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『ハロウィンお化けは可愛いにゃ☆ 』
猫宮・千佳(ib0045)


 ここは天儀の神楽の都。とある通りです。
「るんるん、にゃん♪」
 何やら気分良さそうな鼻歌が聞こえます。
 大きな荷物を背負ったうしろ姿にシルエットから、どうやらスカートをはいた少女のようですね。
 おや。
 可愛い猫尻尾が伸びています。猫の神威人なのでしょうか?
「た〜のしみにゃ〜♪」
 今、くるりん☆と回りました。ひらめくオレンジ色のマントとフリルのたっぷりついたオレンジ色のエプロンドレス、そしてオレンジのねこみみ頭巾姿は、猫宮・千佳(ib0045)です。足元も猫足のサンダルで、爪先から頭のてっぺんまでにゃんにゃん♪のようで。
 と、ここで横道から誰かが出てきましたよ?
「トリック・オア・トリート」
「もっちろん、コクリちゃんと一緒にゃ〜っ!」
――にゃげしっ!
 ああっ!
 狼男の扮装をした誰とも知らないハロウィンのお化けは、千佳のおもいっきり目をつぶって元気いっぱいに返事しつつ放った猫ぱんちでノックアウトですっ! どうやら欲しいのはイタズラでもお菓子でもなく、大好きなコクリ・コクル(iz0150)のようです。
「はっ。……こうはしてられないのにゃ。早くあたしもハロウィンの仮装をしてコクリちゃんと出掛けなくちゃにゃ!」
 もうハロウィンお化けが出回っているのを知って焦る千佳。いまノックアウトした狼男のそばには、お詫びにそっと持参していたお菓子を添えてコクリの元へと駆け出すのでした。
 そう。
 きょうはハロウィンです。


 場所は変わって、ある和室。
「う〜ん。可愛らしく結ぶのって、意外と難しいんだなぁ」
 コクリが正座して座って、背中を丸めて何かしてますよ?
――すぱ〜ん!
「ひっ!」
 突然背後の襖が開いて飛び上がるコクリ。
「コクリちゃんこんばんはにゃ♪ 今日はハロウィン、一緒にお菓子貰いに行こうにゃ♪」
「ち、千佳さんっ。まずは声掛けてよぅ」
「にゅ? 何かしてたにゃ?」
 はぎゅ〜っ、とまずは抱きつく千佳でしたが、コクリが何かを慌てて隠したので大きな瞳をまん丸にしてそっちを見て、改めてコクリを見上げます。
「千佳さんを驚かそ……ううん、何でもない。千佳さんが来るんじゃないかなって思ってたから、ハロウィンの準備をしてたんだよ」
「ホントにゃ? それじゃ、この衣装に着替えるにゃ!」
「千〜佳〜さ〜んっ!」
 千佳は、コクリも自分と一緒にハロウィンのお出掛けをしたかった事を聞いてとても嬉しそうです。そりゃもう、がしーと抱きついたままコクリを押し倒してしまうくらいに。
「じゃ、着替えさせてあげるにゃね」
 そう言って背負っていた風呂敷を横に投げ出します。風呂敷の結び目ははらりと解けて、中からまるごとすけるとんとまるごとおばけが出てきたり。それはそれとして、マウントポジションになったことで隠れてしまったコクリの帯をほどこうと自分のスカートの中に手を入れ、次にコクリを万歳させて上着を脱がせたり、今度は千佳が上のままコクリを見下ろしつつフリルたっぷりのエプロンドレスを脱いだり、下でコクリが真っ赤になって脱力してたり。
 あっ!
 花も恥じらう少女たちの着替えですので、見ない振りをしてくださいね。二人とも胸が小さかったりとか、肩が儚いくらい小さくて白かったりとかも。
「あの……。全部脱ぐの?」
「にゅ。全部脱ぐにゃ」
 これ以上は、乙女の秘密♪。
 そして。
「へええっ。千佳さんていつもふわっとした服着てるけど、そういう衣装を着るとホントにしなやかな体つきなんだね〜」
 コクリが感心する千佳の姿は、まるごとすけるとん。黒くて体に密着する全身衣装ですが、闇夜に白く浮かぶ素材で骸骨が描かれています。
「猫はみんなしなやかにゃ。……希におデブの猫もいるにゃけど」
「あははっ。それはそれでもちろんかわいいよねっ。さ、行こう! ハロウィンの夜に☆」
 見つめ合って微笑すると、コクリは千佳の手を取って駆け出します。
 ちなみに、そんなコクリの衣装はまるごとおばけ。真っ白で大きな布を頭から被っただけとも言います。当然、下はひらひらのすーすーで。
「あんまり急いで裾がまくれたらたいへんにゃよ?」
「あっ!」
 ぽんっ、と真っ赤になるコクリ。
 千佳と違うタイプの「まるごと」衣装だったことにいま気付いたようですね。
「ゆっくり行くにゃ。そのほうが楽しいかもにゃよ?」
 裾を押さえ恥じらったコクリの手を改めて取って、千佳は夜の町に導くのでした。


