願いで――そうして必ずそうなるのだという、強い決意。
 そうしてぱっと目を開けたら、ちょうど咲月と柊も願いを掛け終わった所のようだった。ぱち、と目が合った咲月に笑いかける。

「咲月先輩は、どんな願い事をしたんですか?」
「んー……? ヒミツ……遊佐くんは……?」
「俺は、みんなを守れるくらい強い男になることッスね!」
「いい願い事だな遊佐は」

 ぐっ、と拳を握って夜空に力説した篤に、柊が笑った。それはひどく大人の笑みで、そうして篤の願いを見守る様にも、羨むようにも聞こえる響きの笑みだ。
 ならば、そんな柊は一体、あの花火にどんな願いを掛けたのだろう? 気になって、聞いてみた。

「鴻池先輩は、何を願ったんすか?」
「俺? 俺は約束を守れる様にだな」
「へー……なんか、カッコいーッスね!」

 そうして微笑みながらの柊の言葉に、篤は素直に感動する。約束は、守るために交わすものだ。それを守りたいと願えるのは、なんだかちょっと、かっこいい。
 頭上ではまだまだ、夜空の花が咲いてははらはら散っていた。もう少しすれば、メインの一際大きな花火が打ち上げられると、会場に据え付けられたスピーカーが告げている。
 だから篤は、ひーちゃん、と呼んだ咲月と柊から目を逸らし、再び夜空をじっと見上げた。いつか必ずこの願いをかなえて見せるのだと、儚き花に掛けた願いを思い返しながら。





━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 /  PC名  / 性別 / 年齢 /     職業     】
 ja0156  / 常塚 咲月 / 女  / 18  / インフィルトレイター
 ja0628  / 遊佐 篤  / 男  / 22  /    鬼道忍軍
 ja1082  / 鴻池 柊  / 男  / 20  / アストラルヴァンガード

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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初めまして、蓮華・水無月と申します。
この度はご発注頂きましてありがとうございました。

息子さんの、大好きな先輩達との花火大会の夜の物語、如何でしたでしょうか。
浴衣を着ただけでも楽しそうな息子さんにほっこりしつつ、そのデザインを拝見して「トップク浴衣!?」と驚いてしまったとか、そんな、そんな(何
そんな訳で(?)こんな花火大会と相成りましたが――お勧め頂いたような出来映えになっておりますか、心配です;
もしほんの少しでもイメージの違うところがございましたら、いつでもお気軽にリテイク下さいませ(ぺこり

息子さんのイメージ通りの、楽しい花火大会の夜の決意を表すノベルになっていれば良いのですけれども。

それでは、これにて失礼致します(深々と
常夏のドリームノベル -
蓮華・水無月 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2012年09月13日

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