▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『+ なんだと、悪夢のボインボイン!? + 』
ラグナ・グラウシードja3538)&エルレーン・バルハザードja0889



 今日も今日とて私、ラグナ・グラウシードは行く。
 例え間接的とはいえ師匠を死去させた憎い相手。そうそれは倒すべき宿敵、妹弟子である貧乳娘――エルレーン・バルハザードの元へとな!!


「死ねッ、貧乳娘ッ!」


 目標目指して両手持ちの大剣を振りかざし、私は飛び掛る!!
 今日こそお前を倒し師匠の敵を討つのだ。それが私の宿命。生きてる証。アイデンティティなのだから!! 例え非モテ騎士でも(あまり関係ないが)、例え童貞でも(とても関係ないが)、それでもこの決意は変わらん。今こそ喰らえ、我が渾身の一撃ッ!!
 だがしかしエルレーンを襲い、攻撃が決まった――そう勝利を確信した私の目に映ったのは――。


「え゛ッ?!」


 ドガンッ!!
 思わず空中で軸を変え、攻撃を外す。私の声に反応し振り返った女性は……いや、まさか。そんなはずは。まさか私が見間違えるなど有りえないのだ。だからこれは、え、ちょっと待って、色んな意味で待て。私に考える猶予を与えろ。
 まさか、まさか――そうだ、これは人違いに違いない!!


「うふ……どぉしたの、ラグナ?」
「ひぃ、貧乳娘がなにゆえボインボインになっているのだー!!」
「……さわって、みたい?」
「ひぃぃぃぃぃぃいいいい!!! 寄るな、近付くな! お前エルレーンではないな!!」
「そんなぁ……いつもの私じゃない」
「エルレーンの胸がぼーん!! なんて有りえないぃぃぃぃ!!」
「ちょっとぉ、何で逃げるのよぉ……」


 何故だ。
 あのスレンダーな身体は何処に行った。貧乳がステータスだろ、お前! むしろ弱点であろう! 私がいつも嘲笑い続けているあのぺったんこ、つるぺたは何処に行った! ひぃぃ!
 血の気が下がる。さぁあっとまさに血が下がり貧血を起こしそうな感覚に頭が揺れた。
 しかもいつもと違ってこう……うむ、あれだ、その……いわゆる妖艶な笑みで私に近付いてくるエルレーンは色気が……って、ひぃぃぃぃぃ!! け、決して怖気づいて後ずさっているのではない! こ、これはムーンウォークのスピード勝負の練習であって、エルレーンに怯えているわけではなく――!!
 ああ、しかし私はどこまでムーンウォークが上手くなれば良いのだろう。ついつい学園の壁の方まで寄ってしまったではないか!!
 く、これも全てあの貧乳娘のせい! 全てはあのボインな胸のせい!! ――って、ごふ。ついつい吐血してしまった。



「くははは、やるな。さすが宿敵! 攻撃せずに私にダメージを喰らわすとは」
「ねぇねぇ、ラグナぁ」
「その身体付きで私の名前を甘ったるく呼ぶなぁぁぁああ!!」


 貧乳がコンプレックスであったエルレーンがボインボインになってしまったら、それはもう弱点でもコンプレックスでもない。何故だろう。「ざまあ!!」と指差し笑っていたあの過去が、今はもう……懐かしい。
 その恐るべき破壊力は私の思考をあっちこっちへと揺らがせ、纏まりが無い。
 大剣を構えてもカタカタカタと思わず震えてしまうのは恐怖からではない。私はそんな、エルレーン如きにそんな……って。


「近寄ってくるなぁあああ!!」
「あは、ねえ。ラグナ」
「私の名を呼ぶでない、エルレーンの偽者めっ! 今成敗してや――」
「ぎゅうっ、て、したげようか……?」


 エルレーンが久遠ヶ原学園高等部の制服のリボンタイを取り、その下に潜むシャツに指を掛ける。なっ、ななななななっ!?
 プチ、プチ……一つ、一つゆっくりと動作を見せ付けるかのようにゆっくりとボタンを外しながら私に近付いてくるエルレーン。次第に見えてくるのは、あああああ、まさか! まさかエルレーンにそんなものがあるなどと信じない、私は信じないぞぉぉ!!
 しかし奴は魅力的なそれを私に見せつけながら近付いてくる。
 一歩。
 また一歩。
 その度にぷるるんっと震える二つの――。