「あの、千佳さん。どこに行くの?」
 まるごとすけるとん姿でもるんるん・にゃん♪と上機嫌に歩く千佳に連れられたコクリ。まだ誰にもいたずらもお菓子もねだってないので首をひねっています。
「いいからいいから。まずはここにゃ♪」
 そう言って到着したのは、コクリも見覚えのある場所です。
「っていうか、ここ、ろりぃ隊に出資してくれてる商人さんの店だね?」
「早速突撃にゃ〜っ!」
 ここでついに元気爆発の千佳。どどどど、とコクリを引っ張り店に突入ですっ。
「おおっ! 何事?」
 店先では、ちょうどろりぃ隊を応援してくれる太った中年の助平おじさんがいました。
「トリック・オア・トリートにゃ♪ お菓子くれないと悪戯するにゃよー♪」
「し、しちゃうんだからねーっ!」
 千佳とコクリが並んでがおーと両手を上げ襲いかかるような格好で口をそろえます。顔は見えなくても、声の響きでこのおじさんは中身が誰かすぐに分かったようです。みるみる顔がだらしなくなっていますよ。
「おおっ。その声は千佳ちゃんにコクリちゃんかっ! ……で、できれば悪戯がいいな〜、とか」
 このエロ親父、頬を染めながらもじもじとそんなことゆってますよ。どうしてやりましょうか、千佳さん?
「にゅ、悪戯希望なら……こうしてあげるにゃ♪」
――ぎゅっ☆
「おほっ!」
 何と千佳、右から抱きついて頬ずり頬ずりしたではありませんかっ!
「じゃ、ボクもっ☆」
――ぎゅっ☆
「おほぉぉっ!」
 そしてコクリが左から抱きついて頬ずり頬ずり。
 中年おじさんはもう、そのまま昇天してしまいそうなくらい幸せそうでだらしない顔をして喜びまくっています。
 さらにぎゅって抱きつきすりすりすりすりすり……。
「こ、これはたまらん。はっぴーはろうぃんじゃ!」
 おじさん、あまりの幸せに思わずお菓子を差し出します。にゃ☆とお菓子を受け取る千佳たち。ようやくおじさんはすりすり天国から解放されました。よほど幸せだったのでしょう。四つん這いになってぜーはーと呼吸を整えています。
「って、何かちょっと変なハロウィンのような?」
「これでいいのにゃ」
「おお、最後に一つお願いじゃ」
 ぼり、と頬をかくコクリとにゃふん♪と胸を張る千佳に向き直るおじさんです。
「千佳ちゃんとコクリちゃんの元気な笑顔が見たいんじゃ。仮装するこういう日でも、やっぱりみんなの幸せそうな笑顔が見たいんじゃ」
 四つん這いになったままのお願い。千佳とコクリは顔を見合わせると、顔だけ出して一緒ににこり。
「それじゃ、ほかにお世話になってる人たちのとこ、行ってくるね〜」
「行ってくるにゃ〜」
 願いをかなえると、可愛らしくきびすを返す二人。手をつないで次の出資者さんのところに駆け出すのでした。


「千佳ちゃん、コクリちゃん、最高じゃ〜っ」
「うほおっ。はっぴーはろうぃ〜ん」
「まあ、私の所にも。気にしてくれてありがとね」
「はあっ、はあっ、もう幸せすぎてお迎えが来そうじゃ……」
 千佳とコクリの行く先々で、そんな悲鳴というか、歓喜の叫びが響きます。いずれも大好評のようですね。
「ふ〜。これで終わったかにゃ?」
 千佳、予定の訪問先をすべて回って一息吐いています。
 手には、たっくさんのお菓子。サービスした分、サービスしてもらえたようですね。
「ううん。もう一軒行くところがあるよ。さあ、もうひと頑張り」
 おや。
 コクリにはまだ当てがあるようですね。千佳の手を取って急ぎます。でも、もう随分夜も更けてきました。おうちに帰った方がいいかもですよ?
 そして、最後に訪れた場所は……。
「にゅ? コクリちゃん。最後の訪問先って、あたしの部屋にゃ」
「うんっ、そうだよ」
 見覚えが、というか、いつもの部屋に戻ってきて不思議そうな顔をする千佳。コクリの方は、まるごとおばけの口から首を出して、得意満面で千佳の顔を覗き込んでいますね。
「それじゃ千佳さん、10月4日のお誕生日、おめでとうっ☆」
 じゃ〜ん、と隠していた包みを満面の笑みで差し出すコクリ。千佳は予想もしなかった展開にびっくりしています。
「リボンを可愛く結ぶの、苦労したんだよ?」
「コクリ……ちゃん……」
 照れるコクリに、ぷるぷるっと震える千佳です。
 次の瞬間!
「嬉しいにゃ、ありがとにゃ!」
 歓喜の抱き付きを受け止めるコクリ。
「さ、着替えてお菓子を食べよっ」
「うんっうんっ、そうするにゃ……」
 こうして、二人で着替えて……あ、着ていた服はコクリの部屋に残しているので、千佳の服を借りて着替えました。猫的衣装で二人おそろいです。
「あ。プレゼントは猫イヤリングにゃね?」
「うんっ。似合ってるよ、千佳さん」
 そんな話題で盛り上がりつつ、お菓子を食べて夜更かしして。

 そして、一緒の布団でおねんねです。
「一杯お菓子貰えて楽しかったにゃ〜♪ また来年も再来年も一緒にしようにゃ♪」
 うにうにと抱きついて口にする千佳ですが、寝言か内緒のお話か、ちょっと分かりません。
「うん。楽しかったよ。また、ね」
 ささやきに目が覚めたコクリは、そっとつぶやくのです。
 安心したような猫笑みをする千佳ですが、はたして起きているのやら寝ているのやら。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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ib0045/猫宮・千佳/女/15/魔術師
iz0150/コクリ・コクル/女/11/志士

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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猫宮・千佳 様

 いつもお世話様になっております。
 遅くなってすいません。二人のにゃんにゃんハロウィンです。
 せっかくの機会なので、サプライズとしてコクリからバースデーのお祝いを。お誕生日、おめでとうございます。そしてもちろん、ハロウィンもばっちり楽しくお菓子もおいしく。

 この度は楽しいご発注、ありがとうございました♪
ハロウィントリッキーノベル -
瀬川潮 クリエイターズルームへ
舵天照 -DTS-
2012年10月11日

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