「貧乳娘に魅惑の双丘があるなどと私は決して、決して認めーーーーーん!!」
「はい、ぎゅぅ」
「ひぃぃぃぃいいいいいい!!」


 悪夢だ。
 これはきっと悪夢だ。早く目覚めてくれ、私。助けてくれ、誰か、誰か――!!


「ねえ、柔らかい?」


 むにゅっとして――ごふっ!!
 ああ、……悲しきかな、色んな意味でくりてぃかるひっと。
 口から血、鼻からも血。肉体的にも精神的にももう無理である。まさかのむにゅ、で私が意識を失ってしまうとは……。ああ、私はまたしても負けてしまうのか。
 貧乳がぼいんぼいんになると細身の体と相まって偉い事になり精神攻撃が半端ない事を知る。いや、知りたくなかったこの事実。むしろ宿敵相手で知りたいなどと誰が思うのであろうか。


 せめてもの足掻きに私は薄れ行く意識の中で、「出来ればエルレーン以外のないすばでぃ美女にむにゅ、の初めてを奪って欲しかっ、た……」と本気で願った――。



■■■■■



「ッ?!」


 ちゅんちゅんちゅん。
 部屋の外でスズメが鳴く声が聞こえる。と、当時に勢い良く跳ね起きた私は寝汗でびっしょりと湿った額をふぅっと拭った。ああ、そうだ。こっちが現実だ。私の部屋だ。


「……ゆ、夢か」


 寝汗だけではない明らかなる冷や汗を掻きながら、私は心底こちらの世界に戻ってこれた事に心から安堵の息を吐き出す。
 しかし恐ろしい夢だった。
 私の夢の中にエルレーンが出てきて抹殺しようとする事は多々あった。そこまでは問題ないのだ。むしろ私が奴を殺すという目標を忘れていないという証になってより一層目的意識の向上に繋がって良い。だがしかしなぜ……なぜっ!!


「エルレーンの巨乳なんぞ見たくなかったぁぁーーー!!」


 ぁーぁーぁー。
 響く私のエコー。
 そんな私のベッドの傍には水着美女のグラビア雑誌。中身はボインボイン美女だらけでそれはもう美味しく目の保養にさせて頂き――。


「ってこれのせいかっ!!」


 思わず雑誌を掴み、ぺしっと床に叩き付けて責任転嫁。
 夢は時として深層心理を映し出すというのだから、もしあれが私の願望などと言われたらその日には私は自害を選ぶ!!
 だがここでも悲しき非モテの習性が働く。叩き付けた雑誌を拾って埃を払い、それはもう大切にそっとそっと……いつもの場所にこっそりと隠して。
 いつも色々と大変お世話になっているのだから仕方ないのだ。そう、雑誌に罪は無い。罪があるのは――。


「エルレーン! 今日こそお前をころーすっ!!」


 早く奴を抹殺さえすればこんな悪夢にも襲われなかったのだ。
 私は「うるせぇええ!」と隣人から文句を頂きながらも窓枠に足を掛け、外に向かって決意を叫んだ。






□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【ja3538 / ラグナ・グラウシード / 男 / 20歳 / ディバインナイト】
【ja0889 / エルレーン・バルハザード / 女 / 17歳 / 鬼道忍軍】

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

 こんにちは、初めまして!
 今回はWTアナザーノベル発注有難う御座いました!

 大好きなお二人にやって来て貰って、しかも思い切り弄っていいという事なので弄らせて頂きましたv とても楽しかったです!(ラグナさん弄りが)
 エルレーンさんのボインを想像して「おっと涎が」なんて思っていませんよ。

 また機会が有りましたら宜しくお願いいたします。ではでは!
■WTアナザーストーリーノベル(特別編)■ -
蒼木裕 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2012年10月22日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.